01、投書・40人学級の効用について(LEE )
牧野様
初めてお便り致します。小学6年の保護者LEE と申します。40人学級のお話ですが、私なりに少し考えた事がありました。
それは、子供が小学1年で、40人体制だと先生の目が行き届かず、先生が、「ちょっと視線をやっても、こちらの意図も判らない。あるいは急に一人の子供が殴りつけられて、どうした
のかと思ったら、殴られた子供がうっかり通路をふさいでいたその子供の足を踏んでしまった。しかし、踏んだことは気がついていなかった。殴られた方が応戦した。」
こんな具合で、先生は、子供がまだ「人間の「に」の字くらいだ」と言われました。確かに、まだこうした子供たちを見る為には40人を見るのは大変だと思われます。子供は学校で知識も社会のルールもいろんなことを学ぶ必要があります。
小学3、4年の掛け算割り算での習熟が足りない為に、中学で大幅な遅れに気づくということで、最近は、算数などは1クラスを2つにしての授業も行っています。
──そこまでは小学校の話──でした。
さて、くだんの「進学校」ですが。「幼稚園~大学」までの学校でだとどのあたりを指すか難しいですが、一般的に思い浮かべるのは、中学~高校じゃないでしょうか。
前述の為のような生活指導のためには少人数制である必要はもはやないでしょう。授業に集中する、判らないところは自分で調べるなり、聞くなりして克服する。与えられるのを待って
いない、は当然だからです。教員側もそうですが、生徒側も、「お客さん」ではなく、自分が何をするべきか、目的等しっかり認識する必要があります。
また、逆に、人数が少なくなって生徒の生活や背景に先生が精通して相談に乗れるか、というと疑問です。
「自分で考える」「総合的な能力」を発揮するような授業の仕組みが、少人数で建前でなくできる、という具体的取り組みについて伺いたかったです。
40人クラス定員としても、私学の場合、合格者が全員入学するわけでないので、どうしても多めになってしまうし、途中抜ける生徒もでてくる。
ところで、私学でも公立でも、学校制度ができてから、教室の大きさや設計というものはほとんど変わっていないそうです。すると、どこでも、かなり狭い。公立の学校公開では、生徒
がもう体に合わない机で姿勢悪いし、エアコン効きすぎで1時間突っ伏して寝ている。机の配置はかなり窮屈で、足の踏み場がないほどかばんが置いてある。
これは勉強以前の問題として、問題だと思います。
私学というものは、お金がかかるものかもしれませんね。
しかし、今、結構説明会で目玉にしているのは、「1ケ月夏休みホームステイ」など海外研修。まあ多少人生経験になるかもしれませんが、1月HSしたからって語学能力が上がるわけが
ありません。
保護者にとっては非常に痛い出費です。学校もそういうことはわかっているはずなのに、「語学研修」と銘打って、良い指導をしているように宣伝するのは如何なものかと思います。
教育費はトータルで保護者は見ますから、まずは装飾しない無駄のない教育費についてよくよく考えて欲しいものです。
以上です。
02、お返事・2、3の原則的な事(牧野 紀之)
投書をありがとうございます。ご趣旨がよくは分からなかったのですが、原則的な点について私見を箇条書きにしておきます。
第1点。40人学級は小中学校については以前から原則となっており、今はそれより少人数の学級にしていくことが課題なのだと思います。
そして、国際的には「少人数学級」とは25人以下の学級のことを言うということです。埼玉県の志木市では小学校の1~2年生については25人学級を実現したそうです。3年生以上で30
人学級を実現することが現下の課題だそうです。
本当に日本は教育については発展途上国だと思います。
第2点。我が大学で語学の授業の40人学級が問題になっているのは、それが大学だからであり、語学の授業だからだと思います。しかし、この場合でも、それは余りにも低すぎる目標だ
と思います。
私見では、大学の授業は語学に限らず全てゼミにする、20人学級にする、1つのゼミで取れる単位を2倍にする、学生は1日に2つのゼミを取るくらいにする、宿題を多くして内容を充
実させる、教科通信を義務づける、等が目標だと思います。
第3点。考える能力をつける授業とはどういうものか。この点はこのメルマガや拙著「哲学の授業」(未知谷)を見てほしいと思います。
このための大前提は、先生が考える人であること、自分の意見を言うのを憚らない人であること、だと思います。現実にはこの大前提が欠けているのだと思います。
第4点。テレビの報道によると、教室の設計は大分変わってきているようです。壁のない教室とか。机と椅子の高さを変えられようにするのはぜ必要だと思います。室温とかも教師が細
かく配慮するべきだと思います。
第5点。1ヵ月のホームステイで英語が出来るようになったりしないという考えには賛成です。日頃の授業の改善を忘れてホームステイを云々するのは間違いだと思います。
第6点。親は費用をトータルで考えているというのも当然だと思います。公務員の給与も自治体などは月給(基本給)の平均値で出していますが、これはごまかしです。週刊誌などが調
べて発表しているように、これも1年間の総収入で考えるべきだと思います。
(2003年11月12日発行)
牧野様
初めてお便り致します。小学6年の保護者LEE と申します。40人学級のお話ですが、私なりに少し考えた事がありました。
それは、子供が小学1年で、40人体制だと先生の目が行き届かず、先生が、「ちょっと視線をやっても、こちらの意図も判らない。あるいは急に一人の子供が殴りつけられて、どうした
のかと思ったら、殴られた子供がうっかり通路をふさいでいたその子供の足を踏んでしまった。しかし、踏んだことは気がついていなかった。殴られた方が応戦した。」
こんな具合で、先生は、子供がまだ「人間の「に」の字くらいだ」と言われました。確かに、まだこうした子供たちを見る為には40人を見るのは大変だと思われます。子供は学校で知識も社会のルールもいろんなことを学ぶ必要があります。
小学3、4年の掛け算割り算での習熟が足りない為に、中学で大幅な遅れに気づくということで、最近は、算数などは1クラスを2つにしての授業も行っています。
──そこまでは小学校の話──でした。
さて、くだんの「進学校」ですが。「幼稚園~大学」までの学校でだとどのあたりを指すか難しいですが、一般的に思い浮かべるのは、中学~高校じゃないでしょうか。
前述の為のような生活指導のためには少人数制である必要はもはやないでしょう。授業に集中する、判らないところは自分で調べるなり、聞くなりして克服する。与えられるのを待って
いない、は当然だからです。教員側もそうですが、生徒側も、「お客さん」ではなく、自分が何をするべきか、目的等しっかり認識する必要があります。
また、逆に、人数が少なくなって生徒の生活や背景に先生が精通して相談に乗れるか、というと疑問です。
「自分で考える」「総合的な能力」を発揮するような授業の仕組みが、少人数で建前でなくできる、という具体的取り組みについて伺いたかったです。
40人クラス定員としても、私学の場合、合格者が全員入学するわけでないので、どうしても多めになってしまうし、途中抜ける生徒もでてくる。
ところで、私学でも公立でも、学校制度ができてから、教室の大きさや設計というものはほとんど変わっていないそうです。すると、どこでも、かなり狭い。公立の学校公開では、生徒
がもう体に合わない机で姿勢悪いし、エアコン効きすぎで1時間突っ伏して寝ている。机の配置はかなり窮屈で、足の踏み場がないほどかばんが置いてある。
これは勉強以前の問題として、問題だと思います。
私学というものは、お金がかかるものかもしれませんね。
しかし、今、結構説明会で目玉にしているのは、「1ケ月夏休みホームステイ」など海外研修。まあ多少人生経験になるかもしれませんが、1月HSしたからって語学能力が上がるわけが
ありません。
保護者にとっては非常に痛い出費です。学校もそういうことはわかっているはずなのに、「語学研修」と銘打って、良い指導をしているように宣伝するのは如何なものかと思います。
教育費はトータルで保護者は見ますから、まずは装飾しない無駄のない教育費についてよくよく考えて欲しいものです。
以上です。
02、お返事・2、3の原則的な事(牧野 紀之)
投書をありがとうございます。ご趣旨がよくは分からなかったのですが、原則的な点について私見を箇条書きにしておきます。
第1点。40人学級は小中学校については以前から原則となっており、今はそれより少人数の学級にしていくことが課題なのだと思います。
そして、国際的には「少人数学級」とは25人以下の学級のことを言うということです。埼玉県の志木市では小学校の1~2年生については25人学級を実現したそうです。3年生以上で30
人学級を実現することが現下の課題だそうです。
本当に日本は教育については発展途上国だと思います。
第2点。我が大学で語学の授業の40人学級が問題になっているのは、それが大学だからであり、語学の授業だからだと思います。しかし、この場合でも、それは余りにも低すぎる目標だ
と思います。
私見では、大学の授業は語学に限らず全てゼミにする、20人学級にする、1つのゼミで取れる単位を2倍にする、学生は1日に2つのゼミを取るくらいにする、宿題を多くして内容を充
実させる、教科通信を義務づける、等が目標だと思います。
第3点。考える能力をつける授業とはどういうものか。この点はこのメルマガや拙著「哲学の授業」(未知谷)を見てほしいと思います。
このための大前提は、先生が考える人であること、自分の意見を言うのを憚らない人であること、だと思います。現実にはこの大前提が欠けているのだと思います。
第4点。テレビの報道によると、教室の設計は大分変わってきているようです。壁のない教室とか。机と椅子の高さを変えられようにするのはぜ必要だと思います。室温とかも教師が細
かく配慮するべきだと思います。
第5点。1ヵ月のホームステイで英語が出来るようになったりしないという考えには賛成です。日頃の授業の改善を忘れてホームステイを云々するのは間違いだと思います。
第6点。親は費用をトータルで考えているというのも当然だと思います。公務員の給与も自治体などは月給(基本給)の平均値で出していますが、これはごまかしです。週刊誌などが調
べて発表しているように、これも1年間の総収入で考えるべきだと思います。
(2003年11月12日発行)