もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

中國空母建造所の不始末について

2018年06月23日 | 中国

 空母等を建造する中国国有企業の社長が拘束されたことが報じられた。

 拘束の理由は「重大な規律違反と違法行為」とされているが、国産1番艦空母「山東」公試中に明らかとなった不具合、或いはソ連空母を改修した「遼寧」の秘密をCIAに売り渡したスパイ容疑と取り沙汰されているらしいが、「山東」公試中の不具合に起因する拘束とは考えにくい。確かに山東の公試は延長されたり公試後に改修工事が施されたりと、建造工事の紆余曲折がたびたび報じられているが、軽易な設計変更や工事ミスは新機軸の艦であれば当然に起こり得るもので、いかに中国と雖も建造所のトップを拘束することは無いだろう。契約を熟知しない者の経験則で日本の場合を紹介すれば、艦の就役後も1年間は保証期間として造船所が施工上の瑕疵を是正することが求められる。それは公試中に艤装員や検査官が発見できなかった瑕疵の修正を目途とするもので30年にも及ぶ艦の寿命を考えた場合に必要な措置であり、中国にも同様な制度があると思う。となれば、施工に関しては鋼材の質を落とす等の重大な腐敗が指摘されたものか、はたまたスパイ疑惑に依るものであろうか。スパイ容疑についても報道されているように遼寧の秘密ではなく、公試中の山東の秘密ではないだろうかと考える。なぜなら、CIAにとって遼寧の構造や機能等は既に周知のことで、空母の運用や用兵に関する情報は欲しいと思うが建造所トップからの入手は考えないと思うからである。思いつくのは山東に装備されるとされる電磁カタパルトや着艦拘束装置に関することで、それもアメリカからの入手経路の方にCIAは重大な関心を寄せているのではないだろうかと推測するものである。

 中國空母は、北朝鮮の核兵器と並んでアジアの平穏を脅かす核心であるからこそ、中国指導部は神経を尖らせているとともに、アメリカも重大な関心を寄せているものと思う。真相は如何に・・・。