福島原発事故メディア・ウォッチ

福島原発事故のメディアによる報道を検証します。

原発マフィアたち、ぞくぞくと再稼働!デモ・パブコメで徹底対抗するぞ!

2012-07-27 16:17:01 | 新聞
大飯原発のごり押し・むちゃくちゃ再稼働以来、原発マフィア政府はつぎつぎとなりふりかまわぬ『原発回帰』工作にまい進している。多くの人々が、官邸前をはじめとしてあちこちで再稼働への抗議の声を上げ続けていることへの、それが『政府の回答』東京新聞)なのだ。こんな露骨な反動、福島事故前の原発パラダイスへのなりふり構わぬ強引なゆりもどしに対して、わたしたちはどうすることができるのだろう。

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大飯原発再稼働の時、私たちは、野田=民主党政府が、結局は電力会社の延命のために原発を動かしたいのだということを、二転三転する詭弁のむこうにみることができた。安全性の確認なんて単に官僚のレトリック。電力不足は根拠のないおどし。原発がないと日本経済が沈む?沈むのは原発パラダイスの利権だけだ。さらに驚いたことは、政府も官僚も自分たちのこうした卑わいな馬脚を隠そうとする努力すら、もう取ろうとしなくなってしまったことだ。どうせバレバレ、なら長期的な作戦なんて面倒なことは言わずに、正面突破で、最後の最後までとれるものだけ取っておこう、という身もふたもない態度で、洗練された政治的=官僚的ごまかしも、もはやどうでもよくなってしまったかのようだ。

そして、大飯再稼働以後、いったいこの原発ヤクザ政権と原発教の国家司祭たちがやったことは何か?

まず、原発=核兵器、という伝家の宝刀を、軽率にもいとも簡単に抜いてしまった。原発はわがニッポンの国体の『安全保障のため』に必要だ。『核の技術を持っているという安全保障上の意味』がある。原爆を作るためのプルトニウムがほしいから、核燃サイクルは、どんなに危険でも、どんなに金がかかっても継続する。『それは言わない約束でしょ』(ザ・ピーナッツ)、『そいつを言っちゃ,おしまいよ!』(寅さん)という声が、『世界で唯一の被爆国』の『原子力平和利用』を演出・宣伝してきた楽屋側から聞こえてきそうだが、言うまでもなく、最初の最初からこれが本音。深く深く抑圧してきた幼児期の外傷体験のように、これは触れてはいけなかったはずだったのに、反原発のうねりで締めつけられた深層が、耐え切れずに、居直るように露出してしまった。なんだ、反原発だと、やれるもんならやってみやがれ!と、ストレンジラブ博士の右手が思わず勢いよく上がってしまう。そんな連中を野放しにしておくほどこちらも甘くないぜ、オレたちは国体護持のためには何でもやる、あの時のように・・・。

民主党連合ヤクザ政権と官僚は、一応、世論=民意のねつ造という古典的プロセスを取るかのような構えを見せ、『意見聴取会』なるものを組織したが、これがぜんぜんやる気なし。民意を聞く意図がない、という意味ではなく(だって、そんなこと当然だもの)、ごまかし&ねつ造という操作自体、その場しのぎのテキトーで、つまり手間暇かけて国民をだますことさえかったるくなってしまい、まやかしとごまかしが、実は自分たち自身の自己欺瞞のための言い訳になってしまった。どうせ数の力と、制度の惰性で、あらかじめ決めてあるシナリオをやりたいようにやるだけなのだ。どこの誰が何と言おうと、『原発0%』は最初からないのだ(文末資料:東京新聞社説)。

原発ゼロがあり得ないから、当然、核燃料サイクル事業は継続となる。国体の『安全保障』のためにも原爆製造の基礎となるこの事業は欠かせない。強烈な放射能リスクと膨大な資金の浪費もなんのその。原子力利権擁護こそ、わが政権の国家戦略なのだ。フクシマ以前への回帰、原発パラダイスの強健な復活。それをしっかりと担うのが、新たにつくられる原子力規制庁の規制委員たちだ。そして、おおアトムの火を人類に与えたもうたプロメテウスの神よ!、この原発帝国の突撃隊にふさわしい人物たちが見事に人選されたではないか(人選反対署名はここ。7/30締切、急げ!)。

委員長の田中俊一は、東電福一事故後に偽りの転向をショーアップしてもっとも手際よく生き残りを画策した原発マフィアの大ボスの一人だ。こいつは、テレビで『メルトダウンはありません』などと旧来の役割に専心していたご同僚をしり目に、さっさと除染ビジネスに転身した。

さらに委員には、田中以外にも、原発マフィアの内輪者がそろっている。そのうちの一人、唯一の女性委員で、おかあさんがたがご心配になっている被曝の問題がご専門の中村佳代子なるマッドドクターは、講演でこう言ったそうだ。

『中村さんは広島と長崎の被爆者の疫学研究から、低線量被曝では子供と大人で発がんリスクに差がなく、原発事故による住民の被曝線量も十分に低いとして、「過剰な心配はストレスにつながる。不安は共有することで小さくできる。遠慮なく相談してほしい」と呼びかけた』

フクシマ以後を生きる私たちにとって必読書の一つであるゴフマン『放射線と人間』を読んでゆくとき、もっとも衝撃を受ける事実は、放射線の影響に対する若年者、特に乳幼児・児童の感受性の高さだ。ゴフマンの研究は、医療用などの低線量放射線による影響を数十年レベルで調べた経年調査によるデータを、被ばく放射線量(時にはその推定)や被曝時年齢と関係づけたものだ。異なった国の異なった状況で被曝した人々のがん死などの数値から、何度も何度も明らかにされるのは、子どもたちが受ける放射線被曝リスクが30-40才以上の大人に比べて、何倍も、何十倍にもなっていることだ。ゴフマンは、隠ぺいされ、ごまかされた『広島と長崎の被爆者の疫学研究』に対しても、鋭い再検討を加え、『中村さん』が公衆にすすめるこの疫学研究が、被ばく影響について大幅に(意図的に操作された)過小評価に陥っていることを示している。ところが、『中村さん』は心配するおかあさんがたにこう呼びかける。

『不安は共有することで小さくできる』

こんな魔女ドクターに、大切な不安を持っていかれるのは、私たちの魂を抜かれるに等しい。魂を抜かれるのは、放射能の影響より深刻です、なんて言ったほうが不安が小さくなりますか?

こんなお歴々をそろえた規制委員会は、全国の原発を次々に再稼働させてゆくだろう。委員会の事務局にも、ゼンインアホな保安院のメンバーが横滑りし、退路を断たれた状態で原発と運命をともにする特攻隊となるだろう。なぜなら、電力会社は原発再稼働を、彼らの金のために必要とし、国家がそれを支持するからだ。東電の電気料金値上げでも、動く見込みのない原子炉の減価償却費が、経費として認められるという露骨な粉飾がまかり通っている。

一方で、志賀原発の活断層や、再稼働されたばかりの大飯原発の破砕帯が問題になっている。保安院ですら、調査が必要という。

しかし、これらの原発も、何カ月もかけて、なんとか再稼働に持ってゆくつもりだろう。電力会社や地元(石川県知事が保安院に怒鳴り込みに行った様子は、大飯原発の時の福井県知事とそっくり)の銭金優先だし、この規制委員の先生方なら、きっとやってくれる。

この間の専門家会議で、『「典型的な活断層だ。あきれてものも言えない」と、地震で動く可能性を指摘した』『三人の専門家』など学界から葬り去ってしまえばいい。それでも黙らないようなら、オレたちには検察も、国税庁もついている、心配はない、どんな裏情報も手に入る(枝野経産大臣がこの手の組織を中心とする官僚機構に何か弱みを握られていて、彼らのあやつり人形と化している、という解釈がネット上にはある)。

要するに、

『野田首相は、3.11以後、原発事故への反省を深めるどころか、原子力活用を拡大する方向に進むことを公然と布告したのである。』柄谷行人:素人の乱記者会見声明)

何十万人がデモをしようと、原発パラダイス復活を『公然と布告した』のだ。こういう原発独裁国家にどのように対抗したらいいのだろう。簡単でないのは明らかだ。『原発はそう簡単には止まりませんね』坂本龍一も言っている。だから、今以上にもっと、もっとデモに出かけよう。

『ワーッと騒いだら止るというものでもない』(坂本)のは当然だが、一方で、黙っていたのでは奴らのなすがまま。いずれ原発マフィア政権を選挙で引きずりおろすまで、どんどん騒いでやろう。数日前、引っ越された昔のご近所から電話をもらった。パート仕事の合間に反原発デモに参加したいが、近場でどこかやっていないか・・・。デモはみんなが「自分もやりたい」と思うごく普通のことになった。

また、坂本龍一はじめとして多くの人がすすめているように、政府のパブコメに自分の意見を送りつけることもぜひやろう。

事故などなかったかのように原発再稼働を推し進めるマフィア政権の狂った独善を告発するパブコメをあふれさせることは、これまで声をあげることをためらっていた人たちにも行動のきっかけを与え、やがては原発独裁政権を追い落とすことにもつながるだろう。

原発マフィアのやることなすこと、すみからすみまでむちゃくちゃだから、告発のネタは砂粒のように尽きることがないが、私は以下のような点を徹底抗議しました。ご参考までに。

・パブコメの募集など行っているが、その結果をどう集計し、どう公表するのか、それに対してどのような対応を取ってどのように政策策定に生かすのか、まったく明らかにされていない。パブコメの募集自体が、『国民の貴重なご意見もうかがいました』というアリバイ作りのための一工作に過ぎない。

・意見聴取会についても同じである。意見の発表者の選定等について、政府自身のやらせともいえる恣意的な工作が明らかになりつつあるが、そんなことはもともと国民の意見を聞く気などなかったのだから当たり前だ。すべて、あらかじめ予告された決定事項、お前たち官僚が、自分と仲間の利権を擁護するために作り上げた既定方針を法制化するためのアリバイのステップに過ぎない。

・お前たち官僚と政府は、原子力発電の今後数十年にわたる継続と核燃料サイクル事業の継続を、国民の声など当然無視してごり押しすることをすでに決定している。日本国中の原子炉を可及的速やかに、すべて再稼働させることに向けて、原子力規制庁の体制を整えようとしている。

・そのために、原子力規制委員会委員には、札付きの原発マフィア幹部を登用した。田中等の選出には、なにがなんでも原発は動かすのだという、お前たち官僚のひきこもった狂気の意思表示がある。人選をやり直せ、という署名やデモ、議員たちの抗議の声もお前たち原発利権官僚は、当然のごとく無視するだろう。バカや無力な国民や無能な政治家を無視することは法で禁じられてはいない。

・だが、お前たち利権官僚の最後は近い。お前たち自身がそれをよくわかっているから、最後の最後で火事場泥棒的に、残余の利権をかき集めようとしているのだ。お前たちは焦っている。もうロスタイムしかない。それで「官僚的」な慇懃無礼と空疎な迷宮言説をかなぐり捨てて、利権のファーネスの中心にじかに迫ろうとしている。だが、それは逆効果で、お前たち官僚の「集団自殺」行為になる。それとも、原発から原爆国家に成り上がるためにプルトニウム・クーデタでも計画しているのか・・・。

・2030年の原発比率など問う意味はない。それに恣意的な選択肢だけを提示する意味もない。原発は即時全面停止。原発を止めたうえで、どのように電気をやりくりしてゆくかという問題に取り組む以外に方法はない。供給不足というのも、年に50時間ほどのピーク時需要からみたゆがんだ議論でしかない。原発をすべてとめてもやってゆけることはこの夏の需給状況が明らかにしている。原発を動かすのは電力会社はじめとする原発利権の維持のために過ぎない。


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資料:原発意見聴取会 国民的議論に値せず
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012071802000115.html
2012年7月18日
 福島原発事故を経て、私たちは変わらなければならないはずだ。国民的議論の上で未来のエネルギー政策を決めるというのも、その一つ。だが、政府も電力会社も、その体質は変わっていない。
 これが、国民的議論の実態なのだろうか。
 仙台市で開かれた二回目の意見聴取会から、迷走が始まった。東北電力の執行役員が「会社の考え方」として、堂々と原発推進論を開陳した。翌日の名古屋でも、中部電力原子力部の課長が「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と述べた。
 聴取会は二〇三〇年の原発依存率について、あらかじめ政府が提示した0%、15%、20~25%の三案を支持する応募者の中から、各三人ずつを選んで意見を聞く。両会場とも、発言を希望した人は、0%支持者が圧倒的に多かった。
 全国十一カ所の意見聴取会は、普通の人の声を聞く貴重な機会であるはずだ。
 電力会社の幹部といえば、意見を聞いて参考にする立場である。それが、真顔で「会社の考え」を述べるとは、考え違いも甚だしい。消費者の心の内などわきまえない巨大電力会社の実態が、透けて見えるようではないか。
 選んだ政府も政府である。このように疑問と不信を招く聴取会にしたことに、政府の不実、不熱心すら想像される。電力会社の本店所在地に偏った会場の選び方といい、はじめに結論ありきの「やらせ」、あるいはただの「通過儀礼」ではないのかと、疑問を持たれても仕方がない。
 九州や北海道で開かれたプルサーマル発電の導入をめぐる公開討論会やシンポジウムなどに、電力会社社員が動員されたやらせ問題は、まだ私たちの記憶に新しい。
 そもそも、全国で百人足らずの意見を各八分間、しかも三者択一で聞いて、一国のエネルギー政策を決めようという基本姿勢に無理がある。同時に募集中のパブリックコメント(意見公募)が、どのようにいかされるのかも定かでない。
 政府は今後、電力会社の職員は意見表明をできなくし、発言者の数を若干増やす。だが、その程度では、もう国民の多くは納得しない。
 国民的議論と言うのなら、今は結論を急がす、原発推進、反対、中立などさまざまな主体が運営する議論の場をもっと数多く開催し、不信の溝を丁寧に埋めていくしかない。


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