ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第73号、投書・辻元清美議員の辞職

2006年01月12日 | ご意見の広場
教育の広場、第73号、投書・辻元清美議員の辞職

  (2002年3月31日発行)

  辻元氏が議員を辞めるまでの過程で、象徴的な精神構造がみら
れるように思われます。それは、市民運動やボランティア団体に従
事する人の一部にある「奢り」であるように思われます。

  たしかに市民運動やボランティア団体の活動自体は、「良い」
ものであり、「正義」かもしれません。しかし「正義」を声高に論
じているうちに、その「正義」感に辻本氏をはじめとして麻痺して
しまう人も多いのではないかと思われます。自分たちはこれだけの
「正義」を実践している「正義の味方」なのだから、多少の「小悪」
をしてもよいと思っている人に市民運動・ボランティア関係者の中
で何人にも出会った経験があります。

  辻本氏が辞職に至る前に「私以外にも秘書給与を流用している」
と発言したことに、辻本氏自身がたとえ小さい悪であっても、悪を
しているという意識は感じられません。つまり辻本氏としては自分
よりも大きな悪をしている人、または自分と同じ小悪をしていても、
自分よりも大きな「正義」を実践していない人を攻撃することが、
どうも辻本氏の「正義」であるように思われます。

  もちろん淡々と市民運動・ボランティア活動を実践なさってい
らっしゃる方も多く存じ上げておりますが、逆に辻本氏のような運
動家も多くいるのが、現実ではないでしょうか。ちなみに辻元氏が
ピースボートをやって、太平洋戦争中の戦跡の観光旅行を組織して
いたことは、当時私も学生でしたので知っていました。しかし辻元
氏が行っていることは、一種の「自虐的観光旅行」で、自分たちの
父祖がしてきたことに感傷にふけり、現実にあるそれら戦跡地にあ
る貧困等には眼を向けないことに、非常に憤りを感じておりました。

  私はある第三世界に属する国の人たちへの支援活動に少し関わ
っていました。そこでは、識字運動や女性解放等を、その国の女性
等が作った製品を日本で販売し、その収入を先の活動資金に当てる
活動をしておりました。私は全身全霊、というわけではなく、時間
が空いているときにちょっとお手伝いする程度でした。この団体で
も、淡々と活動している人もいたのですが、どういう訳か、この活
動をすることを外部PRしているうちに「正義の味方」になり、実
際の活動よりも「外向き」活動を重視し、傍若無人になっていった
人が数人おりました。

  人間は、おかれた環境に影響を受けることを否定はしませんが、
その環境に無批判的に順応するのは、私の生き方としては反対です。
学生時代から派手な活動が辻元氏がもしも、あんなにもてはやされ
なかったならば、地道な市民運動を、世間的な注目を度外視して実践
していたでしょうか。どうもご自分の売名が第一で、市民運動はど
うも二の次のように思われます。

  世の中には辻元氏のようないわば自分の売名のための市民運動・
ボランティア活動をする輩が多くいることは事実でしょう。しかし
本当の運動・活動は、先生があげられたNGOや第3世界ショップ
を、そっと利用するように、日常生活と常にあるべきではないのか、
と思います。国はボランティア活動を、高校進学用内申書の内容と
するようになって久しいように思われます。そのため内申書対策で
ボランティア活動をする中学生が多くいるということがよく報道さ
れています。文字通りの「自発的」な非営利・非名利のボランティ
ア活動が一日でも早く日本に根付くことを期待しておりますが。