ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

返済に御褒美

2006年08月31日 | 時事ネタ関連
8月28日付けの東京新聞に「返済に『御褒美』おかしくない?」という記事が載っていた。何でも文部科学省が来年度の税制改革要望に、「日本学生支援機構の有利子奨学金返済に関する優遇措置」を盛り込むという。優遇措置は有利子奨学金がきちんと返済された場合、その年末調整で利子相当分の”一部”を税控除して返却するという方法が考えられている。累積する奨学金返済滞納に悩む同省が、(滞納した場合には税控除が受けられない事での)滞納減少を期待してのもので、教育費負担軽減という意味で、政府の推進する少子化対策にも適うものとしている。

日本学生支援機構の奨学金は、経済的に就学困難で優秀な大学院、大学、短大、高専高学年の学生に貸与するもので、例えばいずれも私大で4人世帯の場合、年収997万円以下が無利子、(997万1円以上)1,343万円以下が有利子貸与となり、無利子は月額6万4千円、有利子は大学の場合、月額3万円、5万円、8万円、10万円の中から選択するという。

税控除額がどの位になるかという話だが、例えば「大学生が4年間、月5万円の貸与を受けた。」とすると、総額では240万円を貸与された事になる。これを15年間で返済する場合、利子は今月の返済利率1.5%で計算すると、利子は総額24万円程となり、この一部が減額&返却される事となる。この優遇措置の為に、全体では毎年200~300億円の財源が必要になるのだとか。

父親を学生時代に病気で亡くした自分も、日本育英会(日本学生支援機構の前身。)の御世話になっていたので、奨学金制度には非常に感謝している。そして社会人になって以降は、毎月返済をしてかなり早い段階で全てを返し終えた。これは、「自分と同じ様な境遇に在る”後輩達”の為にも早く返さないと。」という高邁な思いでは無く、唯々「借りている物は一日でも早く返したい。」という義務感に駆られてのものだったというのが正直な所だ。

借りている物は返すのが当たり前。この当たり前の事が、今や当たり前に出来なくなっている御時世。ブランド品や高級車を買いながら、自分の子供の給食費は不払いを決め込む親が結構居るという。「義務教育期間なのだから、給食費も払う必要が無い。」と平然と嘯く親も居るというのだから、何とも厚顔無恥だし、世も末だなあと思ってしまう。

奨学金の貸与残高は2005年事業年度で約4兆2,500億円も在り、内3ヶ月以上の遅延債権額は約1,864億円で、これは貸与残高の4.4%。2004年度の滞納額の総回収率は、約78%だという。

失業等の理由から滞納しているケースは未だしも、返せるのに返さない人間が少なくないというのは呆れ果ててしまう。それに返済義務が在るものに対して、「返済したら御褒美を上げます。」というのもどうかと思う。これによって、上記した様に別途莫大な財源が必要となるのだから。

日本学生支援機構の側にも問題が無い訳では無い。滞納者に対する督促が半年間、月1回、それも電話で行うだけ。法的処理の対象は短期滞納者のみで、より悪質な中期滞納者が除外されている。等、対応の甘さが在るからだ。しかし何と言っても問題なのは、返せるのに返さない人間が居る事に在るのは言う迄も無い。

義務を負ってこその権利という考えがどうにも薄れている気がするし、惚け通した者勝ちといった風潮を、誰しもがおかしいと思う日が来て欲しい。

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6 コメント

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奇妙な理論ですね。 (アラメイン伯)
2006-08-31 10:14:54
奨学金制度そのものが低利なのに更に優遇するような制度は奇妙です。

税金にしろ公共料金にしろ役所は滞納者になめられてしまってます。

もちろん手は尽くすべきですが滞納が酷いと資産、預金、給料を差し押さえすべきです。

そうしないと真面目に払ってる人に不公平でしょう。
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良心 (マヌケ)
2006-08-31 16:09:39
恩を仇で返す行為とまでは言わないまでも、支えていただいたことを感謝の気持ちでお答えするという人になって欲しいものです。 世の中のルールが守られていないことが多く目に付きます。 子供に恥ずかしくないのか、大人としてそんな行為をしてよいのか、いろんなところでレベルの低い人間が目立ちます。 借りたものを返すのは当然のことです。 それができなくなっている人が大勢いることは嘆くしかありませんね。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2006-09-01 00:49:54
書き込み有難うございました。



以前にも何度か書いた事なのですが、日本には「恥の文化」というものが嘗ては確実に存していたと思うんです。他者から「恥ずかしい人間」と思われたくないと良くも悪くも周りの目を気にし、自らの言動を律して行くという面が在った筈なのですが、近年は若い子に限らずあらゆる世代で「恥を恥と感じない」人間が増加して来ましたね。恥に関して鈍感にな人間が増えたのか?それとも、関心事は唯一己自身の事だけで、他者に関して全く無関心な人間が増えてしまったのか?原因は判り様が在りませんが、実に嘆かわしい事です。



斯く言う自分も聖人君子からは程遠い下種な人間ですが、少なくとも他者から「恥ずかしい人間」と見下される事だけはしたくないと留意しております。
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奨学金 (破壊王子)
2006-09-01 01:00:58
確か大川興業の大川前総裁が学生時代に借りていて、その返す顛末を読んだのを思い出しました(金なら返せん!は本当に名著)



大昔は金借りたまま返さないと、そのまま投獄されたのですがね。

民主的ってことは恥知らず増やすだけなのかもしれません。
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大事なものは何か (マヌケ)
2006-09-01 09:22:57
小泉に責任があると思います。 世の中に人を思いやる心がなくなってきつつあります。 経済中心の社会を造りあげた責任が今の政府にあります。 多少の犠牲はやむを得ないと切り捨ててきた倫理観や道徳は目先の利益優先よりも本来は優先されるべきものでした。 小泉の次も期待はしていません。 経済は立て直せますが世代間を通じて失われた道徳心や倫理観はそうそう簡単には取り戻せません。 今に日本もアメリカのように簡単に戦争をするような国へとなる可能性は高いですね。 教訓もせいぜい50年とか60年くらいたってしまえば残らないということです。
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>マヌケ様 (giants-55)
2006-09-02 00:38:20
書き込み有難うございました。



小泉首相の功罪に付いては、彼が退陣した段階で自分なりに整理した上で記事にしてみたいと思っておりますが、概して罪の方が多かった様に感じます。マヌケ様が御指摘の部分も同感ですが、それ以上に彼が何をするにしても「説明責任」を放棄し、「それがどうした!何が悪い?」といった論調でのみ事を推し進めた事が、社会風潮に非常に悪影響を与えたのではないかと自分は考えます。



人間が人間足り得るのは、きちんと相手と対峙して議論出来るという部分が間違い無く重要だと思うのですが、それを全く行わなかった(能力的に行えなかったとするのが正しいのかもしれませんが。)彼の姿を見て、それこそが「闘う姿で在り格好良い。」と勘違いしてしまった国民も少なくなかったのではないでしょうか。



此処でも何度か書いていますが、海外諸国に対して卑屈になる必要も、又阿る必要も全く無いのは言う迄も在りません。しかし端から議論を放棄、又は「相手がそっぽを向いているから、自分も向き合わないのだ。」という主張”だけ”を繰り返しているのでは同じ穴の狢になってしまうし、それは単なる”子供の喧嘩”に過ぎない筈。



世間ではすっかり安倍新首相誕生へのカウント・ダウン・モードに入っている気配ですが、誰が首相になるにせよ、相手の意見をきちんと聞いた上で、自分の意見を吐けない人間には信を置く事が出来ない自分です。
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