福島原発事故メディア・ウォッチ

福島原発事故のメディアによる報道を検証します。

4月14日。大飯原発再稼働のために福井県庁にきた枝野経産大臣を(罵声で)お迎えしました

2012-04-15 13:01:54 | 新聞
枝野経産大臣が14日に福井県庁にやって来た。大飯原発は必要だ、安全性は確認した、ご理解をいただきたい、と西川知事に大飯原発再稼働をうながすためだ。(毎日)しかし、市民は怒っている。お祭りでわく福井駅前をしり目に、戦国時代そのままの城郭内に領主様の天守閣のようにそびえたつ県庁の前で、原発反対!再稼働反対!子どもを守れ!命が大事!枝野は帰れ!と叫んでいた。私も行った。みんなといっしょにその時そこにいたかったから。以下、そこにいた人たちの報告です。
 
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枝野大臣が再稼動要請に来るという福井県庁前に抗議に行って来ました

県庁は福井城址にあって(知事はお殿様か?=写真)、お堀沿いに桜が満開。

2時過ぎに着くと、バナーをもったグリーンピースや福井さよなら原発などをはじめ抗議の人たちが、お堀を渡る橋の手前で止められて集まっていました。地元の女性の方たちや、京都からという女性の方たちと、みんなで、「どうして再稼動なんか決めるのかぜんぜんわからない」「誰も責任とってない」「責任とって切腹した江戸時代のほうがずっとまし」「北朝鮮のことを笑えない」「歴史のある京都や奈良をどうするの」「新幹線なんか要る時代ではない」とか話しました。お母さんに抱っこされてニコニコの小さなお嬢さんもタンバリンたたいて鈴鳴らして「はんたい」。
 
大臣がいつの間にか県庁内に入ったそうで、抗議の私たちも橋を渡れることになり、「芝生を歩くな」とか妙に細かいことを言われながら、県庁舎の前に行きました。玄関前の芝生の前にロープが張ってありましたが、「個人として」ならロープ内に入ってよろしいというお達しが出て、ロープを超えて玄関前へ。でも建物の前には警察の人が並んで中には入れません。後から考えたら、そんなふうに、中に入れないことはとても変です。ずらっと並んだ警察官の人に聞けばよかった。いったい皆さんは何を守っているのですか。大臣ですか、国家ですか。誰から守っているのですか。私たちのようなふつうのおばちゃんからですか。

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橋のたもとで枝野を待っていたら、右翼団体の青い街宣車が大音量で来た。国体護持、靖国がどうのこうの、と旧字体で書いてある。運転手は遠目にもわかるごく年若い青年だ。その彼が、街宣車の急ハンドルを切り、歩道の人垣すれすれに急停車させた。警備の警官たちはその時やっと動き出したが、ぜんぜん緊迫感なし。右翼青年はその後も怒鳴り続けるのだが、彼の言うには、自分も原発には『基本的には反対』だ。『福島の現状を見ていたら反対せざるを得ない』(ここで、青年のお母さんくらいの年齢の女性から、『だったらこっちに来ていっしょに反対しようよ』と声がかかる)、しかし、電力事情を考えれば、『やむにやまれぬ思いで容認』するのだ(彼は、しきりに原発『賛成』ではなく『容認』だ、と繰り返した)。何でも反対するお前たちは極左暴力集団だ、自分も福井県人だ、仕方がないから容認するのだ。「なんだ、こんな赤旗なんか立てて」、と言われて、一同はあたりを見回した。なるほどどこかの労組系の団体ののぼりが赤い。しかしいわゆる「革命のシンボル」たる赤旗には程遠いデザインだから、みんな笑ってしまう。街宣車の日の丸は薄汚れて、先のほうは糸がほつれている。『もっときれいな旗にしいや!』と突っ込み。この右翼青年は、なんだかクラスの不良が仲間に入れずに、教室の後ろで荒れているような感じだった。東京の官邸前では、それこそ赤旗と日の丸が共存して再稼働反対を訴え、政府の独断とごまかしを批判していた。『福島の現実を見れば』、原発反対に右翼も左翼もない。そして、この青年の『やむにやまれね容認』という表現は、西川知事以下、再稼働容認に自分がとらわれてそれしか選択肢がないと思い込んでいる、思い込まされている人々を代表しているようだった。そしてこの右翼青年の古い党派的な発想は、新聞報道などのでも同じだ。福井新聞の記事(資料)は、私が見たものとはまったく違う「政治闘争」のストーリーを演出している。私の見たところでは、何百人かいた人のうち、私や友人たちを含めて、『原発反対派団体のメンバー』というのではない、単なる個人参加がたくさんいた。宇都宮から避難してきた子連れのお母さんがいた。『反対派は14日午後2時ごろから、県庁周辺に集結し始めた』というのも明らかに大げさ。そんな戦略的なものではない。みんな枝野の車に文句が言いたいから、自然、みんながいる橋のたもとに、集まったが、素人の悲しさ、裏口をふさいでいなかったから、枝野の県庁入来を見届けられなかった。後で、田中龍作ジャーナルの田中さんがいて、少し話したら、この人は素人とは言えないのに、『やられました。枝野入庁、写真のがしました』と言っていた。『規制線を越えて正面玄関に押しかけた。機動隊員らは横一列になり、体を張って進入を食い止めた。』と福井新聞は言うが、これもなんかかっこよすぎ。庁舎前、およそ50メートルの範囲で立ち入り禁止のロープが張られ、芝生内には県職員が立って警戒していたのを、だれかが『団体行動でなければ入ったっていい』と聞いてきたということで、みんな旗やプラカードを置き、パネルや鳴り物をしまって、では、行かせていただきます、と玄関に向かった歩いたのだ。それからは、警察官ともみ合い、確かに玄関のポーチ下で手を叩いて再稼働反対!、枝野帰れ!と『罵声』(これほんと!)を浴びせたのでした。しかし、警官の方たちも抗議側も、もみ合っている割には、ごくごく丁寧な態度で、外国出身の方など、警官が『すみません』と謝ってくれたので、私の国ではありえない、とても親切!と感動していました。

さて、もみあいはすぐ終わり、こんどは警官の隊列の前で『罵声』だけになった。しかしこれも、長くは続かない。というのも、代表を受け入れるから、その交渉をする、ついては静かにしてくれというので、抗議側のリーダー格の人たちがみんなを静止したからです。それなら、と玄関ポーチ下から芝生まで下がりましたが、私はこのリーダーたちの判断がよかったかどうか、大いに疑問です。というのも、交渉は延々と続き、それまで、声をあげていた『大衆のエネルギー』は沈静化され、枝野は県庁内で静かに会議ができたからです。私がこの交渉はやつらのためにしかならない、と友人に話していると、隣に座った見ず知らずの人が、『その通りですよ』と応じてくれた。『だって交渉を仕切っているのが、県ではなくて、公安だから』とおっしゃるのです。それでその人が指差すいかにもそれらしい人相風体の中年男二人、もっと若いのを一人従えて「交渉」周辺を闊歩し、帽子に線がいっぱい入った隊長らしき機動隊に私たちのほうを向きながら指示を出している。若いのは肩掛けの黒鞄だが、そこからアンテナが出ている。中年二人は、それぞれ手提げの黒鞄、10センチ以上の厚さで膨らんでいるのは、通信機器か、録音撮影の記録機器か、まさか武器じゃないよね。などと話をうかがう。この公安幹部二人は、互いによく似たハンプティ―ダンプティーだが、映画『戦場にかける橋』で捕虜虐待をする帝国軍人にそっくり。事実、あのまま日本刀でも下げさせれば、立派にファシスト時代でも通用する。性的倒錯拷問者というキャラで不気味。

さて、交渉のほうだが、代表3人を中に入れるから、他の人は、芝生の外の50メートル圏外の規制線外に出ろということになってしまう。つまり、代表団受け入れとともに、体よく黙らされてしまったのだ。私は、この交渉過程に、地元有力者と役場、労組幹部と経営陣、与野党幹事長会談、などと同じボス政治を感じる。反対者を仕切る反対者は、公安はじめ当局にとってなんとありがたい存在だろう。枝野福井来庁抗議のリーダーたちの反原発の意思と誠意は疑わないが、彼らが旧態依然のオヤジ交渉文法から抜け出せないはダメだと思う。たとえば、代表団受け入れ交渉だって、話ができないから静かにします、というところまで譲っても、警官隊の前から(まして規制圏外まで)退くことまで妥協しなくてもよかったのではないか。交渉の間、私たちは警察官の人たちと話すこともできただろう。民衆が動くときは警察・軍隊と民衆との交流が始まる。フランスでも、ウクライナでも、チュニジアでもそうだった。経産省前の抗議行動では、現職の警察官の方もついに発言したそうだ。

オヤジ交渉文法と言えば、美浜の会の方だと思うのだけれど、ほかの集会や文科省の交渉でも見かけた女性でとてもしっかりした方が、14日もいて、彼女が話すことがあるからとハンドマイクを探していたのに、ついに話す機会が与えられなかった。残念。仕切りのみなさん、次回から考えてください。


資料

武者行列出陣後、原発反対派で騒然 福井県庁前、機動隊ともみ合い 
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/34170.html
(2012年4月15日午前7時19分)

拡大 県庁前で大飯原発の再稼働反対を訴える原発反対派=14日午後2時35分 福井県庁前で大飯原発の再稼働反対を訴える原発反対派=14日午後2時35分

 立地県の理解と協力を求め枝野経産相が訪れた福井県庁前には、県内外から約300人の原発反対派団体のメンバーが詰め掛けた。「枝野は帰れ」。罵声(ばせい)が飛び交い、一部メンバーは庁舎内に入ろうとして県警の機動隊員ともみ合いに。武者行列がお堀を出陣した2時間余り、まったく異質な空気で騒然となった。

 反対派は14日午後2時ごろから、県庁周辺に集結し始めた。午後3時23分、枝野経産相を乗せた車は正面入り口を避け、裏手から県庁入り。肩透かしを食った反対派団体は庁舎正面の広場に移動し、「原発反対」「再稼働反対」「子どもを守れ」などとシュプレヒコールを上げた。

 同40分ごろ、一部の反対派が庁舎内に入ろうと、規制線を越えて正面玄関に押しかけた。機動隊員らは横一列になり、体を張って進入を食い止めた。「中に入れろ」「人殺し出てこい」などと怒鳴り声も飛び交い、現場は一時緊迫した。

 サヨナラ原発福井ネットワークの山崎隆敏代表(63)=越前市=ら3人が代表して県職員と話し合うことで事態は収拾。山崎代表らは、再稼働を認めないよう西川知事や枝野経産相に伝えてほしいと口頭で求めた。

 枝野経産相の来庁に先立ち、反対派は県庁南側の交差点で横断幕や上り旗を掲げ、再稼働反対を訴えた。そこへ原発再稼働を容認する政治団体の街宣車1台が現れ一触即発の雰囲気に。双方の男性が激しく言い合いながら詰め寄り、警察官が止めに入る場面もあった。

 午後6時ごろ、吉田伊三郎副議長を乗せた車が県庁駐車場から出てくると、走行中の車のフロントガラスにプラカードを置いたり、車のガラスや車体をたたくなどした。道路に寝ころび、車を止めようとした男性1人が警察官に抱えられ移動させられた。


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