もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

北朝鮮の対日賠償請求が現実味

2018年06月03日 | 北朝鮮

 米朝首脳会談が指呼の間に迫った。

 トランプ大統領が今回の首脳会談を長期戦の初戦と位置付けるコメントを発表したことから、アメリカは即時・非可逆的なリビア方式よりも段階的非核化という現実路線に舵を切ったかに思える。「アメリカはリビア方式を捨てないだろう」ゆえに、今回の米朝首脳会談は何の合意もない結果に終わるだろうとの自分の推論は間違っていたことになるが、それはさておき、トランプ大統領のコメント中「(非核化の対価としての)経済支援は日中が行うべきで、アメリカは関与しない」と述べていることは気懸かりである。クリントン元大統領が、核開発の放棄と引き換えに軽水炉型原発を供与したが、北の協定違反によって現在の結果を招いた轍を踏まない決意表明と思いたいが、アメリカの真意は「当面、先制攻撃は留保して体制は保証するが、金は日本から貰え」との婉曲(でもないか)な対日圧力と捉えるべきではないだろうか。経済支援を日中が行った場合、中国は手駒として利用できる衛星国を得るメリットがあるが、日本には何のメリットもない。かねての主張どうりに「日韓併合の賠償請求」として要求されれば、拉致問題解決の手段としても使えない。アメリカの面子と権威を保つために多額の資金を拠出することは、徳川幕府の権威付けのために、日光街道と東照宮建設に浪費させられた外様大名の悲哀と疲弊を再現させられることになるのではないだろうか。トランプ大統領が拉致問題の口利きを約束した思惑の底を見た思いがする。

 【人でなし】との痛罵を覚悟して書けば、日朝国交正常化の1丁目1番地として拉致問題解決を挙げた外交は失敗ではなかっただろうか。冷酷であるが、仮に拉致被害者の全てが帰国できたとしても、失うものは巨額の金銭のみならずテロと取引した弱腰の国とされ、余りにも大き過ぎると思うのだが。