文科省再調査拒否が内閣ぐるみの首相の加計学園政治関与疑惑隠蔽が目的なら、二流の国家になり下がる

2017-06-08 12:12:24 | Weblog

 先に発見された加計学園獣医学部新設決定に関わる文科省作成文書と同様の内容を記した日時記載のメールを文科省職員から民進党議員に送付されてきたと5、6日前にマスコミが伝えていた。

 今朝、新たなブログ記事を書く都合から民進党のサイトにアクセスして、「加計学園 新たに見つかったメール」と文字を入力、検索すると、〈入力されたキーワードに該当する情報は見つかりませんでした。 〉との回答。検索文字を変えて検索したが、ヒットさせることができなかった。

 仕方なくネットで探すと、PDF記事で、「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」と「加計学園への伝達事項メール」名で公開されていることを知り、再度民進党サイトにアクセスして、上記文字を入力して検索すると、民進党議員今井雅人の6月5日衆院決算行政監視委員会での質問記事の中で紹介していた。   

 加計学園関係文書だけを纏めて紹介するといった使い勝手の良さを狙ったサービス精神はないようだ。

 PDF記事で紹介したメールは画像処理してあり、コピー&ペーストが効かない。ソフトを使って前者のメールのみWord文書に変換したが、完璧な処理ができないから、正確な文書にするためにかなり時間がかかった。以下紹介しておくが、読みやすいように「○」毎に段落を設けた。

 前者のメールのみをここに記載するのは先に発見された文科省作成文書の内容と重なる個所があるためである。

 藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)  

1.日 時:平成28年9月26日(月)18:30~18:55

2.対応者:(内閣府)藤原審議官、佐藤参事官、(文科省)浅野専門教育課

 長、-■■捕佐

3.概 要:

○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、
 共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レ
 ベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)。山本大巨
 も「きちんとやりたい」と言っている。


○成田市の医学部斬設の際には3省方針を作成したが、これは東北新設時に
 復興庁と方針を作成していたため、同じ形でやることとなったもの。内閣
 府としては方針作成が必要だと考えていないが、文科省として審査する際
 の留意点を出す必要があることは理解。

○クレジットは、内閣府と直接の規制省庁である文科省がマスト。関係省庁
 が入らないとできないわけでもなく、農水省・厚労省を入れたいのなら、
 文科省が動く必要あり。ドライに、両省が協力しないなら「彼らがやらな
 かった」と責任を負う形に持って行けばよい。いずれにしても第2回分科
 会で方針原案を決めるスピードでやる必要。

○(今治市構想について、獣医師会から文科省・農水省に再興戦略を満たし
 ていないと指摘する資料が届いており、簡単ではない旨の指摘に対し、)必
 要であれば分科会に獣医師会を呼ぶ。成田市分科会に医師会は呼んでいな
 いが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取した。反対派は呼んで
 ないが。有識者を呼ぷ回(ママ)を作った方がよけれぱやる。

○「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責
 任を取ることになる。早く政治トップの判断こ持って行く必要あり。文科
 省メインで動かないといけないシヂュエーションにすでになっている。

○(他の新設提案者はどうするのか、との問に対し、)成田市の際には、3省
 方針に「1校」と記載。諮問会議としては3省が決。めたことなど知ったこ
 ことではないが、方針を出さないと省として持たないということで作った。
 裏では政治的なやりとりがあった。

○3省方針ではなく、「民泊」(9月9日諮問会議資料2-2)のように、留
 意点や手当てを記載した1枚程度の方針を諮間会議として出すことも可能。
 ただ、当該会議の場には厚労大臣も出席して決定している。この方法は総
 理や山本大臣の負祖になるが、こちらの方が手続きは簡単。要素さえもら
 えれば、内閣府はすぐこの資料を作れる。今週来週でペーパーワークしな
 いといけない。

○今週とかそういう世界で早めに上に相談してくれ。

 メールの最初の「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)。山本大巨も「きちんとやりたい」と言っている。」ととしている個所は、先に文科省作成文書として朝日新聞が公開した「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」なる題名の中の

〈○平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間は掛けられない。

 これは官邸の最高レベルが言っていること。山本大臣も「きちんとやりたい」と言っている。文科省メインで動かないといけないシチュエーションにすでになっている。〉とほぼ同じ内容となっている。

 また、〈○(今治市構想について、獣医師会から文科省・農水省に再興戦略を満たしていないと指摘する資料が届いており、簡単ではない旨の指摘に対し、)必要であれば分科会に獣医師会を呼ぶ。成田市分科会に医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取した。反対派は呼んでないが。有識者を呼ぷ回(ママ)を作った方がよけれぱやる。〉としている文面は同じ「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」文書の、〈○今治市分科会において有識者からのヒアリングを実施することも可能。
 
 (成田市分科会では、医師会は呼んでいないが、文科省と厚労省で選んだ有識者の意見を聴取(反対派は呼んでいない)。)〉としている内容とほぼ同じとなっている。

 「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と開学の時期を前提に国家戦略特区を手続きとした獣医学部新設を認定するということは、そこに何らかの政治的な便宜供与が為されていなければできないことであり、〈これは官邸の最高レベルが言っていること(むししろもっと激しいことを言っている)〉と言うことなら、文科省作成の文書の一つとされている「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」の中で、獣医学部の〈設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。〉と記されていることからして、「官邸の最高レベル」とは安倍晋三を指し、安倍晋三が政治的な便宜供与の発信元ということになる。

 記事冒頭にリンクしておいた6月5日の「衆院決算行政監視委員会」記事には民進党議員今井雅人がこのメールが事実であるかどうか確認を求めたのに対しての文科相松野博一の答弁を紹介している

 松野博一「基本的にはメールを含む文書について、出所や入手経緯が明らかになっていない場合にはその存否や内容などの確認の調査を行うことは考えていない。前川氏の会見やご指摘のメール等も改めて調査を行うことは考えていない」

 マスコミ記事が松野博一の2017年6月6日の「定例記者会見」で、記者の質問に対して同じような答弁を伝えていたから、文科省サイトにアクセスしてみた。   

 記者「まず、国会でも問題になっております加計問題について、先週末に民進党から新たに文科省の職員と同姓同名という送受信宛先が入ったメールが公開されております。このメールについての、まず大臣の受け止めと、それから、これを受けて再調査を検討されるお考えがあるかどうかをお聞かせください」

 松野博一「昨日の国会の委員会でも質問いただき、答弁をさせていただきましたけれども、文書に関しては、民進党が検討チームが提示をされた8つの文書、またもう一つは、新聞掲載の文書に関しては、すでに調査をいたしまして確認されなかったという結果を発表しております。

 今回の民進党さんの方から提示をされたもの(メール)に関しても、入手経路や出元に関して、何らかお示しをされたものと承知をしておりませんので、状況等が変化をしたというような認識を、今、持っておりません」

 要するに松野博一は出所や入手経緯が明確でない文書やメールは確認の調査の対象にはなり得ないと、再調査を拒否した。

 メールに記してある文科省職員「浅野専門教育課長」は上記6月5日午前の衆院決算行政監視委員会で文科省高等教育局長の常盤豊が「同姓同名の職員は実際にいる」と認めていたが、この件に関しても次のように答えている。

 記者「(職員が実際に)存在したということであれば、出元が分かっているものとして調査するというお考えはないでしょうか」

 松野博一「提示されたメールに名前が記載されていたということと、それによって、出元、入手経緯が確定されたということは、事実の認定としてまた違うことであろうというふうに思っております」

 松野博一のこの答弁を翻訳すると、メール上の名前の記載によって「出元、入手経緯が確定されたことにはならない」という意味になる。だから、再調査はしないと。

 だが、本人に確認すれば、そのメールが事実かどうかはたちどころに判明する。その事実さえ判明すれば、メールのそもそもの発信元も芋づる式に判明するだろうし、浅野専門教育課長の入手経緯も判明する。そのメールが民進党議員に渡った入手経緯の調査は意味を成さなくなる。

 確認に対して本人が知らぬ存ぜぬを押し通して、メールは事実ではない、ガセネタに過ぎないとされたなら仕方がないが、本人に対して確認すらしない。

 記者がこの件につき、さらに質問している。

 記者「今回の新たな文書(メールのこと)に対して調査しない理由の一つとして、出所や入手経路が分からないということを理由に挙げられていますが、他の省庁では、例えば2014年の厚労省の不正入札での告発文書であったり、2015年の防衛省の安保法案成立の見通しについての内部文書についても調査は行われています。出所がわからないというのは根拠の一つにはあたらないのではないかと思うのですが、どうでしょうか」

 松野博一「まず、各省庁の判断についての真意は、手元にその省庁が今どういった判断があったかということに関して承知をしておりませんので、そのことに関しては言及を差し控えたいというふうに思いますが、これは文部科学省の判断として、出元が不明という文書というのは、様々な場面、あまたある可能性がございます。そこの調査に関して、これは行政リソースを統一するかどうかというのは、まさにその省庁による判断であろうかというふうに考えております。その中において、提示された文書というのが、今どの文書を御指摘されているのかちょっとわかりませんが、民進党さんの調査チームから提示された8つの文書、この内容に関して、これは確認されなかったということでありますけれども、その内容の方向性に関しては、まさにこれは政策の形成過程に関わると思われるものであります。

 かねてよりこれは、文部科学省において政策決定過程に関してのものは公表しない、これはもう情報公開法の趣旨にのっとって文科省として判断をしているものであります。

 ただその中において、明らかな違法行為ですとか、違法行為が指摘されている、もしくは法定調査であるということであれば、これは文科省としても調査をした実例がございますが、今回の事例において、明らかな文科省における違法行為が指摘をされているでありますとか、法定調査に至っているということではありません。その中で、現状においては再調査をしないという判断をしているわけでありますし、併せて、これまでの各委員会の大臣答弁によって、野党さんからの質問で、これは私も含めて、文書から離れて、改めてこういった事実関係というものがあるかという質問に対しては、文科省も内閣府も答えて、大臣答弁があるわけでありまして、それをもって一応しっかりと対応させていただいているというような認識を持っております」――

 松野博一は記者が他省庁での調査の例を示すと、前段では文書の「内容の方向性に関しては、まさにこれは政策の形成過程に関わると思われる」とその内容を指摘した上で、他省庁での調査の例に関係なく「文部科学省において政策決定過程に関してのものは公表しない」と公表しないことの理由を挙げている。

 だが、後段の説明では文書やメールには「明らかな違法行為」は認められないし、「法定調査」に当たるわけでもないと調査しないことの正当性を主張している。

 松野博一は民進党が提示した8つの文書の存在について5月17日の衆議院文科委で事実確認の約束をし、2日後の5月19日に「該当する文書は確認できなかった」と調査結果を公表した。

 前段の説明でだけでは、いわば「政策決定過程に関してのものは公表しない」としただけでは文書の存在を認めることになって、その内容が独り歩きし、安倍晋三や文科省にとって良からぬ憶測が流布することになる。このことを回避するためには文書は存在しなかったという調査結果を前提としなければならない。

 但し矛盾が生じる。文書の内容は「政策の形成過程に関わると思われる」が、「政策決定過程に関してのものは公表しない」と、存在しない文書を公表しない対象に加えていることになるからだ。

 いわば文書が存在していて初めて、「政策決定過程に関してのものは公表しない」との説明が公表しないことの理由付けとして合理性を持つ。

 文書は確認できなかったとした以上、その内容が政策決定過程に関するものであろうとなかろうと問題とはせずに、ただ単に文書やメールには「明らかな違法行為」は認められないし、「法定調査」に当たるわけでもないから再調査対象にはならないとしてのみ初めて合理性を持つ説明となる。

 だが、合理性ある説明とはならない説明で再調査しないことの理由としている。このことと浅野専門教育課長に確認しさえすれば、メールの出本も入手経緯も判明するものを、その確認さえしない非合理性、さらに公表されている文科省作成とされている文書と今回民進党議員今井雅人が入手したメールに書いてある「これは総理のご意向だと聞いている」、「官邸の最高レベルが言っていること」等の文言と照らしわせると、加計学園獣医学部新設決定に安倍晋三が政治的な便宜供与を与えた疑惑は、安倍晋三自身や菅義偉、松野博一、その他その他、内閣ぐるみで否定しようとも極めて濃厚となる。

 一国の首相の特定の個人や団体に対する政治的な便宜供与は極めて重大な職務違反となる。このことが疑惑の段階であったとしても、その疑惑を調査・解明しないばかりか、逆に内閣ぐるみで隠蔽を謀るとしたら、一流の法治国家とは言えず、法も何もない二流の国家になり下がる。

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