落とした物

家人が一昨日見ていたＴＶ番組に、俳優の佐藤隆太氏がゲスト出演していたそうだ。彼は「ああしておけば良かった。こうしておけば良かった。」と感情を引き摺る性格との事で、最近経験した或る出来事を披露した。

 

彼がコンヴィニに行った際、ホット・ドッグを購入した。店員が袋に入った状態のホット・ドッグを電子レンジで温め、取り出して佐藤氏に渡そうとした時、余りの熱さに床に落としてしまった。温める際に袋の端を少し破いたものの、中身が床に触れる事は無かったが・・・。

 

店員は何事も無かったかの様に、「御待たせしました。」と佐藤氏にホット・ドッグを渡したと言う。「えっ！？」と驚いたものの、佐藤氏は受け取って帰宅。でも、「ああいう時は、『取り換えて下さい。』と言うべきだったのかなあ？でも、中身が出た訳じゃないし。」と散々悩み、「生肉を叩くと美味しくなると言うし、ホット・ドッグも床に落とされた事で、美味しくなったと思おう。」と自分を納得させたとか。

 

其れに対し、コメンテーターとして出演していたハイヒールのリンゴさんと千原兄弟の千原せいじ氏は共に「そういう時は、『取り換えてくれ。』とはっきり言わないと駄目。」と主張するも、ＭＣで在るバナナマンの設楽統氏は「俺も『取り換えてくれ。』とは言えないで、黙って受け取っちゃうなあ。」と主張。自分（ｇｉａｎｔｓ－５５）の場合も、中身が汚れていないという事で、黙って受け取ってしまうかも。

 

レジで支払いした際、御釣りを店員が落としてしまう事が在る。「申し訳在りません。」と、店員が落とした御金を取り換えて渡そうとしたりするけれど、そういう場合、自分は「取り換えなくて良いですよ。」と言う。落とした御金が例えばうんこの上に乗っかったりしたら話は別だけれど、所詮、御金は不特定多数が触れている訳で、衛生的に綺麗とは言えない状態。だから、床に落とした位で、他の御金に態々交換して貰うのは、「申し訳無い。」と思ってしまうのだ。

 

そんな自分だが、半年程前にコンヴィニで目にした光景は余りに強烈で、今も忘れられない。７０代位の爺さんがフライド・チキンを１つ購入し、店員が電子レンジで温め、渡そうとした時、床に落としてしまった。フライド・チキンは袋から飛び出て、思いっきり床に付いたので、店員が「申し訳在りません！別のを温め直しますので、少し御待ち下さい。」と言った所、其の爺さんは「交換しなくて良いよ。」と言ったのだ。

 

一瞬、言っている意味が判らなかった。店員も同様だったのだろう、「えっ！？」という表情を浮かべていた。「落とした瞬間を見ていなかったのかもしれない。」と思ったのだろうか、店員が「商品を落としてしまったので、別のに取り換えます。」と言った所、爺さんは笑顔で「だから、態々取り換えなくて良いって。どうせ、家に帰ったら温め直すし、其れで殺菌されるから。」と。「そういう訳には行きませんから。」と答える店員に、「本当に良いから。」と笑顔で押し通した爺さん。結局、爺さんは落としたフライド・チキンを持ち帰って行ったのだった。

 

確かに家で温め直せば殺菌されるのかもしれないが、自分だったら絶対に無理。でも、子供の頃を思い出すと、「食べ物を落としても、３秒（又は５秒以内に取り上げれば汚く無く、普通に食べられる。」といった“３秒（又は５秒）ルール”が結構広まっていて、落ちた物を食べたりした事が在ったっけ。