古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

赤い山門に桜(WBC優勝)([安倍晋三回顧録]読後所感)

2023-03-27 07:00:28 | 風景(花)
(3.27付アップのものを描き変えました。
下記ではガッシュを使わないとしていましたがこれを使い、
満開を7,8分咲きとし、花のないところに枝を加えて樹木の立体感を。)(2023.4.8記)




桜を描くとき、バックをどうするかが大きなテーマになります。
多くは青い空だったり黒っぽい建物だったりですが、
今回は赤をバックにした絵です。
これも柴崎春通先生のyoutube動画(お寺の山門を水彩で描く/桜の絵//癒しの水彩画)に
刺激をいただいたものです。
実は昨年この動画を見て、先生のマジシャンぶりに思わずうなり、
自分もチャレンジしたのですがうまくいかず、
今年に持ち込み、その今年も数枚失敗した後のものです。

その失敗から学び、今回意を用いたこと二つを。
一つは“ガッシュ”という白の不透明水彩絵の具の使い方です。
桜は基本的には周りに色を置く“白抜き”で描きます。
その姿が思うようにならないときこれを使って整えるのですが、
ついついこれを使いすぎ、結果汚くなってしまうのです。
上掲(下掲になります)の桜部分では、あえてそのガッシュを使わず(紙の白さのみ)描きました。

もう一つは焦点の絞り方、言葉を変えれば焦点以外のところのぼかし方です。
数枚失敗するうちに、かって模写したある絵を思い出しました。
それは「模写Alvaro Castagnet作品「アントワープ駅」」(2012.7.16拙ブログ)で、
焦点を当てたプラットホームの人物数人は詳細に描きますが、
その他の部分は大胆にぼかし、あえて細かくは描かない・・・とする手法です。
今回の焦点は赤い山門と桜、その周辺部分(点景人物も含む)にも細かく手を入れたくなりますが、
そこは我慢、手を入れない勇気の必要性を再認識させられたことでした。



(3.27アップ分)


[補記1]
WBC 日本優勝

アメリカとの決勝戦当日は、試合中は勿論、ほぼ一日中TVの前でした。
栗山監督からは我慢すること、信じることの大事さを、
若い投手陣からは臆しない度胸の良さを、
打撃陣からは補完しあう団結のすばらしさを、
そして天才 大谷からは人間の総合力のすばらしさを、
それぞれ教えてくれました。
誇らしきかな 日本!
ありがとう 侍JAPAN!

[補記2]
『安倍晋三 回顧録』読後所感

以下、特に印象に残ったことを、自身の勉強と記録として記します。
推敲不十分、しかもかなり長くなりますがお許し下さい。
 
 〇全般 
 〇内政 
〇外交
 〇世界の底流を作る勢力とのかかわり方
 〇積み残した三つの課題
〇最後に蛇足ながら

〇全般
・主要なテーマごと、おおむね時系列に沿い、
読売の関係者の質問に答える形で編集されており非常に読みやすい内容
・内政、外交、総選挙など政治活動等々、総理、総裁として関わる全ての分野で、
もろもろの決断に至るその背景や過程、そして安倍氏の覚悟が読みとれる。
・中でも、日本という国益を最優先し、国の根幹をなす課題に、
信念と迫力・胆力をもって取り組んだ姿は印象的。
・それも持病と闘いながら、回顧録表紙の「笑顔」を絶やさずに
・・・並みの人間に出来ることではない

〇内政 
△第二次内閣就任と同時に「アベノミクス」
・三本の矢①大胆な金融政策②機動的な財政政策③民間投資を喚起する成長戦略
 ・①と②がマクロ政策③がミクロ政策
・高橋洋一氏によるとマクロ政策を理解していた数少ない政治家で、
①に金融を挙げているところがポイント、
金融政策は即雇用政策であり、
安倍政権は歴代政権では最も雇用を創出した
 ・賃金アップはこれから、というときにコロナ
・・・今年の春闘の動きを見ていると今の岸田政権でこれが実現しつつあるということか
△任期前半は2015年9月成立の「安全保障関連法」など安保にかかわることに傾注、
この成立を得てからは国民の生活、経済に力点を
この構図は、安倍氏自身も回想されているが、
1960年を挟んで、岸内閣で安保を固めその後の池田内閣からは経済に走った時に似ている
△役所の中では、財務省とは第二次内閣以降暗闘の連続であったようだ
主に消費税を巡ってで、これに対抗するための選挙(消費税反対の国民の声)という構図
彼ら財務省は省益のためには政権を倒しにくる
森友問題すらも自分の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない、とも

〇外交
延べ約200の訪問国・地域、約1200回の首脳会談
・・・各地域において重層的に世界を俯瞰する外交を展開し「外交の安倍」と呼ばれ、
世界における日本の存在感を飛躍的に向上させた

NHKはじめ日本のメデイアは安倍氏の外国訪問の報道は極めて消極的であった(モリカケに明け暮れて)が、
回顧録末尾の「外国訪問先一覧」の表を見るとほぼ毎月1回という猛烈なぺ―スであったことがわかる

△日米
 ☆日本も安保法制を成立させるとともに、二人の大統領と懇意にし、同盟関係の深化を図った。

☆アメリカ議会(上下院合同)での演説(2015.4.29)(外務省HP)
・演説中何回も「自由と民主主義」の代表としての米国を強調
・安倍氏の苗字Abeを“エイブ”と呼ばべれることに悪い気はしないと
・・・民主政治の基礎を作ったをエイブラハム・リンカーンをもじって
・戦時中のかっての敵は今日は友・・・硫黄島で戦った日米の代表者
・戦後の日本は、米国が主導した西側の一員、世界経済のシステムの
なかで成長してこられた
・米国が世界に与える最良の資産は「希望」 これからの日米は「希望の同盟」を

☆オバマとトランプへの人物評価は面白い
 □オバマ
  ・西側一員のリーダーとの認識・責任は強く持っていた
  ・尖閣防衛に5条適用には言及。ただし北朝鮮には関心なし
  ・仕事の話しかせず。ジョークを言ってもすぐ本題に戻されたり、
  雑談にも応じなかったり・・・友人になるのは難しいいタイプ
・日本に対し不信感(鳩山氏の“トラストミー”発言では)

  □トランプ
  ・トランプ就任前から良好な関係・・・日米間の諸課題についてお互い心を開いて取り組めた
  ・発想はビジネスの成功体験を国際政治に
  ・西側のリーダー(軍事も含めて)という役割意識はなく、多国間より2国間でが基本
・電話会談も多く時間も長かったが、7,8割はゴルフの話

△対中国
 ・中国との外交は将棋と同じ
相手に金をとられたら、飛車か角を奪う一手が必要
中国の強引な振る舞いを改めさせるにはこちらが選挙で勝ち続け、
中国に対して“厄介な安倍政権は長く続くぞ”と思わせる、
・・・そういう神経戦
・安倍氏在任間、習近平は、自国内で権力基盤を脅かす存在はいないとの思いで、自信を深めていった
・習氏と腹を割って話すことはなかったが、首脳会談を重ねると徐々に本心を隠さなくなった一面も
習氏曰く“自分がもし米国に生まれていたら、米国の共産党には入らないだろう。
民主党か共和党に入党する”と
・・・彼は政治思想家ではなく、政治権力のための中国共産党で、強烈なリアリストである
・中国首脳にとって日本とあまりに近づくのは危険(胡耀邦と中曽根氏)
・権威主義国家の指導者は孤独感があると思われる  
歴史に見るように何時政権が倒されるかわからない、から

△対露(北方領土関連は後述)
 ☆プーチンにとってのウクライナ
  ・彼の理想はロシア帝国の復活。
・ゴルバチョフは失敗者として捉え、ソ連崩壊後、何故これほどに領土を手放すのか、と
・ウクライナの独立もプーチンにとっては許せず、
ソ連(当時)は資源豊富なウクライナに莫大な投資をし、その後も資源開発の支援を
こういう経験から、国際法上許されないが2014年にウクライナへ侵攻、クリミア半島を併合した
世界史では、同半島は、ロシア帝国がオスマン帝国から手に入れた土地

△対印
・早々と、第一次内閣の時インドを訪問、同国国会で「二つの海の交わり」と題する演説、
・・・太平洋とインド洋を結び付けるその魁となる画期的な内容
インド・太平洋なる用語もクアッド(日米豪印)も安倍氏の主導で
・インドへの訪問の後体調を崩し退陣へ
〇世界の底流を作る勢力とのかかわり方
☆安倍氏の立ち位置 
・回顧録には米欧のグローバリストと呼ばれる勢力の諸々の主張(政治的コレクトネス、LGBTなど)
への表立った記述はない(模様)
・林千勝氏によると、暗闘の相手だった財務省はグローバリストたちの日本支社みたいなもの、
・一方、TPP(もともとグローバリストの考え)反対者からすれば
これを推し進めた安倍氏もそちら側だったのかとも見られている
 
☆ジョージ・ソロス(米国投資家)(米民主党の強力な支援者)からの忠告
  ・2017.1ジョージソロス氏が来日したときの安倍首相への言葉:
「そんなにトランプと仲良くしたら、いろんな批判を受けることになりますよ」
→首相は「トランプを選んだのは米国国民。
日本にとって最大の同盟国のリーダーと日本の首相が親しくするのは当然の義務」と反論

☆グローバリストの総本山ダボス会議での演説(2019.01 首相官邸HP)では
彼らが主導する女性の社会進出、国境を越えたデジタルガバナンス、気候変動への対応などで呼応させている。

〇積み残した三つの課題 

 △拉致問題(回顧録以外の資料からも)
  ・安倍氏は辞任会見(2020.8.28)で“拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極み”と述べた
  1997年に拉致被害者の家族会と救う会が出来て以来、最も本問題に取り組んだ政治家
  ・2,002年の小泉訪朝(官房副長官として同行)で5人を帰国出来たのは、
米による北朝鮮を含む3か国を“悪の枢軸国”に指定したことや、
現にイラクへの侵攻に金正日が怯えたから出来たこと、との認識
  ・第一次内閣では「拉致問題の解決なしに日朝国交正常化はあり得ない」
   第二次内閣では、最優先課題として拉致問題に取り組む
解決の戦略:経済制裁と米国などの国際圧力(軍事力を含む)によって北朝鮮政権を危機に追い込み、
北朝鮮最高指導者を日朝首脳会談の場に引き出し、
横田めぐみさんら8人を含む全被害者の一括帰国を迫る
   ・米国の大統領がオバマのときはこの問題へ関心が薄く(先送り)、
トランプは対北融和策に転じ、この融和策の中で拉致問題の解決を依頼するしかなく、
米朝首脳会談でも言及してもらったが効果なし
   ・日朝双方の情報部門の接触などを含み、おそらく公に出来ない日本独自のルートを模索したと思われるが、
結果として解決には至っていない
 
△北方領土交渉
  ☆従来:四島の帰属問題を解決して平和条約を締結
   →2018秋日露首脳会談(於シンガポール)で、
    「1956年の歯舞、色丹の二島引き渡しを明記した日ソ共同宣言を基礎にする方針へ転換すること」で日露首脳同士は合意
・そもそも四島返還にこだわったのは、当時の米国務長官ダレスが反対したから
米ソ冷戦時代、二島返還で日ソの関係がよくなることを望まなかったから、と

   ☆その後、ロシア側事務方の反対(四島は正当にロシア領だと認めろ 
ソ連邦崩壊後のNATO東進、四島へ日米安保条約適用への危惧 )で進まず

☆林千勝氏は、米海軍歴史センターの資料「現代世界における米海軍シリーズ」を引用して、
「北方四島への侵攻は、米ソの共同作戦だった」(1944年から 米国主導で艦船や航空機を提供)との
びっくりするような所論を開陳中(関連youtube)
安倍氏もこのことを知っていたはずで回顧録に記してほしかったと
 
△憲法改正
  ・ 第一次内閣時 防衛庁の省昇格 教育基本法改正 国民投票法(憲法改正の手続きを定める)の成立
   第二次以降の内閣時 特定秘密保護法や安全保障関連法を成立させ、
集団的自衛権の一部が行使可能となり、
米国からの信頼もアップし抑止力も向上した
・(以下私見)しかし上記の解釈改憲が本格的な憲法改正に向かわせる必要度を下げ、
かつ与党はこの法制成立で多くのエネルギーを使い、
本格改憲のための新たなエネルギを蓄えるには時間が必要、
ということのよう

・本格的改正が進まない理由として、
国内では自民党の一部や公明党の現執行部の反対だと回顧録で明示している
(公明党は、太田氏のとき加憲案としてのチャンスはあったが、山口氏になって頓挫)
・麻生氏は安倍氏に憲法改正をやるなら3期目の総理総裁を、と進めたが(当時は)断った、と。
・特に米国(特に占領憲法を作った勢力)からの改正反対の動きが注目されるが、回想録にこのことの記述はない

〇最後に蛇足ながら
・回顧録全体を通してモリカケ関連が結構多いと感じた
主にメデイア(読売系列含む)が煽りまくったことを正当化する、その言い訳にしか自分には映らなかった

以上です。長文、すみません!


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2 コメント

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Unknown (mori)
2023-03-27 07:30:10
時期にピッタリの日本らしい風景だと思います。
赤い門に青っぽい屋根、緑の林をバックに桜の雰囲気が良く出ていると思います。
説明を読んで、色々工夫されて描かれているのに感心です。
侍ジャパン、本当におめでとうですね。多くの事を教わりました。
安倍元首相の件:世界のそれぞれの国の特徴・その長の特性・利害関係を極めて鋭い感覚で的確に捉え、国内のメディアを含めた政敵に屈することなく、自分の政治を長年に渡り推し進めてきたことは、誰しも出来る事では有りません。一日一日の動きを見ても極めて多忙でしかも国を左右するようなことの連続です。お疲れさまでした。
Unknown (サガミの介)
2023-03-27 14:40:35
ソメイヨシノは華やか過ぎて絵にするのが難しいと聞いたことがあります
なるほど構成や色使いなどを工夫すると、春のカオリ一杯の中、桜の華やかさが引き立つ作品になるのですね。
春爛漫の綺麗な心豊かになる雰囲気を感じ嬉しくなりました。
WBC全ての歯車が噛み合ったのと、国民を含め日本人ならではの豊かな人間性が創り出した奇跡のドラマだったと思います。
安倍首相回顧録、中身を知るほどに、残念無念でなりません、替わる人がいないのも悔しいです、でも、安倍首相が蒔いた種が育ってくるのをあの世?から見守りたいです。

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