MATTのひとりごと

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眼鏡型拡大鏡要らず・・・早津さん編集の超小型A6判曲集を自分用としてB5判に変換(2019年9月27日)

2019年09月27日 | 曲集・出版物

今から34年前の1985年9月8日に不慮の事故により53年の生涯を閉じた早津 敏彦 氏は、当時わが国唯一のハワイアン音楽評論家としてNHKラジオ番組「メレ・ハワイ」を長年にわたって続けていただけでなく、ハワイアン・レコードの解説、ハワイアン音楽関係の多数の著作、ハワイアン・コンサートの司会、そして海外からのハワイアン・ミュージシャンたちのサポート等々広く活躍しておられました。

現在までにわが国で出版されて来たハワイアン音楽の曲集の約半数は彼の手になるもので、残りは彼と同い年で現在わが国で唯一の本格的ハワイアン・グループ「ナレオ・ハワイアンズ」のリーダーを続けておられる白石 信 氏の作品が同数もしくはそれを上回る数を占めています。

私も早津さんのハワイアン曲集には大変お世話になり、出版される都度購入してきたもので手元に残っているものが10冊に及びました。
(おそらくこれ以外にも数多く出版されているとは思いますが・・・・)


これら10冊の概要は下記のようなものです。


写真からもお分かりのように①がB6判、⑦がA6判ですが、ほかの8冊はすべてB5判になっています。
この中で最も古い①だけは、まだ音楽著作権が厳しくなかった?時代の作品で、当時市場に数多く出回っていた「海賊版」ないしは「耳コピー版」に近いもののようで、彼の作品としては唯一著作権の表記がありません。

これの出版年代も不明なのですが、本文中に「早稲田のナレオ・ハワイアンズの白石さんの協力を得た」とあるのが手がかりとなりました。
すなわち早津さんと白石さんは同じ1932年生まれですが、白石さんが在学中と思われる1954年あたりと判断しました。

② ③ ④ と普通の表紙を持った曲集が出た後、⑤ ⑥というハードカバーの豪華本が同時期に出版されました。
特に⑥はハワイアン音楽だけでなく早津さんが研究しておられた南太平洋の各地域の音楽も収録しているというまさに「プロ・ミュージシャン向けの大作」でした。

⑧と⑩は似たデザインの表紙ですが、中身はまったく違うものです。

出版社のほとんどが現在の日音とその前身や子会社であるのに対して、⑦だけは別なジャンルの出版社で、ここからはハワイアン音楽だけでなく広範囲の音楽の曲集が出版されていてそのすべてがA6判というA4判の4分の1という小さなサイズでした。

上記の一覧表でこの本の出版年を「1978年?」としたのですが、このリストがその根拠になっています。


これの出版当時はサイズが小さいので持ち歩きにも便利、と愛用していたのですが、さすがに寄る年波で小さな表示が見えにくくなってきました。

これだけのために「眼鏡型拡大鏡」を購入するのもシャクなので、これの拡大バージョンを自分のためだけに作成いたしました。
(これを複数部数作成すると著作権法に抵触しますので)
以前も触れましたがNUAの創設者の灰田有紀彦さんは既成の楽譜をまるコピーするのではなく、必ずご自分の手で書き直しておられましたので、私もこれを踏襲していますが、今回の目的と「自分用」ということでこの小さな楽譜を拡大することにしたのです。

実は楽譜の拡大は30年以上前にもおこなったことがあります。
それは①の楽譜に使用していた紙が終戦直後の粗悪品のため、どんどん茶色に変色していくだけでなく、ポキポキと折れていくので、なんとか救済せねば、とコピー屋さんに入り浸って一回り大きなB5サイズの「拡大品」を作成していたのです。


ほかの曲集と同じサイズとなったことで、この楽譜も役に立つようになりました。

このときの作業は大変なものでした。
まずすべてのページを拡大コピーし、その一枚一枚を五線譜を頼りに水平垂直を出すように切り取り、それらをB5判の白紙に貼り付けたのち、今度は両面コピーをしてそれぞれのページを作成してから製本したのです。

さすがに今回はコピー機のお世話にならずスキャナーを使用したのですが、それでもオリジナル楽譜自体が傾いていたり、後で触れるように裏面が透けてスキャンされるのを補正したり、と結構手間がかかりました。

⑦のサイズA6判もほかのハワイアン曲集と同じサイズのB5判に拡大することにいたしました。
A6サイズをB5サイズ(すなわち1.73倍)にするのはスキャナーの設定を600dpiでスキャンし、それを1.73分の1の346dpiに変換することで簡単に実現するのですが、表紙だけはそうはいかないのです。
表表紙と裏表紙はそのやり方でよいのですが背表紙はそのままでは使えません。
楽譜の縦横寸法はすべて1.73倍になっても背表紙は紙の厚さに相当するので1倍のままなのです。そこでこんな改造をおこないました。

オリジナルの表紙に対して


背表紙だけはA6→B5に見合ったサイズにして、ちょっと間延びしますが表記を縦方向に分散させました。


これにより無事にB5判への拡大ができたのです。


本文をスキャンをしてみてわかったことは紙が薄いためにそれぞれの裏面が透けて見えてしまうのです。
スキャナーの設定で濃度を変えればうまくいくかも知れないのですが、それ以外にも画面の傾き修正も必要になるので、まずはスキャンをし、その後、画面の濃度を変更して見易くしました。

代表的な修正作業を表示いたしますね。(左がスキャンしたまま、右が修正後)











五線譜の傾きを修正すると本来は直線であるべきところが細かいギザギザになってしまうのですが、拡大できたことでこの欠点は無視して「完成」といたしました。

以上のように早津さんの10冊のハワイアン曲集がすべてB5判にそろいましたので使いやすくなりました。

 

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4 コメント

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絶筆の著書 (jinjar)
2019-10-29 13:44:17
ポケットサイズの貴重な曲集をコピーして、拡大復刻版をこしらえ、それを、ご自分だけで利用されるなんて----。ハワイアンの楽しみの極みですねぇ。(笑)

早津敏彦氏といえば、私の手元に、三冊の本があります。その一冊が「日本ハワイ音楽・舞踏史、アロハ!メレ・ハワイ」(1986年9月、サンクリエイト発行、332ページ)です。早津さんが亡くなる一年後の発行で、絶筆となりました。残念ながら、著者には届きませんでした。

あとがきで、早津氏は「初めてのラジオのマイクの前に座って、震え声でジョッキーをやったこと、サンケイホールの2000人の観客の前で、初めて挨拶したとき、膝と両手が小刻みに動いて、なんとしても震えがとまらず、何を話したのか一言も覚えていない」と思い出を回想しています。

そして、結びに「残された最大のライフワークとして、古代ポリネシア音楽と、オセアニアの伝説に取り組み、この本と合わせた三部作にしたい。決めたことは何としてもやる」と決意を述べています。

 偉大な足跡を残しながらも、ご本人には道半ばだったのですねぇ。 合掌 !
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jinjarさん (MATT)
2019-10-29 13:56:53
著作権に保護されているのでやむを得ないのですが、廃版になったりして後世の人の手に入りにくい出版物は是非復刻して欲しいものです。
その出版社に再発する意思がなかったり、その会社が倒産して引き継ぐ個人や組織がない場合には第三者でも復刻版を出版できるような処置があるといいですね。
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Unknown (bulldog)
2020-09-11 23:43:06
MATTさま、はじめまして、ハワイアンバンドでベースを弾いておりますbulldogと申します。どうぞよろしくお願いします。

早津さんの編まれた曲集を検索していて、こちらに辿り着きました。バッキーさんや灰田さん、日本ハワイアン音楽史に関しての本は調べたのですが、曲集となるとなかなか情報がなく、見つけたら入手するという方法でやってきました。
大変参考になります。どうもありがとうございます。
版サイズを揃えるのは大変ですね。演奏用に限定するならば曲単位に写譜する方が早いでしょうが、、、

歴史、文化、民俗学的な学術書までは手が回りませんが、曲集は入手したいと努力中です。色々勉強になります、ありがとうございます。
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bulldogさま (MATT)
2020-09-14 12:50:50
コメントありがとうございました。

ハワイアン音楽の楽譜では早津さんと白石さんの編書が双璧でしょう。
幸い白石さんはご健在で彼の曲集シリーズは全9巻も刊行され、ハワイ大の図書館にも備えられているという標準的楽譜ですので今後も役立つと思います。

ただ、著作権の関係でたくさんの名曲が取り上げられていないのが残念ですが・・・・
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