丸で「紅衛兵」、丸で「ヒトラーユーゲント」、丸で「禿」、丸で「特高」

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「メディアへの抗議に最有効『スポンサーに電話』の正しい方法」（１０月７日、ＮＥＷＳポストセブン）

 

「メルマガＮＥＷＳポストセブン」では、「ウェブはバカと暇人のもの」の著者としても知られるネット編集者の中川淳一郎氏が、其の週にネットで話題になったニュースの壺を解説している。１０月５日配信の３４号でも、「サンデージャポン　虚構新聞に釣られたか？」、「維新・松浪議員　メディアの報道を『マッチポンプ』とブログで意見」等、其の週にネット上で起きた様々な事件を紹介している此のコーナー。中でも今週「最もネット的」とでも言うべきネタが「安倍晋三総裁＊１の病気を揶揄したと解釈されたコンサルが謝罪」というネタだ。

 

安倍晋三氏が自民党の新総裁に就任しました。安倍氏は２００７年、体調不良が原因で総理の職を辞しました。今回の就任に付いて、朝の情報番組で軒並み安倍氏を揶揄する様な発言が在ったのですね。

 

１つは「とくダネ！」で経営コンサルタントの田中雅子さんと、キャスターの小倉智昭さんの遣り取りが其れです。テロップには「あの“投げ出し”から５年　“返り咲き”安倍新総裁の不安」というコーナー名が書かれており、２人はこう言いました。

 

田中：１年で御腹痛くなっちゃって、辞めちゃったって事で。
小倉：一寸子供みたいだったもんね。
田中：そうなんです、そうなんですよ！

 

此れを受け、「難病の潰瘍性大腸炎の患者を揶揄した！」という批判がネット上で巻き起こります。スポンサーや局への電凸も在った様です。更には、フジテレビが「安倍氏のネガティヴ・キャンペーンを遣っている。」と考えた人も多く、最終的には小倉氏が後日、番組で御詫びをした他、田中氏も自身のＨＰで「９月２７日放送のフジテレビ『とくダネ！』番組内のコメントに於て、一部の方々に対して不快な思いをさせてしまった事に付いて、謹んで御詫び申し上げます。」とのコメントを発表しました。

 

又、日本テレビ系の「スッキリ！！」でコメンテーターのテリー伊藤さんが「安倍さんは前回総理を辞めたのは、病気で辞めたんじゃないんですよ？逃げ出しただけなのに、病気の所為にして、其れを言い訳にしたんです。」と発言した事が問題視され、スポンサーに問い合わせが可成り行きました。

 

ネットでは、メディアに抗議するには、スポンサーに「問い合わせ」をする事が一番効果的だ、というガイドラインが存在します。其れに従って、電話が多数寄せられたのでしょう。又、今回は「安倍総理へのネガキャンの封じ込め方法」というガイドラインも作られています。此れを局やスポンサーに対して言うと、最早反論は出来ない、という事ですね。

 

こういった文章を読んで何時も思うのは、可成り論理的な文章を書ける人って凄いな、という事です。以下、ガイドラインです。

 

“「御腹が痛くて辞めた」←御腹が痛いのは症状で在り、「病気」。「病気に対する、無理解による差別。」。此れは差別を助長する行為として、公共放送として許されません。病気への差別を助長する報道は、完全に放送倫理規定違反になります。企業も其の様な行為に金を払えば、同罪と見做される。ＩＳＯ２６０００規定違反となり、スポンサー活動として金銭供与は出来ない。此れは、重要案件となります。”

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問題とされた放送を自分は見ていないのだが、“字面だけで”判断すると、「テリー氏の場合は個人的に『其の通り！』と思うが、“公の場”で言ってしまうと『確固たる証拠も無いのに、断定するのは問題だ！』と批判されても仕方無いだろうな。でも田中さんと小倉氏の遣り取りに関しては、潰瘍性大腸炎の患者“全体”を揶揄した訳でも無く、彼等の発言を批判するのは、何か揚げ足取りの様な感じだなあ。」というのが自分の考え。

 

以前にも書いたと思うが、「漢字を誤読したという事“だけ”でマスメディアが、鬼の首を取った様に政治家を批判する。」というのはどうかと思っている。又、何れだけ高価な飲食を“私的”にしようとも、其れが“個人のポケット”から支払われているので在れば、マスメディアがどうこう批判すべき物でも無いとも思っている。（問題なのは、「“私的な飲食”なのに、其の支払いを“政治資金”で処理している政治家で在り、こういう輩は、即刻議員を辞めて貰いたい！）だから今回、安倍総裁が“個人のポケット”から支払った“ので在れば”、何れだけ高価なカツカレーを彼が食そうが、どうこう批判される筋合いでは無い。

 

唯、「５年前に安倍氏が首相職を放り出した事を批判するのは、一切許さない！」といった雰囲気は、絶対に間違っている。当ブログでも何度か書いているけれど、国会議員とは様々な法律を取り決める立場に在り、言わば「国民の生殺与奪権を握った強大な存在」で在る。だから彼等の言動に対して、一般人以上に厳しい目が向けられるのは当然の事なのだ。此れは与党所属だろうが野党所属だろうが、全く無関係。況してや国会議員のトップと言っても良い首相には、最大限に厳しい目が向けられて当然。

 

「安倍氏が首相職を放り出した。」というのは事実。“病気で在ろうが無かろうが無関係に”、一国の長が途中で其の職を放り出すというのは、「巨大客船の船長が航海中に、船を捨てて逃亡する。」のと一緒ではないか？其れは、非難されて当然と思うのだ。

 

自分もそうだが、安倍氏に対して不快さを感じている人の少なからずは、「ああいった辞め方をしておき乍ら、『病気は治ったから、もう大丈夫。』という“辞任を病気だけの所為”にしている様な彼のスタンス。」に在ると思う。

 

「原発問題」を始めとして、今の世の中の混迷の大元が自民党政権下に在るケースが少なく無い。民主党政権も駄目駄目だが、過去の自民党の誤りを“公の場”で謝罪する事も無く、与党を責めるだけの安倍氏の姿勢というのも、不快さを増させるのではないか？

 

生活に困窮する人々が増えている中、「“最優先課題”は、憲法改正です！」と主張してしまう頓珍漢さ。（憲法改正自体が良い悪いと言っている訳では無く、問題山積している中で憲法改正を「最優先課題」と言い切ってしまう神経が理解出来ないという事。）

 

安倍氏の取り巻き連中が「前回、首相職を辞任しなければならなかった“無念さ”を、何としても晴らしたい！」と口にしていたのも、「政治は、個人の無念さを晴らす場所では無い！」と憤る人は、自分以外にも居たと思う。そういった様々な要素が積み上がった結果が、安倍氏への批判として在るのではないだろうか。

 

全くのデマ、そして中傷だけを目的とした報道というのは、ネガティヴ・キャンペーンとして批判されて然る可きだと思う。でも「自分及び自分にとって好ましい対象に対する批判は、全てネガティブ・キャンペーンで在り、一切許さない！」という思考は明らかにおかしいし、其れが罷り通ってしまう世の中というのは恐ろしい事だ。

 

安倍氏自身、そして彼の取り巻きが「特定の報道」に付いて、「誤報」と激しく批判し出している。「誤報」で在れば、彼等が憤るのは当然だが、其れならば「安倍氏が前回、首相職を辞さなければならなくなった最大要因。」とも言われている「相続税脱税疑惑」に関しても、きちんとした説明をすべきだろう。反論出来る事柄だけは反論し、不都合な事には黙りを決め込むというのでは、余りに身勝手だから。激しい批判によって、今後自身に対する“正当な批判”すらも封じ込めようという考えが在る“ならば”、其れは大問題。

 

又、ネット上で「安倍総裁は愛国者で在り、彼に対する批判は一切許さない。他の売国奴に対する批判は許す。」といったアレな書き込みを散見したが、もう苦笑するしか無い。こういう人達の少なからずは、自分１人では何も出来ず、ネット上で面白おかしく呼び掛け、徒党を組んで“嫌がらせ”する事しか出来ないのだから情けなくなってしまう。

 

話を元に戻すが、「『自分及び自分にとって好ましい対象に対する批判は、全てネガティブ・キャンペーンで在り、一切許さない！』という思考が罷り通ってしまう世の中は、非常に危険な事。」なのを、多くが知って貰いたい。そういった極端な思考の持ち主は、「丸で『文化大革命』という狂気を生み出した紅衛兵、丸でアドルフ・ヒトラーの暴走の一端を担ったヒトラーユーゲント、丸で平氏に対する批判者を“取り締まった”禿、時の権力者に対する批判者を“取り締まった”特高。」と全く変わらず、彼等が跋扈していた時代の国民の多くは、とても幸せな状態になかったと思っているから。

 

＊１　「歴代の首相の中で、安倍首相は最悪の人物。」と考えている自分だが、以前にアラメイン伯様の記事のコメント欄に書かせて貰った様に、首相として行った事柄で評価している物も在る。「好きだから、全部ＯＫ！」というのもおかしいし、「嫌いだから、全部駄目！」というのも同様におかしく、要は「何事も“自分の頭”で、是々非々で判断する。」という事。