盛り上がるのは勝手ですが

「２０１０　ＦＩＦＡワールドカップ」が開幕した。自分はサッカーに関する知識が絶望的に欠けているのでワールドカップに関する記事は書けないのだが、ワールドカップに関する嫌な思い出を以前書いた事は在る。大会開催中に知人と“御洒落系の飲み屋”に行った際、店内ではワールドカップの試合中継が流されていた。自分も知人もサッカーには全く興味が無かったので、ＴＶから遠く離れた場所で静かに会話を楽しんでいたのだが、其処にＴＶを見ていた一人のオヤジが遣って来て、「おい！何でサッカーの試合を見ないんだよ。」と居丈高な口調で言い放った。「サッカーに興味無いんですよ。」と一応は「申し訳在りません。」的な顔で答えた所、そのオヤジは「サッカーに興味無い？日本代表チームが出場しているっていうのに、見ないって馬鹿じゃないか？あんた非国民か？」と罵り出した。どう見ても“俄かサッカー・ファン”なのが見え見えなオヤジで、「あんたみたいな流行り物に何でも飛び付く様な奴に、非国民呼ばわりされたくないよ！」と言い返したかったけれど、それも大人気無いので、知人と会話に没頭している振りをして只管無視を決め込んだ。そのオヤジは暫くグチャグチャ言っていたが、最後は捨て台詞を残してＴＶの方に戻って行った。少々酔っ払っていたのかもしれないけれど、こういう人間は本当に迷惑。盛り上がるのは勝手だけれど、「自分以外の人間も、同じ様に盛り上がらなければ駄目！」と押し付けるのは、身勝手以外の何物でも無い。

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「虎ファン興奮の代償　メガホンで怪我慰謝料等命令・・・大阪地裁」（６月１２日、読売新聞）

プロ野球の阪神戦を観戦中、興奮した男性にメガホンで頭を叩かれ、首等に後遺症が残ったとして、大阪市の女性が、男性に治療費や慰謝料等約１，８５０万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が１１日、大阪地裁で在った。窪田俊秀裁判官は「男性はメガホンの柄の硬い部分で女性の頭を強打しており、社会通念上許されない。」」として慰謝料等２４万円の支払いを命じた。

判決では、女性は２００４年４月、阪神甲子園球場のアルプス席で、男性を含め７～８人で一緒に阪神を応援。後列に居た男性のメガホンが女性の頭に当たり、首を捻挫する等した。

男性側は「熱狂して互いの体をメガホンで軽く叩き合う応援は、通常起こり得る物。違法性は無い。」と主張したが、窪田裁判官は「少なくとも硬い部分で強打する事は社会通念上許されない。」と述べた。

一方、「目眩いや耳鳴り等の後遺症が今も続いている。」という女性の主張は「怪我は全治１ヶ月で、現在の目眩いや耳鳴りとの因果関係は認められない。」と退けた。
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観戦したのが「２００４年４月」という事は、６年以上前の話。その地裁判決が今頃になって出るというのは、訴訟を起こす前に当事者間でずっと話し合いが行われていたという事なのだろう。訴えられた男性と、「男性を含め７～８人」と書かれている「男性」とは一致しているかどうか、文章からはどっちにも取れるのだが、恐らくは一致していると推測する。自分も東京ドームで観戦していた際、後ろに座っていた見ず知らずのオヤジにメガホンで肩を叩かれた事が在るが（偶然ぶつかったというのでは無く、明らかに叩かれた。「何だ？」と思って振り返ると、そのオヤジは「応援してるんだから、その位は我慢しろ。」的な顔で知らんぷり。）、“普通は”見ず知らずの人間に対してメガホンで叩くなんて事はしないだろうから。

後遺症云々は当人じゃないと本当の所は判らないので何とも言えないけれど、求めた損害賠償額「１，８５０万円」には、個人的に「高過ぎるんじゃないかなあ。」という思いは在る。でも当該男性が「メガホンの柄の硬い部分で女性の頭を強打。」していたのだとしたら、これは「熱狂して互いの体をメガホンで軽く叩き合う応援は、通常起こり得る物。」という範疇には在らず、違法性が認められるのも当然。盛り上がるのは勝手だけれど、人様に迷惑を掛けるのは論外で在る。