小中学校では、読書感想文を書かされた。
夏休み定番の宿題は「読んだ本の感想文を書け」だったが、読後感想文
を書くために本読みするのは、面白くなかった。
本屋のない田舎に住んでいたが本は好きだったので、町に出た兄姉
に本を買ってきてもらい夢中で読んだ。
少年雑誌では「冒険王」、劇画では「少年ケニア」、マンガもよく読んだ。
印象に残っている名作(児童向けだけど)は「ああ、無情(レ・ミゼラブル」)、
「岩窟王(モンテ・クリスト伯)」、「十五少年漂流記」「三銃士」など。
中学生から高校時代は「チボー家の人々」「ジャン・クリストフ」「赤と黒」・・・
血沸き肉躍る冒険譚、禁断の恋に、ハラハラドキドキした少年時代。
そんな感動を感想文に書け、と言われたら途端に高揚感が冷める。
昨今の子供へのTVインタビューでは「面白かった」「楽しかった」「美味し
かった」が典型的な答えだが、実際、子供は面白く楽しく感じたんだから、
それでよい。
でも読後感想文では、そうはいかない。
一応内容を要約し、どこがどう感じたかをまとめなければ「感想文」には
ならないが、これがなかなかの難物なのだ。
「さあ、感想文を書かなければ」と、身構えて読む本はちっとも楽しくはな
く、逆に苦痛でさえある。
これでは読書の楽しみを奪って、「本嫌い」を作っているようなもの。
読書は100%自由で、楽しくあるべきだ。
心のままに任せて、本の世界に踏み込んで味わう深い感動は、いつまでも
心に残響を奏でるものだ。
今でも、学校現場で児童生徒たちに「読書感想文」を書かせているのだろ
うか。
薄っぺらな教師ほど、百年一日のごとく読書感想文にこだわっているので
はないか。
そんな教師の元では、本好きな子供は育たないだろう。
教育現場から「本嫌い」を作ってはならない。
「感想文」という呪縛から解放してやり、自由で楽しい読書の喜びを存分に
味わわせて欲しい。
*** ***
!?・・・ちょこっと、知ったかぶり・・・!?
<読書感想文に反対の作家>
私の知る限り、児童・生徒に読書感想文を書かせることに反対している作家は
2人いる。
・丸谷才一さん。
・有川ひろ(旧ペンネーム有川浩)さん。
丸谷さん
「本は面白いものだということを体験させること、本を読む癖をつけること、それ
が大事だ。読書感想文を書かせることは、読書から喜びを奪う」
(エッセー集「桜もさよならも日本語」(新潮文庫)。
有川さん
「私は読書感想文廃止論者である。読書感想文という義務(どころか、作文や
読書が苦手なものにとってはいっそ苦役)を負わされる読書は、子供の活字離
れを促進する元凶と信じてやまない」
(エッセー集「倒れるときは前のめり」(角川文庫)。
他にも、「読書感想文教育』廃止を主張する作家が多いに違いない。
<子供読書感想文に反対する2氏のエッセー集>
