2012年04月21日(土) 15時00分
20日の参院本会議で前田武志国交相と田中直紀防衛相の問責が可決したが、2人はすぐに続投を宣言。野党の辞任要求を突っぱねた。しかし、訪米でオバマ大統領へのTPP参加表明の土産を断念してでも、消費税増税法案の成立に「命をかける」野田首相は、審議に野党を引っ張り出すため、早晩、前田と田中の交代を決断せざるを得なくなる。野田の後見役で“増税命”の藤井裕久税調会長は、さっそく20日のTBSの番組収録で、「トゲは抜くべきだ」と問責大臣の交代を促した。
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謀略判決 あるのかないのか 小沢弁護団のまとめ役 辻恵議員に緊急インタビュー
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年4月25日 掲載
小沢弁護団のまとめ役である民主党の辻恵衆院議員は、あすの判決を前に、「無罪を確信している。小沢さんとも話したが、同じだった」と断言した。
「もともとが小沢さんの抹殺を狙った謀略事件、政治的裁判だから、100%安心しているわけではありません。ただ、どう考えても、この裁判は、推認に推認を重ね、ネジ曲げても有罪にするのは不可能な裁判であり、続けている意味がないのです」
万々が一、無罪がネジ曲げられるとしたら、どんなケースが考えられるのか。弁護士でもある辻議員にぶつけてみた。
「ひとつは、例の“ヤクザの親分”理論でしょう。山口組組長が拳銃を持った子分の共謀共同正犯に問われ、高裁で逆転有罪判決を受けた。小沢さんの裁判で検事役の指定弁護士は、論告求刑でこの理論を最後のよりどころにしていた。具体的な共謀事実がなくても、小沢さんと秘書は親分子分の関係だからアウンの呼吸で分かっていた。共謀関係が成り立つんだと。しかし、これはムチャクチャ。山口組組長の有罪判決そのものに無理があるうえ、小沢さんのケースとは事実関係が全く異なるのです。もうひとつ、懸念材料があるとしたら、裁判長が苦し紛れに間を取って罰金刑の有罪判決を出す危険です。かつて人権派の安田好弘弁護士がRCC(整理回収機構)の謀略によって、強制執行妨害容疑で逮捕され、やはり高裁で罰金50万円の逆転有罪判決を受けた。これは検察のメンツを立てつつ、一方で罰金刑ゆえ弁護士資格を奪わないという政治的な判決でしたが、小沢さんの判決でも、監督責任という軽微な落ち度などを理由にして、灰色の判決を出す可能性がゼロとはいえないのです」
この監督責任は、小沢氏起訴の訴因にも入っていない。裁判長が拡大解釈して無理やりこじつけたとしたら、自殺行為。笑いものだという。
「まあ、大丈夫でしょう。検察が起訴した事件と違って、起訴できなかった事件の審理をやり直してみたが、結局、何も出てこなかった。その意味で無罪判決を出しやすいと思います。それよりも、ここで謀略裁判を終わらせることが大事。無罪判決後の控訴を、どう断念させるかが問題です」
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小沢無罪 この国は激変するか
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年5月2日 掲載
<小沢復権の後、民主党政権は一新されるのか、小沢は民主党を変えられるのか>
無罪判決後も小沢叩きに血道を上げる大マスコミの狂気の報道を見ていると、ホント、この国は絶望的だ。
つい先日も世論調査の数字を理由に「(小沢氏は)説明責任を果たしていない」「党員資格停止解除の必要はない」とあおっていたが、嫌になるのは、こうした報道を受けた民主党の幹部たちの反応だ。いまだに「小沢切りこそが正義」と勘違いしているのである。
無罪判決のときに野田首相は言葉がなかった。多くの閣僚もノーコメント。前原政調会長は「三審制」を理由に党員資格停止解除に「待った」をかけた。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は驚いていた。
「同じ政党の同志なのですよ。無罪判決なのに、歓迎の言葉もない。この反応に民主党の現状が象徴されています」
つまり、大マスコミも民主党の野田執行部も小沢を座敷牢に閉じ込めておきたいのだ。そのためにはあらゆる理屈を持ってくる。藤井税調会長は「証人喚問は当然だ」と言った。無罪判決で証人喚問って何だ? 野党の党利党略に“仲間”が同調だからどうにもならない。
「これは消費税をめぐる対立ではない。政策論争であれば、大いにやればいい。排除する必要はない。要するに、小沢氏が怖い執行部側は何が何でも小沢氏を追放したいのですよ。本来ならば、大メディアがそうした無意味な政争、対立をいさめるべきなのに、一緒になってあおっている。これはどうにもなりません」(政治評論家・野上忠興氏)
小沢は無罪を勝ち取ったが、それでもアホな民主党は変わらない。小沢の腕力をもってしてもバカに付けるクスリはない。そんな気分になってくる。
<小沢抹殺を狙う勢力はこれからどう動く>
小沢無罪が面白くない野田執行部は今後、どんな小沢潰しをやってくるのか。ささやかれているのが連休明けの内閣改造だ。
「小沢氏に近い輿石幹事長と問責が可決された前田・田中の2閣僚をまとめて代えるのです。消費増税の法案を成立させるには野党と組むしかない野田首相は、障害となる2大臣を早く交代させたい。しかし、輿石氏が猛反対している。それなら3人まとめてクビにしようというのです。後任はすべて自分たち主流派で占め、小沢グループには一切渡さない。『元代表を支持しても何も得しない』ことを見せつけ、ついていく議員をひとりでも減らすのが狙いです」(民主党関係者)
2大臣の更迭については、前原政調会長も先月30日、「ベストの判断をすると確信している」と後押しし始めた。輿石幹事長については、中間派の議員から「参院議員の幹事長はやはり無理がある」との不満が高まっている。
3人をクビにし、党員資格停止処分が解除される小沢元代表を徹底的に排除するプランは着々と進行している。
「3月上旬に鳩山元首相が仲介役となり、野田・小沢会談を実現させようとしたが、消費増税の考え方が根本的に違うので実現しなかった。野田首相には『小沢氏を要職に起用して取り込もう』なんて考えは毛頭ありません。排除のみです」(ジャーナリスト・小谷洋之氏)
やれるものならやってみろよ、だ。
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飛び交う小沢裁判「控訴」
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年4月28日 掲載
調子に乗るなよ、検察もどきの指定弁護士
「無罪判決」が出た小沢裁判だが、早くも「大型連休の谷間の初めに控訴がある」とのウワサが飛び交い始めた。往生際が悪いというのか、新聞テレビに尻を叩かれたのか分からないが、仮に検察官役の指定弁護士が本気で「控訴」を考えているとしたらお笑いだ。
<やっても結論は同じ。税金のムダ遣いだ>
「我々の主張は認められているが、結論は逆」――。26日の会見で、何度もクビをかしげていた指定弁護士。まるで自分たちの立証活動は完璧だったかのようなセリフだが、勘違いも甚だしい。
「指定弁護士は、東京地裁が『報告・了承』を認めながらなぜ判決は無罪なのか、と思っているようだが、小沢氏は別に違法行為を了解したわけではない。それに政治資金規正法で罪を問われるのは、会計責任者です。小沢氏は虚偽記入を強く主導したり、命令したりした事実もありません。つまり、最初からムリ筋だったのに、ヤクザの親分と小沢氏を同列扱いして共謀共同正犯が成り立つ――と考えたところが間違いなのです」(元検事)
要するに、よほど新しい証拠が出てこない限り、「控訴」しても結論は変わらないし、そんな有力証拠があれば地検特捜部が最初から不起訴にしない。それに検察審査会法では、指定弁護士の職務は判決確定まで続くと解されているから、仮に「控訴審」になれば、指定弁護士は今と同じ顔ぶれだ。1審の立証活動と大きく異なるなんて考えられない。
「裁判官や検事はともかく、弁護士はメディアに大きく取り上げられる機会がめったにありません。それで舞い上がっている部分もあるのだろうが、『惜しかったから上級審の判断も仰ごうかな』なんて軽いノリで控訴されたら、小沢氏にとっても、国民にとっても不幸です。再び不毛な時間を過ごすことになり、また政治が停滞するだけです」(司法ジャーナリスト)
だから「莫大な税金のムダ遣いになる」という声が上がり始めている。
強制起訴の1審は「職務」という言い訳が通用したが、控訴審は指定弁護士の「意思」だ。仮に高裁でも無罪なら、小沢氏だって黙っていないだろう。国賠訴訟はできないから、指定弁護士に損害賠償を求めるかもしれないし、勢いづく小沢グループの怒りが大爆発するのは確実だ。大マスコミにそそのかされている指定弁護士はアタマを冷やしてよく考えた方がいい。
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税金ムダ遣いはもうウンザリ 小沢裁判指定弁護士は控訴断念すべきだ
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年5月7日 掲載
証拠もない、カネもない、正義もない
控訴するか、否か――。小沢裁判は、検察官役の指定弁護士が10日の控訴期限までにどう“判断”するかが焦点になっているが、「控訴断念」は確実な情勢だ。
9日の最終協議が迫ってもなお、指定弁護士3人の意見は三者三様で割れているが、2人は「ひっくり返す自信もないまま控訴して無罪になったら、被告の立場を長引かせることになる」「弁護士として、有罪を求めて控訴することにためらいがある」と「控訴断念」に傾いているという。
そりゃそうだ。万に一つでも勝ち目があるならともかく、控訴したって結果は見えている。
「無罪判決に納得のいかない大マスコミは、コメンテーターの検察OBに『有罪同然の判決だ』『限りなく黒に近いグレーだ』と言わせて、小沢叩きをしていたが、カン違いもいいところです。判決文をじっくり読むと、無罪に向けて論理的に結論が導かれている。重要なのは、小沢氏が政治資金収支報告書について『報告・了承した』といっても、不記載の認識はなく、違法行為を了解したわけでもないこと。指定弁護士にとって、争点以前の大前提が成り立たなくなったわけで、最初から、無罪ありきの判決とみていい。判決文が小沢氏に対して厳しい口調に感じるのは、東京地裁が検察審査会制度や指定弁護士に精いっぱい配慮して、花を持たせた結果です」(法曹関係者)
だいたい、指定弁護士には新たな証拠もなければ、限られた“持ち札”は暴走検察が捏造したデタラメ調書ばかり。控訴なんて、やるだけ時間のムダというものだ。
元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏(関西大特任教授)も、メルマガでこう切り捨てている。
〈判決内容からすると、無罪の結論は裁判所にとって当然の判断であり、有罪とは相当な距離があると見るべきであろう〉〈控訴審で、その判断が覆る可能性はほとんどないのであり、今回の事件による政治の混乱をさらに長引かせることになる控訴をすべきではないことは明らかである〉
指定弁護士も分かっているはずだ。最終判断を控訴期限ギリギリの9日まで先送りしたのも、小沢の党員資格停止処分がどうなるかや、世論の動向を見定めたいという意図があったからではないか。
「しかし、小沢氏の処分は解除されるし、世論も極めて冷静です。『控訴すべき』という声は思ったほど多くない。もはやリスクを冒してまで控訴するメリットはない。メリットどころか、マイナスが大きい。指定弁護士の報酬の上限は120万円です。強制起訴から判決までに要した830時間を時給換算すると、1400円程度にしかならない。指定弁護士は準公務員扱いなので、カンパを受け取ることもできない。彼らにとっては商売あがったりです。当然、裁判が長引けば税金のムダ遣いにもなる。控訴しても、誰ひとり得をしないのです」(司法ジャーナリスト)
指定弁護士の“最後の仕事”は、控訴をあきらめ、この不毛な裁判にピリオドを打つことだ。
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1.サンケイや読売は元々右寄りだというイメージがあるから、そこいらが何を言おうと私は何とも思わない。むしろ、たまに彼らが過激なことを言うと私などは驚いて笑ってしまう。
問題は自称「マスコミ左派」の朝日とTBSの迷走ぶりである。TBSの岩見やチョビ髭などははっきり小泉ポチを崇拝する者たちであるから、奴らには本来報道に携わる資格などないのである。朝日などはいろいろ御託を並べながら、結局は増税支持・原発推進に邁進して行くのではないかと、私は疑っている。最近は「報道ステーション」も事なかれ的でつまらない。
報道は「大政翼賛化」しつつあり、これを何も疑わず受け入れている視聴者たちは「長いものには巻かれっぱなし」の盲従集団になりつつある。
2.勝谷誠が以前「なんたら委員会」で「どうしてみんな小沢さんが嫌いなんでしょうかね?」と呟いていたが、まず、検察を使って今回の事件をでっち上げた自民党・守旧派の各勢力が小沢を邪魔だと感じていることは間違いない。
2大政党制を目指して最初に自民党を割ったのは小沢であるし、自・自・公の連立を壊したのも小沢である。(当時、連立から去るのは嫌だとごねた連中は「保守党」を名乗って閣内に留まったが、やがては解党して自民党に吸収合併された。最近では亀井代表を追い出して民主政権の閣内に留まった連中もいる。)
3.自民党は結局民主党との大連立政権樹立が望みなのではないか。今は自公だけで過半数が獲得出来る時代ではないからである。そうなると邪魔になるのは「壊し屋=小沢」である。だからいつまでも「小沢を切って早期解散を確約するならば増税法案を通す」としつこいのである。
4.対する泥鰌内閣はどうか。野田政権は野田が自分で打ち立てた政権ではない。言うまでもなく、先の代表選での「2位3位連合」の結果誕生した政権であるが、そのとき3位だった野田を指名したのは仙谷一派である。
今や霞ヶ関官僚べったりの元全共闘・仙谷も、小沢は邪魔なのである。奴らも官僚も「どうせ組むのなら小沢より自公の方がいい」というのが本音である。ただ「解散」となると現在の数的優位は保障の限りではない。
仙谷は東電の新会長探しに財界人を訪ね回って全部断られ(←当たり前だ!)、仕方なしにお友達の弁護士を抜擢した。原発を止めるのは「集団自殺」だと言ってみたりで、子分の枝野といい、ろくな人間ではない。
5.輿石幹事長 「ダブル選挙」発言のセコイ裏側
【政治・経済】
2012年5月19日 掲載
惨敗確実の選挙を仕切るのはまっぴら
解散・総選挙について「来年夏の衆参ダブルが望ましい」と勝手に発言し、野田との仲をいぶかしがられた輿石東幹事長(76)。党内からは「増税法案成立を条件に野党との話し合い解散を進める野田首相への絶妙な牽制」と評価する声も多いが、発言の狙いはどうやら別で、身勝手な理由のようだ。
「今、解散したら輿石さんが選挙を仕切らないといけない。とにかくそれがイヤで『選挙は来夏』という発言になった。次の衆院選で民主党は100議席ほどしか取れないといわれている。なぜ、惨敗確実の選挙を高齢のオレに仕切らせるのか、他の議員に押し付けよう、輿石さんはそう思っているはず。解散を阻止し、9月の代表選で野田首相が勝っても負けても幹事長を辞任して逃げる。それが輿石さんのシナリオです」(民主党関係者)
昨年8月、野田から三顧の礼で幹事長に迎えられた輿石だが、これまで参院議員であることを理由に、総選挙についての戦略を発表したことはない。樽床伸二代行に対応は丸投げで、周辺に「幹事長はシンドイ」と話すなど“逃げる気”はマンマンなのだ。
「社会党出身で権威主義者の輿石さんの最終目標は参院議長です。今は子分の平田健二が務めていますが、来年7月の任期切れを待って代わってもらうつもりでしょう。そのためには民主党が参院の第1党でなければいけない。現在、第2党の自民との議席差は22人。次の参院選で死守できるかは微妙な情勢です」(与党担当記者)
自分勝手な野望は果たして実現するのか。
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20日の参院本会議で前田武志国交相と田中直紀防衛相の問責が可決したが、2人はすぐに続投を宣言。野党の辞任要求を突っぱねた。しかし、訪米でオバマ大統領へのTPP参加表明の土産を断念してでも、消費税増税法案の成立に「命をかける」野田首相は、審議に野党を引っ張り出すため、早晩、前田と田中の交代を決断せざるを得なくなる。野田の後見役で“増税命”の藤井裕久税調会長は、さっそく20日のTBSの番組収録で、「トゲは抜くべきだ」と問責大臣の交代を促した。
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謀略判決 あるのかないのか 小沢弁護団のまとめ役 辻恵議員に緊急インタビュー
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年4月25日 掲載
小沢弁護団のまとめ役である民主党の辻恵衆院議員は、あすの判決を前に、「無罪を確信している。小沢さんとも話したが、同じだった」と断言した。
「もともとが小沢さんの抹殺を狙った謀略事件、政治的裁判だから、100%安心しているわけではありません。ただ、どう考えても、この裁判は、推認に推認を重ね、ネジ曲げても有罪にするのは不可能な裁判であり、続けている意味がないのです」
万々が一、無罪がネジ曲げられるとしたら、どんなケースが考えられるのか。弁護士でもある辻議員にぶつけてみた。
「ひとつは、例の“ヤクザの親分”理論でしょう。山口組組長が拳銃を持った子分の共謀共同正犯に問われ、高裁で逆転有罪判決を受けた。小沢さんの裁判で検事役の指定弁護士は、論告求刑でこの理論を最後のよりどころにしていた。具体的な共謀事実がなくても、小沢さんと秘書は親分子分の関係だからアウンの呼吸で分かっていた。共謀関係が成り立つんだと。しかし、これはムチャクチャ。山口組組長の有罪判決そのものに無理があるうえ、小沢さんのケースとは事実関係が全く異なるのです。もうひとつ、懸念材料があるとしたら、裁判長が苦し紛れに間を取って罰金刑の有罪判決を出す危険です。かつて人権派の安田好弘弁護士がRCC(整理回収機構)の謀略によって、強制執行妨害容疑で逮捕され、やはり高裁で罰金50万円の逆転有罪判決を受けた。これは検察のメンツを立てつつ、一方で罰金刑ゆえ弁護士資格を奪わないという政治的な判決でしたが、小沢さんの判決でも、監督責任という軽微な落ち度などを理由にして、灰色の判決を出す可能性がゼロとはいえないのです」
この監督責任は、小沢氏起訴の訴因にも入っていない。裁判長が拡大解釈して無理やりこじつけたとしたら、自殺行為。笑いものだという。
「まあ、大丈夫でしょう。検察が起訴した事件と違って、起訴できなかった事件の審理をやり直してみたが、結局、何も出てこなかった。その意味で無罪判決を出しやすいと思います。それよりも、ここで謀略裁判を終わらせることが大事。無罪判決後の控訴を、どう断念させるかが問題です」
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小沢無罪 この国は激変するか
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年5月2日 掲載
<小沢復権の後、民主党政権は一新されるのか、小沢は民主党を変えられるのか>
無罪判決後も小沢叩きに血道を上げる大マスコミの狂気の報道を見ていると、ホント、この国は絶望的だ。
つい先日も世論調査の数字を理由に「(小沢氏は)説明責任を果たしていない」「党員資格停止解除の必要はない」とあおっていたが、嫌になるのは、こうした報道を受けた民主党の幹部たちの反応だ。いまだに「小沢切りこそが正義」と勘違いしているのである。
無罪判決のときに野田首相は言葉がなかった。多くの閣僚もノーコメント。前原政調会長は「三審制」を理由に党員資格停止解除に「待った」をかけた。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は驚いていた。
「同じ政党の同志なのですよ。無罪判決なのに、歓迎の言葉もない。この反応に民主党の現状が象徴されています」
つまり、大マスコミも民主党の野田執行部も小沢を座敷牢に閉じ込めておきたいのだ。そのためにはあらゆる理屈を持ってくる。藤井税調会長は「証人喚問は当然だ」と言った。無罪判決で証人喚問って何だ? 野党の党利党略に“仲間”が同調だからどうにもならない。
「これは消費税をめぐる対立ではない。政策論争であれば、大いにやればいい。排除する必要はない。要するに、小沢氏が怖い執行部側は何が何でも小沢氏を追放したいのですよ。本来ならば、大メディアがそうした無意味な政争、対立をいさめるべきなのに、一緒になってあおっている。これはどうにもなりません」(政治評論家・野上忠興氏)
小沢は無罪を勝ち取ったが、それでもアホな民主党は変わらない。小沢の腕力をもってしてもバカに付けるクスリはない。そんな気分になってくる。
<小沢抹殺を狙う勢力はこれからどう動く>
小沢無罪が面白くない野田執行部は今後、どんな小沢潰しをやってくるのか。ささやかれているのが連休明けの内閣改造だ。
「小沢氏に近い輿石幹事長と問責が可決された前田・田中の2閣僚をまとめて代えるのです。消費増税の法案を成立させるには野党と組むしかない野田首相は、障害となる2大臣を早く交代させたい。しかし、輿石氏が猛反対している。それなら3人まとめてクビにしようというのです。後任はすべて自分たち主流派で占め、小沢グループには一切渡さない。『元代表を支持しても何も得しない』ことを見せつけ、ついていく議員をひとりでも減らすのが狙いです」(民主党関係者)
2大臣の更迭については、前原政調会長も先月30日、「ベストの判断をすると確信している」と後押しし始めた。輿石幹事長については、中間派の議員から「参院議員の幹事長はやはり無理がある」との不満が高まっている。
3人をクビにし、党員資格停止処分が解除される小沢元代表を徹底的に排除するプランは着々と進行している。
「3月上旬に鳩山元首相が仲介役となり、野田・小沢会談を実現させようとしたが、消費増税の考え方が根本的に違うので実現しなかった。野田首相には『小沢氏を要職に起用して取り込もう』なんて考えは毛頭ありません。排除のみです」(ジャーナリスト・小谷洋之氏)
やれるものならやってみろよ、だ。
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飛び交う小沢裁判「控訴」
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年4月28日 掲載
調子に乗るなよ、検察もどきの指定弁護士
「無罪判決」が出た小沢裁判だが、早くも「大型連休の谷間の初めに控訴がある」とのウワサが飛び交い始めた。往生際が悪いというのか、新聞テレビに尻を叩かれたのか分からないが、仮に検察官役の指定弁護士が本気で「控訴」を考えているとしたらお笑いだ。
<やっても結論は同じ。税金のムダ遣いだ>
「我々の主張は認められているが、結論は逆」――。26日の会見で、何度もクビをかしげていた指定弁護士。まるで自分たちの立証活動は完璧だったかのようなセリフだが、勘違いも甚だしい。
「指定弁護士は、東京地裁が『報告・了承』を認めながらなぜ判決は無罪なのか、と思っているようだが、小沢氏は別に違法行為を了解したわけではない。それに政治資金規正法で罪を問われるのは、会計責任者です。小沢氏は虚偽記入を強く主導したり、命令したりした事実もありません。つまり、最初からムリ筋だったのに、ヤクザの親分と小沢氏を同列扱いして共謀共同正犯が成り立つ――と考えたところが間違いなのです」(元検事)
要するに、よほど新しい証拠が出てこない限り、「控訴」しても結論は変わらないし、そんな有力証拠があれば地検特捜部が最初から不起訴にしない。それに検察審査会法では、指定弁護士の職務は判決確定まで続くと解されているから、仮に「控訴審」になれば、指定弁護士は今と同じ顔ぶれだ。1審の立証活動と大きく異なるなんて考えられない。
「裁判官や検事はともかく、弁護士はメディアに大きく取り上げられる機会がめったにありません。それで舞い上がっている部分もあるのだろうが、『惜しかったから上級審の判断も仰ごうかな』なんて軽いノリで控訴されたら、小沢氏にとっても、国民にとっても不幸です。再び不毛な時間を過ごすことになり、また政治が停滞するだけです」(司法ジャーナリスト)
だから「莫大な税金のムダ遣いになる」という声が上がり始めている。
強制起訴の1審は「職務」という言い訳が通用したが、控訴審は指定弁護士の「意思」だ。仮に高裁でも無罪なら、小沢氏だって黙っていないだろう。国賠訴訟はできないから、指定弁護士に損害賠償を求めるかもしれないし、勢いづく小沢グループの怒りが大爆発するのは確実だ。大マスコミにそそのかされている指定弁護士はアタマを冷やしてよく考えた方がいい。
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税金ムダ遣いはもうウンザリ 小沢裁判指定弁護士は控訴断念すべきだ
【政治・経済】
『日刊ゲンダイ』2012年5月7日 掲載
証拠もない、カネもない、正義もない
控訴するか、否か――。小沢裁判は、検察官役の指定弁護士が10日の控訴期限までにどう“判断”するかが焦点になっているが、「控訴断念」は確実な情勢だ。
9日の最終協議が迫ってもなお、指定弁護士3人の意見は三者三様で割れているが、2人は「ひっくり返す自信もないまま控訴して無罪になったら、被告の立場を長引かせることになる」「弁護士として、有罪を求めて控訴することにためらいがある」と「控訴断念」に傾いているという。
そりゃそうだ。万に一つでも勝ち目があるならともかく、控訴したって結果は見えている。
「無罪判決に納得のいかない大マスコミは、コメンテーターの検察OBに『有罪同然の判決だ』『限りなく黒に近いグレーだ』と言わせて、小沢叩きをしていたが、カン違いもいいところです。判決文をじっくり読むと、無罪に向けて論理的に結論が導かれている。重要なのは、小沢氏が政治資金収支報告書について『報告・了承した』といっても、不記載の認識はなく、違法行為を了解したわけでもないこと。指定弁護士にとって、争点以前の大前提が成り立たなくなったわけで、最初から、無罪ありきの判決とみていい。判決文が小沢氏に対して厳しい口調に感じるのは、東京地裁が検察審査会制度や指定弁護士に精いっぱい配慮して、花を持たせた結果です」(法曹関係者)
だいたい、指定弁護士には新たな証拠もなければ、限られた“持ち札”は暴走検察が捏造したデタラメ調書ばかり。控訴なんて、やるだけ時間のムダというものだ。
元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏(関西大特任教授)も、メルマガでこう切り捨てている。
〈判決内容からすると、無罪の結論は裁判所にとって当然の判断であり、有罪とは相当な距離があると見るべきであろう〉〈控訴審で、その判断が覆る可能性はほとんどないのであり、今回の事件による政治の混乱をさらに長引かせることになる控訴をすべきではないことは明らかである〉
指定弁護士も分かっているはずだ。最終判断を控訴期限ギリギリの9日まで先送りしたのも、小沢の党員資格停止処分がどうなるかや、世論の動向を見定めたいという意図があったからではないか。
「しかし、小沢氏の処分は解除されるし、世論も極めて冷静です。『控訴すべき』という声は思ったほど多くない。もはやリスクを冒してまで控訴するメリットはない。メリットどころか、マイナスが大きい。指定弁護士の報酬の上限は120万円です。強制起訴から判決までに要した830時間を時給換算すると、1400円程度にしかならない。指定弁護士は準公務員扱いなので、カンパを受け取ることもできない。彼らにとっては商売あがったりです。当然、裁判が長引けば税金のムダ遣いにもなる。控訴しても、誰ひとり得をしないのです」(司法ジャーナリスト)
指定弁護士の“最後の仕事”は、控訴をあきらめ、この不毛な裁判にピリオドを打つことだ。
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1.サンケイや読売は元々右寄りだというイメージがあるから、そこいらが何を言おうと私は何とも思わない。むしろ、たまに彼らが過激なことを言うと私などは驚いて笑ってしまう。
問題は自称「マスコミ左派」の朝日とTBSの迷走ぶりである。TBSの岩見やチョビ髭などははっきり小泉ポチを崇拝する者たちであるから、奴らには本来報道に携わる資格などないのである。朝日などはいろいろ御託を並べながら、結局は増税支持・原発推進に邁進して行くのではないかと、私は疑っている。最近は「報道ステーション」も事なかれ的でつまらない。
報道は「大政翼賛化」しつつあり、これを何も疑わず受け入れている視聴者たちは「長いものには巻かれっぱなし」の盲従集団になりつつある。
2.勝谷誠が以前「なんたら委員会」で「どうしてみんな小沢さんが嫌いなんでしょうかね?」と呟いていたが、まず、検察を使って今回の事件をでっち上げた自民党・守旧派の各勢力が小沢を邪魔だと感じていることは間違いない。
2大政党制を目指して最初に自民党を割ったのは小沢であるし、自・自・公の連立を壊したのも小沢である。(当時、連立から去るのは嫌だとごねた連中は「保守党」を名乗って閣内に留まったが、やがては解党して自民党に吸収合併された。最近では亀井代表を追い出して民主政権の閣内に留まった連中もいる。)
3.自民党は結局民主党との大連立政権樹立が望みなのではないか。今は自公だけで過半数が獲得出来る時代ではないからである。そうなると邪魔になるのは「壊し屋=小沢」である。だからいつまでも「小沢を切って早期解散を確約するならば増税法案を通す」としつこいのである。
4.対する泥鰌内閣はどうか。野田政権は野田が自分で打ち立てた政権ではない。言うまでもなく、先の代表選での「2位3位連合」の結果誕生した政権であるが、そのとき3位だった野田を指名したのは仙谷一派である。
今や霞ヶ関官僚べったりの元全共闘・仙谷も、小沢は邪魔なのである。奴らも官僚も「どうせ組むのなら小沢より自公の方がいい」というのが本音である。ただ「解散」となると現在の数的優位は保障の限りではない。
仙谷は東電の新会長探しに財界人を訪ね回って全部断られ(←当たり前だ!)、仕方なしにお友達の弁護士を抜擢した。原発を止めるのは「集団自殺」だと言ってみたりで、子分の枝野といい、ろくな人間ではない。
5.輿石幹事長 「ダブル選挙」発言のセコイ裏側
【政治・経済】
2012年5月19日 掲載
惨敗確実の選挙を仕切るのはまっぴら
解散・総選挙について「来年夏の衆参ダブルが望ましい」と勝手に発言し、野田との仲をいぶかしがられた輿石東幹事長(76)。党内からは「増税法案成立を条件に野党との話し合い解散を進める野田首相への絶妙な牽制」と評価する声も多いが、発言の狙いはどうやら別で、身勝手な理由のようだ。
「今、解散したら輿石さんが選挙を仕切らないといけない。とにかくそれがイヤで『選挙は来夏』という発言になった。次の衆院選で民主党は100議席ほどしか取れないといわれている。なぜ、惨敗確実の選挙を高齢のオレに仕切らせるのか、他の議員に押し付けよう、輿石さんはそう思っているはず。解散を阻止し、9月の代表選で野田首相が勝っても負けても幹事長を辞任して逃げる。それが輿石さんのシナリオです」(民主党関係者)
昨年8月、野田から三顧の礼で幹事長に迎えられた輿石だが、これまで参院議員であることを理由に、総選挙についての戦略を発表したことはない。樽床伸二代行に対応は丸投げで、周辺に「幹事長はシンドイ」と話すなど“逃げる気”はマンマンなのだ。
「社会党出身で権威主義者の輿石さんの最終目標は参院議長です。今は子分の平田健二が務めていますが、来年7月の任期切れを待って代わってもらうつもりでしょう。そのためには民主党が参院の第1党でなければいけない。現在、第2党の自民との議席差は22人。次の参院選で死守できるかは微妙な情勢です」(与党担当記者)
自分勝手な野望は果たして実現するのか。
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