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「『笑っていいとも!』【動画】来春終了 放送31年、ギネス登録」(10月22日、日本経済新聞)
1982年から平日昼に生放送されて来たフジテレビ系のヴァラエティー番組「笑っていいとも!」が、来年3月末で終了する事が22日、判った。同日の放送で、司会のタモリさんが明らかにした。
タモリさんは番組の終わりに「30歳で此の世界に入って、『いいとも』で初めて芸能人として格好が付いた。フジテレビがずっと守ってくれた。国民の皆様にも感謝します。」と話した。
1982年10月に放送開始。タモリさんが旬のゲストと軽妙なトークを繰り広げる「テレフォンショッキング」や、レギュラー出演者の御笑い芸人等によるコント、クイズのコーナー等が人気を集めた。
2002年には通算放送回数が5千回を超え、「生放送単独司会世界最高記録」としてギネス・ブックに登録された。「友達の輪」や「いいとも!」の掛け声は流行語にもなった。
又、日曜日に放送されるダイジェスト版も好評だった。
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「笑っていいとも!」、正式な番組タイトルで言えば「森田一義アワー 笑っていいとも!」が、来春に終了する事になった。此処数年、「『笑っていいとも!』が終了する。」という話は何度か出ていたので、「遂に終了か。」という思いが。ファンの方には申し訳無いけれど、正直言って自分は此の番組が嫌いで、殆ど見た事が無い。
番組終了のニュースを受け、自身のツイッターやらブログやらで「『笑っていいとも!』が終了するのは、本当に残念。」等と、“哀しみ”を表明するタレント達が多い様だ。中には本当に哀しく思っている人も居るだろうが、「私はこんなにも『笑っていいとも!』が好きだったんですよ。だからタモリさん、新しい番組が決まったら、私を起用して下さいね。」という下心が透けて見えるケースも少なく無い気が。
以前にも書いたと思うが、自分は“タモリ氏の笑い”というのが好きじゃない。否、正確に言えば、昔は面白いと思った時期は在ったが、今は嫌い。彼がアイ・パッチをしていた時代を知らない世代も多くなったろうけれど、彼の頃の彼には面白さを感じていた。ハナモゲラ語を口にしたり、イグアナの物真似をしたりと、無国籍風の胡散臭さも相俟って、「面白いなあ。」と思ったもの。
【タモリ氏】
無国籍風の胡散臭さは「夜の世界(夜に放送される番組)」だからこそ、より際立っていた。そんな彼がアイ・パッチを外してサングラスに変え、そして「昼の世界(昼に放送される番組)」に足を踏み入れた事で、最大の魅力だった無国籍風の胡散臭さを消してしまった様な気がする。
彼の芸風は、「偉大なるマンネリズム」と称される事が在る。自分がアイ・パッチを外して以降のタモリ氏の笑いが嫌いなのは、正に「マンネリズム」に在る。ボケ&ツッコミがワンパターンで、加えて“欽ちゃん”並みのねちっこい相手弄り。ハッキリ言って全く面白く無いのに、元レギュラーだった久本雅美さんに代表されるが如く、「もータモさんったら、面白い事言うんだからっ!」みたいに周りが必死で御追従し捲っているのだから、ウンザリしてしまう。
1時間の生放送を週5日間、31年も続けて来たというのは凄い事だと思っている。「マンネリズム」では在るけれど、だからと言って自分がタモリ氏の立場だったら、1週間も続けられる自信が無いから。其れ故、「偉大なるマンネリズム」というのも、強ち的外れでは無いのだが、タモリ氏の笑いが嫌いというのは変えられない。
「『笑っていいとも!』の“賞味期限”は、疾うの昔に切れていた。」と、自分は思っている。「惰性で放送し続けて来た。」とも。
昨年、印象的な出来事が在った。平日に休みが取れたので、近場の健康ランドに行った時、露天風呂に数人の大学生と思しき連中が入っていたのだが、外に置かれたTVでは「笑っていいとも!」が流されていた。1人が「今日って、『ヒルナンデス!』【動画】で『格安コーデバトル』(買い物にテーマ、制限時間、上限金額を設定した上、2人の芸能人が其れ其れファッションのプロと一緒に買い物をして、何方がより華麗に変身出来るかを競うコーナー。)が放送される日じゃね?」と言った所、「あっ、そうだ!彼のコーナー、めっちゃ面白いよね!」、「そうそう、どう大変身するか、見てて面白いよ。」等と声が飛び交った挙句、「何で『笑っていいとも!』“なんか”流してるんだろ?チャンネル変えてくれないか、店の人に言ってくるわ。」という展開に。
実際に1人が風呂を出て行き、そして戻って来た時には、チャンネルが「笑っていいとも!」から「ヒルナンデス!」に切り替わっていた。「笑っていいとも!」の全盛期ならば考えられない遣り取りで、「『笑っていいとも!』も、刀折れ矢尽きるといった感じだなあ。」と痛感させられたもの。「『笑っていいとも!』は、何時終了してもおかしくないな。」と本格的に思う様になったのは、此の出来事が切っ掛けだったかもしれない。
「タモリ倶楽部」の様に、「夜の世界でマニアックな内容の番組」の仕切りでは、上手さを感じさせるタモリ氏。「笑っていいとも!」終了後は、そういったフィールドに“再び”軸足を移して行ったら良いと思う。
密室芸、其の通りですね。密室芸と言うと、仲間受けだけする芸といったニュアンスも在りますが、昔のタモリ氏の場合は其れを突き抜けて居た感じが在りました。でも、少なくとも「笑っていいとも!」での彼は、悪い意味での密室芸、即ち「仲間受けだけする芸」に終始していた様な気がするんです。1時間の生放送を平日の5日間、其れを31年間も続けて来たのですから、そうならざるを得ない面も在ったとは思うのだけれど・・・。
「今夜は最高」、彼の番組も面白かったですね。「大人の鑑賞に堪えるヴァラエティー番組」という感じで、御洒落さの在る番組でも在りました。伊東四朗氏や、最近では余り御見掛けしなくなりましたが団信也氏等、芸達者の芸人との絡みも忘れられない。
日曜の夜と言ったら「笑点」や「サザエさん」、そして平日の午後一では「徹子の部屋」といった具合に、「笑っていいとも!」も日本人の多くが「平日の御昼の番組」と認識していた番組と言っても良いでしょうね。
「あんなスローモーな動きで、真剣勝負なんて在り得ない。」と指摘された、晩年のジャイアント馬場氏。でも、彼のスローモーな動きも、自分は“様式美”として好きだった。同様に、ワンパターンだ何だと言われても、「笑っていいとも!」という番組に様式美を感じ、そして「好き。」という人が居たかもしれません。
TVの世界で、「笑っていいとも!」がエポックメーキングな存在だったのは否定出来ない。幾つかの流行語も生んだし、制作者達の努力も在ったとは思うのですが、如何せん“金属疲労”は修復し難い所迄到っていた様な気がします。
「今夜は最高」は観てました。
タモリも、筒井康隆、山下洋輔、たちとつるんで「全日本冷やし中華」なんてのをやっているころが一番面白かったです。