本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

信用する? 信用しない?

2005-07-10 19:19:29 | 
*昔佐世保と長野から出て来た夫婦の知り合いがいて、彼らがあるとき光学系の一眼レフを買うことになった。ヨドバシカメラ等量販店へ行けば良さそうなものだったが、彼らは街中の普通のカメラ店へ行った。
 いや、当時彼らは既に東京を出て千葉の田園地帯へ引っ越していたから、街中というよりは田舎の、近所には一軒しかないカメラ店へ行ったのである。

*彼らはキャノンの『AE-1プログラム』という当時の新鋭機を選んで、それに35~70mmという標準ズームを付けて購入したわけだが、ここで木曾地方出身の奥さんの方がカメラ店に奇妙な注文をつけた。それは・・・

 値引きしないでくれ!

という注文だった。『一割引』を申し出た店主に対し「定価で買いたい」と言ったものだから相手は驚いたが、理由を聞いて多少は納得し、値引きに替えてフィルム等のおまけをしてくれたらしい。

*彼女に言わせると彼女の田舎では(高級消費財を買うときは)例外なく「どの家でもみんなそうする(←即ち値引きを断る)」と言うのである。
「1割も2割(←量販店の場合)も値引きするような商品は不良品・不具合品・B級品に違いないから(!)、定価で純正新品を買う方が後々結局は得になり、安心も買える」というのが彼女の主張だった。

*「これでは量販店などはみんなバッタ屋になってしまうではないか! 時代錯誤も甚だしい」と、夫は私にその《事件》を面白おかしく伝え、結果私たち二人はその後暫くこの件を肴にして大笑いを繰り返していた。

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*一般に人里離れた田舎の人々は全員が顔見知りで、言ってみれば全体で一つの大家族のようなものである。互いに気心は知れているし互いを信用しているから、ある家の人が農作業等で全員出払ってしまうことがあっても、《鍵》は無論のこと《戸締り》など決してしない。

 20年前の夏、私は長野県K村へ高原野菜の出荷作業の手伝いに行き、最後まで残った私がいよいよ東京へ帰ることになった日の朝にも、一家の人は私一人残してさっさと農作業に出向いてしまい、成り行きでガランと開け放たれた屋敷に私一人が暫く佇む仕儀となった。
 私が出来心で何かを持ち去ってしまうなどという疑いは、あの家の人たちは露ほども感じていなかったわけである。仮にそのときの私に盗心があったとしても(!)この信頼に応えないで何とするか、と今に至っても思う。人は信頼されればその信頼に応えるものだと思う。

*その代わりこういう都会から隔たった地区に住まう人たちは《余所者》を決して信用しない。《見慣れない顔》を見掛けると、その噂は瞬く間に村中に広まる。滋賀県の山中にある大阪市の保養施設で暮らす人たちの間には《これより先、立ち入り禁止》という一角があるそうである。
 そこから先には鍵をかけない民家が点在するから《余所者》が行けば何かあった場合不利になるから、という理由からである。

*《遠くの親類より近くの他人》という言葉がある。子供たちと別れて寂しい老後を送っている老人がしばしば騙されるご時世である。「言葉巧みに言い寄って」などと言うが、詐欺師たちは本当にお年寄りを取り巻く術に長けているらしい。お金だけが頼りの孤独な老人から、お金だけでなく命までも奪ってしまった民生委員は、サラ金地獄に嵌っていたらしい。

*信じるか信じないか、信じたいか信じたくないか、それが問題だと思う。

*恒例《先週の結果》です。↓

 週: 07/03~07/09// 閲覧数:1285 pv// アクセスIP数: 451 ip

*また増えました。減るかと思っていましたが、週末の金・土で挽回しました。感謝します。


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