加計疑惑:安倍晋三政治的関与「総理のご意向」・萩生田光一実行部隊長解明の攻め所は山本幸三

2017-07-22 12:04:25 | 政治

 特区担当相の山本幸三が安倍晋三が加計学園の獣医学部新設正式認定の2カ月前に日本獣医師会を訪問、加計学園に決定したと告げたとする獣医師会の記録が報道されて山本幸三は記者団に全面否定したが、その発言自体が当たり前の否定ではなく、不必要な過剰な否定となっていたことから、昨日の当「ブログ」で、その過剰な否定を実際は加計学園の名前を出して既に決定したことを告げた論拠とした。

 昨日2017年7月21日のTBS「ひるおび!」が7月20日の民進党「加計学園疑惑調査チーム」の会合に呼ばれていた内閣府担当者が獣医師会を訪問した際の山本幸三の発言について説明している映像を流していた。

 宮崎岳志民進党議員「今治、四国に決まったとは言っていないとか。それを裏付ける何か、紙なり、報告なり、そういうものはあるんですかね?」

 内閣府担当者「当時大臣が『京都もあり得る』ということははっきりと言ったということを記憶しているということでございますし、それから加計学園と言わないように特に気をつけて発言したということを誤解のないようにね、誤解を受けないように気をつけて・・・・・」

 これだけの映像である。内閣府担当者のこの発言は山本幸三が記者に話したことの代弁の役目を果たしている。山本幸三が記者に「京都もあり得る」と発言した個所を、昨日のブログでは触れなかったから、振返ってみる。

 もし山本幸三が獣医師会の記録どおりに加計学園に決まったと話していたなら、「京都もあり得る」という発言はなかったことになる。山本幸三の対記者発言を虚偽と見做していたから、昨日のブログでは取り上げなかった。

 「京都もあり得る」という発言は、当たり前のことだが、今治に決まっていないことを前提としなければならない。国家戦略特区を方法とした獣医学部新設の手を上げていたのは京都市(京都産業大学)と今治市(加計学園)の二個所である。山本幸三の立場上、「京都もあり得る」なら、「今治もあり得る」と同等の可能性のもとに置かなければ、今治に決まっていないことの前提とはならない。
 
 以下の発言は「産経ニュース」から。  

 山本幸三「11月17日の獣医師会との会合ですけれども、私から『広域的に獣医学部が存在しない地域に限り新設を認めることになり、パブリックコメントを始めることになった。申し訳ないがご理解いただきたい』と発言いたしました。

 これに対して獣医師会側はそれは当然、四国の今治と決めつけた言いぶりで対応しておりました。私は獣医師会の言い分をずっと、前半は聞いていたところであります。したがって、記事で会合の概要というのが出ていますが、この獣医師会側の思い込みと、私の発言を混同したものでありまして、正確ではありません。

 また、私からは京都もあり得るという旨述べたところ、獣医師会側は『進めるのであれば今治市のみであることを明記してほしい』との発言もございました。なお、今治市の財政状況については従来、北村直人(日本獣医師会)顧問から調べるよう要請がありまして、今治市に聞いたところを概略説明いたしました。その際、あくまでも公募が大前提であるため、事業実施主体といった表現をしており、加計学園と特定して言ったことはまったくありません。京都の財政状況については話題にもなりませんでした」

 山本幸三が地域的条件を上げて理解を求めたところ、「獣医師会側はそれは当然、四国の今治と決めつけた言いぶりで対応しておりました。私は獣医師会の言い分をずっと、前半は聞いていたところであります」

 この発言には明らかに立場上の矛盾が存在する。今治に決まっていなければ、「京都もあり得る」と「今治もあり得る」の両方を同等の可能性扱いとしなければならない立場にあるにも関わらず、「四国の今治と決めつけた言いぶり」、「獣医師会の言い分」を「前半は聞いていた」

 なぜ、「四国の今治と決めつけた言いぶり」を始めたところで遮って、「今治と決まったわけではありません、京都もあり得る」と話さなかったのだろうか。

 だが、そのようなことを言わずに「獣医師会の言い分」を「前半は聞いていた」。それから「京都もあり得る」と言うことを述べた。

 この説明を聞いて、誰がその発言を事実だとすることができるだろうか。

 内閣府担当者が山本幸三が「誤解を受けないように」、「加計学園と言わないように特に気をつけて発言した」と説明していることにしても、決まっていなければ、何も気を使わずに「加計学園に決まったわけではありません」の一言で済むはずだが、事実は逆だから、昨日のブログに書いたように事実発言したことを無理に否定しようとすると、往々にして過剰な否定を装いとする言葉となってしまう関係から、決まったと言わなかったことの証明のために「加計学園と言わないように特に気をつけて発言した」とついつい言葉が過剰になったということなのだろう。

 山本幸三の発言の中から立場上の矛盾を覗かせた個所をうまく捉えて攻めれば、どう言葉を尽くそうと、矛盾は傷口を広げるだろうから、攻め所となるはずである。

 以下、攻め所となる可能性ある問題点を挙げてみる。
 
 内閣府から文科省に宛てた2016年11月1日火曜日のメール。〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉

 この〈指示〉とは、「新たなニーズに対応する獣医学部の設置」に関する従来の地域条件を、そこに「広域的」という言葉と「存在し」という言葉と「限り」という言葉を付け加えて、削除した個所もあるが、最終的に、〈現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするため、関係制度の改正を直ちに行う。〉と変更したことを指す。

 もし萩生田の指示で行った地域条件の変更なら、安倍晋三の「総理のご意向」ということになる。勿論、萩生田光一は国会答弁でこの指示を一貫して否定し、藤原内閣府審議官も内閣府特区担当の山本幸三もこの否定に同調して萩生田の指示ではないとしている。

 6月16日(2017年)午前の参院予算委。

 藤原内閣府審議官「これは昨年(2016年)の10月28日に獣医師養成系大学のない地域に於いてという原案を文科省に提示したのが10月28日でございます。31日に文科省から意見の提出があり、11月1日にはワーキンググループと文科省との折衝を行いました。

 その際山本大臣が文科省意見で指摘された日本獣医師会等の理解を得る観点から対象地域をより限定するご判断をされまして、広域的に限るとという区域にするようにとのご指摘を受けまして、私が文案に手書きで修正を加えた次第であります」――

 同じ6月16日午後の参院内閣委員会。

 山本幸三「『広域的に』、『限り』と言うことは私の指示で内閣府にて入れました」

 藤原審議官「『広域的に』、『限り』を追記するようにというご指示を受けまして、私が手書きでこの文案に修正を加えました」

 2017年7月10日午後に参議院で行われた閉会中審査。

 桜井充民進党議員「山本大臣がこれ(文科省案に『広域的に』という文言を入れたこと)の指示を出したとおっしゃっていますが、これ、本当でしょうか。あの、答弁、午前中メチャクチャ長かったので、簡潔にお答え頂けますか」

 山本幸三「全くそのとおりでありまして、私が判断して、そのように指示を致しました」

 桜井充「じゃあ、大臣はどなたと相談して判断して、そのように指示を致しました?」

 山本幸三「藤原審議官に指示をしたわけでありますけども、相談はそれ以前からも民間議員の方々、あー、等の、等、それから、あー、文科省・・・・、等々の遣り取りの中で、えー、獣医師会について、えー、しっかりと、また対応する必要があると言うことを踏まえてですね、えー、最終的には私が判断したわけでありますが、あー、そん中では民間議員との、コミュニケーションもありました」

 この件に関してブログで何度か、国家戦略特区諮問会議等の正式の会合で正式なメンバーの元、正式な議論を経て決定しなければならない地域条件の変更であって、経ずに決めたなら、「総理のご意向」の関与の元、萩生田光一の指示で決めた地域条件の変更となり、内閣府から文科省に宛てた2016年11月1日火曜日のメールの〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉との文言が極めて信憑性を持つことになると言ったことを書いてきた。

 山本幸三の桜井充に対する答弁は歯切れが悪く、明快に正式な会合の名前を上げることもできず、どのような正式な議論を経て決定した地域条件の変更なのかを答えることができなかった。

 以下も2017年7月11日の「ブログ」に書いた文章である。  

 〈正式な会合の場での正式な議論による地域条件の変更であるなら、同じ内閣府の藤原審議官が11月1日のワーキンググループと文科省との折衝のときに山本大臣の指示を受けて地域条件の変更を手書きで加筆したということは、裏を返すと、藤原審議官が国家戦略特区問題を扱う地方創生推進事務局審議官という立場にありながら、そのような重要な地域条件の変更をそれまで承知していなかったから加筆したということになって、立場上、大きな矛盾が生じる。

 この矛盾を解くとしたら、文科省が存在していたことを公表した2016年11月1日のメールには、「指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです」と書いてあるように萩生田光一が安倍晋三の指示を仲介する形で「広域的に」、「限り」との地域条件の変更を加筆させて、その加筆を山本幸三の指示だと偽っているとしなければならない。〉――

 実際にも正式な議論の場で決定した地域条件の変更ではないことは7月10日の閉会中審査から2日後の民進党調査チームの会合に出席した内閣府の塩見英之参事官の発言によって明らかになる。

 「東京新聞朝刊」  

 〈政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、特区を担当する内閣府の塩見英之参事官は12日の民進党調査チームの会合で、昨年11月9日の特区諮問会議で示された「広域的に存在しない地域に限る」との新設条件について、特区ワーキンググループ(WG)の場で正式に議論したことがないと明らかにした。〉

 民進党側が地域変更の条件や2015年6月の「日本再興戦略」に獣医学部新設の前提として示された4条件の策定過程でWGがどう関わったか質問。

 塩見英之「WGの場ではないが、委員に意見を聞いて了解を得た上で話を進めた」

 ちゃんと逃げ道は用意している。山本幸三が閉会中審査で正式な議論の場を挙げることができなかったから、早速その手当に入ったのだろう。

 いくら手当しようとも、正式な会合の場ではなく、各委員に意見を聞く形で纏めた決定なら、メモも残していないだろうから、透明でなければならない意思決定のプロセスが国民の目に不透明となる。

 このことは許されるはずもないし、不透明な意思決定のプロセスを取ることになったのはなぜなのかという疑問だけではなく(その責任は重い)、11月1日のワーキンググループと文科省との折衝の際に内閣府の代表として出席していた藤原審議官が「広域的に~限り」の地域条件の変更を知らずに出席して山本幸三の指示で手書きで変更した急激な決定に対する疑問は依然として残ることになる。

 この急激な変更の決定は11月1日当日、それも藤原審議官がワーキンググループに出席してから山本幸三の指示を受けて手書きで変更するまでの間に正式な議論の場を経ずに行われたことになる。

 山本幸三は誰の意見を聞いて決めたのか、自身で決めたのか明らかにしなければならない。いずれであっても、その決定は正式な権限に基づいて行われたのかどうかも明らかにしなければならない。

 尤も明らかにできるなら、既に明らかにしていたはずだ。明らかにできないから、安倍晋三政治的関与疑惑が解き明かされないままに長引いている。

 解明の一番の妥当な線は萩生田光一を「総理のご意向」を笠に着てゴリ押しした実行部隊長と見るべきで、このように非公式の権限が介在した地域条件の変更、最終的な加計学園獣医学部新設認定と見ることによって、2016年11月1日火曜日のメールの〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉の文言、その他の文書やメールの文言と何ら矛盾なく整合させることができる。

 「総理のご意向」こそが非公式な権限の大本だということである。

 7月24、25日の2度目の閉会中審査は山本幸三を攻め所と見て、追及の焦点を当てるべきだろう。萩生田光一辺りでは煮ても焼いても食えない反応しか得ることはできないはずだ。

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