那覇空港自衛隊ヘリトラブルは「訓練安全保障神話」の否定と安保法制が憲法の範囲内を予定調和としない証明

2015-06-06 08:45:18 | 政治



      「生活の党と山本太郎となかまた ち」

     《【生活】6/2小沢代表・山本代表の定例記者会見要旨》    

     【質疑要旨】

     ○岩手県知事選における野党共闘について 
     ○参院選に向けた野党協力について
     ○年金情報流出問題について
     ○年金情報流出問題のマイナンバーへの影響について
     ○安保法制審議と原発問題について
     ○国連PKOのあり方について
     ○オスプレイの横田基地配備と日米地位協定について
     ○TPPをめぐる対米交渉のあり方について
     ○立法府と行政府の関係について
     ○政党の憲法上の位置づけについて
     ○町村前衆議院議長のご逝去について 

     ☆『BLOGOS』にも掲載されています。

 新安保法制が成立したとしても、厳しい訓練を日々行い、場面に応じた優れた対応能力を身につけさえすれば自衛隊員のリスクは回避できるとする政府の考え方をこれまでは「訓練絶対安全神話」と名づけていたが、ふさわしくなく思えたので、「訓練安全保障神話」に変えることにした。訓練自体が安全保障となるとする考えに立っていると見て、この言葉で表すことにした。
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 6月3日午後、那覇空港で自衛隊ヘリコプターが管制官の許可なく滑走路の前を横切ったため、離陸のために滑走路を走行していた全日空機が急停止、さらに同じ滑走路に別の旅客機が着陸する二重のトラブルがあったとテレビ・新聞が伝えていた。

 ヘリを含めた飛行機の空港での離着陸は管制官が機体ごとにつけられている便名をコールサインとして呼び出して離着陸の許可・待機等の指示を出し、指示を受けた機体は自らのコールサインを伝えて、その指示を復唱、その後指示に従った行動に移る決まりになっているという。

 トラブルの原因は「NHK NEWS WEB」が無線交信の内容を用いて伝えている。

 管制官が自衛隊機を民間機の便名に当たるコールサイン「ポニー41」で呼び出し、滑走路手前の「誘導路で待機せよ」と指示。

 自衛隊機は自らのコールサイン「ポニー41」を伝えて、管制官の指示を復唱、その指示に従って滑走路手前の誘導路で待機。

 管制官は滑走路の北の端で待機していた全日空機をそのコールサイン「オールニッポン1694」で呼び出して「離陸を許可する」と指示。

 全日空機はコールサイン「オールニッポン1694」を伝えてから(「こちらオールニッポン1694」とでも言ったのだろう)、管制官の指示を復唱、滑走路を離陸に向けて走行開始。

 (この前後に自衛隊機が、「ポニー41」とコールサインを伝えているが、交信記録では聞き取れない内容となっているという。)

 航空自衛隊ヘリが離陸、既に滑走を始めていた全日空機の前方を横切る。

 6月5日の記者会見。

 中谷元「航空自衛隊のCH-47Jが、滑走路上で離陸待機中の全日空機に対する管制官からの離陸許可を自機に対する離陸許可と誤認識をして離陸してしまったために発生したものと報告を受けております」(防衛省

 〈航空無線の場合は同じ周波数で通信をしている飛行機がたくさんいるので、一言ごとに相手の名前を言うことによって、誰に対する指示なのか分かるようにしています。〉と国土交通省のHPに書いてあるし、空港管制塔の通信がテロ組織に乗っ取られてしまう米映画「ダイ・ハード2」でも空港上空で待機させられていた何機もの飛行機が同じように他機と管制塔との交信を聞いていたから、管制塔と飛行機の交信を他機のパイロットも聞くことができるはずだ。

 また自衛隊ヘリコプターが全日空機に対する管制塔からの指示を自機に対する離陸許可と誤認識したのは、管制塔と全日空機の交信を自衛隊機が傍受することができていたからだろう。

 自衛隊ヘリは「ポニー41」で管制塔から呼び出されて「誘導路で待機せよ」の指示を受けて、「ポニー41、誘導路で待機します」等の復唱をして、その指示に従ったはずだ。

 そして次に管制塔と全日空の交信を聞いていた。管制塔は「オールニッポン1694、離陸を許可する」とでも言ったのだろうか。対して全日空機は「こちらオールニッポン1694、只今より離陸します」とでも復唱し、指示に従って離陸を開始した。

 そのような交信を聞いていたはずだが、管制塔から全日空機、全日空機から管制塔へと二度繰り返されたはずの「オールニッポン1694」のコールサインを自機に対するコールサイン「ポニー41」と誤認識して、「ポニー41」のコールサインを管制塔に向けて言ってから、更新記録では聞き取れない内容のこと言って、そのまま飛び立ち、滑走中の全日空機の前方を遮るような形で滑走路上空を横切ったことになる。

 と言うことは、聞き取れない内容というのは管制塔から全日空機への指示を自衛隊ヘリのパイロットが自分への指示と間違えて復唱した言葉ということになる。

 そして停止した全日空機の背後から別の旅客機が着陸してきた。

 国土交通省は事故につながりかねない重大なトラブルだったと認定したということだが、二度繰返された他機に対するコールサインを聞き間違えたということなら、決してうっかりミスで片付けることはできない判断ミスとなる。

 安倍晋三や防衛相の中谷元が「重要影響事態安全確保法」や「国際平和支援法」に基づいた自衛隊の海外活動での後方支援に関して自衛隊員は日々厳しい訓練を受けているから、法律に基づいた通りの行動をして、後方支援中に敵勢力から攻撃を受けたとしても応戦せずに退避するから、交戦して犠牲者を出すこともなく、自衛隊員のリスクは増大することはないと、日々の訓練が自衛隊員の安全を保証するかのような国会答弁で以って「訓練安全保障神話」を振り回し、なおかつ敵勢力の攻撃の可能性は想定しても、応戦せずに退避する取り決めに対して追尾を想定せず、必要最小限度の武器使用にしてもそうだが、常に必要最小限度の武器使用にとどまると想定する、自衛隊活動の何事をも今後起き得ると、あるいは起き得ないと想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする“予定調和”の網をかぶせて全てが無事に済むような保証を振り撒いている。

 だが、このような「訓練安全保障神話」と“予定調和”は那覇空港の自衛隊ヘリの誤認識が招いたトラブルによって破綻を示すことになる。

 自衛隊ヘリパイロットにしても同じ自衛隊員として日々厳しい訓練を受けて場面場面に応じた優れ対応能力を身につけていたはずだし、想定したことを想定通りに活動を実行・終了させる“予定調和”のレールに乗っていたはずだが、簡単な判断で済むはずの場面で一歩間違えば重大事故につながりかねないミスを犯したことは「訓練安全保障神話」と同時に“予定調和”が決して絶対ではないことを教えていることになる。

 武器を持った敵勢力を向こうに回す可能性も否定できない、自らも武器を持って海外で活動することになる自衛隊員はもっと難しい複雑な判断が必要となる危険な場に立たされて、何ら間違えることはないと断言することは不可能である。

 何よりも海外活動に於いて自衛隊員のリスクがかつてない以上に増大することを想定して対応を考えた方がより現実的であるはずだが、政府答弁は自衛隊のリスクは増大しないとすることに重点を置いて、逆の想定をしていて非常に危険である。

 大体が憲法第9条のもとで許容される自衛の措置としての「武力の行使」の新3要件のうち、最後の「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」との規定自体が紛争や攻撃に巻き込まれない保証がない以上、つまり自衛隊側の予想通りに事が進む保証がない以上、一旦紛争や攻撃に巻き込まれる可能性が否定できないことになって、巻き込まれた場合、必要最小限度の実力行使にとどめることができるかどうかはその場その場の場面に制約された自衛隊員それぞれの判断が決めることになって、ときには間違うことも生じることになって、「訓練安全保障神話」と“予定調和”は単なる楽観主義になり下がることになる。

 いわば「必要最小限度の実力行使」の絶対的保証がなく、それを一旦超えた場合、憲法第9条のもとでは許容されない自衛の措置となって、このことだけでも自衛隊の海外活動はたちまち違憲状態となる。

 衆議院憲法審査会の参考人質疑に出席した学識経験者3人全員が安全保障関連法案に関して、「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」、「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」等の理由で3人が3人共に「憲法違反に当たる」(毎日jp)とした。

 このような認識にしても、「訓練安全保障神話」と“予定調和”の否定に当たる。

 奇しくも那覇空港の自衛隊ヘリコプターの誤認識による誤離陸が「訓練安全保障神話」と“予定調和”を突き崩す証明となるはずである。

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