下村博文は教育格差の一役を担い、桂ざこば自己経験絶対の教育論者だと分かる5月31日「新報道2001」

2015-06-02 12:15:29 | 政治



      「生活の党と山本太郎となかまた ち」

     《『生活 機関紙24号』》    

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 2015年5月31日「新報道2001」は教育格差を取り上げていた。簡単に振返ってみる。

 エコノミストの高橋進が子どもの頃親を亡くし、スキーとかの課外授業にカネがなくて行けなかったが、高校・大学は奨学金を受けたのか、無料で行けたという話をした。

 下村博文「私も小学生3年生のときに父親が亡くなって、私はあしなが育英会ってとこの第1期生で、9万5千円も高校・大学と奨学金を借りて進学をしていたんです。

 当時はまだ大学に行けたんです。今はまさに貧困格差が広がって、昔のようにちょっと頑張ったら大学へ行けるのではなくて、この塾とか、予備校とかですね、どこの高校へ行くかということも含めて、昔以上に大学にいくのが今の子どもはもっと難しいですね。

 そういう意味では格差はもっと進んでいる。それがね、家庭の努力だけでは超えていますから、やっぱり公的支援というのは昔以上に必要になる部分はある」

 下村博文は大学4年生の時から学習塾を経営している。

 「在野の視点から考えるこの国の教育改革」と題したインタビュー記事で、「大学4年生のとき、板橋区で学習塾を始めました。高校時代の友人や大学の級友に講師になってもらい、住まいと事務所を兼ねた教室をつくったのですが、卒業するときには生徒が150名にもなっていましたので、就職活動をせず、これを仕事にしていこう、と。」と自ら話している。  

 1978年に早稲田大学を卒業して7年後の1985年に東京都議会議員選挙に立候補、落選しているが、政治家としてスタートを切り、現在日本の教育会のトップに立つ文科相となって、経済格差と教育格差の連鎖を議論している。
 
 一見立派な経歴に見えるが、その実態は学習塾にカネをかける者が進学に有利となる教育状況に便乗、通塾を競い、テストの点数を上げる受験競争時代の進行に一役買っていたということになる。

 だから、賃貸だっとしても、板橋区という決して安くは借りることができない場所に住まいと事務所を兼ねた教室を構えることができ、しかも大学4年生の開塾1年間で150人も集めることができた。

 大いに儲けたということだけではなく、小学生の尻を受験という名のムチで相当に叩いたはずだ。

 いわば教育をカネのかかるものとした教育犯罪人の一人と言うことができる。

 教育をカネのかかるものとした言うことは教育格差助長に手を染めたことになる。

 下重暁子(もとNHKアナウンサー・作家)「お母さん働こうと思っても、保育所を始めとして、もう保育所が足りないという問題は常にあるわけですよね。こんな根本的な問題がいつになっても解決しない言うのは、ホントーに大きいし、子どもたちっていうのは物凄く気を使ってるんですよ。

 子どもは親に気を使って、親のことを考えてね、だから必要以上に考えて、(親に)言っちゃあ、お母さん苦労しているから言えないんじゃないかとか、イジメを受けても、これお母さん心配させるから言えないかと、子どもの気の使い方といったら大変ですよね」

 政治の責任を言い、貧困が家庭、もしくは子どもの生きる世界を精神的閉塞感で包み込んで、伸びのびと生きる開放感を奪っている状況を訴えている。

 須田哲夫アナ「ざこば師匠、是非お聞きしたいんですが、気を使っている子どもたち、そういうお子さんたちには自分の考えでちゃんと判断できる世代のお子さんたちに何て言ったらいいんですかね」

 桂ざこば「僕は世間、教育、教育と言い過ぎだと思うですわ。僕は義務教育で十分やと思う。教育つうのは世間に出て、それから自分で身につけていくもんで」

 須田哲夫アナ「教育は世間に出てから?」

 桂ざこば「(義務教育は)出なああかんと思う。難しい字も読めるようになるしね。僕は中卒でこの世界、落語家になったんですね。で、米朝のところへ3年行けた。

 僕、これ米朝高校やといつも。米朝が先生で」

 須田哲夫アナ「『こうこう』って、学校なんですね」

 桂ざこば「ですから、高校を出てからうちの師匠の所へ入ったら、米朝大学へ入ったもんとなるわ。僕は世間へ出るべき。義務教育はもう下地、基本、あとは自分で勉強ですね。

 世間の人が大学ぐらい出えへんとか、親が言うてるんで、もう無理やりいやなん、出す必要ないと思う。あんまり教育、教育って言い過ぎ。僕はそう思う」――

 桂ざこばは自身の人生経験を絶対とした教育論を振り回している。

 確かに親たちは子どもたちに学歴を求め過ぎる。だが、学歴で人間の価値を判定する社会の風潮を受けた行き過ぎた学歴志向である。日本は元々権威主義社会であって、昔から学歴で人間の価値を決めていた。

 だが、同じ権威主義が貧乏人や商人であったり職人であたりすると、一般的にはその子は親の跡を継ぐという風潮を蔓延らせていて、そのために商人や職人の模共には学問は必要ないと見做されていた。桂ざこばの言うように商人としての教育、職人としての教育を親方である親から学ぶ形式で、「教育は世間に出て、それから自分で身につけていった」。

 親方だけではなく、顧客や仲間を通して、世間を学んでいった。例え彼らが経験から学んだ知識が狭い世界にのみ通用するものであっても、学び、人間として成長していった。

 だが、そういった職業上の権威主義は崩れたのである。なぜなら職人が作る製品は工場の生産に取って代わられ、商人が売る商品はスーパといった企業の売買に取って代わられた。

 親の仕事への弟子入り、ときには親と同じ職業を持った他人のところへの弟子入りもあったが、弟子入り(=就職)は先細り、場合によっては消滅していった。子どもたちは会社や企業に就職先を変えざるを得なくなったのである。

 しかも学歴で人間を価値づける権威主義だけが残った。その権威主義が残ったから、下村博文は学習塾経営で儲けることができ、初期的にはその資金で都会議員だ、国会議員だに立候補できたはずだ。

 桂ざこばは自分の経験を絶対としているから、世の中には義務教育だけで世間に出て、それから身につけていくだけでは間に合わない職業が存在することにサラサラ気づいていない。

 物理学者や科学者や医学者になるためには、学者にならずとも、高度の技術を身につけて研究所や大企業の研究部門に所属して自身の天職とするためには高校に行って微分・積分、その他を勉強し、大学に行っても学び、中には大学院にまで進んで学ばなければ自身の夢を叶えることはできない。

 外国の研究所や大学に留学してまで、高度な学問を身につけようとする者もいる。

 だが、そのような選択を多くの場合親の収入が握っている。奨学金+アルバイト代で学費と生活費を賄おうとすると、アルバイトに時間を取られて、肝心の学問に打ち込む時間を削られてしまう。

 このような状況が経済格差と教育格差の連鎖の一つとなっている。

 だが、経済格差は学歴格差という教育格差を生むだけではない。
 
 番組で日本は一人親の子どもの貧困率や教育支出のGDP比がOECD加盟国の中で最下位で、6人に1人が貧困層に属すると言っていたが、経済的に豊かな家の子どもは幼い頃から飛行機に乗って海外に遊びに連れて行って貰ったり、海外でなくても、日本の色々な場所に行く経験に恵まれ、習い事も望めばピアノやその他その他を習うことができ、そのような生活を通して豊かな情操を身につけていくだけではなく、様々な人間と知り合い、立派な大学に入れば、それなりの家庭の師弟たちと面識を持つようになって豊かな家庭にふさわしい人脈を形成することになる。

 貧しい家の子どもの世界での経験と経験を通してつくり出す人脈との程度の差も経済格差が生み出す現象の一つであろう。

 ネット上に、〈近年、経済開発協力機構(OECD)からEducation at a Glanceが出版されるたびに、日本のGDP比の公教育支出がOECD諸国の中で最下位レベルである事が話題となっている。下の図が示すように、確かに日本のGDP比の公教育支出はOECD最下位レベルであるが、OECDの中でもトップレベルに多い私教育支出がこれを補い、日本の総教育支出はOECD平均以下ではあるもののOECD最下位レベルではない状態となっている。〉という記述があったが、私教育支出をすることができる家庭とできない家庭があり、このことこそが経済格差と教育格差の連鎖を作り出している原因だと気づいていない。

 桂ざこばのように自己経験を絶対として、「教育つうのは世間に出て、それから自分で身につけていくもんで」などとは言っていられない。親や誰かに弟子入りして、その世界で学んでいけば職業人としても人間としても成長できる(桂ざこばが人間として成長している人物かどうかは疑わしい)世界だけの話に限定しなければならない。

 例えば桂ざこばの落語の世界とか、相撲取りの世界、あるいは将棋の世界、さらには陶器作りの世界等々は義務教育だけでも十分と言うことはできる。

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