NHK報道の「10/21萩生田副長官ご発言概要」に対する萩生田光一コメントの矛盾が「ご発言概要」を本物とする

2017-06-21 11:54:37 | Weblog

 加計学園獣医学部新設安倍晋三政治関与疑惑に関わる新文書の出現を2017年6月20日付のマスコミが報じた。NHKが一昨日、6月19日夜、「クローズアップ現代+」で放送したと伝えている。

 文科省の職員の誰かがNHKにリークしたのだろう。文科相の松野博一が追加調査によって文書の存在が確認できたと記者会見したのが2017年6月15日午後。記者会見以降のリークなら、そのときの公表に不満があったことが理由と考えることができる。

 6月15日の記者会見で松野博一は「なお三っつの文書については法人の利益に関わるものであり、慎重な対応が必要なことから現在のところ、存否を含め明らかにできないところでございます」と発言している。

 その3つの文書の1つかもしれない。2017年6月20日付「NHK NEWS WEB」記事が新文書の全文を伝えている。文章題名は太字にしておいた。

 「10/21萩生田副長官ご発言概要」   

○(11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項の決定がなされる可能性をお伝えし、)そう聞いている。

○内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。

1.ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すものを出してもらおうと思っている。

2.既存大学を上回る教授数(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと。また、愛媛大学の応用生物化学と連携するとのこと。

3.四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと。

○一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も育成してほしい、と言っているので、2層構造にする。

○和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている。

○総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった。

○そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。「ハイレベルな教授陣」とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しか育成できませんでした、となると問題。特区でやるべきと納得されるような光るものでないと。できなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった。

○何が問題なのか、書き出して欲しい。その上で、渡邊加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる。

○農水省が獣医師会押さえないとね。

 文書の作成者は専門教育課の課長補佐。文書の2016年「10/21」に常盤豊高等教育局長が萩生田光一のところに説明に赴いたことを松野は6月20日の記者会見で認めたとマスコミは伝えている。

 文科省のサイトには当日の記者会見の動画のみで、テキスト版はまだ載せていない。冒頭発言ではそのことに言及していないが、記者の質問は相変わらず反響して聞き取りにくいために質疑応答の個所はスルーしてしまったが、その中で認めたのだと思う。

 最初の○の〈11月にも~お伝えし、)は課長補佐の発言で、「そう聞いている」との文言は萩生田の発言なのだろう。それ以下全てが萩生田の発言となる。

 但し松野博一の6月20日の記者会見の説明ではそうはなっていない。その個所の発言をみてみる。動画のHTMLをつけておいた。

 2017年6月20日記者会見文科相記者会見  

 松野博一「確認された文書については萩生田副長官との遣り取りについて専門教育課担当官が(高等教育)局長から説明を受け、萩生田副長官の発言の内容及び局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて取り纏めた個人のメモであり、従いまして高等局長の確認を受けておらず、萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けております。

 事務方より萩生田副長官にも確認をしたところ、詳細はよく覚えていないが、畜産やペットの獣医師養成との差別化の具体的内容や総理の具体的開学の時期等の発言など発言はしていないと聞いています。

 なお高等教育局長からも確認しましたが、高等局長の方から先程見えた関係に関して説明に伺ったと報告があり、副長官からの指示があったことではないとの報告を受けております」 

 「高等局長の方から先程見えた関係に関して説明に伺ったと報告があり」と言っている「先程見えた関係に関して」とは、文書についての発言の前に萩生田光一が以前(福田内閣時代から麻生内閣にかけて)文部科学政務官をしていた経験から生じている文科省の職員との関係について次のように松野が発言していることを指す。

 松野博一「萩生田副長官は文部科学政務官を経験されたこともあり、文科省の事務方には日常的に文部行政の課題について説明し、相談に上がってますけども、10月21日には高等教育局長が萩生田副長官に対し給付型奨学金や(聞き取れない)の問題等の説明・相談と共に国家戦略特区に於ける獣医師学部新設問題の課題や調整状況について局長から説明し、(萩生田が)相談に来たということでございます」

 要するに「先程見えた関係」とは、聞き間違いではないと思うが、萩生田光一が文部科学政務官をしていたことからの相互往来が松野の説明によって見えてきた関係と言うことを指すのだろう。

 文書に書いてあることに関しては、ややこしい言い回しの発言となっているが、高等教育局長と萩生田の会見での双方の発言をその場にいなかった文書作成者の専門教育課担当官が高等教育局長から受けた説明と「関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて取り纏めた個人的なメモ」に過ぎない上に、それぞれの発言が正確かどうかの確認を高等局長から取っていないために萩生田光一の発言でない内容も含まれている、いわば伝聞と主観が成り立たせた不正確なものに過ぎないとしている。

 だが、この説明は安倍晋三犯罪容疑グループのメンバーの一人である松野博一の言い分であって、同じメンバーの萩生田光一に罪過が及ばないように都合よく創り上げた事実に過ぎないと疑うこともできる。

 そのような事実なのかどうか、萩生田光一がNHKが報道した文書について6月20日に発表しているコメントの全文を「産経ニュース」が伝えているから、そこから確かめてみる。       

 その前に松野博一が「萩生田副長官の発言の内容及び局長が副長官に行った説明内容に関係者から聴取した周辺情報等を補足して書き加えて取り纏めた個人のメモ」と言い、「萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けております」と説明している以上、文書には萩生田光一の発言も一部含まれていることになる。

 この点を押さえておかなければならない。 

 平成29年6月20日

 1.今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていないなど、著しく正確性を欠いたものであるとの説明とお詫びが文部科学省から私に対してありました。このような不正確なものが作成され、加えて、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております。

 2.いわゆる加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません。

 3.開学時期については、内閣府から「『国家戦略特区(全般)についてスピード感をもって実施すべき』という内閣全体の方針を踏まえ、速やかに実施したい」、という説明を受けていましたが、具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません

 4.官房副長官という立場上、当然のことながら、この時期に開催されていた国家戦略特区諮問会議の関連で文科省を含む各省から様々な説明を受け、その都度、気づきの点をコメントすることはありますが、私は基本的に報告を受ける立場であり、私の方から具体的な指示や調整を行うことはありません。いずれにせよ、私は、政府全体の見地から、職務に当たっており、加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません。

 また、私は、愛媛県の関係者と会ったこともなければ、このような県の意向を聞いたこともなく文科省に伝えた事実もありません。

 5.千葉科学大学とは年に数回、私の秘書との間で、学校行事の案内等、事務的な連絡を取り合うことはありますが、私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません。

 6.いったい誰が何のために作った文章なのか? 本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか? まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です。

 内閣官房副長官 萩生田光一

 NHKが報道した「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題する新文書に対して萩生田光一が理解に苦しみ、強い憤りを感じているとしてコメントした中から主な発言を拾って、羅列してみる。

 「いわゆる加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません」

 「具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません」

 「文科省を含む各省から様々な説明を受け、その都度、気づきの点をコメントすることはありますが、私は基本的に報告を受ける立場であり、私の方から具体的な指示や調整を行うことはありません」

 「加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません」

 「私は、愛媛県の関係者と会ったこともなければ、このような県の意向を聞いたこともなく文科省に伝えた事実もありません」

 「私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません」――

 要するにNHKが報道した新文書に記されている発言内容を全て否定していることになる。だとすると、松野博一が記者会見で「萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けております」と言っていることと矛盾することになる。

 専門教育課担当官が高等教育局長から聞いた萩生田光一の伝聞形式の発言であり、尚且つ関係者から聴取した周辺情報等を補足した、いわば主観を混じえてつくり上げた文書であったとしても、高等教育局長の説明を、例えそれが一言一句同じではなくても、萩生田光一の発言の趣旨を的確に捉えた体裁を取っていなければならない。

 なぜなら、それなりの教育を受けて、専門教育課の担当官に就いているはずだからだ。

 だが、萩生田光一のコメントを見る限り、文書には萩生田の発言は何も記されていないことになる。この矛盾は甚だしい。

 この矛盾はいくら個人のメモであったとしても、専門教育課の担当官が高等教育局長から萩生田光一の発言の説明を受けたとする関係性をも矛盾に満ちたものにする。

 これらの矛盾を解くとしたら、2016年10月1日に文書に記されているとおりの萩生田光一の発言があったと見るしか答は出てこない。

 誰もが納得する確実な答を見つけるためには松野博一の6月20日の記者会見の発言を聞く限り、文書には萩生田光一の発言が含まれていることになるのだから、文書の記載個所のうち、どこからどこまでが「関係者から聴取した周辺情報等を補足」した個所なのか、どこが萩生田光一の発言なのか、文書作成者の専門教育課担当官と高等教育局長、萩生田光一三人を集めて聴取しないことには松野博一が事実を話しているのか、萩生田光一に罪過が及ばないように庇った事実なのか、確かめる方法がない。
  
 萩生田光一はコメントの最後で次のように言っている。

 「仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です」――

 要するに極めて遺憾なことだが、萩生田光一の物事を決定する影響力が自分の知らないところで利用されたのではないかとの見方を示すことで、自身の発言ではないと否定している。

 しかし萩生田光一自身によるこの見方も、「萩生田副長官の発言でない内容が含まれているとの報告を受けております」という松野博一の記者会見の発言と矛盾することになるだけではない。

 萩生田光一が安倍晋三の虎の威を借りていくら影響力があったとしても、その名前を物事の決定に利用するだけのことに関して、「和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている」と、萩生田光一の発言を見事なまでに尤もらしげに具体的に論理立ててまでして創作するだろうか。

 名前だけの利用なら、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった」と言った安倍晋三が計画している具体的な取り決めの詳細をどこで知り得たのだろうか。

 この疑問はNHK報道の「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書中の発言が萩生田自身の口から出た言葉としない限り、具体的過ぎることの矛盾は解けない。

 往々にして自身が関与していると疑われている不祥事や不正な出来事に「私の名前が使われたのではないか」との言葉は実際には関与していることを否定する常套句となっている。

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