ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「20世紀少年 -第1章- 終わりの始まり」

2008年09月23日 | 映画関連
「目が腐ってしまう様な、と言うより不愉快を通り越して、失ってしまった時間を取り戻す為に、裁判にでも掛けたい気持ち。」映画評論家でも在るおすぎ氏が、映画「20世紀少年 第1章 終わりの始まり」に付いて記した文章だ。時には的を射た指摘も在るが、彼が「泣きました!」とか「感動しました!」と絶賛する作品は概して良いと思った事が無い。レギュラー出演している「森田一義アワー 笑っていいとも!」ではタモリ氏のワンパターンな芸風に対し、「もータモちゃん、面白いんだから~。」と阿る姿を散々見ているので、映画でも「何等か思惑が在っての評論ではないか?」と感じる事がしばしば。「漫画『20世紀少年』は非常に面白かったが、果たして映画はどうなのか?おすぎ氏の言う様に、そんなに駄目な作品なのか?」それを確認する意味も在って、映画館に足を運んだ。

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大阪万博開催を翌年に控えた1969年の夏、小学生の遠藤健児(愛称:ケンヂ、配役唐沢寿明氏[大人時])は同級生の落合長治(愛称:オッチョ、配役:豊川悦司氏[大人時])や瀬戸口雪路(愛称:ユキジ、配役:常盤貴子さん)、皆本剛(愛称:ヨシツネ、配役:香川照之氏[大人時])、丸尾道浩(愛称:マルオ、配役:石塚英彦氏[大人時])、子門真明(愛称:モンちゃん、配役:宇梶剛士氏[大人時])、福田啓太郎(愛称:ケロヨン、配役:宮迫博之氏[大人時])、木戸三郎(愛称:ドンキー、配役:生瀬勝久氏[大人時])、服部哲也(愛称:フクベエ、配役:佐々木蔵之介氏[大人時])等と共に、原っぱに秘密基地を作る。そして其処で、彼等はたわいの無い空想をした。「20世紀の終わりに悪の組織が出現し、細菌兵器や巨大ロボットを用いて世界征服を図る。」という物で、その内容はスケッチブックに「よげんの書」として書かれる。

それから28年後の1997年、ロックスターになる夢を諦めて実家のコンビニを経営し乍ら姉の娘・カンナを育てていたケンヂは、子供の頃に自分達が遊びで書いた「よげんの書」通りに、世界で異変が起こり始めている事に気付く。それを実践しているのは“ともだち”と呼ばれる男を頂点にした狂信的集団。「近所に住む大学敷島教授一家の謎の失踪」や「友人・ドンキーの不審死」に“ともだち”が関与している事を知ったケンヂは、「このまま進めば『よげんの書』通り、人類は2000年の大晦日に細菌兵器を撒き散らす巨大ロボットによって滅ぼされてしまう。」と、昔一緒に「よげんの書」を作った幼馴染を招集し、人類の存亡を賭けた闘いに立ち上がるのだった。
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ケンヂ達が原っぱで遊んでいた1960年代は、自分にとっても幼少期に当たる。だからスカート捲りに駄菓子屋、ポルノ映画のポスター、平凡パンチ、“ピンキラ”等々、登場する当時の事物や光景は懐かしい限り。「ALWAYS 三丁目の夕日」を始めとして、近年は昭和30~40年代を舞台にした作品が目立つが、この時代に郷愁を覚える人が少なくないという事なのだろう。

人気の高い漫画や小説を映像化する際、作り手としては「その世界観を出来るだけ壊さない様にしたい。でも自分らしさも打ち出したいし、そのままソックリ映像化するのも嫌。」という複雑な思いが在ると思う。「原作の世界観」と「独自色」のバランスが非常に難しく、得てして独自色を打ち出し過ぎて、原作の良さを殺してしまうケースがまま見受けられる。この作品の場合は極めて原作に忠実・・・と言うよりも原作そのままに映像化していると言っても良い。これはクリエーターとして非常に勇気の要る決断だったろう。個人的にはこの決断、決して間違っていなかったと思う。

ケンヂを始めとしたキャラクター達が、実に原作のイメージと合っている。漫画や小説を読み乍ら「この作品を映像化した場合、このキャラクターは誰が演じるに相応しいか?」を良く考えるのだが、「オッチョ=“トヨエツ”、ケロヨン=宮迫氏、万丈目胤舟=石橋蓮司氏」なぞは“自分が描いた配役”通りだった。あくまでも想像だが、原作者の浦沢直樹氏も彼等をイメージして描いていたのではなかろうか?

原作で「どう考えても、これはポール牧師匠(動画)をモデルにしているな。」と思っていたピエール一文字。「ポール師匠亡き今、一体誰が演じるのだろう?」と気になっていたが、“怪優”竹中直人氏が指をパッチンパッチン鳴らしつつ、クルクル回って登場したのには大爆笑。又、駄菓子屋の“ジジババ”(爺さんの様な婆さん)役に研ナオコさんが扮していたのは、この作品に一枚噛んでいる日本テレビ嘗ての人気ヴァラエティー番組「カックラキン大放送!!」で、彼女が“ナオコおばあちゃん”を演じていたからかも。*1

原作を読んでいる人達を満足させ、尚且つ読んでいない人達を置いてきぼりにもしない。スピード感溢れる作品で、とてもおすぎ氏が指摘した「目が腐る様な内容」では無い。この作品は三部作の第一作(第一章)に当たり、第二作(第二章)は来年頭に公開予定。今からその公開が楽しみだ。

総合評価は星4つ

*1 原作で気になるキャラクターの一人・春波夫(はるなみお)。明らかに三波春夫氏をモデルにしたこの“濃い”キャラクターを、一体誰が演じるのか興味が在る。

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15 コメント

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Unknown (yama)
2008-09-23 19:59:50
その映画とおすぎ氏の評論は知らないのですが
おすぎ氏は嫌いな監督(北野武等)や嫌いな
俳優が出ている映画をけなす傾向が非常に
強いようです。(批判が具体性に欠ける)
特に北野氏のある作品以降は明らかに悪意
を持って批判しています。

書評家にもけなすためにわざわざ読んでいる
としか思えないひとがいます。
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どっちなんだろう? (破壊王子)
2008-09-23 20:20:34
おすぎの評論に興味はないですが、ライムスターの宇多丸さん(拙とは同年代)や、中野貴雄監督とかの言葉を聞いてしまうと(三部作なんて言わずに一本にまとめろとか、漫画のテンポ感が全くないとか)、ちょっと腰が引けます。この前の土曜日も、最初はこの作品を見ようとしたものの、150分で空振りだったときのリスクはキツイと思い、結局「超ウルトラ8兄弟」の二度目の観賞に当ててしまいました。

おすぎが該当するかどうかはわかりませんが、配給会社から試写の声がかかってからじゃないとその映画について論じられない連中を、少なくとも評論家と呼ぶべきではないと思います。
最近の町山さんはこういう手合いに毒吐いてますが。
あー「片腕マシンガール」が早く見てえ(笑)

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>yama様 (giants-55)
2008-09-23 20:42:55
書き込み有難う御座いました。

「評論家」という肩書を背負っている以上、その作品の中身を冷静に評価すべきだと思うのですが、中には「先ず内容を誉める事在りき。」といった提灯持ちの様な人物、又は「監督や扱っている題材が嫌い。」という理由から「先ず貶す事在りき。」という人物は確かに居ます。自分もおすぎ氏には後者の匂いを感じている訳ですが、少なくとも彼が評論家として出始めた頃はもう少しまともな評論をしていた様な気が。

この作品、当然賛否両論在る事でしょう。絶賛した自分ですが、細かく内容を検証して行くと、原作を読んでいない人達には唐突に思える内容(ピエール一文字氏の存在等。)は在りますしね。
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はじめまして。 (まさみ)
2008-09-23 21:09:48
TBありがとうございました。
私もこの映画へのおすぎの評論は知らなかったのですが…
ひとまず第一章、原作を読んでいない私ですが十分楽しめる内容でした(^^)

>彼が「泣きました!」とか「感動しました!」と絶賛する作品は概して良いと思った事が無い。
彼がそう評価していた「オリバー・ツイスト」。
私的にはひどい映画だったのをよく覚えています(汗)
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Unknown (yama)
2008-09-23 21:10:10
おすぎ氏は「戦場のピアニスト」「交渉人」などの映画CMに出てますが
試写を観たあと映画会社にCMをやらせてほしいと言ったのでしょうか?
それはちょっと無理があるような気がします。
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>yama様 (giants-55)
2008-09-23 21:26:18
当事者では無いので推測するしかないのですが、先ずは「映画のCMで絶賛するという“御仕事”在りき。」だったのではないでしょうか(笑)。
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Unknown (tak)
2008-09-23 23:56:06
giants-55さまが★4つというのは高評価ですね!
まだ見ぬこの作品の印象は単にT-REXのテーマ曲位しかないんです。。。w
原作もまったくしらないし。今度観に行っても良いなぁ。
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こんばんは♪ (くろねこ)
2008-09-24 00:25:25
TBありがとうです。
意外とおすぎサン。ブログでは毒つき少なかったのに(笑)
このコメントはびっくりでしたね~。
まっ。感想は人それぞれですからね。
私は原作既読ですがすっごく楽しかったです!
ケロヨン・万丈目胤舟は本当にそっくり。
自分では思いつかなかったんでなおさらです(笑)
子役もあの双子にはやられましたね!
春波夫誰ですかね~。
バーチャル体験もどうまるのか・・。
次回も楽しみですよね!!

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>tak様 (giants-55)
2008-09-24 00:46:29
書き込み有難う御座いました。

映画「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/d31d4a50da3a4ebe6fdae5d77b68d5a0)を星5つと評価した様に、自身の思い入れが強い作品にはどうしても甘い目で見てしまう所が在ります。この作品も原作が大好きでしたので、多分に評価は甘くなっていると自覚しております。唯、少なくともおすぎ氏が指摘する程駄目な作品で無いのは確かかと。
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こんばんは~ (AS)
2008-09-24 00:59:35
うちのような愚痴オンパレードのブログにTBして頂きましてありがとうございます!
この作品は誘われて行ったのですが結構楽しめました♪
私は原作は未読なんですが登場人物が多いし第二章までは先が長いので、もう一回観るか原作を読むかしておきたいなぁ~と思っています。
こちらのブログは記事のバックが方眼紙みたいで読みやすいですね~また時々こっそり読ませてもらいますね。
今後ともどうぞよろしくお願いします。


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