吉永小百合、声震わせ「被災者を少しでも癒せた
オリコン 5月11日(水)20時50分配信
女優の吉永小百合が11日、都内で行われた映画『手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ!美しく―』の完成披露舞台あいさつに登壇した。あいさつの模様は全国14ヶ所の劇場に衛星中継され、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市、福島県福島市の劇場にも中継。9日に名取市を訪問したことを明かした吉永は「私は子供の頃から映画によって励まされ、感動させられ、今映画俳優として生きています。スポーツや音楽、映画などで被災した方を少しでも癒すことができたら・・・」と声を震わせながら一言ひとこと言葉をつむいだ。
堺雅人も「特に名取の皆さん、福島の皆さん、この場でごあいさつさせていただけることが何より嬉しいです」と被災地を気遣ってのあいさつ。吉永は震災から丸2ヶ月が経った名取市の様子を「まだ信じられないような光景が港や田畑にあって、本当に大変なことがあったんだ…と思った」と振り返り、「もっともっと長くサポートしていかなければいけないと強く感じています。元気になっていただけたらと切に願っています」と力強く語った。
同映画は、漫画家・手塚治虫が10年の歳月をかけて連載し、累計発行部数が2000万部を誇る長編漫画『ブッダ』を、同じく10年の構想を経て初映像化。王国間の争いの絶えない2500年前のインドに誕生したシャカ国の王子、ゴータマ・シッダールタ(吉岡秀隆)を中心に、その戦争の相手・コーサラ国軍の指揮を取る勇者・チャプラ(堺)など周囲の人々を丁寧に描いた“いのちのドラマ”として3部作で展開される。
舞台あいさつにはほかに観世清和(能楽観世流二十六世家元)、吉岡、黒谷友香、観世三郎太、藤原道山(尺八演奏)、森下孝三監督が出席。映画『手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ!美しく―』は28日(土)より全国で公開。
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トヨタ:震災損失1100億円 下請け企業、危機に直面
トヨタ自動車が11日発表した11年3月期決算は、国内での自動車生産体制の維持にこだわる同社の苦境を浮き彫りにした。被災した部品メーカーに支援部隊を送るなどして部品調達網の復旧ペースを早め、現在5割程度の工場の稼働率も6月には7割程度に回復する見通しだが、完全に正常化する11~12月までは被災地以外の下請け企業や販売店も綱渡りの経営が続く。余震や電力不足、急激な円高など懸念材料は多く、国内製造業は正念場を迎えている。
◇納期定まらず、販売店も苦悩
「明日の製造量はこれでお願いします」
変速機部品などを作る名古屋市の2次下請け企業「エイベックス」は震災直後の3月14日以降、トヨタ子会社から来る発注量が不規則になった。しかも注文が入るのは前日の夕方。加藤明彦会長(64)は「夕方の連絡では翌日の人員配置が間に合わない。注文が少なければ人件費がかさんでしまう」とぼやく。
4月上旬から発注量のばらつきは解消されたが、約300種類ある部品の生産ラインの半分は今も止まったまま。約200人の従業員に「赤字は避けられない。不良品ゼロなどでコストを1億円減らそう」と訴えている。
愛知県小牧市で座席部品を受け持つ3次下請け企業では、震災前に月2000万円の黒字だった損益が、3月にはトントン、4月は赤字に転落した。現状では今年度3億円の赤字が見込まれるといい、社長(60)は「受け取った手形も損を承知で期日前に現金化し、運転資金に充てている。震災前ですら赤字すれすれだった零細企業はもたないだろう」と悲鳴を上げる。
販売店も深刻だ。小型車「ヴィッツ」などを扱うネッツトヨタ東名古屋の新栄店(名古屋市中区)の営業マンは、震災後に新車を求める客に「納期を正確にお伝えすることはできません」と頭を下げ続けている。車検切れが近い客をつなぎ留めるため、車検費用の一部負担も始めた。震災前の契約さえ納車には3カ月以上かかっているという。
4月の同店の新車販売台数は前年の3分の1、新車の売り上げは半分以下となった。当面の頼みの綱の在庫車も月末には底をつく見通しで、展示車両も販売に回さざるを得ない状況だ。勅使河原一也店長(45)は「現在の販売水準が7月まで続くと店舗経営は厳しさを増す。修理やタイヤ交換などの売り上げを増やして乗り切るしかない」と話す。
東京都内の販売店も生産再開以降、徐々に車両が届くようになったが、担当者は「4月の販売は通常の半分。新たな受注もあるだけに今後が心配」と生産回復を心待ちにする。
豊田章男社長は11日の会見で「すそ野の広い自動車産業だけに、一日でも早い復興が元気な日本を取り戻す力になる」。生産正常化まで下請けの中小メーカーや販売店が持ちこたえられるか、時間との勝負になりそうだ。【丸山進、工藤昭久】
◇製造業の空洞化懸念
「昨今の一段の円高を見ると、収益を預かる立場として日本でものづくりを続ける限界を感じている」。会見に同席した小沢哲副社長は、トヨタが置かれている苦境を訴えた。
トヨタは11年3月期、アジアを中心とした新興国の需要増に支えられ、営業利益が4682億円と前期の3倍超に増え、業績回復がさらに鮮明となった。しかし、輸出依存度が約6割と高いトヨタ単体の営業損益は、前期に3280億円だった赤字額が4809億円に拡大した。前期比対ドルで7円、対ユーロで18円円高が進み、為替差損が3300億円に達したためだ。
小沢副社長は「競争相手のドイツ車、韓国車は通貨安の恩恵を享受している。FTA(自由貿易協定)などの政策や税制でも韓国とは競争力に差がつきつつある」と指摘。そのうえで「一企業の努力の限界を超えている。関係部署や社長に進言せざるをえないと考えている」と、国内生産体制を維持する難しさを強調した。
震災の影響も追い打ちをかけている。小沢副社長は「余震や電力不足もあり、(部品メーカーが)生産拠点を分散しようという動きは出てくるだろう。日本のものづくりの源泉が失われる」と述べ、国内産業空洞化を危惧した。
豊田社長は「震災復旧を通じて日本のものづくりの底力も強く感じている」と述べ、国内生産基盤を維持する考えを改めて強調した。単体の赤字脱却に向け、さらなるコスト削減を進める考えだが、足元の為替相場は「1ドル=85円、750万台の販売で営業利益率5%」というトヨタの想定よりも円高の状態が続く。加えて夏の電力不足や余震の継続など不安定要素もあり、経営環境は一層厳しさを増している。【米川直己】
トヨタ:決算発表 震災に円高…日本のものづくりは正念場
トヨタ:震災損失1100億円 生産は6月に7割回復へ
新車販売:4月台数、宮城が唯一プラス 全国は51%減
東証:中部電力株、11年ぶり安値
浜岡原発:中部経済、夏に懸念 関西電力に支援要請
毎日新聞 2011年5月12日 東京朝刊
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普天間移設は「非現実的」 米上院軍事委員長ら
【ワシントン共同】米上院軍事委員会のレビン委員長(民主党)とマケイン共和党筆頭委員は11日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に関する日米両政府の現行計画は「非現実的」として、米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合を中心とする新たな移設案の検討を国防総省に求めたとの声明を発表した。
米議会が現行計画への反対姿勢を明確にしたことで、日米間の懸案となっている普天間移設問題はさらに停滞する可能性が高まった。
声明は、普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古に移設する現行計画について「非現実的で、機能せず、費用負担もできない」と指摘。
2011/05/12 05:46 【共同通信】
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*アメリカの軍事事情を優先するなら全ては非現実的である。
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2011年5月11日 07時00分 更新
避難所生活者 今も11万7085人
国内 最新ニュース
東日本大震災とその後の余震による死者は10日現在で1万4949人、行方不明者は9880人と死者・行方不明者を合わせ2万4829人にのぼっていることが警察庁緊急災害警備本部のまとめでわかった。負傷者も5279人にのぼっている。
ロイター 東日本大震災
また、避難所での生活を余儀なくされている人は18道府県2412箇所の避難所で、合わせて11万7085人と現在も11万人を超えている。
このほか、建物被害では11万5598棟が全半壊や全半焼に、8852棟が床上浸水、床下浸水に遭っていた。さらに、一部破損した建物は24万4306棟にもなっていた。
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原発賠償、国が完了まで支援し東電の破綻回避
特集 福島原発
政府は11日、東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る閣僚会合を開き、被災者への賠償策で大筋合意した。
賠償策は9項目からなり、政府が東電を管理下に置いて支援を続け、賠償が完了するまで経営破綻させない仕組みとしている。また、賠償金の支払いを確実にするため、原発賠償機構(仮称)の新設も明記した。12日に最終決定し、通常国会に関連法案を提出する見込みだ。
会合では菅首相を除く全閣僚が9項目について議論したが、大きな異論は出なかった。大筋合意した枠組みは、いつでも換金できる交付国債を政府が機構に拠出し、東電と、ほかの電力会社も負担金を出す。東電は、政府の監督のもとで、保有している不動産や有価証券の売却など「最大限の経営合理化と経費削減を行う」ことで、賠償に必要なお金を捻出する。また、本業の利益から、電力の安定供給のために必要な設備費用などを除いた部分も賠償金の支払いにあてる。
(2011年5月12日03時05分 読売新聞
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中日新聞【社説】
原発賠償案 これは東電救済策だ
2011年5月12日
東京電力・福島第一原発事故の被災者に対する賠償案が固まりつつある。はっきり言って、これは国民負担による東電救済策だ。菅直人政権は霞が関と金融機関の利益を代弁するつもりなのか。
賠償案は政府が設立する機構に交付国債を発行し、機構は必要に応じて東電に資本も注入する。賠償は東電が上限なく負担するが、資金が不足すれば交付国債を現金化して支払い、後で東電が長期で分割返済する。
一見すると、東電が賠償責任を負っているように見える。ところが、東電の純資産は約二・五兆円にとどまり、リストラに保険金を加えても、十兆円ともいわれる賠償費用を賄い切れない。
実際、勝俣恒久会長は会見で「東電が全額補償するとなったら、まったく足りない」と認めている。つまり、東電はすでに破綻状態なのだ。“実質破綻”している東電を存続させた場合、賠償負担は結局、電力料金の値上げによって国民に転嫁されてしまう。
東電だけではない。機構に負担金を払う他の電力会社も同じだ。事故に関係ない地域の利用者も料金値上げで負担する結果になる。被災者にすれば、賠償金を自分が負担するような話であり、とうてい納得できないだろう。
一方で、被災者には十分な補償が必要だ。したがって政府の支援は避けられないだろうが、その前にまず東電と株主、社員、取引金融機関ら利害関係者が最大限の負担をする。それが株式会社と資本市場の原理原則である。
ところが今回の枠組みでは、リストラが不十分なうえ、株式の100%減資や社債、借入金債務のカットも盛り込まれていない。
東電をつぶせば電力供給が止まるわけでもない。燃料代など事業継続に必要な運転資金を政府が保証しつつ、一時国有化する。政府の監督下でリストラを進め賠償資金を確保しつつ、発電と送電を分離する。発電分野は新規事業者に門戸を開く一方、旧東電の発電事業は民間に売却する。
銀行再建でも使われた一時国有化の手法は、東電再建でも十分に参考になるはずだ。
菅首相は原発事故を受けてエネルギー基本計画を白紙に戻し、太陽光など再生可能エネルギーの活用を推進すると表明した。そのためにも新規参入による技術革新を促す枠組みが不可欠である。賠償案は東電と癒着した霞が関と金融機関の利益を優先してつくられた産物だ。根本から再考を求める。
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*政府が東電を救済すると言って、管が私財を投げ打つわけではないし、増税論議も盛んだが、財務省の役人や与謝野らが1円でも身銭を供出するわけではない。
東北被災者や原発被災者への支援は極力値切り、赤十字等へ全国全世界から寄せられた支援金が滞りなく届いているのかいないのかも不明で、更にはこの内閣の基本政策は、増税はおろか全国の電気料金まで値上げする方向なのであるが、支持率は私の期待するほどは下がっていないのが現状である。
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福島第一原発1号機「メルトダウン」東電認める
読売新聞 5月12日(木)22時55分配信
東京電力は12日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉圧力容器で、冷却水の量が少ないため完全に水から露出した核燃料が過熱して容器底部に落下し、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が漏れていると見られると発表した。
東電は、この状態が「メルトダウン(炉心溶融)」であることを認めた。
東電は、圧力容器の温度は100~200度と安定しているため、今後大きな事故に至る可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、事故収束は難航が予想される。
東電によると、10日から原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果、圧力容器の冷却水位は燃料頂部から5メートル以上低いことが分かった。燃料棒は長さが約4メートルで、完全に露出している。これまでは、燃料頂部から1・65メートル低い位置まで水が満たされていると推定されていた。
東電は、燃料の大半はすでに溶けたり崩れたりして、底部に落下したとみている。経済産業省原子力安全・保安院は、圧力容器の温度が低いことから、「燃料は容器底部にたまった水で冷やされている」と指摘した。
損傷した可能性が高いのは、原子炉の核反応を停止させる制御棒の貫通部など。直径約4・8メートルの圧力容器底部には制御棒97本、中性子計装管34本が貫通している。貫通部周辺の溶接部位は、溶融した核燃料の3000度近い高温には耐えられないという。
最終更新:5月12日(木)22時55分
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オリコン 5月11日(水)20時50分配信
女優の吉永小百合が11日、都内で行われた映画『手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ!美しく―』の完成披露舞台あいさつに登壇した。あいさつの模様は全国14ヶ所の劇場に衛星中継され、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市、福島県福島市の劇場にも中継。9日に名取市を訪問したことを明かした吉永は「私は子供の頃から映画によって励まされ、感動させられ、今映画俳優として生きています。スポーツや音楽、映画などで被災した方を少しでも癒すことができたら・・・」と声を震わせながら一言ひとこと言葉をつむいだ。
堺雅人も「特に名取の皆さん、福島の皆さん、この場でごあいさつさせていただけることが何より嬉しいです」と被災地を気遣ってのあいさつ。吉永は震災から丸2ヶ月が経った名取市の様子を「まだ信じられないような光景が港や田畑にあって、本当に大変なことがあったんだ…と思った」と振り返り、「もっともっと長くサポートしていかなければいけないと強く感じています。元気になっていただけたらと切に願っています」と力強く語った。
同映画は、漫画家・手塚治虫が10年の歳月をかけて連載し、累計発行部数が2000万部を誇る長編漫画『ブッダ』を、同じく10年の構想を経て初映像化。王国間の争いの絶えない2500年前のインドに誕生したシャカ国の王子、ゴータマ・シッダールタ(吉岡秀隆)を中心に、その戦争の相手・コーサラ国軍の指揮を取る勇者・チャプラ(堺)など周囲の人々を丁寧に描いた“いのちのドラマ”として3部作で展開される。
舞台あいさつにはほかに観世清和(能楽観世流二十六世家元)、吉岡、黒谷友香、観世三郎太、藤原道山(尺八演奏)、森下孝三監督が出席。映画『手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ!美しく―』は28日(土)より全国で公開。
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トヨタ:震災損失1100億円 下請け企業、危機に直面
トヨタ自動車が11日発表した11年3月期決算は、国内での自動車生産体制の維持にこだわる同社の苦境を浮き彫りにした。被災した部品メーカーに支援部隊を送るなどして部品調達網の復旧ペースを早め、現在5割程度の工場の稼働率も6月には7割程度に回復する見通しだが、完全に正常化する11~12月までは被災地以外の下請け企業や販売店も綱渡りの経営が続く。余震や電力不足、急激な円高など懸念材料は多く、国内製造業は正念場を迎えている。
◇納期定まらず、販売店も苦悩
「明日の製造量はこれでお願いします」
変速機部品などを作る名古屋市の2次下請け企業「エイベックス」は震災直後の3月14日以降、トヨタ子会社から来る発注量が不規則になった。しかも注文が入るのは前日の夕方。加藤明彦会長(64)は「夕方の連絡では翌日の人員配置が間に合わない。注文が少なければ人件費がかさんでしまう」とぼやく。
4月上旬から発注量のばらつきは解消されたが、約300種類ある部品の生産ラインの半分は今も止まったまま。約200人の従業員に「赤字は避けられない。不良品ゼロなどでコストを1億円減らそう」と訴えている。
愛知県小牧市で座席部品を受け持つ3次下請け企業では、震災前に月2000万円の黒字だった損益が、3月にはトントン、4月は赤字に転落した。現状では今年度3億円の赤字が見込まれるといい、社長(60)は「受け取った手形も損を承知で期日前に現金化し、運転資金に充てている。震災前ですら赤字すれすれだった零細企業はもたないだろう」と悲鳴を上げる。
販売店も深刻だ。小型車「ヴィッツ」などを扱うネッツトヨタ東名古屋の新栄店(名古屋市中区)の営業マンは、震災後に新車を求める客に「納期を正確にお伝えすることはできません」と頭を下げ続けている。車検切れが近い客をつなぎ留めるため、車検費用の一部負担も始めた。震災前の契約さえ納車には3カ月以上かかっているという。
4月の同店の新車販売台数は前年の3分の1、新車の売り上げは半分以下となった。当面の頼みの綱の在庫車も月末には底をつく見通しで、展示車両も販売に回さざるを得ない状況だ。勅使河原一也店長(45)は「現在の販売水準が7月まで続くと店舗経営は厳しさを増す。修理やタイヤ交換などの売り上げを増やして乗り切るしかない」と話す。
東京都内の販売店も生産再開以降、徐々に車両が届くようになったが、担当者は「4月の販売は通常の半分。新たな受注もあるだけに今後が心配」と生産回復を心待ちにする。
豊田章男社長は11日の会見で「すそ野の広い自動車産業だけに、一日でも早い復興が元気な日本を取り戻す力になる」。生産正常化まで下請けの中小メーカーや販売店が持ちこたえられるか、時間との勝負になりそうだ。【丸山進、工藤昭久】
◇製造業の空洞化懸念
「昨今の一段の円高を見ると、収益を預かる立場として日本でものづくりを続ける限界を感じている」。会見に同席した小沢哲副社長は、トヨタが置かれている苦境を訴えた。
トヨタは11年3月期、アジアを中心とした新興国の需要増に支えられ、営業利益が4682億円と前期の3倍超に増え、業績回復がさらに鮮明となった。しかし、輸出依存度が約6割と高いトヨタ単体の営業損益は、前期に3280億円だった赤字額が4809億円に拡大した。前期比対ドルで7円、対ユーロで18円円高が進み、為替差損が3300億円に達したためだ。
小沢副社長は「競争相手のドイツ車、韓国車は通貨安の恩恵を享受している。FTA(自由貿易協定)などの政策や税制でも韓国とは競争力に差がつきつつある」と指摘。そのうえで「一企業の努力の限界を超えている。関係部署や社長に進言せざるをえないと考えている」と、国内生産体制を維持する難しさを強調した。
震災の影響も追い打ちをかけている。小沢副社長は「余震や電力不足もあり、(部品メーカーが)生産拠点を分散しようという動きは出てくるだろう。日本のものづくりの源泉が失われる」と述べ、国内産業空洞化を危惧した。
豊田社長は「震災復旧を通じて日本のものづくりの底力も強く感じている」と述べ、国内生産基盤を維持する考えを改めて強調した。単体の赤字脱却に向け、さらなるコスト削減を進める考えだが、足元の為替相場は「1ドル=85円、750万台の販売で営業利益率5%」というトヨタの想定よりも円高の状態が続く。加えて夏の電力不足や余震の継続など不安定要素もあり、経営環境は一層厳しさを増している。【米川直己】
トヨタ:決算発表 震災に円高…日本のものづくりは正念場
トヨタ:震災損失1100億円 生産は6月に7割回復へ
新車販売:4月台数、宮城が唯一プラス 全国は51%減
東証:中部電力株、11年ぶり安値
浜岡原発:中部経済、夏に懸念 関西電力に支援要請
毎日新聞 2011年5月12日 東京朝刊
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普天間移設は「非現実的」 米上院軍事委員長ら
【ワシントン共同】米上院軍事委員会のレビン委員長(民主党)とマケイン共和党筆頭委員は11日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に関する日米両政府の現行計画は「非現実的」として、米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合を中心とする新たな移設案の検討を国防総省に求めたとの声明を発表した。
米議会が現行計画への反対姿勢を明確にしたことで、日米間の懸案となっている普天間移設問題はさらに停滞する可能性が高まった。
声明は、普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古に移設する現行計画について「非現実的で、機能せず、費用負担もできない」と指摘。
2011/05/12 05:46 【共同通信】
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*アメリカの軍事事情を優先するなら全ては非現実的である。
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2011年5月11日 07時00分 更新
避難所生活者 今も11万7085人
国内 最新ニュース
東日本大震災とその後の余震による死者は10日現在で1万4949人、行方不明者は9880人と死者・行方不明者を合わせ2万4829人にのぼっていることが警察庁緊急災害警備本部のまとめでわかった。負傷者も5279人にのぼっている。
ロイター 東日本大震災
また、避難所での生活を余儀なくされている人は18道府県2412箇所の避難所で、合わせて11万7085人と現在も11万人を超えている。
このほか、建物被害では11万5598棟が全半壊や全半焼に、8852棟が床上浸水、床下浸水に遭っていた。さらに、一部破損した建物は24万4306棟にもなっていた。
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原発賠償、国が完了まで支援し東電の破綻回避
特集 福島原発
政府は11日、東京電力福島第一原子力発電所事故を巡る閣僚会合を開き、被災者への賠償策で大筋合意した。
賠償策は9項目からなり、政府が東電を管理下に置いて支援を続け、賠償が完了するまで経営破綻させない仕組みとしている。また、賠償金の支払いを確実にするため、原発賠償機構(仮称)の新設も明記した。12日に最終決定し、通常国会に関連法案を提出する見込みだ。
会合では菅首相を除く全閣僚が9項目について議論したが、大きな異論は出なかった。大筋合意した枠組みは、いつでも換金できる交付国債を政府が機構に拠出し、東電と、ほかの電力会社も負担金を出す。東電は、政府の監督のもとで、保有している不動産や有価証券の売却など「最大限の経営合理化と経費削減を行う」ことで、賠償に必要なお金を捻出する。また、本業の利益から、電力の安定供給のために必要な設備費用などを除いた部分も賠償金の支払いにあてる。
(2011年5月12日03時05分 読売新聞
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中日新聞【社説】
原発賠償案 これは東電救済策だ
2011年5月12日
東京電力・福島第一原発事故の被災者に対する賠償案が固まりつつある。はっきり言って、これは国民負担による東電救済策だ。菅直人政権は霞が関と金融機関の利益を代弁するつもりなのか。
賠償案は政府が設立する機構に交付国債を発行し、機構は必要に応じて東電に資本も注入する。賠償は東電が上限なく負担するが、資金が不足すれば交付国債を現金化して支払い、後で東電が長期で分割返済する。
一見すると、東電が賠償責任を負っているように見える。ところが、東電の純資産は約二・五兆円にとどまり、リストラに保険金を加えても、十兆円ともいわれる賠償費用を賄い切れない。
実際、勝俣恒久会長は会見で「東電が全額補償するとなったら、まったく足りない」と認めている。つまり、東電はすでに破綻状態なのだ。“実質破綻”している東電を存続させた場合、賠償負担は結局、電力料金の値上げによって国民に転嫁されてしまう。
東電だけではない。機構に負担金を払う他の電力会社も同じだ。事故に関係ない地域の利用者も料金値上げで負担する結果になる。被災者にすれば、賠償金を自分が負担するような話であり、とうてい納得できないだろう。
一方で、被災者には十分な補償が必要だ。したがって政府の支援は避けられないだろうが、その前にまず東電と株主、社員、取引金融機関ら利害関係者が最大限の負担をする。それが株式会社と資本市場の原理原則である。
ところが今回の枠組みでは、リストラが不十分なうえ、株式の100%減資や社債、借入金債務のカットも盛り込まれていない。
東電をつぶせば電力供給が止まるわけでもない。燃料代など事業継続に必要な運転資金を政府が保証しつつ、一時国有化する。政府の監督下でリストラを進め賠償資金を確保しつつ、発電と送電を分離する。発電分野は新規事業者に門戸を開く一方、旧東電の発電事業は民間に売却する。
銀行再建でも使われた一時国有化の手法は、東電再建でも十分に参考になるはずだ。
菅首相は原発事故を受けてエネルギー基本計画を白紙に戻し、太陽光など再生可能エネルギーの活用を推進すると表明した。そのためにも新規参入による技術革新を促す枠組みが不可欠である。賠償案は東電と癒着した霞が関と金融機関の利益を優先してつくられた産物だ。根本から再考を求める。
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*政府が東電を救済すると言って、管が私財を投げ打つわけではないし、増税論議も盛んだが、財務省の役人や与謝野らが1円でも身銭を供出するわけではない。
東北被災者や原発被災者への支援は極力値切り、赤十字等へ全国全世界から寄せられた支援金が滞りなく届いているのかいないのかも不明で、更にはこの内閣の基本政策は、増税はおろか全国の電気料金まで値上げする方向なのであるが、支持率は私の期待するほどは下がっていないのが現状である。
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福島第一原発1号機「メルトダウン」東電認める
読売新聞 5月12日(木)22時55分配信
東京電力は12日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉圧力容器で、冷却水の量が少ないため完全に水から露出した核燃料が過熱して容器底部に落下し、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が漏れていると見られると発表した。
東電は、この状態が「メルトダウン(炉心溶融)」であることを認めた。
東電は、圧力容器の温度は100~200度と安定しているため、今後大きな事故に至る可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、事故収束は難航が予想される。
東電によると、10日から原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果、圧力容器の冷却水位は燃料頂部から5メートル以上低いことが分かった。燃料棒は長さが約4メートルで、完全に露出している。これまでは、燃料頂部から1・65メートル低い位置まで水が満たされていると推定されていた。
東電は、燃料の大半はすでに溶けたり崩れたりして、底部に落下したとみている。経済産業省原子力安全・保安院は、圧力容器の温度が低いことから、「燃料は容器底部にたまった水で冷やされている」と指摘した。
損傷した可能性が高いのは、原子炉の核反応を停止させる制御棒の貫通部など。直径約4・8メートルの圧力容器底部には制御棒97本、中性子計装管34本が貫通している。貫通部周辺の溶接部位は、溶融した核燃料の3000度近い高温には耐えられないという。
最終更新:5月12日(木)22時55分
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