右翼の軍国主義者安倍晋三の子分菅官房長官が11月4日、東京都内で講演、東京電力福島第1原子力発電所の事故対策について、除染や原発の廃炉などに国が必要な資金を拠出できるようにするなどとした自民党の提言を踏まえ、国の関与を強める方向で政府対応を見直す考えを示したと次の記事が伝えている。
《原発事故対策「国の関与強める方向に」》(NHK NEWS WEB/2013年11月4日 13時4分)
菅官房長官「本来であれば政府が関与できる部分もあったが、前政権は政府の関与なしで東電にやらせる道を選んでしまった。今のままでいいかと言えば見直しをするところまできている。
そろそろ結論を出さなければダメな時期だと認識している。自民党の提案があるので、しっかりと調整しながら取り組んでいきたい」――
この記事は除染や原発の廃炉等の事故対策に対する“国の関与強化”となっているが、他の記事は汚染水対策に対する“国の関与強化”となっている。
例えNHK記事が書いているように除染や原発廃炉を含めていたとしても、除染は国直轄の除染を行っているし、廃炉に関しては、野田政権は2011年12月16日に、「東京電力福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」の決定及びその進捗管理並びに発電所の安全維持を政府と東京電力株式会社が共同で実施していく組織として位置づけた「政府・東京電力中長期対策会議」を設置している。
除染と廃炉に関しては決して民主党政権は国が関与せず、東電任せであったわけではない。
但し国直轄の除染の計画内容や除染範囲指定の的確性、あるいは除染実施段階での実効性及び進捗度は別問題である。除染に関しては杜撰な除染の指摘や計画の見直しが続いている。
廃炉にしても、取り掛かった段階で、初めての経験だから、様々な見直しが出てくるだろう。
汚染水対策に関しては2011年12月16日の野田政権による福島原発事故収束宣言以降、事故が収束したということで民主党政権が東電任せであったとしても、菅幹部長官が「前政権は政府の関与なしで東電にやらせる道を選んでしまった」と批判する以上、2012年12月26日の第2次安倍政権発足当初から国が関与していなければならなかったはずだ。
だが、2012年12月26日の第2次安倍政権発足以降も民主党政権の東電任せを引き継ぎ、自らも東電任せであった。
東電任せではなく、国の関与を言い出したのは汚染水の漏出が世間を騒がし、海の汚染が疑われるようになってからである。東電の汚染水対策の管理・監督も原子力規制庁任せで、内閣自体は関与していなかった。しかも原子力規制庁はお役所仕事で満足に機能していなかった。
8月7日(2013年)、政府は安倍晋三を本部長とする原子力災害対策本部会合を開催。
安倍晋三「汚染水問題は、国民の関心も高く対応すべき喫緊の課題だ。東京電力に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく。
スピード感を持って東京電力をしっかりと指導し、迅速かつ確実に重層的な対策を講じてほしい」(NHK NEWS WEB)――
2012年12月26日の第2次安倍政権発足から7カ月経過した8月に入ってから、「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかりと対策を講じていく」と言っているのだから、政権発足以降、7ヶ月間は東電任せにしてきたことになる。
茂木経産相が8月26日(2013年)、福島第1原発を視察。
茂木経産相「汚染水の対策は東電任せで、もぐらたたきのような状況が続いてきたが、今後は国が前面に出る。
新たに経済産業省の幹部を汚染水対策に充て、対応していく」(NHK NEWS WEB)
茂木経産相の言う「汚染水の対策は東電任せ」は民主党政権のことだけを言っているのではなく、自らの政権をも含めてを言っているはずだ。民主党政権のことだけとしていたなら、上記説明と同じく、政権発足以降、東電任せを排除していなければならなかった。
だが、8月になって、わざわざ「汚染水の対策は東電任せで」と言っている以上、安倍政権発足以降も東電任せが続いていたことになる。
もし安倍政権発足と同時に民主党政権の東電任せを修正していたなら、現在、もう少しはマシな局面を迎えていたかもしれない。いや、現在以上にマシな局面を迎えていなければならないはずだ。
そして今年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスでのオリンピック東京招致IOC総会プレゼンテーションで各国が福島の原発事故の東京への影響に懸念を示していたことに対して安倍晋三が、「福島の状況はコントロールされており、全く問題はない」と発言、それが国内で問題となった。
右翼の軍国主義者安倍晋三の「コントロール」発言から3日後の9月10日、政府は茂木経済産業相がトップとなる「廃炉・汚染水対策チーム」を内閣府に新設すると発表。
「廃炉・汚染水対策チーム」の新設に動いたこと自体が第2次安倍政権も汚染水対策が東電任せであったことの証明となる。
汚染水対策の工程管理、風評被害対策、原子炉建屋への地下水を遮断する凍土壁の敷設等に関しては国費約470億円を投入する方針とその他を決定している。
以上の経緯を改めて振り返ってみると、安倍政権は発足以降7カ月間は汚染水問題に関して民主党と同様に東電任せにしてきたが、汚染水漏出問題が起き、東電が専用港湾内への汚染水の流出を認める等、放射能に汚染された汚染水問題がクローズアップしてから、東電任せから“国の関与強化”にシフト、「廃炉・汚染水対策チーム」を新設し、国費投入の各対策を打ち出した。
要するに先手を打った対策ではなく、それとは正反対の後追いの対策となっている。このような方法を泥縄式と言うはずだ。
【泥縄】「(「泥棒を捕らえてから縄をなう」の略)物事に出会ってから、慌てて準備すること」(『大辞林』三省堂)
国の関与を言い出したのが今年の8月に入ってからだから、国関与の組織を設けて計画を立てるまでに時間がかかることになって、既に結論が出ているならまだしも、菅官房長官が「そろそろ結論」と言っているように結論はまだまだ先の話とになり、実行の体制を整えて計画実施までに更に時間がかかることになる。
これまでの東電任せとその結果としてのこのスピードの遅ささも問題だが、すべてを棚に上げて、菅官房長官は「前政権は政府の関与なしで東電にやらせる道を選んでしまった」と民主党政権のみを悪者とする卑怯この上ない責任転嫁を働き、「そろそろ結論を出さなければダメな時期だと認識している」と、「そろそろ」とすることで、少なくとも東電任せにしてきた第2次安倍政権発足後7カ月間とその無責任に猶予を与える、これまた卑怯この上ないゴマ化しを働いている。
福島の復興の遅れを全部民主党政権の責任に転嫁しようという魂胆なのだろう。自分たちも関わってきた復興遅れの無能・無策を隠すために右翼の軍国主義者安倍晋三は肝心な対策につながるわけではない頻繁な福島視察を行い、風評被害対策にタコ、イカ、シラス等々を試食するゴマ化しを働かなければならない。