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結論から言うとこのピックアップはお勧めできません。以下にその検討結果をご紹介しますね。
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2013年8月8日に私のブログでブルガリア製のウクレレをご紹介しました。
この紹介文にもありますようにこの「クレモナ・ウクレレ」は大変優れた楽器で演奏のしやすさや音色はハワイ製のウクレレと十分に太刀打ちできるものという印象を受けました。
そのメーカー「クレモナ」からウクレレ用のピエゾ・パッシブ・ピックアップUK-1
が発売されましたので興味を持ってテストいたしました。
写真からお分かりのようにブリッジの弦をツイストさせている部分に差込み、弦の締め付ける力を利用して固定しているために、従来のように両面テープで貼り付けることでトップ面を汚したり、はがれやすくなるという欠点がないことと、ピエゾ・エレメントをトーン・ウッドすなわち楽器用の木材(ここではメープル)ではさんでいることで楽器の持つ自然な音色が引き出せること、そして着脱式の出力ケーブルを使っていることで、演奏しないときにもピックアップを装着したままでケースに収納(オータサン言うところの「なおす」)できる、等々たくさんの利点をもつとのことですのでこの価格(70ドルすなわち7000円程度)だったら手軽に使えそうな感じでした・・・
取り付けもきわめて容易とのことでそのデモ・ビデオも紹介されています。
ビデオでは弦の音程が安定するまでの時間は省略されていますが、確かに作業は簡単そうです。
現物を見てみましょう。
確かに表裏をメープル材でサンドイッチしてあり、出力ジャック部分にはクレモナのロゴが見えます。
さっそく実際のウクレレに装着して音を出してみたところ・・・・・・
盛大な!ハムノイズが出てきました。使用場所によってこのノイズの量は異なるので一概にこれだけで良し悪しを判定するのは強引かもしれませんが、少なくとも本来ハイ・インピーダンスのエレメントであるピエゾ(圧電)素子をシールドをせずに使うということ自体間違いと思います。
アンダー・サドル・タイプのピエゾ素子はインターネット上では一個2ドル以下で売られています。そしてそういう素子でもしっかりとシールドされています。
そこで、このピックアップをシールドしたときの変化を確認してみることとしました。シールド材としては手軽に使えるアルミ箔を使いました。
台所用のアルミ箔として米国製と日本製があったのですが、その厚みが全く異なるのには驚かされました。
実際に手にしてみると日本製はヒラヒラとしなやかに動くのに対して、米国製は硬く、しっかりとした質感があるのです。
両者の厚みを計ってみたところ米国製は2ミルすなわち1000分の2インチ(=50μmマイクロメーター:1000分の50メーター)も有り、何個か日本から持参した日本製は10~13μm(0.5ミル程度)と米国製のほうが4倍も厚いことがわかりました。
シールド用としては厚く、加工のしやすい米国製を使うこととし、ハサミで大体の輪郭を切り抜いてからピックアップをくるんで作業終了です。所要時間1分程度!
これをブリッジに差し込みました。
ジャック側です。プラグのグランド側に接触するようにしてあります。
この状態で再度音だしをしてみました。
シールド効果は抜群で、ハムノイズも多少残っています(聴感的には10分の1以下に)が実用上全く問題のないレベルまで下がりました。そして何よりもノイズ交じりで濁って聞こえた音がクリヤーになりました。
でも、この効果を実際の製品で実現するにはトーンウッドをやめて薄い金属板(ステンレス製?)で挟む形状が必要になります。もちろんその場合は「トーンウッド使用」という惹句(効果の程はわかりませんが)は使えなくなります。
以上から考えて、このピックアップをシールドなしで使うのはお勧めできません。金属で囲った製品をもし売出すとしても別の問題があります。
それはこのタイプのピックアップを装着できるウクレレが限られていることです。最初に紹介したホームページのコピーやデモビデオでは「たいていのウクレレに装着できる」と紹介していましたが、実際にこの構造、すなわち弦をツイストして固定するタイプのブリッジを持ったウクレレは少数派ですので、とても「たいてい」などとは言えないと思います。
すなわち一番ポピュラーな構造は弦の端に結び玉を作って保持するタイプでしょう。もちろんこのタイプのブリッジにこのピックアップは装着できません。
ピンを併用したタイプもあります。これにも装着できませんね。
さらにせっかくツイスト・タイプのブリッジではあってもその幅が狭くて今回のピックアップはとても装着できないブリッジもあります。
以上の理由からもこのピックアップはお勧めできません。
UK-1と一緒にNG-1というナイロン弦のギター用ピックアップも発売されていますが、UK-1同様購入はお勧めできませんね。
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本来でしたら私のブログでは「お勧め品」を紹介したいのですが、興味をお持ちの方が無駄な出費をしないようにとの「お勧めしない品」もご紹介する必要がありそうと思ってアップいたしました。
と早とちりしてしまいましたが、CではなくKなのですね。
トーンウッドを使いつつノイズ交じりの惹句(Jack)というところが
身につまされる思いであります・・・。
最初から付いている楽器の購入か、穴を開けてプロに付けてもらうのが正解ですね。
もしくは、生音でいいマイクで音を拾うのがいいのでしょうね。
そういえば昨年引退した日ハムの二岡選手も思い出す。
私は高価ではない楽器にだけ自分で取り付けます。
ずうっと前に「ピックアップに頼るのは邪道!」と言っていたshu-sanもいつの間にかピックアップ容認派になっています。
これを利用した、スチールギターなんか作ってみたいですね!?。
もともとわたしは「スチールギターなんだからマグネチックピックアップでなければいけない」と思ってワイゼンボーン型を購入するときもマグネチックピックアップ付を購入したり、自分でもピックアップ買って取り付けたりしていました。
http://blog.goo.ne.jp/goomatt/e/6d337f800ca14050e1231d044005b6d9
でも、ためしにアンダーサドルのピエゾピックアップ付の楽器を弾いたところマグネチックピックアップ付と見分けが付かなかった(それだけ耳が悪化した?)のでピエゾを見直しました。
その結果、現在製作中(中断中!)の「超小型スチールギター」にはピエゾのアンダーサドルピックアップをマウントすることにしました。
しかしいつも、MATTさんの研究熱心さには脱帽です。
「超小型スティールギター!?」興味津々。
スティールは弾けないんですが・・・何故か興味が・・・
5月の一時帰国時にはお見せできるかと思っていたのですが、スレ違いでハワイにおいでになるんですね。
残念!