結核は嘗て、“不治の病”と言われた。死亡率が高かった此の病に罹患したら、「死を待つのみ。」という感じだったろう。
有名な人物で言えば、沖田総司や高杉晋作、正岡子規、樋口一葉、森鴎外、竹久夢二、中原中也等が、結核で亡くなったと言われている。
不治の病だった結核だが、抗生物質の「ストレプトマイシン」が普及した事により、我が国では第二次世界大戦後、其の死亡者は激減。「結核=不治の病」というイメージは払拭された。とは言え、日本で結核に罹患する人が零になった訳では無い。
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「日本、結核『低蔓延国』に・・・人口10万人当たりの患者数が初めて10人を下回る」(8月31日、読売新聞)
厚生労働省は30日、2021年の人口10万人当たりの結核患者数が9.2人で、初めて同10人を下回り、「結核低蔓延国」となったと発表した。
結核は、咳や微熱、倦怠感等が長く続く感染症で、空気感染で広がる。
発表によると、2021年に国内で感染が確認された結核患者は1万1,519人で、前年から1,220人減少した。人口10万人当たりでは、前年の10.1人から0.9人減少。世界保健機関(WHO)が低蔓延延国の基準としている「同10人未満」を達成した。
年代別に見ると、60歳以上が7割を占めた。結核による死者数(概数)は1,844人で、前年から65人減少した。
厚労省によると、統計を取り始めた1951年には人口10万人当たり698.4人だったが、結核を予防するBCGワクチンや抗菌薬の普及等で、徐々に減少。2010年代は、同10人台で推移していた。
欧米では、米国の同2.4人、ドイツの同5.5人等、低蔓延国の基準を満たす国が多いが、アジアは患者数が多い傾向が見られる。
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日本では1951年に「約0.698%」だった結核感染率が、昨年は「約0.009%」だったというのだから、激減状態と言って良い。
でも、「昨年、国内で結核感染が確認された人数は1万1,519人」という事は、「1日に約31.5人は、結核感染が確認されている。」という事で在り、又、死者数に関しては「1日に約5.0人が、結核で亡くなっている。」訳で、決して侮ってはいけない。
人口10万人当たりの結核患者数(2020年度)、「イギリス:約6.9人、オーストラリア:約7.3人、フランス:約8.2人、中国:約59.0人、韓国:約49.0人、インドネシア:約301.0人、フィリピン:約539.0人」と記されていた。元記事に在る様に、「欧米と比べると、アジアの患者数は非常に多い。」という事が判る。