ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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教育の広場、第72号、ODAと第3世界ショップ

2006年01月14日 | 政治関係
教育の広場、第72号、ODAと第3世界ショップ

   (2002年03月20日発行)

 「影の外務大臣」と言われていたらしい鈴木宗男代議士が、権限
を濫用して行政に不当に介入していたことが明るみに出ました。そ
の結果、氏は自民党を離党することになりました。議員辞職を求め
る動きも続いています。

 鈴木代議士の不当な口出しの例として国後島の友好の家の建設が
あります。これがすっかり有名になった「ムネオハウス」です。

 伝えられる所によりますと、鈴木氏はこの友好の家の建設を自分
の選挙区の業者に請け負わせるために画策したとのことです。これ
がその通りになって、その後鈴木氏の後援会にその業者から献金が
あったというのです。

 たしかにこれは不正だと思います。しかし、私はこの件を典型的
な例として、もう少し根本的な問題を考えてみたいと思います。

 国後島を初めとする北方4島への支援はODA(政府開発援助)
とは形式的には別だそうですが、根本的には同じだと思いますので、
この際、ODAを中心とする外国への「援助」について考えてみた
いのです。

 ODAというのは、先進工業国の政府や地方自治体などが発展途
上国や国際機関に対して行う援助や出資で、次の2条件を満たすも
ののことです。

 第1条件。発展途上国の経済発展と福祉の向上を主たる目的とす
ること。
 第2条件。贈与及び贈与相当分が25%以上であること。
 (『知恵蔵』による)

 国民総生産におけるODA予算の比率にも、国連によって目標値
が設定されているようです。日本政府は1992年6月の閣議でO
DA大綱というものを定めて、指針にしているようです。本年の3
月17日付けの朝日新聞には「EUがODA予算の増額を決めた」
といった記事も載っていました。

 さて、私が問題にしたいのは、そもそもこのODAというのは本
当に「発展途上国の経済発展」に寄与しているのかという問題です。
今回の鈴木疑惑の中でも、4年前に作った船が早くもひどく痛んで
いるといったことが伝えられました。相手は本当に必要としていた
のでしょうか。丁寧に使っていたのでしょうか。

 いや、正しく使っている場合も多いだろうと思います。ムネオハ
ウスにしても多分使っているのだと思います。しかし、正しく使っ
ているとしても、それで本当に役立ったとは言えないと思います。

 そもそもなぜ友好の家を日本の援助で建てなければならないので
しょうか。友好の家なのですから、本来なら、日本とロシアとが
半々にお金を出して建てるべきではないでしょうか。

 こう考えてみれば直ぐに分かりますように、これはロシアがソ連
の崩壊で経済的に困難な状態にあるからなのです。自立できる経済
が育っていないのだと思います。

 では、その時、日本の全額出資で友好の家を建てるのが本当にロ
シアと国後島の人々の「経済発展に寄与する」ことになるでしょう
か。私はそうは思いません。自立できる産業を起こすのを手伝うべ
きだと思います。産業が起きれば、友好の家の建設資金の半分はロ
シアも出せるようになると思います。これが本当の友好だと思いま
す。

 こう考えてくると直ぐに思い出されるのが第3世界ショップの活
動です。第3世界ショップは「公正な貿易」をスローガンにしてい
ます。つまり、自称「先進国」が「不公正な貿易」(つまり買いた
たき)で発展途上国を搾取しているために、これらの国々はいつま
でたっても経済的に発展しないのだという考えに立っています。従
って、第3世界ショップは発展途上国の品物を輸入するに際して、
適正な価格で取引します。

 第2に、第3世界ショップは、発展途上国に自立した産業を起こ
すのを支援しています。一緒になって産業を起こしています。これ
によって現地の一般庶民が経済的に自立し始めています。

 私はこういうのが本当の開発援助だと思います。ですから、OD
A予算を根本的に見直して、公共工事みたいなことをしてあげるの
を止めて、こういう第3世界ショップのような活動をしている人々
(かなり沢山います)を援助する部分を大幅に増やすべきだと思い
ます。

 たしかにこうすると、今度はNGO(非政府組織)とか第3世界
ショップのような組織にもいかがわしいものが出てきたり不正が発
生する可能性があります。現に、国連難民高等弁務官事務所の職員
やNGOのメンバーが援助食料と引換えに難民の少女らに性的な関
係を要求していた疑惑が持ち上がりました。

 本当に人間の業は深いと思います。しかし、「官」に任せている
時代は去ったと思います。国民はもっと自立するべきです。ですか
ら、その自立の過程で出てくる不正に対しても「民」で立ち向かう
しかありません。

 つまり、NGOや第3世界ショップなどの一つ一つの組織を評価
し、格付けする民間組織を作ることだと思います。現に、欧米では
そういう事が既に行われているそうです。

 私もささやかながら第3世界ショップの物を買いつづけています。
それは何よりも品質的に素晴らしいものだからです。今後はNGO
や第3世界ショップの活動を監視することにも注意したいと思いま
す。