モントリオール・オリンピック ～大借金が発生したオリンピック～

過去に何度か紹介している雑誌「昭和４０年男」だが、２月号（ｖｏｌ．６５）に載っていた「モントリオール五輪開催　開催国が金メダルゼロ　転換点となった大赤字五輪。」という記事がとても面白かったので、一部抜粋して紹介させて貰う。

モントリオール・オリンピックとは、「１９７６年７月１７日から８月１１日迄の１６日間、カナダのモントリオールで開催された夏季オリンピック。」で、後のオリンピックに大きな影響を与える事となった大会でも在った。

カナダ人にとってモントリオール・オリンピックは、余り触れられたくない思い出だと言う。と言うのも、「此の大会でカナダ勢は、１つも金メダルが取れなかった。」からだ。「歴代の“夏季オリンピック”で、開催国が金メダルを取れなかったのは、モントリオール・オリンピックだけ。」なのだとか。

そして、後のオリンピックに最も大きな影響を与える事となったのは、此の大会が莫大な赤字を発生させた点。モントリオール・オリンピックでは約１０億ドル、今の日本円で１０兆円を超える大赤字が発生したのだと言う。此の借金を返す為、モントリオール市は住民税や煙草税等を市民に課税し、返済完了に３０年間、２００６年迄掛かった。

モントリオール・オリンピックから８年後に開催された１９８４年のロサンゼルス・オリンピックは、“オリンピックの商業化”が一気に進む。「大赤字を発生させたモントリオール・オリンピックの反省が理由。」とも言われているが、実は「収入自体は、モントリオール・オリンピックと大差は無かった。」のだとか。大きな違いは「徹底的に出費を抑えた。」事で、立派な箱物をバンバン新設したモントリオール・オリンピックに対し、ロサンゼルス・オリンピックでは「メイン・スタジアムは１９３２年のロサンゼルス・オリンピックの競技場を改装しただけだったり、選手村はＵＣＬＡの学生寮を活用したり、競泳会場はＵＣＬＡのプールを利用したりと、箱物作りに走らなかった。」事。

余りにも杜撰な開催計画を立て、箱物作りでの費用がどんどん積み重なって来た、今年開催予定の東京オリンピック。過去の記事を読んで貰えれば御判りの様に、開催国として立候補した時から一貫して、自分は「開催する必要無し！」と反対して来た。日本という国が経て来た過去を思えば、「無駄な箱物をバンバン新設し、莫大な“負の遺産”が生み出されるのは目に見えていた。」から。開催が無理としか思えない今となっても、意地になって開催し様とし続け、無駄な出費を生み続けているのではないか？

開催が決まる前、各世論調査では８割近くが「開催反対。」と答えていたと記憶している。でも、開催が決まった途端、「開催賛成。」が多数を占める様になった。そんな無節操＆無思考な国民が少なく無いのだから、負の遺産がどんなに増えた所で、「仕方無い。」と諦めるだけなのだろう。