松の木、第11号 2003年11月12日発行
浜松市積志公民館 哲学講習会の教科通信
落ちついた意見交換を
──今日も、私の主人は野菜嫌いで、ミカンの白いすじは植物繊維
なんだから、その位は食べなさいと言っても、聞き入れないの、と
或る人に言ったら、「貴女のご主人の悪い所ばかりを言って、好い
所はどこなの」と聞き返されました。自分は正しくて主人はこんな
にも悪い、と私は言っていたのです。
好く、悪気はないけどと言いますが、悪気があるから聞き手はそ
れを分かるのですね。相手の立場に立って物を言うと言いますが、
相手の立場になんかなれませんよね。それより相手を想う心を持っ
て人と接する事だと思いました。
★ 夫婦の問題は取り上げたかったけれど取り上げなかった問題
の1つです。私の考えは、「夫婦は互いに相手を丸ごと受け入れる
か別れるか二者択一で、中間はない」というものです。
ヤマギシでは、「共同生活の秘訣は『人を責めない』ということ
だ」としています(ヤマギシ自身は実行していませんが)。これに
学びました。
──毎日の情報が私共を現代に導いていくと考えていましたが、そ
れを意見の交換まで発展させていく事が重要であると改めて考えさ
せられました。(略)上の学校に進むほど、意見交換、教科通信が
少ないとの事。孫たちも心して勉学に励んでいかなくては、と考え
ます。
──意見交換ということは、話し合う場合、大変むつかしい。黒か
白かの討議ならはっきりしている。とかくこのようになり易い。や
はり押し進めるための技術に挙げられている(1) (目的をはっきり
させる)が、一番のものではないだろうか。
この講座も最初はっきりと分からず、1、2回は何を話し合えば
よいのか、どのように話し合えばよいのか、はっきりと分からず過
ぎてしまった感がある。それが分かってきた頃からはすっきりとし
た話し合いができた。
技術の中で次に心すべきことは(5) (トップの役割の確認)であ
る。日本では司会者は発言者を指名するロボットに成り下がってい
る、ということ。これは前々から考えていたことで、これなら司会
者は誰でもできる。
本来は人の発言をどうとらえ、他の発言者の発言とどうつなげて
いき、どのような方向に持っていくのかが大切な技術だと思う。以
上の2つは技術として最も大切なものだと思う。
──人と人の交流は話し合いから発展する。生活の会話から、生き
方や文化、芸術への発展、交流は本音で語り合うことは少ない。な
あなあ主義が全体的社会の語り方。(1) の「目的をはっきりと~」
から(3) までは分かるが、(4) ~(6) は未知のままにあると思う。
雑談の中からの哲学は学ぶことは少ない。
VTRを見て
──シュタイナーが、若いとき出会った障害児の傷つけられた肉体
を持っているがゆえに美しい魂を持っている子にひかれた、という
話は自分も実感として体験している。
若い時イスラエルのキブツという共同農場にいた時、英語がしゃ
べれないで一人浮いてしまって寂しい日々を過ごしていた時、ろう
あの3歳くらいの男の子と5歳くらいの女の子と出会って、とても
嬉しい思いをして、友達になって、心温められたことがある。
キブツという小さなコミューン、お金のない(資本主義経済でな
い)グループの中にあってさえも、その子たちは寂しい思いをして
いた。傷ついた人達と出会うとどうしてこんなに自分が癒されるの
だろう。
精神障害を持っている人達5人ほどと2時間くらい一緒にさつま
芋掘りをしましたが、人の温かさに、自分の居場所を見つけた。こ
の人達と関わって農業をしていきたいと思っています。
──依然として高い銀行に対する不信感がある中で、VTRで紹介
された〔シュタイナー派の〕GSL銀行の運営理念に興味を持った
。銀行が土地・物件を担保に企業・一般に金を貸しだしているのは
以前ほどではないにしても現状だろう。しかし一部で起業マインド
に対して融資するようになっているのも事実だ。
GSL銀行がそれを実施し続けているのもすごいが、実はそれを
支えているのが一般預金者の投資に対する考え方であると知って驚
いた。日本では見られないことだ。自分の預金がどのように使われ
るかという経済感覚が有効利用を促進するわけだから、言ってみれ
ば生半可な利息を得るより満足できるかもしれない。
──牧野さんがルドルフ・シュタイナーに関心を持っていることは
大変興味深いことであります。精神に重きを置く極めて脱近代的な
脱20世紀的なシュタイナーの思想による社会運動は、私も関心を持
っています。人類が進化の過程で大きな物質文明を創り、そのマイ
ナス面が大問題となっている今日において、シュタイナーの思想と
運動はマイナス面を克服し、人類を大きく進化させるかのように考
えられます。
──ヤマギシなんて懐かしい言葉を聞きました。あれって社会運動
だったのですか? 私の友人にもあれの卵にはまった人がいました
。私も時々購入していましたが、「週刊新潮」にヤマギシのことが
載り、子供達が働かされていることを知って、辞めました。その後
、洗脳の楽園という本を読んで、いろいろ考えさせられました。
──浜松のクリエートで日独展を開きました。ボランティアで受け
付けに入りました。実行委員の方とも交流が出来、次の時にはドイ
ツに行けたらと思っております。
私の足も一般では合うのがないので、静岡にあるパサバで足に合
わせてもらっている。先生はドイツで学ばれた方とか。私に父は6
歳位の頃から、ゲルマン人のことをよく話してくれました。現在の
私には言葉は言えませんが、ドイツに憧れております。私は海外は
スイスとドイツに行きたいと思っております。
その他
──2年前、ヒューマンセミナーで「カウンセリング」を10回学び
、自分を無にして只相手中心に対応することに比べて、この学問は
本当に対照的だと思います。が実は違うのではなくて、自分をしっ
かり持って他人に十分な対応をすることで初めて一人の完全な人間
になれるのかなと思います。
──この講座に来てはっきりしたことは、筋を通して(私らしい)
子供達に生きざま(目に見えない精神)を見せていけるような自分
になるよう、「自分で考える」、日々練習し、今後成長するよう、
勉強したいと思います。
──様々な講義を受けましたが、今回のように自分の考え、意見を
追求することは初めてでした。とまどうと共に、こんな講義もある
んだな、と驚きました。
哲学は、他人(学者)の考え方を覚えることではなく、自分なり
の考え、意見を作り上げることだと思いました。その過程で、本や
VTR等で得る知識や他の人の意見を冷静に受け止め、更に自分の
考え、意見をより充実したものにしていくことが大切であると思い
ました。
──何か消化不良の感じがぬぐえません。いつも書きましたが、も
っと「哲学的な事柄」を知りたかった、というのが、今の感じです
。何事も縁ですから、何かの形で又接点が出来ることもあるかもし
れません。とりかく好い経験をさせていただいたと、思っています
。
──話し合いの時間をもっと多くして欲しかった。毎回2時間では
短いが。
──この講座は、隔週、前週のテーマについての「発展」が行われ
るとのことで、好奇心もあって参加した。過去に受講したものとは
異なり、「教科通信」の発行等、牧野さんスタイルで進められ、大
変に有意義な印象に残る講座であった。
本日の「落ちついた意見交換を」は、これから反芻して生活に活
かしてより良いコミュニケーションに役立てていきたい。