昨夜、正確に言えば今日の丑三つ時にTBS系列で放送されていた「悪魔の手毬唄」を見た。今から29年前の1977年に公開された映画で、「監督=市川崑氏、金田一耕助役=石坂浩二氏」というゴールデン・コンビ。この強力なコンビの復活が相成った映画「犬神家の一族」が、いよいよ来週末から全国公開される事も在ってのこの時期の放送と思われる。
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文明社会を忌避しているかの様に古い因習が厳然たる力を持つ岡山県の鬼首村(おにこうべむら)。この村には古くから伝わる手毬唄が在った。
そして、その歌詞に見立てた残忍な殺人事件が続発する。県警の磯川警部から事件解決を依頼された金田一耕助は、村を二分する二大勢力、由良家と仁礼家の存在が事件の背後に存在している事を知る・・・。
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民謡や童謡に関連して殺人事件が発生するというストーリーは、海外のミステリーでも古くから存在している。”ミステリーの女王”アガサ・クリスティー女史もマザー・グースを題材にした小説を幾つか著しており、中でも「10人のインディアン」を用いた「そして誰もいなくなった」は余りにも有名だろう。この「悪魔の手毬唄」でも、手毬唄の存在が実に上手く用いられている。
古い因習や濃い血縁関係に縛られた集落で起こる、陰惨にしておどろおどろしい殺人事件。そんな”世界”を描かせたら天下一品の横溝正史氏の金田一耕助シリーズは、自分の大好きな作品で在る。その作品の多くが映像化されて来たが、TVドラマでは古谷一行氏が金田一を演じた「横溝正史シリーズ」が、そして映画、否、全ての金田一作品の中でダントツに素晴らしいのが、市川&石坂両コンビの作品群だと確信している。石坂氏を始めとして登場する役者達の豪華さも然る事乍ら、使用されている音楽、そして何と言っても市川監督の織り成す映像美は国宝的レベルだと思う。
29年前の作品なので画質の劣化は否めないものの、その映像美は何等劣ってはいない。陰惨な殺害現場すらも、一幅の絵の様に見えてしまうから不思議だ。岸恵子さんや草笛光子さん、白石加代子さん、渡辺美佐子さん、辰巳柳太郎氏、原ひさ子さん、大滝秀治氏、三木のり平氏等々の芸達者な役者が、作品に深みを増させている。加藤武氏演ずる等々力警部の御決まりの台詞「よし判った!」も心地良い。
この作品で最も存在感を醸し出していたのは、磯川警部役の若山富三郎氏だったろう。岸恵子さん演ずる青池リカに切ない恋心を寄せる純朴さ。金田一との間に構築された、男同士の確固たる信頼感。悲劇に対峙させられた際の、全身から漂う何とも言えない哀愁・・・。どれをとっても堪らなく良い。特にラストで、汽車に乗って立ち去る金田一を磯川警部が見送るシーンが秀逸。
何度も見た作品だが、相変わらず最初から最後迄のめり込む様に見入ってしまい、あっと言う間に144分が過ぎ去っていた。
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文明社会を忌避しているかの様に古い因習が厳然たる力を持つ岡山県の鬼首村(おにこうべむら)。この村には古くから伝わる手毬唄が在った。
そして、その歌詞に見立てた残忍な殺人事件が続発する。県警の磯川警部から事件解決を依頼された金田一耕助は、村を二分する二大勢力、由良家と仁礼家の存在が事件の背後に存在している事を知る・・・。
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民謡や童謡に関連して殺人事件が発生するというストーリーは、海外のミステリーでも古くから存在している。”ミステリーの女王”アガサ・クリスティー女史もマザー・グースを題材にした小説を幾つか著しており、中でも「10人のインディアン」を用いた「そして誰もいなくなった」は余りにも有名だろう。この「悪魔の手毬唄」でも、手毬唄の存在が実に上手く用いられている。
古い因習や濃い血縁関係に縛られた集落で起こる、陰惨にしておどろおどろしい殺人事件。そんな”世界”を描かせたら天下一品の横溝正史氏の金田一耕助シリーズは、自分の大好きな作品で在る。その作品の多くが映像化されて来たが、TVドラマでは古谷一行氏が金田一を演じた「横溝正史シリーズ」が、そして映画、否、全ての金田一作品の中でダントツに素晴らしいのが、市川&石坂両コンビの作品群だと確信している。石坂氏を始めとして登場する役者達の豪華さも然る事乍ら、使用されている音楽、そして何と言っても市川監督の織り成す映像美は国宝的レベルだと思う。
29年前の作品なので画質の劣化は否めないものの、その映像美は何等劣ってはいない。陰惨な殺害現場すらも、一幅の絵の様に見えてしまうから不思議だ。岸恵子さんや草笛光子さん、白石加代子さん、渡辺美佐子さん、辰巳柳太郎氏、原ひさ子さん、大滝秀治氏、三木のり平氏等々の芸達者な役者が、作品に深みを増させている。加藤武氏演ずる等々力警部の御決まりの台詞「よし判った!」も心地良い。
この作品で最も存在感を醸し出していたのは、磯川警部役の若山富三郎氏だったろう。岸恵子さん演ずる青池リカに切ない恋心を寄せる純朴さ。金田一との間に構築された、男同士の確固たる信頼感。悲劇に対峙させられた際の、全身から漂う何とも言えない哀愁・・・。どれをとっても堪らなく良い。特にラストで、汽車に乗って立ち去る金田一を磯川警部が見送るシーンが秀逸。
何度も見た作品だが、相変わらず最初から最後迄のめり込む様に見入ってしまい、あっと言う間に144分が過ぎ去っていた。
私は昨晩のテレビ放映は観逃してしまいましたが、
もう何度観たのか判らないほど好きな作品です(笑)
磯川警部役には、ジャン・ギャバン氏をイメージしたと耳にしました。
リカさんへの純粋すぎる思慕、泣けますね。
もう名場面ばかりの作品だと思います。
どの方の芝居も台詞も真似しました(笑)
私も先週、見ましたよ横溝正史シリーズ
僕の見たのは「悪魔が来たりて笛を吹く」
悪魔つながり。
横溝正史シリーズには現在のミステリーにはない。
ドロドロした人間関係や因習みたいなものがありますね。
終戦直後ということもあって、古い因習にからんだ殺人事件が興味深いです。
今では難しいでしょうが撮影も終戦直後の雰囲気をよくだしています。
その点が英グラナダTVのエルキュール・ポアロのシリーズと似てます。
「悪魔の手毬唄」での石坂氏は流石に御若かったです。当時30代半ばですから当然なのでしょうが、65歳の彼がどんな金田一を見せてくれるのか、楽しみでも在りますが、不安も若干^^;。
渥美清氏の「八つ墓村」も良かったですね。腹蔵無く言わせて貰うと、渥美氏の演じる寅さんには全く惹かれるものが無かったのですが、金田一は意外にはまっていたと思います。又、好きな女優の一人で在る小川真由美さん演じる美也子が、洞窟の中を狂気に満ちた表情で萩原健一演ずる寺田辰弥を追い駆けるシーンは、本当に怖かったです。
横溝作品、厳密に言えば横溝作品を映像化した作品の重要登場人物って、実は老婆に在る様な気がしませんか?「八つ墓村」で言えば「市原悦子さん演ずる小竹と山口仁奈子さん演ずる小梅」、「悪魔の手毬唄」で言えば「原ひさ子さん演じる由良五百子」といった様にです。
東山魁夷を思わせる映像美は、現在の作品以上のパワーを放っていますよね。国宝級との意見に同意です。