もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

中国の対米報復関税発動に思う

2018年04月03日 | 中国

 中国がアメリカ産品輸入品への報復関税を発表した。

 農産物を主とする128品目を対象とするものであるが、品目や税率において相当にアメリカに遠慮したものと報道されている。更には金融・医療・次世代車の市場開放も併せて行われることから、アメリカとの関税交渉の落し処を提示したものかもしれない。報復関税の発動についても首脳会談での中朝蜜月演出とタイミングを合わせたもので、中国外交のしたたかさが際立っている。昨日の産経新聞には鉄鋼関税に起因するアメリカ経済の失速懸念が解説されていたが、価格競争力を左右する生産コストの高騰はアメリカの製造業に少なからぬ影響を及ぼすものと考えられる。自由貿易による原材料価格をコスト算出のベースとしている業種にとって関税障壁は致命的ではないだろうか。中国にしても、豊富な資金をバックにして中国式ODAでアジア・アフリカに影響力を高かめて一帯一路構想を展開しているものの、経済が停滞してアジアインフラ投資銀行から欧米資本が逃げ出す事態は何としてでも防ぐ必要があると思う。これまでも種々の経済指標を粉飾・糊塗してまでも高度経済成長を宣伝していた中国は、経済のマイナス成長だけは絶対に避けなければならないと考えているものと思う。日本では今回の米中関税戦争に対して、アメリカが持たないシームレス鋼管等の独自技術のために影響は限定的として対岸の火事視する向きもあるが、もし中国経済が破綻して国民の不満が高まれば、不満を逸らす方法として古典的ではあるが有効な手段である外圧として尖閣諸島の領有問題を利用することも懸念される。そうなれば、対岸の火事からの火の粉による類焼から無縁ではいられない。

 米韓の自由貿易協定(FTA)で韓国が制裁解除と引き換えに大幅な譲歩を余儀なくされたことから、日本では日米首脳会談で制裁解除は求めるものの2国間協議は行わないとしている。アメリカの制裁関税免除対象国になり得なかったことは、一見すればバスに乗り遅れた感があるが「米中朝の駆け引の行方を見守るのも有りかな」と思う。

 


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