安倍晋三加計学園疑惑:“家計ありき”で進めてきたことの一つが「加計学園への伝達事項」となって現れた

2017-07-27 12:29:55 | Weblog

 昨日のブログで7月24日(2017年)衆議院予算委員会加計学園安倍晋三政治関与疑惑閉会中審査で民進党の玉木雄一郎が、翌7月25日参議院予算委員会同閉会中審査で共産党の小池晃がそれぞれ取り上げた「加計学園への伝達事項」なる文科省共有の文書がその存在を文科省が確認した時点で法人の利益に関わるという理由付けで「現在のところ、存否を含めて明らかにできない」としていたが、閉会中審査では一般的な職務としての「大学設置認可の事前相談対応」を記した文書としたことに法人の利益に関わるという理由を見い出すことができなことから、後者は後付けの理由で、その文書の存在を認めるについて述べたことは文科省自作のシナリオではないかといった趣旨のことを書いた。

 今日は玉木雄一郎と小池晃が指摘したように「加計学園への伝達事項」なる文書が“加計ありき”を示す文書なのかどうかを足りない頭で考察してみたいと思う。

 再度その文書と文書に関連したメールを載せておかなければならない。昨日の順序と違って、日付が分けるように先にメール文を示す。

   

日付:2016/11/08 11:59

件名:【情報共有・追加あれば】本日加計学同に伝達する事項ベーパー

設置室、私学部 御中 ← 高等教育局専門教育課 ■ (■)

 先日に加計学園から構想の現状を聴取したことについて、
昨日、大臣及び局長より加計学園からに対して文科省としては
現時点の構造では不十分だと考えている旨早急に厳しく伝えるべき、
というご指示がありました。
 (局長からは先ほども、早く連絡して、絶対今日中、と言われたところです)

そこで、私から先方の事務局長に添付内容をお伝えしようと思っておりますところ、

追加で指摘すべき事項や修正があれば、本日13時半までに教えて下さい。
14時に先方から電話が来る予定です。

大臣レク3まいものの懸案事項を引く形で作成しております。

よろしくお願いいたします。

 

  「加計学園への伝達事項」(2016年11月9日)
  
○先日、ご説明いただいた構想につき、文部科学省として懸念している事項をお伝えする。

○まず、公務員獣医師養成や人獣共通感染症研究、医学部との連携などは既存の獣医学部でも取り組まれており、日本再興轍賂改訂2015との関係で、「既存の獣医師養成でない構想を具体化」や「既存の大学・学部では対応が困難な場合」という観点から、差別化できるよう、よく検討していただきたい。(表現ぷりの工夫が必要。その際、ハードルを上げすぎないように注意)

○「国際教育拠点」を形成する旨区域方針に書かれているが、先日のご説明では国際性の特色を出す具体的な取組が十分に示されていなかったので、再検討いただきたい。

○需要について、・先日の説明資料では、公務員獣医師の需要にしか言及がなかったが、毎年定員160名の学生の輩出に見合う応用ライフサイエンス研究者等、獣医高度臨床医の具体的需要も説明が必要であり、ご準備いただきたい。

○獣医学部のない四国へ設置することにより、公務員獣医師の確保や地域の防疫・危機管理拠点を形成するとのことであるが、既存16大学では自地域内入学率・就職率ともに低いことから、四国における「具体的な概要」と、地元定着・活用のための具体策も検討が必要である。

○設置申請に向けて、必要な教員確保や施設整備、資金計画など、万全な準備を行っていただきたい。特に資金については、確保できる額によって、構飽の内容も変わってくると考える。確保できる資金と「既存の獣医師養成でない構想」の実現との関係で、十分な検討を行っていただきたい。 

 文科相の松野博一は7月25日の参院予算委員会で小池晃に対して「文書で11月8日に文科省から加計に出したわけではない。11月8日は電話、口頭によって伝えたが、そのための取り纏めとしてのメモがその文書の性格」だと答弁しているから、文書そのものを郵送したわけではないことになる。

 但し7月24日の衆議院予算委の質疑では玉木雄一郎は11月8日に「電話、口頭によって伝えた」と言うことは知らされていなかったが、メールに、〈(局長からは先ほども、早く連絡して、絶対今日中、と言われたところです)〉と記していることからかなり急いでいるように見えることと、2016年11月9日の第25回国家戦略特別区域諮問会議で、〈広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り、獣医学部の新設を可能とすることを認めるため、関係制度の改正を直ちに行う。〉と地域条件を変更して獣医学部新設が決定される前日に出した加計学園に対する様々な指示であることから、“加計ありき”だと断定していたが、「加計学園への伝達事項」なる文書に記されている様々な指示を具体化できる案に纏めるには1日や2日では不可能である。

 大体が第25回国家戦略特別区域諮問会議では地域条件をつけて獣医学部の新設を認めただけで、その獣医学部新設を担う事業主体まで決定されたわけではない。但し表向きは、である。

 2016年10月4日の第24回国家戦略特別区域諮問会議では2016年9月21日に開かれた国家戦略特区諮問会議今治市特区分科会で提案された今治市への獣医師養成系大学新設の提案を全員一致で承認している。

 山本幸三「先月21日に今治市の特区の分科会を開催し、『獣医師養成系大学・学部の新設』などについても議論いたしました。

 これまでの報告等について、有識者議員より御意見ございますでしょうか」
 
 (「異議なし」と声あり)

 山本幸三「ありがとうございました。それでは、速やかに認定の手続きを行います」

 「異議なし」の少しあとになって民間有識者議員の八田達夫の、「『動物のみを対象にするのではなくてヒトをゴールにした創薬』の先端研究が日本では非常に弱い、という状況下でこの新設学部は、この研究を日本でも本格的に行うということを目指しています。

 さらに、獣医系の学部が四国には全くないのです。このため、人畜共通感染症の水際対策にかかわる獣医系人材の四国における育成も必要です。したがって、獣医系学部の新設のために必要です」といった発言以外、議論と言える議論も見当たらないままに諮問会議が決定のプロセスを踏んでいく単なる承認機関の体裁は相変わらずである。

 国家戦略特区指定の今治市に獣医師養成系大学・学部の新設と言うことになれば、既に事業主体がどこなのか、頭に置いた議論をしているはずだし、今治市にしても、一般的な企業を誘致する程度の問題ではなく、獣医系大学ということになれば、事業主体を決めずに新設の提案もできないはずである。

 議長として出席していた安倍晋三にしても今治市=加計学園を頭に入れて議論を見守っていたはずだから、加計学園の獣医学部新設が認められた2017年1月20に初めて事業主体が加計学園であることを知ったというのは虚偽答弁そのものであろう。

 いずれにしても2016年11月8日に電話で伝えた「加計学園への伝達事項」が翌日に控えた2016年11月9日の第25回国家戦略特別区域諮問会議での獣医学部新設決定に向けて出した指示とすることは無理がある。

 大学設置認可権限を所管としている文科省が望んでいることは「加計学園への伝達事項」で要求した指示事項が加計学園が提出することになる大学設置認可申請時の申請内容に満足な形で反映されることであろう。

 でなければ、安倍晋三「総理のご意向」でいくら国家戦略特区諮問会議で今治市に獣医学部新設を認定し、公募によって事業主体を募集、募集に応じて加計学園が応募し、事業主体として認定されたとしても、大学設置認可申請で撥ねられたら、文科省は恥をかくことになる。

 そのために設置認可申請のリハーサルとして申請内容を提出させた可能性は否定できない。その内容があまりにも酷かったから、〈先日、ご説明いただいた構想につき、文部科学省として懸念している事項をお伝えする。〉という表現となって、様々な要望事項を伝達することになった。

 文科省共有の文書の一つとされている2016年10月21日の「10/21萩生田副長官ご発言概要」に、〈和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている。〉なる文言があるが、10月21日から11月8日までは2週間ちょっと間はあるが、文科省が大学設置認可に責任を有している以上は認可対象とする新設大学の教授の質や人数等を含めた教育体制に神経質にならざるを得なかったから、加計学園を事業主体とした獣医学部新設に慎重になっていたとも考えることができる。

 そして内閣府地方創生推進事務局が2017年1月4日、当日から2017年1月11日17時までの期限で、〈広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の構成員(特定事業を実施すると見込まれる者)の公募〉を行っている。

 この公募に対して加計学園は国家戦略特区指定の今治市への獣医学部新設の事業主体として2017年1月10 日に応募している。このことは「広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の構成員の応募について」(平成29 年1 月10 日)なる題名のPDF記事で公表されている。   

 そしてその応募用紙に「事業を実施する場所」に始まって、「事業の規模」、「事業の実施期間」等共に文科省が「加計学園への伝達事項」で要望した指示事項が、「獣医学部新設の目的」、「新設獣医学部の特徴」等々の小見出しつきで「事業内容」として列記されている。

 文科省が「加計学園への伝達事項」で示した、〈既存16大学では自地域内入学率・就職率ともに低いことから、四国における「具体的な概要」と、地元定着・活用のための具体策も検討が必要である。〉との要望に対しては、「地域入学枠の制定」を設けていて、〈四国地域の高校生の教育機会の均等を図るため、また卒業後の地元への就職を踏まえ、四国出身者を優先させる地域入学枠約30名程度を設定する予定です。〉と記している。

 四国出身者が四国の大学を出て、四国に留まる保証はどこにもないことはこれまでの東京圏一極集中等の都会集中が証明しているが、一応は文科省の要望に対応させた具体策とはなっている。

 加計学園の2017年1月10 日の獣医学部新設応募に対して2017年1月20日開催の第27回国家戦略特別区域諮問会議がなぜか加計学園という名前は出さずに今治市への獣医学部新設として承認している。   

 2017年5月25日の参議院文教科学委員会での文科相松野博一の答弁。
 
 松野博一「学校法人加計学園の獣医学部につきましては、平成29年3月に設置認可の申請があり、4月に文部科学大臣、私から大学設置・学校法人審議会に対して諮問を行いました。申請書の内容につきましては審査終了まで非公開ですが、学校法人加計学園が国家戦略特別区域会議の構成員として応募した事業計画には、新設する獣医学部の入学定員を百六十名とすることが記載をされております。

 現在、大学設置・学校法人審議会において、教育課程、教員組織、施設整備等の教育環境の面から、入学定員の人数に必要な整備がなされる計画となっているかという観点から審査を行っているところであります。

 通常のスケジュールであれば本年8月下旬に答申が出される予定ですが、文部科学省といたしましては、獣医学教育の充実が図られるよう、法令にのっとり適切に審査を進めてまいります」

 2017年3月に設置認可の申請、同年4月に文科大臣が大学設置・学校法人審議会にて諮問申請という手順を踏んだことになる。
 
 一方京都産業大学は2016年10月17日に永田町合同庁舎7階特別会議室で開かれた、「国家戦略特区ワーキンググループ ヒアリング」に出席、「京都産業大学 獣医学部設置構想について」を資料として持ち込んで、国家戦略特区指定の京都府の綾部市への獣医学部設置を提案している。     

 ところが、京都産業大学は撤退することになった。京都産業大学の2017年7月14日の記者会見。

 記者「獣医学部断念の理由は」

 黒坂光副学長「獣医学部は京都府が申請主体だったが、国家戦略特区の実施主体として私どもは申請した。構想はいい準備ができたが、今年(2017年)1月4日の告示で『平成30年4月の設置』になり、それに向けては準備期間が足りなかった。

 その後、(学校法人)加計学園が申請することとなり、(京都産業大獣医学部も含めて)も2校目、3校目となると、獣医学部を持っている大学は少なく、教員も限られているので、国際水準の獣医学教育に足る十分な経験、質の高い教員を必要な人数確保するのは困難と判断した」――

 要するに京都産業大学は2016年10月17日には京都府綾部市に獣医学部を新設することに意欲を見せ、2017年1月3日までは国家戦略特区諮問会議で認定されるスケジュールを立てていたことになる。

 確かに2016年11月9日の第25回国家戦略特別区域諮問会議で〈広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り〉と地域が限定されたことによって近傍に大阪府立大学獣医学部を抱える地域性が京都産業大学にとってネックになったことも考えられるが、文科省が「加計学園への伝達事項」として加計学園側に伝えた2016年11月8日は地域限定を決める前日であり、伝達事項が、加計学園が大学設置認可申請に通過できるよう、文科省側から求めた申請内容のリハーサルに対する懸念事項に対する回答であったとしても、そうではなく、加計学園側から相談の形で試験的に提出された申請内容に対する回答だったとしても、「先日」という表現で11月8日以前の加計学園の対応に対する文科省の対応という関係を取っていて、尚且つ公にはその時点では加計学園1校と決まっていなかったのだから、京都産業大学が獣医学部設置の名乗りを挙げていた以上、京都産業大学の方から求めていなくても、平等という観点から京都産業大学にも提示していいはずの獣医学部設置認可申請にパスするための数々の指示であったはずだ。

 ところが京都産業大学には提示しなかった。しかも朝日新聞が報道したことで公に出回ることになった加計学園に関わる文科省作成とされる文書は文科省の最初の調査で存在しないとされ、国民が納得しなかったことから応じた再調査の結果報告の5月19日の記者会見では、民進党などが指摘した19の文書の内14の文書と同内容の文書を確認、2文書については確認できなかった、残り3文書については法人の利益に関わるという理由付けで「現在のところ、存否を含めて明らかにできない」とした、その3文書のうちの1文書が「加計学園への伝達事項」である。

 求められなくても、京都産業大学に対しても獣医学部設置認可申請にパスするために助言、あるいは指示を示して然るべき平等性に反して加計学園だけに限った不平等性と「加計学園への伝達事項」を法人の利益に関わるからと存否を含めて明らかにしなかった隠蔽性からすると、既に加計学園に決まっていて、その加計学園が獣医学部設置認可申請時に申請内容不備を理由に撥ねられたら、国家戦略特区指定を利用して加計学園の獣医学新設を進めてきた計画そのものが頓挫するばかりか、大学設置認可権限を所管としている文科省としても、文科省を束ねている文科大臣としても立場を失うことになり、そうなることを恐れたことからの申請文書の内容に万全を期すために懸念事項として指示を出した「加計学園への伝達事項」と見なければ、全ての辻褄が合わないことになる。

 いわば“加計ありき”で進めてきたことの一つが「加計学園への伝達事項」となって現れた。

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