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・三バン:日本に於ける公職選挙で必要とされる3つの要素。「ジバン(地盤)」、「カンバン(看板)」、そして「カバン(鞄)」の“3つのバン”に付いての比喩表現。
・ジバン(地盤):政治家・予定候補者が定着&活動していて、一定の支持者を持つ地区、より具体的には“選挙区内の支持者の組織(後援会)”を指す。
・カンバン(看板):知名度の有無を、看板の様に市中に知られている(目立つ)喩え。
・カバン(鞄):選挙資金。札束が沢山入った鞄をイメージした喩え。
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14年前の記事「世襲議員」で、所謂“世襲議員”の問題点を記した。「父親等、身内の政治家が引退した際、其の後を“承継”する政治家。」の事を世襲議員と呼ぶが、彼等の問題点は「所謂“三バン”が在る事で、選挙を非常に有利に進める事が出来、結果として『どんなに有能で志が高い候補者が他に存在していても、三バンによって当選出来ない可能性が高くなってしまう。」事だ。極端な事を言えば「大きな政党(特に自民党)の世襲候補なら、どんな“糞”でも当選してしまう可能性が高い。」というのは、日本の政治をどんどん劣化させている一因だと思う。
世襲議員の弊害を取り除くのは、「三バンの効果を如何に薄めさせるか。」に掛かっている。具体的に言えば「引退した政治家(A)の〇親等内に当該する候補者は、Aの地盤からは立候補出来ない様にする。→ジバンとカンバンに縛りを掛ける。」、「世襲させる側と世襲する側との間で、其の政治資金団体が抱える金銭等を事実上、無税で相続出来ない様にさせる(する)。→カバンに縛りを掛ける。」といった事を行えば、世襲議員の弊害は薄められると思う。
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「個人では駄目 2人なら在り? ~選挙前『2連ポスター』何故増える」(3月19日付け東京新聞[朝刊])
統一地方選を前に、政治家2人が並んで写る「2連ポスター」を街角で目にする機会が多くなった。良く見れば、何ヶ月も先の「演説会」を告知しているのが殆どだ。本紙「ニュースあなた発」に、「本当に開かれているのか?」と疑問の声が寄せられた。其処で、選挙実務に詳しい専門家等に話を聞いてみた。
地方の政治家と、所属政党の党首や著名な国会議員等の写真が隣り合う2連ポスターは、昨年秋頃から増え始めた。今年4月の統一地方選迄半年を切った時期と重なるが、其れには理由が在る。
公職選挙法は、選挙の立候補予定者に幾つもの制約を課している。其の1つがポスターに関わる規定で、「任期満了日前の6ヶ月間は、選挙区内に個人ポスターを掲示してはいけないルール。」だ。
だが、2連ポスターの掲示は禁じられていない。政党の政治活動と位置付けられているからだ。「立候補予定者の写真や名前が載っていても、問題は無い。」と言う。
東京都内で幾つかの2連ポスターを見てみると、記載された演説会の日程は何れも5月や6月等で、場所は「駅前」等と記されている。既に統一選は終わっている時期でも在り、読者が指摘する通り、実際に開催されるのかという疑問は拭えない。
「殆ど開かれていないのでは。」と話すのは、50年近くに亘って多くの選挙で参謀役を務めて来た藤川選挙戦略研究所の藤川晋之助さん。「演説会の日程を選挙後に設定するのは、支持者等への報告会だと言える事に加え、ポスターを成る可く長く使う狙いが在る。」と言う。
複数の自治体の選挙管理委員会に取材した所、仮に「幻の演説会」になったとしても「罰則は無い。」(東京都選管の担当者)と言う。一方、「開催予定が全く無いのに告知したり、日程や会場が余りにも非現実的だったりする場合には、公選法で禁じられている事前運動に抵触する可能性が在る。」と言う。
立命館大の小松浩教授(憲法・選挙法)は、「公選法は戦前の流れを汲む『べからず法』で、禁止事項が多い。2連ポスターは、候補者側が『事前運動』と見做されるのを避ける為の工夫として、抜け道的に広まったのだろうが、グレー・ゾーンが多いと、政治への新規参入や有権者の政治参加を阻害し兼ねない。」と分析する。
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「同じ候補者の全く同じ選挙ポスターが、“一ヶ所に横並びで”20枚近く貼られている。」のを見た事が在る。違法では無いのだろうが、余りにも“異常”な感じがしたし、“無粋”な光景だった。
「選挙期間中では無いのに、現政治家や立候補が予定されている者のポスターが矢鱈と貼り出される。」様になったのは、もう何年前からだろうか。「公職選挙法に違反しているのでは?」と思い、其のポスターをじっくり確認すると、「可成り先に開催される(事になっている)演説会の御知らせ。」という“体”になっており、「こういう形で在れば、「事前運動では無い。』と言い逃れ出来るんだろうな。汚い遣り方だ。」と思った。
今回、2連ポスターの“トリック”を知り、「そう言われてみれば、1人では無く、2人で写っているのが殆どだなあ。」と。選挙期間中も然る事乍ら、期間外でもこういう形で現政治家(又は立候補が予定されている者)の顔や名前を大々的に“売り込む”為には、莫大な資金が必要。そうなると、此の点でも巨大政党は非常に有利で在り、世襲政治家の問題と同様、「どんなに有能で志が高い立候補者が存在しても、三バンによって当選し辛くなっている。」事が憂慮される。
>>「世襲させる側と世襲する側との間で、其の政治資金団体が抱える金銭等を事実上、無税で相続させる(する)事が出来る。→カバンの縛りの取り除き。」
理解力が足りないためか意味がもう一つの見込めないのですが、上記の例を簡単に表現すると、「親の政治資金を子どもが無税で相続できる」ということになり、今まで通りカバンを無傷で受け継げることになりませんか?
また先のジバンとカンバンの所にもある「の縛りの取り除き」との表現にも違和感があるのですが、そもそも現在は「縛り」が無いから世襲がまかり通るのであり、世襲を制限するのであれば「に縛りをかける」が正しい表現になると思うのですが?
記事を書き上げてアップしてから、改めて文章を読み返すと、「てにをは」を始めとした妙な部分に気付き、慌てて手直しする事が在ったりします。
今回の悠々遊様の御指摘、全く以て其の通りで、妙な文章になってますね。思い返すと、全く違った表現にする積りが、途中で気が変わって変更したけれど、部分的に手直し出来ない儘だった・・・というのが原因と思われます。早速、訂正しますね。御指摘、本当に有難う御座いました。(凄く丁寧に読んで戴けているという証左で、凄く嬉しいです。)