トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

親学

2009-02-08 | Weblog
T君という生徒が私の学校を去りました。
彼は20人クラスの中でみんなと同じように学ぶことができなかったのです。

T君がいなくなってから、正直言って私は楽になりました。
授業の流れがスムーズだし、子供達の授業態度も全然違います。
何より私自身が彼が気になって気になって、、、教えることに集中できなかったのでその心配から開放されたのです。 

初めてT君に会った日からずっとこの子は少ない人数のクラスで勉強する環境が必要だと思っていました。

退学に至るまで学校はT君の両親と何回もミーティングをしました。

自閉症と15年暮らしている私も専門家でないので、立場上“自閉傾向があると思う”と言うのが精一杯で、あとは親として自分の体験をお話することしかできませんでした。

私はアカデミックな私立校で教えている職業柄今までも同じような理由で生徒を見送ることが何回もありました。

そしてほとんどの親御さんは自分の子供がなぜ学校を変わらなければいけないのか受け止められないまま学校に見捨てられたかのように辞めていきました。

ところがT君のお父さんは「先生はさぞ大変だったと思います。今までありがとうございました。この子にあった学校へ行けるよう専門家と相談して前向きにがんばります」と丁寧に言いました。

このお父さんのカッコイイ言葉に涙が出ました。

自分の子の行く先を失って不安であったに違いないのに、学校にお礼を言うなんてなかなかできるもんじゃない。

この親御さんがついていればT君はきっと大丈夫。
まるで侍のように凛々しい親御さんの姿がいつまでも焼きついて、何もしてあげられなかった自分を反省したのでした。