ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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金子勝講演会

2006年01月20日 | カ行
 01、金子勝講演会に行ってきました(U・T)

1月23横浜のランドマークで「金子勝と考える、どうなる?2002年の日本経済」という講演会が開催され、参加する機会を得ました。

 金子氏は、今、テレビや雑誌などで大活躍中の財政学者、(反主流)経済学者です。

 経済にきわめて疎い私は、内容は十分理解できなかったものの、予定時間を大幅に越えて熱弁を振るい、金子氏の危機感だけは伝わってきました。

 当日配布されたレジュメは、「2~3月危機とは何か―底割れを防ぐ政策への転換を」と題されていました。

 レジュメの大見出しは下記の4つでした。

 ① 3つのシナリオ
 ② アメリカのV字型景気回復はあるか
 ③ 15兆円の危機対応勘定(公的資金投入)は不良債権問題をひどくする
 ④ 底割れを防ぐ政策

 金子氏の話は次のようなものでした。

 現状を冷徹に見れば、ベストの選択をしてもこれから何年も景気の回復はありえない。まして、これまで繰り返してきた一発逆転を夢見る政策(今はアメリカのV字型景気回復に期待し、円安誘導しているそうです)は、日本経済にクラッシュをもたらしかねない。

 今大事なのは、一発逆転主義と決別し、長い目で落下点を見定め、そこに軟着陸するためのセーフティネットを整え、国際関係、特にアジアとの関係から地域経済までを含めた体系的な「底割れを防ぐ政策」を進めることだ。

 金子氏は経済分析に基づき、経済破綻の3つのシナリオをあげられました。しかし、世の中は経済だけではありません。経済分析が前提としないような意外な社会的事件(自然災害、事故、テロなど)によって思いもよらないところからシナリオが急転する可能性も経済が袋小路に入れば入るほど増大しているのではないかと思いました。

 また、底割れが目前に迫っているという金子氏の説が正しいとするなら、それが多くの人の目に明らかになって来るにつれて、陰に陽にクラッシュを期待して、今の世の中をご破算にして全体主義的に社会を作り直そうという考え方が勢力を伸ばしてくるのではないかと思いました。

 小泉首相は国民参加で「小泉ビジョン」という国家論を構築するとのことです。経済の底割れの危機と交錯しながらも、小泉氏が政権継続に成功し、「小泉ビジョン」を完成させるようなことがあったら、国家主義的なものができあがるのでは、と心配です。

 金子氏はビジネスと割り切ってでもいいから、保守派も企業も戦争責任を取って、大東亜共栄圏を反省し、アジアの諸国との新たな経済圏をつくれと言っていました。

 似た発想で、見てくれのいい国家論の論議はお休みにして、経済を安定軌道に乗せるにはどうすればいいか、国家のあり方もその視点からのみ議論した方がよいと思いました。

 ビジネスライクに国家を分析したとき、無制限な民営化論ではなく、国家の役割の少なくとも一面は具体的になるのではないでしょうか。

 国家論など、落ち着いて議論しないと無理です。安定した経済がないと、落ち着いた国民的議論は難しいと思います。まして、騒然とした雰囲気の中ではやめた方がよいと思います。

 02、牧野からのお返事

 日本経済はどうなるのか、本当に心配です。私には詳しい事は分かりませんが、方向としては、安全網を張った上で自由な競争の出来る社会を目指すべきだと思います。

 U・Tさんの今回の投書は、最初は私信か投書かはっきりしないままに書いたようで、金子氏の講演内容の紹介と自分の考えの記述との区別が不十分だったと思います。

 了解を得て発表しているのですが、今後は投書の前に少しだけでもメモをとって整理してから書くようにすると、自分にとっても役立つと思います。

(メルマガ「教育の広場」、2002年01月29日発行)