安倍晋三や菅義偉、松野博一達は「ウソを100回言えば事実となる」のゲッベルス戦術に全面的に縋っている

2017-06-09 11:59:43 | 政治

 〈「ウソを100回言えば事実となる」はヒトラーによって国民啓蒙・宣伝相に起用された、あの悪名高いパウル・ヨーゼフ・ゲッベルスが言った言葉を要約したバリエーションの一つである。

 実際に言った言葉は「もしあなたが十分に大きなウソを頻繁に繰返せば、人々は最後にはそのウソを信じるだろう」だと、インターネット上に紹介されている。

 「ウソを信じる」と言うことは、そのウソを事実と看做したということを意味する。

 ゲッペルスは自身が言った言葉の原理を用いて、ドイツ国民や占領地の国民、ユダヤ人をどれ程に騙し、ナチス政策の推進にどれ程に役立てたのだろうか。ヒトラーによって国民啓蒙・宣伝相に起用された理由が理解できる。〉

 2014年7月29日の当ブログに「クリミアの併合は検討していない」と言っていたプーチンが最終的にロシアに併合したプーチンの嘘を取り上げて書いた。

 現在、今治市国家戦略特区を手続きとした加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三の政治的関与の疑惑が持ち上がっている。安倍晋三が加計学園理事長加計孝太郎と30年来の腹心の友人であった関係から、安倍晋三の意向が働いたゴリ押しの決定ではないかという容疑が深まっている。

 勿論、この疑惑や容疑が根拠のない邪推に過ぎないなら、安倍晋三や菅義偉、松野博一達はウソを百回繰返すことでさも事実らしく見せかけようとするような、いわば“ウソ100回事実化”の策略を用いる必要は生じない。

 用いるのは、疑惑が疑惑にとどまらずに言われていることが事実そのものだからだろう。 

 先ず安倍晋三の“ウソ100回事実化”を見てみる。何日前かのブログに書いたが、2017年6月5日の参院決算委員会で、「(獣医学部新設決定に)関与できないという仕組みになっているということもこう申し上げておきたい。国家戦略特区諮問会議に於いてしっかり議論がなされ、そこで決まるわけでございます。私がどこにするということの指示を出したことも勿論ありませんし、出せない仕組みになっているわけであります」と答弁している。

 第2次安倍政権下の2013年12月23日施行の「国家戦略特別区域法」第5章「国家戦略特別区域諮問会議」第32条は「議長は、内閣総理大臣をもって充てる」と規定、第33条「議員は、次に掲げる者をもって充てる」には有識者として、「経済社会の構造改革の推進による産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者」と決めている。

 諮問会議のメンバーは議長安倍晋三以外に政府側から内閣官房長官、国家戦略特区担当大臣、そして「国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者」の政府側計4人、外部からの有識者6人、計10人と「国家戦略特別区域法」は明記している。

 政府側が4人、あと政府側につく有識者2人を安倍晋三が任命してメンバーの中に潜り込ませれば、好きなように賛成多数派を形成できて、そうである以上、安倍晋三の「ご意向」を如何ようにも関与できる仕組みとすることができる。

 要するに「関与できないという仕組みになっている」は6月5日の参院決算委員会以外の他の場面でも国会答弁でも使っているが、事実に反する主張を疑惑の否定根拠に用いなければならないこと自体が疑惑が事実であることの証明としかならない。

 否定根拠とならない事実に反することを何度も口にすること自体、“ウソ100回事実化”に当たる。

 諮問会議の意見集約後、閣議決定をしなければならないが、閣議には案件に関係のない大臣も出席することになるから、諮問会議の意見が大きくモノを言い、最終的には首相の意向で意見一致となるはずだ。

 但し最終決定を司る諮問会議で望み通りの結論を最初から既成事実として用意していたとしても、結論に至る各途中過程での各決定が結論に収束していく中で結論に著しく反する状況を呈したのでは、いくら賛成多数だと言い張っても、結論自体が怪しまれることになる。

 そこで文科省作成とされている加計学園獣医学部新設決定に関わる文書に描かれているように内閣府職員や義家文科副大臣、官房副長官の萩生田光一、その他がそれぞれの役目を担って、獣医学部新設決定に向けた「総理のご意向」の実現に添った動きを見せることになったのだろう。

 全ては国家戦略特区諮問会議の結論に齟齬なく収束させるための反対意見の食い止めと賛成意見での取り纏めであり、「総理のご意向」は疑惑などというものではなく、獣医学部新設決定に深く関わった事実と見なければならない。

 前川喜平文科省前事務次官が「文書は間違いなく本物」だとする証言を載せた2017年5月25日発売の週刊文春に掲載されることが5月24日にマスコミによって報道され、前事務次官自身も5月25日に東京都内で記者会見を開いて文書の存在は事実であり、「総理のご意向」によって「行政が歪められた」と証言した。

 当然、この証言は疑惑は事実だと裏付ける発言ということになる。

 対して官房長官の菅義偉の5月25日午前の記者会見。

 菅義偉「文書について、文部科学省が行った調査では存在が確認できなかった。また内閣府が、文書に書かれているような『官邸の最高レベルが言っている』とか『総理のご意向だ』と言った事実はないし、安倍総理大臣からも、そうした指示は一切なかった。

 記者「前川前事務次官は『行政がゆがめられた』と証言しているが」

 菅義偉「「全く、そういう事実はない。今回の獣医学部新設は国家戦略特区法に基づく手続きを経ており、行政が歪められたという指摘は当たらない。前川氏は、自身が責任者のときにそういう事実があったのなら、堂々と言うべきではなかったか」(NHK NEWS WEB

 これ以降、今日まで同様の趣旨の発言を繰返して、疑惑を否定している。

 このような執拗なまでの繰返しの発言もウソを並べ立てて事実に見せかけようとする“ウソ100回事実化”に他ならない。

 菅義偉は「前川氏は、自身が責任者のときにそういう事実があったのなら、堂々と言うべきではなかったか」と言っているが、安倍晋三も国会答弁で同じ趣旨の発言をしてそのことを以って前川証言を事実ではない根拠としていたが、強制的な方法を用いない包囲網をじわじわと狭めていって下手には反対できない状況をつくり出し、反対派の口を封じるといったことは世の中にはいくらでも例を見ることができる。

 こういった状況に追い込まれた者が使う「物言えば唇寒し」という言葉が存在すること自体が菅義偉や安倍晋三の主張に根拠がないことになる。

 包囲網をじわじわと狭めていって下手には反対できない状況をつくり出すといった解釈の正当性を示す一例として獣医学部新設に関係した文科省作成の7通か8通ある文書の中から財務相の麻生太郎が当初の獣医学部新設反対から物言わぬ人となった事例を挙げてみる。引用は関係個所のみ。太字は文書題名。

 〈大臣ご指示事項

 ○麻生副総理、森英介議員など獣医学部新設に強く反対している議員がいる中で、党の手続きをこなすためには、文科・農水・内閣府の部会の合同部会もしくはPT を設置して検討を行うべきではないか。少なくとも、衆院福岡6区補選(10月23日投開票予定)を終えた後に動くべきではないか。

 ※鳩山二郎氏(鳩山邦夫元総務相次男、全福岡県大川市長)、蔵内謙氏(日本樹医師会長長男、林芳正前農相秘書が候補者)〉――

 2016年10月11日告示、23日投開票の衆院福岡6区補選では安倍晋三は表に出なかったが、鳩山二郎を菅義偉が代表格で応援し、蔵内謙を麻生太郎や閣僚の一部が応援する分裂選挙となり、鳩山二郎が当選した。

 要するに獣医学部新設に反対している麻生太郎の機嫌を損ねてこじらせてしまったら、早期に決めなければならない獣医学部新設が早期に決まらない恐れが出てくるから、「衆院福岡6区補選を終えた後に動くべきではないか」と提案したということであろう。

 〈義家副大臣レク概要(獣医学部新設)

 ○官邸はどうなっているのか。萩生田副長官に聞いてみる。

 やれと言うならやるが、閣内不一致(麻生財務大臣反対)をどうにかしてくれないと文科省が悪者になってしまう。〉――

 麻生太郎を懐柔して反対の矛を収めさせ、閣内一致の持っていってくれなければ、困るとの謂であろう。と言うことは、この時点では麻生太郎は以前と獣医学部新設には反対だったことになる。

 〈10月19日(水) 北村直人元議員(石破元大臣同期)→専門教育課牧野

 ○麻生大臣は野田秘書に以下のように話していたとのこと。

 ・自分は総理から本件関係で何も言われていない。この話を持ち出されたこともない。だからもう(やらない方向で)決着したのだと思ったくらいだ。

 ・(野田秘書から最近の状況を話し、)そうか・・・。〉――

 獣医学部新設に当初は反対だった麻生太郎は安倍晋三から何も話はないから、その話は取りやめになったのかと思っていたが、麻生太郎事務所の野田秘書が事情を話したところ、麻生太郎は「そうか」と納得、反対に関して物言わぬ人となった経緯は、まさしく包囲網をじわじわと狭めていって下手には反対できない状況をつくり出し、反対派の口を封じる例に当てはまる。

 安倍晋三の「ご意向」だと言うことになれば安倍晋三のシンパたちにとっては水戸黄門の葵の御紋程ではないが、それなりのご威光となって、ハハァと喜んで「ご意向」に従い
、周囲を固めていく力となって、それなりに下手には逆らうことのできない包囲網をつくることになるはずだ。

 要するに安倍晋三にしても、菅義偉にしても前川前事務官に対する批判はゲッベルス同様の「ウソを100回言えば事実となる」の“ウソ100回事実化”に過ぎないということである。

 疑惑が事実だから、“ウソ100回事実化”を用いらざるを得ない。

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文科省再調査拒否が内閣ぐるみの首相の加計学園政治関与疑惑隠蔽が目的なら、二流の国家になり下がる

2017-06-08 12:12:24 | Weblog

 先に発見された加計学園獣医学部新設決定に関わる文科省作成文書と同様の内容を記した日時記載のメールを文科省職員から民進党議員に送付されてきたと5、6日前にマスコミが伝えていた。

 今朝、新たなブログ記事を書く都合から民進党のサイトにアクセスして、「加計学園 新たに見つかったメール」と文字を入力、検索すると、〈入力されたキーワードに該当する情報は見つかりませんでした。 〉との回答。検索文字を変えて検索したが、ヒットさせることができなかった。

 仕方なくネットで探すと、PDF記事で、「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」と「加計学園への伝達事項メール」名で公開されていることを知り、再度民進党サイトにアクセスして、上記文字を入力して検索すると、民進党議員今井雅人の6月5日衆院決算行政監視委員会での質問記事の中で紹介していた。   

 加計学園関係文書だけを纏めて紹介するといった使い勝手の良さを狙ったサービス精神はないようだ。

 PDF記事で紹介したメールは画像処理してあり、コピー&ペーストが効かない。ソフトを使って前者のメールのみWord文書に変換したが、完璧な処理ができないから、正確な文書にするためにかなり時間がかかった。以下紹介しておくが、読みやすいように「○」毎に段落を設けた。

 前者のメールのみをここに記載するのは先に発見された文科省作成文書の内容と重なる個所があるためである。

 藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)  

1.日 時:平成28年9月26日(月)18:30~18:55

2.対応者:(内閣府)藤原審議官、佐藤参事官、(文科省)浅野専門教育課

 長、-■■捕佐

3.概 要:

○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、
 共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レ
 ベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)。山本大巨
 も「きちんとやりたい」と言っている。


○成田市の医学部斬設の際には3省方針を作成したが、これは東北新設時に
 復興庁と方針を作成していたため、同じ形でやることとなったもの。内閣
 府としては方針作成が必要だと考えていないが、文科省として審査する際
 の留意点を出す必要があることは理解。

○クレジットは、内閣府と直接の規制省庁である文科省がマスト。関係省庁
 が入らないとできないわけでもなく、農水省・厚労省を入れたいのなら、
 文科省が動く必要あり。ドライに、両省が協力しないなら「彼らがやらな
 かった」と責任を負う形に持って行けばよい。いずれにしても第2回分科
 会で方針原案を決めるスピードでやる必要。

○(今治市構想について、獣医師会から文科省・農水省に再興戦略を満たし
 ていないと指摘する資料が届いており、簡単ではない旨の指摘に対し、)必
 要であれば分科会に獣医師会を呼ぶ。成田市分科会に医師会は呼んでいな
 いが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取した。反対派は呼んで
 ないが。有識者を呼ぷ回(ママ)を作った方がよけれぱやる。

○「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責
 任を取ることになる。早く政治トップの判断こ持って行く必要あり。文科
 省メインで動かないといけないシヂュエーションにすでになっている。

○(他の新設提案者はどうするのか、との問に対し、)成田市の際には、3省
 方針に「1校」と記載。諮問会議としては3省が決。めたことなど知ったこ
 ことではないが、方針を出さないと省として持たないということで作った。
 裏では政治的なやりとりがあった。

○3省方針ではなく、「民泊」(9月9日諮問会議資料2-2)のように、留
 意点や手当てを記載した1枚程度の方針を諮間会議として出すことも可能。
 ただ、当該会議の場には厚労大臣も出席して決定している。この方法は総
 理や山本大臣の負祖になるが、こちらの方が手続きは簡単。要素さえもら
 えれば、内閣府はすぐこの資料を作れる。今週来週でペーパーワークしな
 いといけない。

○今週とかそういう世界で早めに上に相談してくれ。

 メールの最初の「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)。山本大巨も「きちんとやりたい」と言っている。」ととしている個所は、先に文科省作成文書として朝日新聞が公開した「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」なる題名の中の

〈○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間は掛けられない。

 これは官邸の最高レベルが言っていること。山本大臣も「きちんとやりたい」と言っている。文科省メインで動かないといけないシチュエーションにすでになっている。〉とほぼ同じ内容となっている。

 また、〈○(今治市構想について、獣医師会から文科省・農水省に再興戦略を満たしていないと指摘する資料が届いており、簡単ではない旨の指摘に対し、)必要であれば分科会に獣医師会を呼ぶ。成田市分科会に医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取した。反対派は呼んでないが。有識者を呼ぷ回(ママ)を作った方がよけれぱやる。〉としている文面は同じ「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」文書の、〈○今治市分科会において有識者からのヒアリングを実施することも可能。
 
 (成田市分科会では、医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取(反対派は呼んでいない)。)〉としている内容とほぼ同じとなっている。

 「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と開学の時期を前提に国家戦略特区を手続きとした獣医学部新設を認定するということは、そこに何らかの政治的な便宜供与が為されていなければできないことであり、〈これは官邸の最高レベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)〉と言うことなら、文科省作成の文書の一つとされている「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」の中で、獣医学部の〈設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。〉と記されていることからして、「官邸の最高レベル」とは安倍晋三を指し、安倍晋三が政治的な便宜供与の発信元ということになる。

 記事冒頭にリンクしておいた6月5日の「衆院決算行政監視委員会」記事には民進党議員今井雅人がこのメールが事実であるかどうか確認を求めたのに対しての文科相松野博一の答弁を紹介している

 松野博一「基本的にはメールを含む文書について、出所や入手経緯が明らかになっていない場合にはその存否や内容などの確認の調査を行うことは考えていない。前川氏の会見やご指摘のメール等も改めて調査を行うことは考えていない」

 マスコミ記事が松野博一の2017年6月6日の「定例記者会見」で、記者の質問に対して同じような答弁を伝えていたから、文科省サイトにアクセスしてみた。   

 記者「まず、国会でも問題になっております加計問題について、先週末に民進党から新たに文科省の職員と同姓同名という送受信宛先が入ったメールが公開されております。このメールについての、まず大臣の受け止めと、それから、これを受けて再調査を検討されるお考えがあるかどうかをお聞かせください」

 松野博一「昨日の国会の委員会でも質問いただき、答弁をさせていただきましたけれども、文書に関しては、民進党が検討チームが提示をされた8つの文書、またもう一つは、新聞掲載の文書に関しては、すでに調査をいたしまして確認されなかったという結果を発表しております。

 今回の民進党さんの方から提示をされたもの(メール)に関しても、入手経路や出元に関して、何らかお示しをされたものと承知をしておりませんので、状況等が変化をしたというような認識を、今、持っておりません」

 要するに松野博一は出所や入手経緯が明確でない文書やメールは確認の調査の対象にはなり得ないと、再調査を拒否した。

 メールに記してある文科省職員「浅野専門教育課長」は上記6月5日午前の衆院決算行政監視委員会で文科省高等教育局長の常盤豊が「同姓同名の職員は実際にいる」と認めていたが、この件に関しても次のように答えている。

 記者「(職員が実際に)存在したということであれば、出元が分かっているものとして調査するというお考えはないでしょうか」

 松野博一「提示されたメールに名前が記載されていたということと、それによって、出元、入手経緯が確定されたということは、事実の認定としてまた違うことであろうというふうに思っております」

 松野博一のこの答弁を翻訳すると、メール上の名前の記載によって「出元、入手経緯が確定されたことにはならない」という意味になる。だから、再調査はしないと。

 だが、本人に確認すれば、そのメールが事実かどうかはたちどころに判明する。その事実さえ判明すれば、メールのそもそもの発信元も芋づる式に判明するだろうし、浅野専門教育課長の入手経緯も判明する。そのメールが民進党議員に渡った入手経緯の調査は意味を成さなくなる。

 確認に対して本人が知らぬ存ぜぬを押し通して、メールは事実ではない、ガセネタに過ぎないとされたなら仕方がないが、本人に対して確認すらしない。

 記者がこの件につき、さらに質問している。

 記者「今回の新たな文書(メールのこと)に対して調査しない理由の一つとして、出所や入手経路が分からないということを理由に挙げられていますが、他の省庁では、例えば2014年の厚労省の不正入札での告発文書であったり、2015年の防衛省の安保法案成立の見通しについての内部文書についても調査は行われています。出所がわからないというのは根拠の一つにはあたらないのではないかと思うのですが、どうでしょうか」

 松野博一「まず、各省庁の判断についての真意は、手元にその省庁が今どういった判断があったかということに関して承知をしておりませんので、そのことに関しては言及を差し控えたいというふうに思いますが、これは文部科学省の判断として、出元が不明という文書というのは、様々な場面、あまたある可能性がございます。そこの調査に関して、これは行政リソースを統一するかどうかというのは、まさにその省庁による判断であろうかというふうに考えております。その中において、提示された文書というのが、今どの文書を御指摘されているのかちょっとわかりませんが、民進党さんの調査チームから提示された8つの文書、この内容に関して、これは確認されなかったということでありますけれども、その内容の方向性に関しては、まさにこれは政策の形成過程に関わると思われるものであります。

 かねてよりこれは、文部科学省において政策決定過程に関してのものは公表しない、これはもう情報公開法の趣旨にのっとって文科省として判断をしているものであります。

 ただその中において、明らかな違法行為ですとか、違法行為が指摘されている、もしくは法定調査であるということであれば、これは文科省としても調査をした実例がございますが、今回の事例において、明らかな文科省における違法行為が指摘をされているでありますとか、法定調査に至っているということではありません。その中で、現状においては再調査をしないという判断をしているわけでありますし、併せて、これまでの各委員会の大臣答弁によって、野党さんからの質問で、これは私も含めて、文書から離れて、改めてこういった事実関係というものがあるかという質問に対しては、文科省も内閣府も答えて、大臣答弁があるわけでありまして、それをもって一応しっかりと対応させていただいているというような認識を持っております」――

 松野博一は記者が他省庁での調査の例を示すと、前段では文書の「内容の方向性に関しては、まさにこれは政策の形成過程に関わると思われる」とその内容を指摘した上で、他省庁での調査の例に関係なく「文部科学省において政策決定過程に関してのものは公表しない」と公表しないことの理由を挙げている。

 だが、後段の説明では文書やメールには「明らかな違法行為」は認められないし、「法定調査」に当たるわけでもないと調査しないことの正当性を主張している。

 松野博一は民進党が提示した8つの文書の存在について5月17日の衆議院文科委で事実確認の約束をし、2日後の5月19日に「該当する文書は確認できなかった」と調査結果を公表した。

 前段の説明でだけでは、いわば「政策決定過程に関してのものは公表しない」としただけでは文書の存在を認めることになって、その内容が独り歩きし、安倍晋三や文科省にとって良からぬ憶測が流布することになる。このことを回避するためには文書は存在しなかったという調査結果を前提としなければならない。

 但し矛盾が生じる。文書の内容は「政策の形成過程に関わると思われる」が、「政策決定過程に関してのものは公表しない」と、存在しない文書を公表しない対象に加えていることになるからだ。

 いわば文書が存在していて初めて、「政策決定過程に関してのものは公表しない」との説明が公表しないことの理由付けとして合理性を持つ。

 文書は確認できなかったとした以上、その内容が政策決定過程に関するものであろうとなかろうと問題とはせずに、ただ単に文書やメールには「明らかな違法行為」は認められないし、「法定調査」に当たるわけでもないから再調査対象にはならないとしてのみ初めて合理性を持つ説明となる。

 だが、合理性ある説明とはならない説明で再調査しないことの理由としている。このことと浅野専門教育課長に確認しさえすれば、メールの出本も入手経緯も判明するものを、その確認さえしない非合理性、さらに公表されている文科省作成とされている文書と今回民進党議員今井雅人が入手したメールに書いてある「これは総理のご意向だと聞いている」、「官邸の最高レベルが言っていること」等の文言と照らしわせると、加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三が政治的な便宜供与を与えた疑惑は、安倍晋三自身や菅義偉、松野博一、その他その他、内閣ぐるみで否定しようとも極めて濃厚となる。

 一国の首相の特定の個人や団体に対する政治的な便宜供与は極めて重大な職務違反となる。このことが疑惑の段階であったとしても、その疑惑を調査・解明しないばかりか、逆に内閣ぐるみで隠蔽を謀るとしたら、一流の法治国家とは言えず、法も何もない二流の国家になり下がる。

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文科省作成文書から浮かんでくる安倍晋三作図、関係閣僚完成の国家戦略特区加計学園獣医学部新設

2017-06-07 08:42:41 | 政治
 
 学校法人加計学園岡山理科大学が国家戦略特区指定を受けた愛媛県今治市に獣医学部新設の特定事業に応募し、認定された経緯を巡って安倍晋三の政治関与・口利きがあったのではないのかと疑わせる文科省作成の文書が朝日新聞の手で世に出た。

 7通とか8通と言われているその文書の全文を知りたいと思って民進党のオフィシャルサイトに何度もアクセスして探したが見つけることができなかった。見つけ方が悪かったのかもしれないが、情報は簡単に見つかる仕組みになっていなければ、情報活用能力の問題に関わってくる。特に民進党は国民の支持によって成り立っている政治集団である以上、自分たちの活動状況を伝える情報は簡単に見つかる仕組みになっていなければ、支持に応えることにならない。

 分かりにくい一例を挙げると、過去の国会質疑を知りたいと思ってそのコーナーを開くと、各議員の国会質疑と共に東京都議選の候補者の応援とか、野田幹事長の秋田県大館市の支持者との座談会とか、与野党国会対策委員長会談とか、代表だけではなく、代表代行、幹事長、政調会長の記者会見まで混ぜこぜ、一緒くたに表示してある。

 国会質疑は国会質疑、支持者との座談会は座談会、他党との会談は会談、記者会見は記者会見、それも役職別にそれぞれページを分けておけば、情報を入手し安くなると思うのだが、簡単には見つけることができない仕組みとなっている。

 加計学園に関わる文科省作成の文書などはトップページに置いておくべきだと思うが、見つけることができない。国民との素早い情報共有という点で損をしているように思うのだが、どうだろうか。

 仕方なくネットを探して、《加計文書の全文公開 内閣府の圧力と加計学園ありきの対応 要件もでっち上げ : 大和民族の団結│日本人の誇りを取り戻せ》/2017年5月19日)なるサイトから拝借することにした。  

 文書は7通となっている。7通全体を通して何が見えてくるかである。

 文書は全て画像で載せてあったから、何らかの記事作成時に他者利用できるように文字文章に変えた。題名は太字に変え、文書ごとに読みやすいように水平線で区切った。

      獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項

○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間は掛けられない。

 これは官邸の最高レベルが言っていること。山本大臣も「きちんとやりたい」と言っている。文科省メインで動かないといけないシチュエーションにすでになっている。

○国家戦略特区における獣医学部新設に係る方針については以下2パターンが考えられる。(今週、来週での対応が必要)

・内閣府・文科省・農水省による方針を作成(例:成田市「医学部新設」)

・国家戦略特区諮問会議による方針の決定(例:「民泊」)※諮問会議には厚労大臣も出席。

○今治市分科会において有識者からのヒアリングを実施することも可能。
 
 (成田市分科会では、医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取(反対派は呼んでいない)。)

○獣医学部新設を1校に限定するかは政治的判断である。

        大臣ご指示事項

 以下2点につき、内閣府に感触を確認して欲しい。

○平成30年4月に開学するためには、平成29年3月に設置認可申請する必要があるが、大学として教員確保や施設設備等の設置認可に必要な準備が整わないのではないか。平成
 31年4月開学を目指した対応とすべきではないか。

○麻生副総理、森英介議員など獣医学部新設に強く反対している議員がいる中で、党の手続きをこなすためには、文科・農水・内閣府の部会の合同部会もしくはPT を設置して
 検討を行うべきではないか。少なくとも、衆院福岡6区補選(10月23日投開票予定)を終えた後に動くべきではないか。

※鳩山二郎氏(鳩山邦夫元総務相次男、全福岡県大川市長)、蔵内謙氏(日本樹医師会長長男、林芳正前農相秘書が候補者)

      大臣ご確認事項に対する内閣府の回答

○設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。

○規制緩和措置と大学設置審査は、独立の手続きであり、内閣府は規制緩和部分を担当しているが、大学設置審査は文部科学省。大学設置審査のところで不測の事態(平成30年
 開学が間に合わないこと)はあり得る話。関係者が納得するのであれば内閣府は困らない。

○「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にか
 ける必要あり。

○農水省、厚労省への会議案内等は内閣府で事務的にやるが、前面に立つのは不可能。二省を土俵に上げるのは文部科学省がやるべき。副長官のところに、文部科学省、厚生労
 働省、農林水産省を呼んで、指示を出してもらえばよいのではないか。

○獣医は告示なので党の手続きは不要。党の手続きについては、文科省と党の関係なので、政調とよく相談して欲しい。以前、官邸から、「内閣」としてやろうとしていること
 を党の部会で議論するな、と怒られた。党の会議では、内閣府は質疑応答はあり得るがメインでの対応は行わない。

○官房長官、官房長官の補佐官、両副長官、古谷副長官補、和泉総理大臣補佐官等の要人には、「1、2ヶ月単位で議論せざるを得ない状況」と説明してある。

      義家副大臣レク概要(獣医学部新設)

○平成30年4月開学で早くやれ、と言われている。手続きはちゃんと踏まなければいけない。

○(国家戦略特区諮問会議決定について、)教育と民泊は違う。一緒にされては困る。

○農水省や厚労省は逃げているのか。

○官邸はどうなっているのか。萩生田副長官に聞いてみる。

 やれと言うならやるが、閣内不一致(麻生財務大臣反対)をどうにかしてくれないと文科省が悪者になってしまう。

○農水大臣にも需給はおたくの話でしょ、と話してみる。

○本件は預かる。また連絡する。

 10/4 義家副大臣レク概要

○私が萩生田副長官のところに「ちゃんと調整してくれ」と言いに行く。アポ取りして正式に行こう。シナリオを書いてくれ。

○斎藤健農水副大臣に、「農水省が需給の部分をちゃんと責任を持ってくれないと困るよ」と話した際はには「何も聞いていない。やばい話じゃないか」という反応だった。

     10/7萩生田副長官ご発言概要

○再興戦略改定2015の要件は承知している。問題は、「既存の大学・学部では対応が困難な場合」という要件について、例えば伝染病研究を構想にした場合、既存の大学が「
 うちの大学でもできますよ」言われると困難になる。

○四国には獣医学部がないので、その点では必要性に説明がつくのか。(感染症も、一義的には県や国による対応であるとの獣医師会の反論を説明。)

○平成30年4月は早い。無理だと思う。要するに、加計学園が誰も文句を言えないような良い提案をできるかどうかだな。構想をブラッシュアップしないといけない。

○学校ありきでやっているという誤解を招くので、無理をしない方がいい。

○福岡6区補選選挙(10月23日)が終わってからではないか。

○文科省だけで、この案件をこなすことは難しいということはよくわかる。獣医師会や農水関係議員との関係でも、農水省などの協力が必要。

○私の方で整理しよう。

 10月19日(水)    北村直人元議員(石破元大臣同期)→専門教育課牧野

○18日、石破大臣と会って話をした。ご発言は以下の通り。

・党プロセスは今後どうなるのか。党プロセスを省くのはおかしい。

・総務会に上がってくるマターではないのか。もし議題に上がってこないなら、私が総務会の場で持ち出すことはやぶさかでない。タイミングを教えてくれ。

※総務会は、村上誠一郎議員や北村誠吾議員(自民党獣医師問題議連事務局長)が在籍。 

○政治パーティーで山本国家戦略特区担当大臣と会って話をした。ご発言は以下の通り。

・4条件がきちんと守られるようウォッチする。ただ、(新設のための)お金がどうなるのかを心配している。

○麻生大臣は野田秘書に以下のように話していたとのこと。

・自分は総理から本件関係で何も言われていない。この話を持ち出されたこともない。だからもう(やらない方向で)決着したのだと思ったくらいだ。

・(野田秘書から最近の状況を話し、)そうか・・・。

 書いてある事実はマスコミ記事等で伝えている事実と並行している。文書全体から浮かんでくる構図は安倍晋三が今治市に戦略特区を指定して、そこに加計学園樹医学部を平成30年4月に開学できるようにはめ込む絵を描き、描いた絵通りの指示を文科大臣や義家副大臣、規制改革担当相の山本幸三や官房副長官の萩生田等に指示、こういった連中にその絵の完成を任せたというものである。

 最後に、「教育と民泊は違う」と書いてあるが、「民泊」に関して私自身知識がなかったから、ネットで調べてみると、訪日外国人旅行者の急増によって不足する宿泊に対応するために一般家庭や空き家でも受け入れ可能とする「民泊新法」(住宅宿泊事業法)のことで、民泊がホテルや旅館等の既得権益と利害を対立させていて、利害の対立部分を宥めなければならなかっただろうから、一般的には利害克服という点で獣医学新設とは桁違いに難しいという意味になるが、獣医学部新設が安倍晋三の政治関与・口利きによる決定だとしたら、決定に関わった人間たちの「下手をするとクビが飛ぶぞ」といった保身上の利害を絡めていて、「教育と民泊は違う」と比較していた可能性が生じる。

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加計学園疑惑:安倍晋三の「国家戦略特区は仕組みとして介入する余地がない」の答弁は疑惑は事実の証明

2017-06-06 12:09:59 | 政治

 安倍晋三が昨日、2017年6月5日の参院決算委員会で加計学園安倍政治関与疑惑問題で民進党議員の平山佐知子に対して「国家戦略特区は仕組みとして介入する余地がない」と答弁したと2017年6月5日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていたから、ウソつけと思いながら、YouTubからその質疑の動画をダウンロードして関係個所のみを文字に起こしてみた。

 平山佐知子は2016年7月の参院選挙の静岡県選挙区から立候補、当選したばかりで、1年経過に1カ月足りない新人だが、立候補前はNHKの静岡局でニュース番組のアナウンサーを務めていた。

 全国ニュースは極力見る習慣としているが、地方局のニュースはチャンネルを切り替えてしまうことが多いから、顔を知っている程度の知識しかなかった。

 経歴を「Wikipedia」で改めて調べてみて、1971年生れの46歳だとは、顔が若く見えたから、驚きだった。

 平山佐知子はロンドンのテロに抗議の意と犠牲者に対する見舞いを述べてから、加計学園問題の追及に入った。
 
 平山佐知子「加計学園の問題について総理にお伺いします。先週の金曜日に新たなメールが出てきました。文科省の専門教育課の担当者名で少なくとも10人以上にメールが送られたというものです。

 これまでこうしたメールの他、様々な文書、それから証言、次々と今出てきています。もうこれ、総理が指示をされ、関与したということは明らかになっていると私は思うのですが、改めて総理、今回の加計学園獣医学部新設に当たって、総理は関与していらっしゃるでしょうか」

 安倍晋三「先ず従来から申し上げておりますように全く関与していないと。また、関与できないという仕組みになっているということもこう申し上げておきたいと、このように思います。
 
 ま、仕組みとしてではですね、ま、これはご承知だとは思いますが、国家戦略特区諮問会議に於いてしっかり議論がなされ、そこで決まるわけでございます。私がどこにするということの指示を出したことも勿論ありませんし、出せない仕組みになっているわけでありますし、ま、そこで民間議員のみなさんはですね、こういう議論(安倍晋三が関与し、指示を出したという議論)があることに憤っておられるわけでございます」

 平山佐知子「指示していないというふうにおっしゃいました。色々と伺って参りたいと思いますけども、森友問題では文書はないとおっしゃる。今回の加計学園問題に関しては文書が出てきたら、怪文書だと切りつけて、さらにはしっかりと調べもしないのに、これは確認できない、もう調べないというふうに仰る。

 これ、総理が関与していないのなら、しっかり立証する責任が総理にはあると思うんですが、それ如何でしょうか」

 安倍晋三の答弁に対する平山佐知子のこの切り返しを聞いて、これではダメだと思った。「立証する責任が総理にはあると思う」と言っているが、安倍晋三から、「疑惑があると言うなら、言う方がその疑惑を物証を示して立証すべきだ」といった趣旨の答弁を何度されて、何度追及をかわされてきたことか、何も勉強していないようだ。

 安倍晋三は案の定、同じ趣旨の答弁で逃げた。

 安倍晋三「あの委員はですね、質問されるんであれば、事実、事実を知って、しっかりと確認して頂きたいと思いますが、先ず森友のですね、今、『何言ってるんだよ』と場外から汚いヤジがございましたが、ま、これは民進党にありがちな、ヤジでございますが、あのいわば、いわばですね、森友文書につきましては財務省がですね、理財局で調べたわけでございます。理財局が答弁しているわけでございます。

 しかしまた、私達が怪文書ということは私は申し上げていないわけでございまして、えー、これをいわば事実は事実として押さえてから、質問をして頂きたいと、こう思う次第でございます。

 先程から申し上げておりますように、えー、これは私が関与したということであれば、関与した証拠を見せて頂きたい、こう思うわけでありまして、私が関与していない・・・、後ろからですね、あのみなさん、静かな雰囲気で、ヤジり倒すということはですね、えー、どういうことかと思うわけでありますが、宜しいでしょうか、皆さん落ち着きました?

 ハイ、これはですね、こういうことについてはですね、いわば立証責任はですね、それはそこに問題があるんだと言う方が立証するのは当然なことであろうと。そして証拠を以ってですね、これは示すことが当然のことであろうと、こう思う次第でございます」

 同じ回答を引き出す時間のムダを費やしただけのこととなった。

 平山佐知子は立証できない埋め合わせにだろう、疑わしい事実を並べることに代えるささやかな抵抗を見せることしかできなかった。前川前事務次官は文書は本物だと言っているとか、マスコミの報道を借りて、文科省の現役の方が文書を共有していた、メールはパソコンに残っていると言っていたとか。

 そして文書が存在したかどうかは水掛け論になるから、この質問はあとに持っていくと言って、別の質問に変えることになった。

 安倍晋三が「立証責任はですね、それはそこに問題があるんだと言う方が立証するのは当然のこと」と言ったとき、平山佐知子は「立証責任が当方にあるというなら、その責任を果たすために前事務次官その他の証人喚問を認めて欲しい」と臨機応変の追及がなぜできなかったのだろうか。

 2017年5月30日の参院法務委員会でも民進党の小川敏夫は安倍晋三から疑惑があると言うなら、「小川さんはそれを証明して頂きたい」と言われながら、「証明の重要な機会として参考人招致を認めて貰いたい」(当時は証人喚問ではなく、参考人招致を求めていた)と巧みに切り返すことができずに、「総理は私の方で立証しろと仰っている。別にこれ、裁判の場ではありませんから、私が立証する責任はありません。政治はですね、政治を行う者が疑惑を招いたら、自らその疑惑を払拭するために説明するというのは政治家の責任ではないでしょうか」と、ごまめの歯ぎしりにしかならない反論を試みていた。

 殺人事件が起きた。警察はある人物を容疑者として特定した。その人物が殺人を犯したことを立証する責任は警察にあるのであって、その人物にはない。容疑者が自ら殺人事件を立証したとしたら、一遍の喜劇ができ上がる。

 勿論自白ということはあるが、自白はあくまでも警察の取調べという立証の過程で生じる一つの事態に過ぎない。

 確かに安倍晋三が疑惑を招いた。だが、そこに疑惑を見た、あるいは疑惑の構図を見たのは野党やマスコミ、国民の何割かであるが、安倍晋三が自ら疑惑を立証することはあり得ないことであって、当然、期待してはならないことになる。疑惑の立証はあくまでも後者の責任としなければならない。

 そして国会の場での野党の疑惑の立証は追及の方法・内容に頼るしかない。

 安倍晋三は平山佐知子の最初の質問に対して「関与できないという仕組みになっている」と答弁し、改めて「国家戦略特区諮問会議に於いてしっかり議論がなされ、そこで決まるわけでございます。私がどこにするということの指示を出したことも勿論ありませんし、出せない仕組みになっている」と答えている。

 だが、2017年3月13日の参院予算委で社民党の福島瑞穂が安倍晋三に対して加計学園疑惑を追及したとき、このような“関与できない仕組”について一言も言及していない。

 国家戦略特区諮問会議(正式名:国家戦略特別区域諮問会議)の議長は首相の安倍晋三なのだから、もし首相が“関与できない仕組”となっていることが事実なら、そのことは最初から弁えていた認識であるはずだから、福島瑞穂の2017年3月13日の疑惑追及に対してその時点で、関与できない仕組”を縷々説明しなければならなかったはずだ。

 だが、安倍晋三はそういった答弁は一切せずに「例えばですね、それ今治市が(獣医学部建設の土地を)タダで提供されたと言うことについて、これおかしいだろうという週刊誌がありますが、20年の間にですね、25例あるんですよ。20年の間にですね、25例あってですね、これはタダで、いわば土地が譲渡された例ですね、いわば貸与されている例はもっとあるんです」と答弁しているが、地方自治体が自らの所有地をタダ、つまり無償で法人に提供した例が「20年の間にですね、25例」あろうがなかろうが、今治市の市有地を新設獣医学部設置の土地として無償提供することへの口利きや政治的圧力の関与を否定する証明とはならない。

 世の中に善行がゴマンとあることを以って自分の行いの全てを善行だとするようなものである。

 安倍晋三はまた、「今治市が、今度市がですね、決めたことでしょ?これ、市ですから、国有地ですらないわけですから、私、影響がしようがないじゃないですか」と抗弁しているが、首相ともなれば、地方政治家にも広い人脈を抱えているはずで、国有地でなくても、影響力を行使できないことの証明とはならない。

 いわば安倍晋三は証明とはならない事実を挙げて疑わしいことは何もしていないことの理由付けにしようとした。国家戦略特区諮問会議決定には首相は“関与できない仕組”となっていることを認識していたはずで、事実その通りの仕組みになっていて、その通りだと相手が理解できるように説明できればの話だが、その説明だけで福島瑞穂を納得させることができたはずだ。

 もし安倍晋三がそういった簡単な答弁を用いていたなら、「福島さんね、特定の人物の名前、あるいは役所の名前を出しているんであれば、何か政治によって歪められているという確証が無ければですね、その人物に対して極めて私は、失礼ですよ」とか、「今ここまであなたがですね、疑惑があるが如くにしているじゃないですか。知人に対して質問しているわけであります。名前を出しているわけじゃないですか。名前を出した。しかも学園の名前も出していますよね。それは生徒の募集にも大きな影響を与えますよ。

 これ、あなた責任取れるんですか。私はそう問いたい。これね、NHKで放送されて、全国放送でされるんですね。私は驚くべきことであります」と感情的にならずとも冷静でいられたはずだ。

 なぜこのように感情的にならざるを得なかったと言うと、首相は“関与できない仕組”は前々からそのようには認識していたわけではなく、疑惑追及回避のために新たに作り出した口実に過ぎないからだ。

 新たに設けた口実で自身の清廉潔白の証拠付けとしなければならないのは疑惑が事実だからに他ならない。

 疑惑が事実ではなく、国家戦略特区諮問会議決定には首相は“関与できない仕組”となっていることが真正な事実なら、国会でその疑惑を最初に追及された時点で反論の最有効な、あるいは疑惑否定の最有効な説明の言葉としなければならなかったろう。

 しなかったこのことからも、逆に疑惑の事実証明にしかならない。

 平山佐知子は福島瑞穂と同じ参議院議員である。加計学園疑惑で質問に立つに際して、過去の国会質疑応答を勉強したのだろうか。勉強していたなら、臨機応変の質問ができたかもしれない。

 もし勉強していて、質問を臨機応変に変えることができなかったとしたら、先行き期待できないことになる。

 平山佐知子はその後も、「加計孝太郎さんが大親友であったことはずっと獣医学部新設したいという思いであったことを当然ながらご存知ですね」とか、「大親友の加計さんが獣医学部新設を希望されていたということは、『新設されればいいなー』と思っていたことはありますか」と答えるはずもないことを理解もせずに愚にもつかない質問を続けた。

 この質問の前に平山佐知子が[加計孝太郎さんとは親友ということで宜しいでしょうか」と質問したとき、安倍晋三から、「親友であることと私が政策に関与したということは全く別でございます」と答弁されている。親友という関係から口利きする構図と、親友でなくても口利きする構図は存在するのだから、単に親友をキーワードにしてストレートに口利きを引き出そうとしても相手は答えるはずはない。

 安倍晋三やその他の国会答弁の矛盾を衝いていくしか手はないように思える。

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加計学園前事務次官証人喚問:逃げる自公、追う野党、逃げるのは後ろ暗いところがあるから

2017-06-05 12:07:40 | 政治

 国家戦略特区を手続きとした加計学園の獣医学部新設決定過程で安倍晋三の便宜供与、あるいは政治的関与があったのではないかと疑われている問題で野党はその解明の鍵を握る文科省前事務次官の前川喜平の国会への参考人招致を求めていたが、先月末頃から、偽証した場合は罪に問うことのできる証人喚問に格上げして求めるようになった。

 昨日2017年6月4日のNHK「日曜討論」でも最後のコーナーで加計学園疑惑が与野党間で議論され、野党は前事務次官と関係者の一人とされる内閣総理大臣補佐官の和泉洋人(ひろと)の証人喚問を求めていた。
 
 与党自公は参考人招致のときも拒否し、証人喚問も拒否している。いわば逃げる与党、追う野党の構図を描いていて、その構図は昨日の「日曜討論」でも如実に現れていた。

 獣医学部新設決定は「総理のご意向」だとする文科省作成の文書の存在が表に出て、当時の文科省事務次官、現前事務次官の前川喜平が5月25日の記者会見で文書の存在は事実だと言い、「安倍晋三によって行政が歪められた」と証言した。

 但し与党と与党に同調する日本維新の会などは「行政が歪められた」と言うなら、前事務次官はなぜ在職中にそのことの異議申し立てをしなかったのかと批判、異議申し立てをしなかったことを以って前事務次官の証言の信用無さを狙う戦術に出た。

 では、議論の中から逃げる与党、追う野党の構図を描き出している個所を取り上げてみる。

 浅田均日本維新の会政調会長「事務次官の時代になぜ言わなかったのか。言う機会は散々あったのになぜ言わなかったのか。ボクはそれを問題にしたいですね」

 大串博志民進党政調会長「なぜ役人の時代に言わなかったのかと言うことも含めて証人喚問でしっかりと語って貰えばいいと思います。証人喚問で偽証すれば、罪になりますから、そのリスクを犯してでも出てくると本人(前川前事務次官)は言っております。

 本人を読んでやるべきだし、一方で相手方たる和泉総理補佐官、えー、『総理の口から言えないから、私が言うんだ』というふうに言われたと言われています。どっちが正しいことを言っているのか、ま、これは証人喚問を通じて両方に真実を語って貰えば、その場で解決できると思います」

 大串博志が、和泉総理補佐官が「総理の口から言えないから、私が言うんだ」と言っていることは前事務次官が在職中に和泉洋人と面会した際、「総理は自分の口から言えないから、自分が代わって言う」などと新設の決定を急ぐように言われたことを朝日新聞の取材に対して前事務次官が証言したことを指す。 

 上田勇公明党副幹事長「これはまあ、文部科学省としては(獣医学部新設に)反対であったと言っているんですけれども、内閣が決めたことです。閣議で決めたことです。

 当然それには事務次官も了解していることでありますから、今もう既に色んな報道のとこで色んなことを仰っているので、敢えて国会に来て、証人としてお話を伺う内容はないんじゃないかなという気が致します。

 えー、いわゆる報道とかでですね、なぜ文科省は反対してきたのかといったことは規制改革で反対なんだという理由をね、話をされているんであれば、それは行政の判断としてお受けすることはあるかもしれませんが、手続き上の瑕疵について一方的なお話はね、これ以上、国会で聞いても、何か新しい材料というのは出てこないと思います」

 公明党の上田勇はメチャクチャなことを押し通そうとしている。獣医学部新設決定は「内閣が決めた、閣議で決めた、事務次官も了解していることだ」と言っているが、決定過程、了解過程に一般的なルールに則らない安倍晋三という上からの無理強いな力が働いたのではないかという疑惑が持ち上がっていて、その真偽いずれかが焦点となっているのに対して全てを無視して表面的な推移だけを取り上げて、問題はないとしている。

 しかも、前川前事務次官は「既に報道機関に対して色んなことを発言している、国会に来て、証人として話をする内容はもうないのではないのか、新しい材料はないじゃないか」と証人喚問の不必要性を言い立てているが、前川前事務次官だけであったなら、上田勇が言う通りの可能性は否定できないかもしれないが、安倍晋三に代わって直接的な圧力をかけたとされる和泉総理補佐官も呼べば、二人の証言が衝突する場面によっては真偽を判断する新しい材料が出てこない保証はないし、新しい材料が出てこなくても、証言次第で真偽いずれかの心証を与えない保証はない。

 要するに合理的な理由とはならない理由で証人喚問は必要ないと言っているのだから、証人喚問を逃げているとしか言いようがない。

 上田勇のこの発言にこそ、証人喚問から逃げる与党、証人喚問を追う野党の構図が象徴的に現れている。

 当然、与党ぐるみで理由にはならない理由で証人喚問を逃げているのだから、決定過程に後ろ暗いところが存在するからだとしか理由付けはできないことになる。
 
 獣医学部新設が何ら後ろ暗いところのない、極く通常のルールに則った決定であったなら、証人喚問から逃げる与党といった姿勢を見せる理由は生じない。

 自民党政調会長代理の小野寺五典もこのコーナーの最初の方で無茶苦茶な論理で獣医学部新設の決定過程を正当化している。
 
 小野寺五典「この問題の本質をよく見ていくと、獣医学部を四国につくることが政治的に歪められたかどうかということだと思うんですが、私が不思議なのは、実は獣医師さん、ペットのお医者さんと思われる方は、そういう方は多いんですが、私の方の宮城の農村地域ですと、実は牛、豚のこれは飼育もそうですし、屠畜をして肉とする場合もそうですし、病原菌、病気に対する対策もそうですし、皆んな獣医さんなんです。

 ですから、公務員の獣医師さんが欲しいんですが、例えば宮城では20人募集しても、10人しか応募がない。岩手では18人募集しも、3人しか応募がない。足りないんです。

 ですから、獣医学部を早くつくって欲しいと思ったんですが、ずっと文科省は50年以上、(獣医学部新設を)止めていました。全国で獣医師の場所を見ると、北海道は3校あります。東北は2校、九州も2校あります。関東圏6校あります。

 ざっと偏在を見ると、実は四国にないんです。ですから、四国4県の知事はつくって欲しいと言っているわけですし、獣医師さんが足りないんで、色んな県では実は、奨学金を出して獣医師さんが是非来てくれとやってるわけです。

 こういうことを見ると、実は獣医師を四国に作るということは別に不思議ではないんだと思います。問題は加計学園と総理が仲がいいということで、これが表に出るだけで、実はこの結論は不自然ではないと考えれば、私は(野党が)何か政治的にうまくおかしくしているような感じがしています」

 ペット関係の獣医師は足りているが、牛や豚に関わる獣医師が不足し、なおかつ獣医師の地域的偏在という問題が存在しているから、四国に加計学園の獣医学部を新設しても別におかしい話ではないとの論理展開で、安倍晋三の政治的関与疑惑を否定している。

 だが、小野寺五典は獣医師の地域的偏在に関して矛盾したことを言っていることに気づいていない。獣医師養成大学が北海道3校、東北2校、九州2校、関東圏6校あるのに対して「宮城では20人募集しても、10人しか応募がない。岩手では18人募集しも、3人しか応募がない」と言っていることは学校数と地域偏在との因果関係はないことの証明でしかないからだ。

 一般の医師の地域偏在は都市部に集中することによって生じているが、獣医師の偏在は地域偏在という意味合いよりも、分野別偏在の性格が強いように思える。このことの証明のために農林水産省のサイトから、「分野別獣医師数」の画像を載せておいたが、小動物診療(ペット関係)に最も集中して15000人の人気分野となっていて、次に身分保障にしても各種手当がしっかりしている公務員が約9500人の人気分野、小規模経営が多い養豚や養牛関係の診療、種付け、出産を扱う極くごく地味な現場労働である産業動物診療が4300人程度と最も不人気分野となっていることが偏在を生んでいることのより大きな理由であるはずだ。

 獣医師養成大学が北海道3校、東北2校ありながら、岩手や宮城で公務員の獣医師が欲しいからと募集しても応募者が定員不足という現象は四国に獣医学部を新設してもペット関係にのみ就職が集中して、それも都市部、あるいは東京圏への就職が集中して、公務員の獣医師ばかりか、最も必要としている産業動物関係の就職は少数にとどまり、応募数に対して定員不足が生じる同じ現象が起きる可能性は否定できないことになる。

 と言うことは、獣医師の地域偏在、分野別偏在の是正と獣医学養成大学の設置とは別の政治的に解決しなければならない問題だということになる。

 にも関わらず、小野寺樹はそういった視点もなく、因果関係のない学校数と地域偏在を持ち出して四国での加計学園の獣医学部新設を正当化する根拠とし、しかも、「加計学園と総理が仲がいいということ」が「表に出るだけ」のこととし、それを野党が「何か政治的にうまくおかしくしている」と、野党が指摘している疑惑が存在しないことの根拠としている。

 この根拠とならないことを根拠とする論理の組立ては詭弁以外の何ものでもない。共産党の笠井亮が小野寺五典の詭弁を一言で切り捨てている。

 笠井亮「新設が必要かどうかじゃなくて、一番問題となっているのは(獣医学部新設の)決定過程が公平・公正かっていう問題だと思います」

 上田勇にしても小野寺五典にしても合理的な理由とはならない理由で、あるいは根拠とならないことを根拠にして加計学園獣医学部新設決定を正当化し、正当化によって証人喚問の不必要性の理屈としている。

 裏を返すと、いわば合理的な理由で、あるいは根拠となり得る事実で以って決定過程の正当性と証人喚問の不必要性を訴えることができないということは決定過程に後ろ暗いところがあるからだろう。

 そのことが証人喚問から逃げる与党、証人喚問を追う野党の構図となって現れている。

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加計学園:安倍晋三の前川氏は“総理のご意向”に「何で反対しなかったのか」の発言はその存在の逆証明

2017-06-04 11:15:21 | 政治

 安倍晋三が2017年6月1日、〈ニッポン放送の番組収録で、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設を「総理の意向」とした文書の存在を認めた前川喜平前文部科学事務次官を厳しく批判した。〉との書き出しの記事を「時事ドットコム」記事が同日付で伝えていた。 

 安倍晋三「私の意向かどうかは、確かめようと思えば確かめられる。次官であれば『どうなんですか』と大臣と一緒に私のところに来ればいい。
  
 (前川文科省前事務次官が「行政が歪められた」と主張していることに対して)何でそこで反対しなかったか、不思議でしようがない」

 安倍晋三のこの批判は文科省前川喜平前事務次官が2017年5月25日、東京都内で記者会見を開いて、加計学園新設認定は「総理のご意向」だとする文書の存在を認めたときの発言を捕まえて返す刀に利用したということなのだろう。

 前川前事務次官は5月25日の記者会見で次のように発言している。

 記者「もう一点、先程行政が歪められ、自分自身も責任を感じると言われた。どうして事務次官在任中に前川さんの自身の力で行政の歪みを正せなかったのか」

 前川前事務次官「私の力不足が第一の原因ではないか。もう一つは、極めて政治的な意味合いのある意思決定が必要だったんじゃないかと思います」(毎日新聞/2017年5月25日)  

 文科省の事務方のトップとして文科行政を取り仕切っている以上、在職中に政治の側から通常のルールに反する働きかけがあり、その誘導に同調したならまだしも、意に反しする思いを抱いていたなら、トップの責任として意に反する誘導を阻止すべきだったという批判は当然生じる。

 だが、そうしなかった。その責任は免れ得ない。責任の認め方が軽過ぎるという批判はあるかもしれないが、前川前事務次官は「私の力不足が第一の原因ではないか」とその責任を認めている。

 ただ、その責任を批判する側は、“総理のご意向”で行政が歪められたことを前提としなければならない。例えば官房長官の菅義偉は5月30日午前の記者会見で、前川前事務次官の証言を調査しない理由について、「前川さんが勝手に言っていることに、いちいち政府として答えることはない」と発言している。(asahi.com/2017年5月30日12時27分)

 これは行政が歪められたことを前提としない発言となっている。

 「勝手に言っていること」、いわば行政が歪められた事実が存在しなければ、勝手に言っていることの責任は生じるが、歪められた行政を事務次官としてなぜ正さなかったのかという批判は成り立たないことになる。

 いわば安倍晋三や菅義偉が行政を歪めた事実はないと断定する以上、文科省側からすると行政は歪められなかったことになるのだから、事務次官として歪められた行政をなぜ正さなかったのかと批判することは矛盾そのものとなるからだ。

 安倍晋三も2017年5月29日の参院本会議で行政を歪めた事実はないとの趣旨の断言を行っている。

 安倍晋三「(国家戦略)特区の指定や事業者の選定のプロセスは関係法令に基づき適切に実施しており、圧力が働いたことは一切ない」(asahi.com/2017年14時29分)     

 記事は、〈前川喜平・前文部科学事務次官が25日の記者会見で「行政がゆがめられた」などと語ってから、首相が公の場で問題について説明するのは初めて。〉と解説している。

 要するに加計学園獣医学部新設決定のために文科行政を歪めるような圧力を掛けた事実は一切ないと断言していることになる。当然、そのような事実はないとしている以上、前川前事務次官から行政を歪められたと言われる事実も存在するはずはないとする前提で筋立てた発言を押し通さなければならないことになる。

 先に触れたように行政が歪められた事実が存在しなければ、歪められた行政を事務次官としてなぜ正さなかったのかという批判は成り立たないことになるのと同じ論理で、もし安倍晋三が「総理のご意向」を用いて圧力を事実加えていなかったなら、いわば文科行政を決して歪めていなかったなら、「(国家戦略)特区の指定や事業者の選定のプロセスは関係法令に基づき適切に実施」していたことが事実そのものとなって、「次官であれば『どうなんですか』と大臣と一緒に私のところに来」ようがないし、「そこで」あろうと、どこであろうと、「反対」しようがないことになるからである。

 にも関わらず、安倍晋三のニッポン放送の番組収録での「私の意向かどうかは、確かめようと思えば確かめられる。次官であれば『どうなんですか』と大臣と一緒に私のところに来ればいい」という前段の発言にしても、「何でそこで反対しなかったか、不思議でしようがない」という後段の発言にしても、逆に行政の歪みを前提とした筋立ての発言となっている。

 安倍晋三は自身では「総理のご意向」を用いた圧力を否定しているつもりでも、この発言によって実際には圧力をかけたことを認めているのである。

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安倍晋三の5月31日アフガニスタンテロへのメッセージ発出はそれが欧米諸国偏向への非難を恐れたからか

2017-06-03 11:42:12 | 政治

 昨日2017年6月2日の「ブログ」で、安倍晋三が欧米諸国で発生したテロ事件に関してのみ発生国の首脳と電話会談をするか、メッセージを送ってテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼の意、そして連帯等を表明するが、欧米諸国以外の中東諸国、その他の国のテロ事件に対しては発生国の首脳と電話会談もせず、メッセージも送らず、それらの表明は外務報道官談話で済ませていたことを差別ではないかと指摘し、2017年4月20日夜、フランスのパリ中心部にあるシャンゼリゼ通りで発生した過激派組織「イスラム国」による警察官襲撃テロ(1名死亡)の際にフランスのオランド大統領に送ったメッセージの文言、「文明世界全体に対する攻撃」だとする、欧米諸国のみがさも文明世界であるかのような表現から窺うことができる安倍晋三の認識を差別ではないかと指摘した。 

 ところが昨日2017年6月2日 13時45分付けの「NHK NEWS WEB」記事が、安倍晋三が先月5月31日にアフガニスタンの首都カブールで発生したテロ事件に対してアフガニスタンのガニ大統領にテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼の意、そして連帯等を表明するメッセージを送ったことを伝えていた。

 アフガニスタンは欧米諸国の一国ではない。だとすると、上記差別ではないかとする、少なくとも前段の指摘は誤っていることになる。

 具体的にどういう文言となっているのか外務省のサイトにアクセスしてみた。年号の平成を西暦に変えた。

 カブールにおける爆発事案を受けた安倍内閣総理大臣及び岸田外務大臣の弔意メッセージの発出(外務省/2017年6月2日)      

 1 本2日,5月31日(現地時間同日)にアフガニスタンのカブールにて大規模な爆発を伴う攻撃が発生し,多数の死傷者が出たほか,我が国大使館関係者も負傷し,我が国大使館にも物的被害が生じたことを受け,安倍晋三内閣総理大臣からモハンマド・アシュラフ・ガーニ・アフガニスタン大統領 (H.E. Dr. Mohammad Ashraf Ghani, President of the Islamic Republic of Afghanistan)に対して,テロへの強い非難,犠牲者の方々に対する哀悼と負傷者へのお見舞い,アフガニスタンへ連帯を表明する旨のメッセージを発出しました。

 2 また,岸田文雄外務大臣からサラフッディーン・ラバニ外務大臣(H. E. Mr. Salahuddin Rabbani, Minister of Foreign Affairs of the Islamic Republic of Afghanistan)に対しても同様のメッセージを発出しました。

 2017年5月31日のアフガニスタンのテロは具体的な時間は午前8時半頃(日本時間午後1時頃)で、具体的な事件内容はアフガニスタンの首都カブールの各国大使館が集中する地区で飲料水の運搬車を装って爆発物を積み込んだ大型車が爆発、少なくとも90人が死亡、400人以上が負傷したとマスコミは報じていた。

 安倍晋三と岸田文雄のメッセージの発出時間は正確には知り得ないが、少なくとも1日半以上は置いている。

 一般的には安倍晋三が欧米諸国のテロに対して電話会談を行う場合もメッセージを発する場合もテロ発生当日か翌日となっているが、ロンドン中心部の英国会議事堂周辺で発生したテロ事件のときは発生日時が2017年3月22日現地時間午後2時40分(日本時間午後11時40分)頃に対してイギリスのメイ首相と電話会談したのは3月24日と間に1日を置いているから、アフガニスタンの大統領に発出したメッセージが遅過ぎるということはあり得ないことになる。

 だが、外務省は既にテロ発生日時と同じ2017年5月31日に「外務報道官談話」を発している。昨日のブログにでも紹介したが、再度紹介することにする。

 カブールにおける攻撃について(外務報道官談話/2017年5月31日)  

1 本31日(現地時間同日),アフガニスタンの首都カブールの中心部において,大規模な爆発を伴う攻撃が発生し,多数の死者及び負傷者が出たことに,強い衝撃と憤りを覚えます。我が国は,亡くなられた方々及びご遺族に対し心から哀悼の意を表します。また,同攻撃により,我が国の在アフガニスタン日本国大使館関係者が軽傷を負うとともに,大使館施設にも物的損害が生じています。

2 このようなテロ行為は決して許されるものではなく,我が国は,これを断固として非難します。我が国は,あらゆる形態,目的のテロを非難し,いかなるテロ行為も正当化し得ないことを改めて強調します。

3 我が国は,アフガニスタンが同国の安定に向けて引き続き全力をあげることを期待します。我が国は,今後とも,関係者の安全対策に最大限配慮しつつ,アフガニスタンの安定に向けて支援を継続していく考えです。

(参考)
 5月31日(水曜日),アフガニスタンのカブールにおける我が国を含む各国大使館が集中する地区で,大規模爆発を伴う攻撃が発生。少なくとも80人が死亡し,350人以上が負傷した模様。この事案で,我が国大使館の窓ガラスが割れる等の損傷が発生。

 外務報道官とは外務大臣官房に置かれている外務省の内部部局の一つである外務報道官組織の長(局長級の総括整理職)だと「Wikipedia」が紹介していて、現在は丸山則夫なる人物が務めているようだ。

 テロ発生当日に局長級の外務報道官が欧米のテロ発生国に対して安倍晋三が普段行っている電話会談やメッセージとほぼ同じ趣旨のテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼の意、そして連帯(「アフガニスタンの安定に向けて支援を継続していく考えです」)を表明したあとに、しかも2日後に一国の首相と外務大臣が同趣旨のメッセージを発する順序に正当な一貫性を見い出すことができるだろうか。

 しかもこれまでは安倍晋三が欧米のテロ発生国に対して電話会談を行ったり、メッセージを発出した場合は「外務報道官談話」を発出していないし、テロ発生国に対して「外務報道官談話」を発出した場合は安倍晋三は電話会談も行ってもいないし、メッセージを発出してもいない慣例から見て、欧米諸国以外のテロ発生国に日本人が人質となったり、犠牲となった場合は除いて安倍晋三がメッセージを発出したのは今回のアフガニスタンが初めてという異例さから一貫性の欠如だけではなく、やはり欧米諸国と欧米諸国以外の中東諸国その他の国に対する差別を見ないわけにはいかない。

 昨日のブログにに記載したが、平成29年1月1日のトルコでの銃乱射テロ事件からから5月31日の上記アフガニスタン・カブール大規模テロ事件までの各国テロ事件に関する外務省サイトの「外務報道官談話」の一覧を再度記載してみる。

 談話の一覧はテロ関係以外の談話も載せてあるが、昨日のブログ同様にテロ関係のみを抜き出した。但し2017年1月10日アフガニスタン発生のテロに対する談話は忘れたのか、省いたのか漏れている。

 では、2017年1月10日アフガニスタン発生のこのテロに関して安倍晋三が電話会談かメッセージでテロへの怒り等を伝えたのかというと、外務省サイトの安倍晋三の「電話会談」の一覧にも、「メッセージ」の一覧にも記載されていないし、今回の安倍晋三と岸田文雄のアフガニスタン5月31日テロ以外には欧米諸国以外の国のテロに対する電話会談もメッセージも一覧には記載されていない。

 この一事を以てしても、アフガニスタン5月31日テロに関わる安倍晋三のメッセージは異例中の異例だということが分かるし、例えアフガニスタンのこのテロを加えたとしても欧米諸国に対する扱いとそれ以外の国に対する扱いに差別を見ないわけにはいかない。

 《「外務報道官談話」の一覧》

 ・カブールにおける攻撃について(外務報道官談話)(平成29年5月31日)
 ・エジプトのタンタ及びアレキサンドリアの教会におけるテロ事件(外務報道官談話)(平成29年4月10日)
 ・シリアにおける化学兵器使用報道について(外務報道官談話)(平成29年4月6日)
 ・ソマリアにおけるテロ事件について(外務報道官談話)(平成29年2月21日)
 ・パキスタンにおけるテロ事件について(外務報道官談話)(平成29年2月17日)
 ・カナダ・ケベック市における銃乱射事件について(外務報道官談話)(平成29年1月31日)
 ・エルサレムにおける車両テロ事件について(外務報道官談話)(平成29年1月10日)
 ・トルコ共和国イスタンブール市における銃乱射テロ事件(外務報道官談話)(平成29年1月1日)(外務省

 カナダのケベック市銃乱射テロ事件以外はすべて欧米諸国以外の中東等の国々となっている。

 カナダが欧米諸国の一員でありながら、ケベック市の銃乱射テロ事件が「外務報道官談話」の一覧に載っている理由は分からない。但しカナダのトルドー首相はこのテロ事件に関して安倍晋三から電話会談も受けていないし、メッセージを送られていないことは上記「電話会談」と「メッセージ」一覧に記載されていないことによって証明できる。

 このテロが電話会談やメッセージ発出から漏れた理由を昨日のブログで、〈テロの犠牲者がモスクで礼拝中のイスラム系カナダ人であり、さらに穿った見方をすると、トルドー首相がゲイに寛容で、イスラム系難民のカナダ入国に歓迎姿勢を見せているからなのだろうか。〉と書いた。

 いずれにしてもテロ発生に関わる「外務報道官談話」の発出対象国は殆ど欧米以外の国々で、安倍晋三の電話会談とメッセージ発出の対象国は今回の3月31日アフガニスタンテロに対してメッセージを発出するまでは全て欧米諸国であることが慣例となっていた。

 安倍晋三が実際に日本を含めた欧米諸国のみを「文明世界」だと見ていて、日本人優越意識に染まっている(日本政府の難民認定にも現れている)ことを併せ考えると、これまでテロ発生国に対する電話会談やメッセージ発出に欧米諸国以外は含まなかった差別扱いは十分に頷くことができる。

 では、「外務報道官談話」で済ませた場合は安倍晋三は電話会談もメッセージの発出を行わないことが慣例としていたにも関わらず、なおかつ局長級の談話の後に一国の首相がメッセージを発出するという順番が狂うことになるにも関わらず、その慣例を破ってまでしてアフガニスタン5月31日のテロに関しては安倍晋三はなぜメッセージを発出することになったのだろう。

 ほんの僅かだが、今まで差別扱いしていたことに対する是正となることから、差別から方向転換を図ったということであるはずだ。

 この方向転換のキッカケは何だったのだろう。昨日2017年6月2日午前11時28分エントリーの当ブログに「差別」と書いたばかりである。もしメッセージが午前11時28分以前の発出なら、安倍晋三自身か外務省の役人か誰かが電話会談やメッセージ発出が欧米諸国に偏向した差別となっていることに気づいて安倍晋三にご注進に及んで急いでメッセージを発出することになったのか、午前11時28分以降の発出なら、この記事の指摘に気づいた誰かが安倍晋三にご注進に及んで、差別隠しのために急いでメッセージを発出したということも考えられる。

 前者・後者いずれであったとしても、安倍晋三が欧米の一員であるフランスで発生したテロを「文明世界全体に対する攻撃」だと認識することはテロをつくり出す側を「文明世界」に反する野蛮な国と見做していることを意味して、そのような国々に欧米諸国以外の中東諸国等を置いている以上、どう差別隠しを謀ろうとも、表面的な隠蔽で終わるはずだ。

 安倍晋三の本心は変わらないということである。

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安倍晋三は欧米のテロには首脳と電話会談、連帯とテロへの怒りを表明、中東のテロにはそれがない、差別では

2017-06-02 11:28:31 | Weblog

 2017年5月22日現地時間夜10時過ぎにイギリスのマンチェスターにあるマンチェスター・アリーナで米国人気女性シンガーソングライター、アリアナ・グランデの公演終了後、観客が帰り始めたエントランス・ロビー付近で自爆テロが発生、22名が犠牲となり、120名が負傷した。犠牲者は若い年齢層のファンが多かったという。

 この事件を受けて、安倍晋三はテリーザ・メイ英国首相にメッセージを発出している。

 〈「親愛なるテリーザへ

 マンチェスターにおいて,音楽を愛する多くの若者が集まるコンサート会場で凄惨なテロが起きたことについて,大きな衝撃を受けています。

 日本国政府及び日本国民を代表して,犠牲となった方々に対し心からの哀悼の意を表するとともに,負傷された方々にお見舞い申し上げます。

 平和な暮らし,未来ある若者がテロの標的となりました。強い憤りを禁じ得ません。この困難な時に,心からの連帯を表明します。

 如何なるテロも,我々の結束を挫くことはできません。G7タオルミーナ・サミットにおいて,テロに断固として立ち向かうG7の強い決意を表明したいと思います。日本は,引き続き英国をはじめとする国際社会と手を携えて,テロと闘う決意です。〉(外務省)     

 メイ首相に対して親しみを込めてファーストネームで呼びかけ、テロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を表明している。

 2017年3月22日、現地時間午後2時40分(日本時間午後11時40分)頃、ロンドン中心部の英国会議事堂周辺で発生したテロ事件のときも、安倍晋三は3月24日にメイ首相と電話会談している。

 〈1 安倍総理大臣からメイ首相に対し,今般のロンドンでのテロ事件で犠牲となった方々への心からの哀悼の意を伝え,負傷された方々へのお見舞いを伝達しました。また,この困難な時に日本は英国国民と共にある旨を述べつつ,強い連帯を表明しました。

 2 両首脳は,卑劣なテロを断固非難し,テロに屈することなく,テロの根絶に向けて,G7の場を含めて国際社会の連携を一層深めていくことで一致しました。〉(外務省)   

 テロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等、同じ表明となっている。
 
 2017年4月20日夜、フランスのパリ中心部にあるシャンゼリゼ通りで発砲があり、警官1人が死亡、2人が負傷するテロ事件が発生した。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を発表。

 翌4月21日、安倍晋三はフランスのオランド大統領に見舞いメッセージの発出している。

 「この度,パリ一番の目抜き通りとして世界中から数多くの人々が訪れるシャンゼリゼで,テロが起きたことに,大きな衝撃を受けています。

 ここに日本国政府及び日本国民を代表して,犠牲者のご遺族に対し心からの哀悼の意を表するとともに,負傷者の方々にお見舞い申し上げます。

 このようなテロは,文明世界全体に対する攻撃であり,断固非難します。この困難な時に,フランソワ及びフランス国民の皆様に対し,心からの連帯を表明します。

 日本は,引き続きフランスを含む国際社会と手を携えて,テロと闘っていく決意です。我々の結束は,いかなるテロリズムにも勝ることを,フランスと共に,世界に示していきたいと思います。」(外務省)  

 テロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等、同じ趣旨の表明となっているが、「文明世界全体に対する攻撃」だテロを激しく非難している。

 安倍晋三は2015年11月13日(日本時間14日)にフランスのパリで同時多発テロ事件が起きたときもオランド大統領宛にメッセージを発出している。

 「パリで発生した一連のテロ行為により,多数の死傷者が出たとの報に接し,大きな衝撃と憤りを禁じ得ません。このような非道卑劣なテロは如何なる理由でも許されず,断固として非難します。

 ここに日本国政府及び日本国民を代表し,フランス政府及びフランス国民の皆様に連帯の意を表明します。また,全ての犠牲者及びその御家族の方々に心から哀悼の意を表すると共に,負傷者の方々に心からお見舞い申し上げます。この困難な時に,日本はフランスと共にあります」(外務省)  

 パリ同時多発テロ事件では死者130名、負傷者300名以上の大惨事を引き起こした。恐ろしい事件だが、中東ではテロとの戦いという名の戦争とテロ事件で一度に130名という死者を出さなくても、双方共に一般市民までを巻き添えにして、多くの死者が日々積み重ねられている。

 安倍晋三は2017年4月3日、ロシア西部のサンクトペテルブルクで地下鉄車両内で爆発が起き、11人が死亡、45人が負傷のテロ事件が発生したときはプーチンと電話会談を通して同じくテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を伝えている。

 〈1.安倍総理大臣から,プーチン大統領の故郷であり,ロシア文化の中心地であるサンクトペテルブルクにおける悲劇の報に強い衝撃を覚えた旨述べるとともに,犠牲者のご冥福を祈り,負傷者へのお見舞いを伝えました。

 2.また,安倍総理大臣は,いかなる理由であれ,卑劣なテロを許すことはできず,断固非難する,この困難なときに我々はロシア国民と共にある旨述べ,強い連帯を表明しました。


 3.さらに,安倍総理大臣は,テロの根絶に向け,ロシアと更に連携していきたいと伝えました。

 4.プーチン大統領からは,安倍総理大臣の言葉に感謝する,テロを根絶するために日本とともに協力をしていきたい旨述べました。〉(外務省)  

 2017年5月31日、アフガニスタン・カブールの各国大使館が集中する地区で大規模爆発を伴うテロ攻撃が発生。少なくとも90人が死亡、400人以上が負傷した。

 安倍晋三はアフガニスタン大統領アシュラフ・ガニーに対してテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を伝えるための電話会談も、メッセージの発出も行わなかった。

 代わりに外務省は5月31日に外務報道官談話を発表し、テロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を伝えた。

 〈1 本31日(現地時間同日),アフガニスタンの首都カブールの中心部において,大規模な爆発を伴う攻撃が発生し,多数の死者及び負傷者が出たことに,強い衝撃と憤りを覚えます。我が国は,亡くなられた方々及びご遺族に対し心から哀悼の意を表します。また,同攻撃により,我が国の在アフガニスタン日本国大使館関係者が軽傷を負うとともに,大使館施設にも物的損害が生じています。

 2 このようなテロ行為は決して許されるものではなく,我が国は,これを断固として非難します。我が国は,あらゆる形態,目的のテロを非難し,いかなるテロ行為も正当化し得ないことを改めて強調します。

 3 我が国は,アフガニスタンが同国の安定に向けて引き続き全力をあげることを期待します。我が国は,今後とも,関係者の安全対策に最大限配慮しつつ,アフガニスタンの安定に向けて支援を継続していく考えです。〉(外務省)   

 アフガニスタンでは2017年1月10日も大規模なテロ事件が発生している。少なくとも38人が死亡、72人が負傷とマスコミは伝えていた。このときは外務省報道官談話も発出しなかったようだ。外務省のサイトを探しても見つからなかった。

 外務省のサイトには平成29年1月1日のトルコでの銃乱射テロ事件からから5月31日の上記アフガニスタン・カブール大規模テロ事件までの各国テロ事件に対する「外務報道官談話」の一覧が載っているが、アフガニスタンでの2017年1月10日のテロに対する「外務省報道官談話」は記載されていない。忘れたのか、省いたのか。

 以下、一覧を載せておく。

 ・カブールにおける攻撃について(外務報道官談話)(平成29年5月31日)
 ・エジプトのタンタ及びアレキサンドリアの教会におけるテロ事件(外務報道官談話)(平成29年4月10日)
 ・シリアにおける化学兵器使用報道について(外務報道官談話)(平成29年4月6日)
 ・ソマリアにおけるテロ事件について(外務報道官談話)(平成29年2月21日)
 ・パキスタンにおけるテロ事件について(外務報道官談話)(平成29年2月17日)
 ・カナダ・ケベック市における銃乱射事件について(外務報道官談話)(平成29年1月31日)
 ・エルサレムにおける車両テロ事件について(外務報道官談話)(平成29年1月10日)
 ・トルコ共和国イスタンブール市における銃乱射テロ事件(外務報道官談話)(平成29年1月1日)(外務省

 上記テロ事件の内、カナダ・ケベック市のモスク(イスラム教礼拝所)で2017年1月29日夜(日本時間30日午前)発生の銃乱射によるテロ事件に関しては例外となるが、安倍晋三は主として欧米各国のテロ事件に対してのみ電話会談を通してか、メッセージを出すことでテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を伝えていて、欧米諸国以外の中東各国は「外務報道官談話」で済ませているようだ。

 安倍晋三がカナダのテロ事件についてはトルドー首相に対して電話会談かメッセージでテロへの怒り等を伝えずに外務報道官談話で済ませた例外はテロの犠牲者がモスクで礼拝中のイスラム系カナダ人であり、さらに穿った見方をすると、トルドー首相がゲイに寛容で、イスラム系難民のカナダ入国に歓迎姿勢を見せているからなのだろうか。

 欧米諸国以外に電話会談した例外として2016年7月1日にバングラデシュの首都ダッカにあるレストランで発生したテロ事件を挙げることができる。

 安倍晋三はシェイク・ハシナ・バングラデシュ首相と電話会談してテロへの怒りと非難のみを伝えている。

 〈(1)ダッカ市内のレストランにおいて武装グループが立てこもっている事案に関し,渡邉正人駐バングラデシュ大使から,事件に巻き込まれている可能性のある日本人の人命最優先で事件の対処にあたっていただきたいと要請していたところ。

 (2)先程,当局が突入したようだが,邦人の安否を含め事実関係の情報を提供いただきたい。

 (3)我が国から,事案対処のため,木原誠二外務副大臣と国際テロ情報収集ユニットを派遣するので,支援をおねがいしたい。

 (4)このような非道卑劣な行為はいかなる理由でも許されず,我が国は断固として非難する。〉(外務省)    

 犠牲者への哀悼と連帯を伝えていないのは事件が進行中だったからだろうが、欧米諸国の一員でないにも関わらず電話会談という一段上の格上扱いしたのは日本人が人質となっていたからだろう。

 犠牲者20人の内、7人の日本人が含まれていた。

 2013年1月16日発生のアルジェリの邦人人質テロ事件でも安倍晋三はアルジェリアが欧米諸国の一国でないにも関わらずアルジェリアのセラル首相と電話会談しているのは人質の中にやはり日本人が含まれていたからだろう。

 事件当時安倍晋三はベトナム、タイ、インドネシア3カ国を訪問中だったが、日本人が含まれていなかったなら、電話会談しなかったのではないかと疑うことのできる根拠は事件発生の報告を受けてから記者団に「人命優先」を盛んに言っていたにも関わらず、1月16日日本時間午後1時頃テロ事件発生から約1日後の1月17日日本時間午後8時半頃にアルジェリア軍が軍事作戦を開始した、その4時間後の1月8日日本時間午前0時30分になって初めて訪問中のタイからアルジェリア首相に電話していることを挙げることができる。

 1月17日にタイからイギリスのキャメロン首相と15分間の電話会談をしていたにも関わらずアルジェリア首相は後回しとなった。
 
 アルジェリア首相が軍等に対する指示で忙しかったというのは理由にならないはずだ。アルジェリア首相の何人かいる補佐官の一人に手の空いたときに5分でいいから電話をしてくれるように頼んでおけば、いくら忙しくても5分という時間をつくれないことはないからだ。

 安倍晋三とアルジェリア首相との電話会談から約5時間半後にアルジェリア国営ラジオが軍事オペレーションが終了した旨を発表している。

 いずれにしても欧米諸国以外でテロ事件が発生した国の首脳との電話会談は日本人がそのテロ事件に巻き込まれている場合に限るようだ。

 安倍晋三は上に挙げた2017年4月20日夜のフランスはパリ中心部のシャンゼリゼ通りでのテロ事件の際にオランド大統領に出した見舞いメッセージの中で、テロ全般に対してだろう、「文明世界全体に対する攻撃」だと強く非難した。

 この言葉と安倍晋三が主として欧米諸国のテロ事件に対してのみ電話会談を通してか、メッセージを出すことでテロへの怒りと非難、犠牲者への哀悼、そして連帯等を伝え、欧米諸国以外の中東各国に於けるテロに関しては「外務報道官談話」で済ませていることを関連付けると、「文明世界全体」とは欧米諸国のことを言い、欧米諸国以外の中東やアフリカ等は「文明世界」とは見ていないようだ。

 欧米諸国のテロ事件に関してのみ電話会談をするかメッセージを出すこと自体が中東諸国やアフリカ各国に対する差別に当たるはずだが、欧米諸国のみを「文明世界」と見る見識も欧米諸国以外の国に対する差別そのもので、安倍晋三は人種差別主義者の姿を取っていることになる。

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獣医学部新設は民主党政権時代に実現検討、安倍内閣が結果を出したは安倍晋三の新たな誤魔化しの一手

2017-06-01 12:46:13 | Weblog

 5月30日の参院法務委員会で民進党議員小川敏夫が安倍晋三相手に加計学園疑惑を追及したとき、安倍晋三は民主党政権を持ち出して、民主党政権も関わった獣医学部新設だといった趣旨の答弁をした。

 昨日のブログでは同委員会の小川敏夫と安倍晋三の質疑応答を動画から文字起こしして記事にしたが、小川敏夫のオフィシャルウエブサイトに記事として既に載っていたから、今回は「小川敏夫情報」(2017年5月30日参議院法務委員会)から関連する一部分を引用することにした。    

 安倍晋三「この獣医学部の新設については、民主党時代に、これはまさに民主党時代に平成22年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げしたわけであります。検討を続けてきたわけであります。国家戦略特区についても、これはまさに岩盤規制に取り組んでいくために国家戦略特区という仕組みが大切だということで、衆議院段階においては民主党も賛成されたわけでございます。

 それを踏まえて私たちはまさに岩盤規制にドリルで穴を空けるためにこうした努力を行っているわけでございまして、これを政局のために言わば抵抗勢力と手を組むかのごとくは、やはりこれは政治家としてどうなんだろうと、私は率直にそう思っているわけでございます。

 これからもしっかりとやるべき改革を全力をもって進めていきたいと、こう申し上げているところでございます」

 この答弁に小川敏夫は最後に反論している。

 小川敏夫「もっともっと安倍総理と、私が敬愛すると先ほど私のことを褒めていただきましたので、私も返させていただきますけれども、もっと議論をしたかったんですが、残念ながら時間が来てしまいました。

 一つだけ指摘させていただきます。民主党政権時代に特区特区と、これは構造改革特区でありまして、地域の要望があればそれに応じていくということでございます。しかし、総理が行ったのは国家戦略特区、まさに国家戦略で国家が決めていくということでございまして、政権の関与が全く異なります。そうしたことを抜きにして、あたかも民主党政権が築いた上に乗っかっているかのような総理の御意見は余りにも恣意的であるということを指摘させていただきまして、時間が来ましたので、残念ですが、私の質問はこれで終わります」

 民主党政権時代の特区は「総合特区」という名称で、「地域活性化総合特区」(41地域)と国際的な競争力をもつ産業を育てる目的の「国際戦略総合特区」(7地域)があるとネットでは紹介されている。

 小川敏夫が言っていることは民主党政権時代に設けていた総合特区は各地域の要望に対応して地域ごとに特区を設けて改革を進めていく仕組みだが、安倍政権の国家戦略特区は国が特区を決めて、そこに制度改革すべき事業を認定していくという仕組みだから、「政権の関与が全く異なる」ということのなのだろう。

 自身は理解していて言っているだろうが、聞いている方は具体像が明確に浮かんでこない。今治市の国家戦略特区に加計学園岡山理科大学の獣医学部新設が認定された経緯を改めて振返ってみる。

 2007年から2014年(計15回)今治市と愛媛県は獣医師の定員増の規制の地域解除を提案。

 2015年6月4日、今治市と愛媛県は第2次安倍政権が進めたアベノミクスの成長戦略の柱「国家戦略特区」に「国際水準の獣医学教育特区」を提案。

 2015年6月30日、安倍政権は「獣医師養成系大学・学部の新設検討」を盛り込んだ「日本再興戦略」改定を閣議決定。

 2016年1月、国家戦略特区諮問会議で愛媛県今治市その他が国家戦略特区に決定。

 2016年11月9日、国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」ことを決定。

 2017年1 月初め、内閣府と文科省は国家戦略特区諮問会議の決定を受けて、獣医学部設置の規定を一部改正、特区内で1校に限り獣医学部の設置申請を可能とする旨を告示。

 2017年1月11日までの応募受付けに対して加計学園岡山理科大学が応募。(この一校のみ)

 2017年1月20日、総理大臣より加計学園岡山理科大学獣医学部が正式に事業者に認定される。

 加計学園岡山理科大学獣医学部新設認定までの流れを見ると、初めから獣医学部新設に向けた安倍内閣の動きに見えてくる。

 安倍内閣の国家戦略特区ということについてはどの地域を特区に指定するか、指定した特区に於ける事業をどのようなものにするか、国が決める仕組みとなっているということなのだろうが、小川敏夫の発言は単に民主党政権と安倍政権の特区の性格の違いを示したに過ぎない。

 民主党政権の総合特区にしても、国の政治家の関与・口利きが入り込まない余地はないはずだ。勿論、同じことが安倍内閣の国家戦略特区についても言うことができる。

 また、安倍晋三が「民主党時代に平成22年度中を目途に速やかに検討と、前向きに格上げしたわけであります」云々と言っていることも、発言自体からは具体的に何を指しているのか、すぐには理解できない。

 加計学園の獣医学部国家戦略特区認定に関わった規制改革担当相の山本幸三が記者会見を開いて、安倍晋三が言っていることと同じことを喋っていることをマスコミが伝えていたが、2017年5月31日付「J-CASTニュース」が詳しく伝えているから、その模様をみてみる。
   
 5月30日の記者会見。

 山本幸三は「民主党政権も含めたこれまでの『獣医学部の新設』への対応」と題した文書を配布。

 山本幸三「平成19年(2007年)から8年近く、今治市が唯一の提案者として、提案を続けている。これに応えた(編注:民主党の)鳩山政権が、平成22年(2010年)3月の『対応方針』を『対応不可』から『実現に向け検討』に格上げする政府決定を行った。

 (今治市の提案には)大学設置母体は『学校法人加計学園』と明記されている。

 (また、民主党政権下の11年2月25日の衆院予算委員会で民主党議員の質問に当時の文部科学副大臣が)獣医師の確保について懸念があると認識し、特区実現に極めて前向きな答弁を行った」

 要するに民主党政権時代も今治市を総合特区に指定して、そこに獣医学部を新設することに前向きであったことを示すことで安倍晋三の国家戦略特区獣医学部新設決定は何の問題はないとの論理の展開となっている。

 この論理の展開はこの記事が紹介している5月30日午後の官房長官菅義偉の発言からも窺うことができる。

菅義偉「民主党政権の間『実現に向けて検討』ということでずっと来て、棚晒しになっていたものを、安倍内閣で今回結果が出た。それが客観的な事実で、何も、今、安倍政権になって、急に出てきたわけじゃない」

 山本幸三も菅義偉も、獣医学部新設に関係した政権それぞれの動きを述べたに過ぎない。但しこの両政権の動きを以って安倍政権の獣医学部新設認定に何の不正もないとするなら、安倍政権の今治市国家戦略特区加計学園獣医学部新設認定に安倍晋三が加計学園理事長の加計孝太郎と30年来の腹心の友であったとしても、そのことで加計学園から何らかの便宜要請もなく、安倍晋三側からも「総理のご意向」とばかりにその要請に応えて便宜供与を謀った事実もないことを証明しなければならない。

 その証明がなければ、民主党政権と安倍政権の獣医学部新設に関係した動きを同列だとすることはできないし、安倍晋三の便宜供与の疑惑を晴らすことのできる根拠とすることもできない。

 だが、安倍晋三、山本幸三、菅義偉三者が民主党政権を持ち出したことは同列だとすることで、指摘されている疑惑は何も存在しないとする意図をそこに込めているはずで、このような根拠とすることができないことを根拠とする無理なこじつけを必要とすること自体、疑惑が事実として存在しているからに他ならない。

 山本幸三が「平成19年(2007年)から8年近く、今治市が唯一の提案者として、提案を続けている」と発言していることは上記獣医学部新設認定の経緯で書き記した、2007年から2014年(計15回)に亘って今治市と愛媛県が獣医師の定員増の規制の地域解除を提案したことを指しているが、2013年(平成25年)時点で文科省が獣医学部の新設は困難だとしていたpdf記事がある。

 今月の視点 岡山理科大が52年ぶりの「獣医学部」新設目指す!旺文社教育情報センター平成29年2月)  

 <10年前から要望されていた四国地域の獣医師養成大学(学部)の設置>

 〇構造改革特区による規制緩和の提案

 獣医学部(学科等)の新設や収容定員増については、文科省告示に基づき抑制されている(後述)。そのため、愛媛県と今治市は、獣医師養成機関の空白地域であり、獣医師不足が指摘されている四国地域に獣医学部の設置が認められるよう「構造改革特区」(14年度創設)による規制緩和の提案(獣医師の定員増の規制の地域解除)を19年度から何度も行ってきた。

 しかし、例えば25年の特区提案に対し、文科省は次のように回答し、特区制度を利用した獣医学部新設は困難であるとした。

 〈獣医関係学部・学科の入学定員については、獣医師養成が6年間を必要とする高度専門職業人養成であるとともに、卒後取得する獣医師資格は全国どこででも活動可能な国家資格であるため、他の高度専門職と同様に、獣医師養成機能をもつ大学全体の課題として、全国的見地から対応することが適切。

 このため、これまで重ねて回答してきたとおり、特区制度を活用して実現することは困難と考える。文科省は、24年3月に「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(後述)を立ち上げ、獣医学教育改革の進捗状況の検証及び今後の推進方策の検討を進めるとともに、産業動物獣医師・公務員獣医師の育成に向けた今後の獣医師養成の在り方ついて、入学定員の在り方を含め、検討を行っている。提案内容については、今後も引き続き、全国的な見地から議論を進めていく。〉

 平成25年(2013年)は既に第2次安倍政権に入っていた。今治市と愛媛県の平成25年(2013年)の「四国地域の獣医師養成大学(学部)の設置」の要望に対して、「これまで重ねて回答してきたとおり」との文言で以前と同じ回答だと断って、「特区制度を活用して実現することは困難と考える」と文科省としての態度を示していた。

 にも関わらず、民主党政権時代に加計学園獣医学部新設の総合特区での新設に前向きだったことを根拠に恰も安倍政権の新設認定に何の疑惑もない根拠にしようと無理にこじつけている。

 どこから、どう考えても、疑惑隠しの苦肉の策として編み出した新たな誤魔化しの一手にしか見えない。

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