iTunes に読み取り専用のファイルを喰わせる - ローカルフォルダ編

2010-06-19 14:05:45 | iPhone, iPod & iTunes


始めに断っておくと、本記事は iTunes にライブラリの管理を一任させているユーザにはあまり役に立たないネタである。いつものようにかなりマニアックな話題であることをご承知おき願いたい(笑)。

私は音楽ファイルをタグ付けから分類に至るまで手動で管理している。iTunes は単なる iPod の転送ツールとして利用しているに過ぎない(時にはプレーヤーとして活躍することもあるが)。それゆえユーザの目の届かないところでアートワークや独自の情報をファイルに埋め込まれるのはどうにも好まない。iTunes が行う処理をすべて把握していれば、そのような事態を避けることもできるのだろうが、それには『時間』というコストが掛かり過ぎる。趣味レベルでは幾つかの解析に携わってきたが、あいにくそれを全体に展開するほどのスキルや時間は持ち合わせていない。私のようなユーザーを神経質過ぎると非難する向きもあろうが、やはり音楽ファイルを自分の管理下に置いておきたいという思いは強い。その一方、こういった観念から解放されたいという願いもあるにはあるのだが(そうできたらどれほどか心が楽になるだろう)、『性格』という理由を構えて諦めているフシもある(苦笑)。まあこの程度のこだわりで人生が狂わされることもなかろう。

詰まるところ趣旨は「iTunes に余計な処理を行わせたくない」ということである。ユーザが意図していないファイルの書き換えは回避したい。例えば以下の四つのデータがある。

1) 自動ダウンロードされたアートワーク
2) 手動登録されたアートワーク
3) ギャップレス情報
4) サウンドチェック情報
5) マイレート

このうち音楽ファイルの書き換えが発生するのは (2) と (4) である(他はデータベース等が使われる)。それゆえ私はアートワークの手動登録も行わないし、サウンドチェック機能も使わない。他に代替手段を用意すればよいのである。iTunes は我々のためを思って色々としてくれるのだが、一部のユーザにとってはそれが余計なお世話となる。何をしているのか気になってしまうのだ。ひいてはその機能の裏でどのような処理が行われているかを解析するというマニアックな世界に走らざるを得ない。なんとも悲しい性である。しかしこれが iTunes の行儀の悪さから身を守る唯一の術であった。

iTunes の機能はバージョンアップと共に進化する。いつなんどき新たな機能がファイルに変更を加え始めるかわからない。予断を許さない状況だ(あまり大げさに書くとジョークにしか聞こえない。まあ実際半分くらいはそうなんだが)。どんな機能にも対抗しうる完全無欠な防衛手段はないものだろうか。頭の片隅には常に一つのアイデアがあったのだが、ある環境において問題があり具現化できないでいた。

「ファイルが読み取り専用であれさえすれば iTunes に手出しは出来まい」

あまりの枕の長さに辟易されている方も多いだろうが、これが本題である(笑)。




もう少し広義に捉えると「ファイルを読み取り専用にして特定のアプリケーションにファイルの変更を許可しない」ということになる。まずは手段を吟味する。

・ファイルを読み取り専用にするには属性とアクセス制御がある。
・ファイルを読み取り専用属性にした場合、他のアプリケーションにおいて不都合が生じる。
・フォルダのセキュリティ設定によるアクセス制御はローカルアカウントに対するものであり、アプリケーションごとに設定することはできない。

※読み取り専用属性は操作に対する制御ではなく、アプリケーションに書換禁止を通告するものである。つまりアプリケーションは必要とあらば、読み取り専用属性を無視して書き換えることができる(もちろんこの判断はアプリケーションを使用するユーザに委ねられるべきであるが)。これがアクセス制御との大きな違いである。


そこで引っ張り出してきたアイデアがフォルダの共有機能を用いる方法。共有フォルダのアクセス許可はネットワーク経由で接続するユーザーに対してのセキュリティ設定である。つまりアクセス許可を読み取りのみに設定した共有フォルダを用意すれば、ローカルのフォルダであってもネットワーク越しからのアクセスにおいて読み取り専用フォルダを実現できる。

具体的にいうと、hoge というホスト名のマシンが "D:Music" というフォルダを "Music" という共有名で公開した場合、"D:Music" にアクセスすればフルアクセス、UNC パスを用いて "hogeMusic" にアクセスすれば読み取りのみに制限できるということである。これら二つを使い分けることで、特定のアプリケーション(つまり iTunes)に読み取り専用のファイルを喰わせることが可能となる。

ただしプライバシーやセキュリティには十分注意してもらいたい。読み取りのみとはいえ外部に公開することになるのだから何の対策も講じていなければ共有フォルダは誰もが閲覧可能な状態である。特に XP Home の場合は「簡易ファイルの共有」といって、すべてのユーザーに対して同一のアクセス権を与える共有フォルダに限定される。ファイアウォールで接続してくるマシンを制限するなり、共有フォルダを隠し属性(末尾に "$" を付けた共有名)にするなり、環境に合わせた対応をとってほしい。

またグループポリシーやファイアウォール、アンチウイルスソフトの設定によってはローカルからの共有フォルダへのアクセスが制限されることがあるかもしれない。これに関しては本記事の趣旨から外れるため、関連情報を検索し自己解決してほしい。

以下は読み取り専用のファイルを食わせた iTunes の姿。





トラック情報はグレーアウトしており書換不可であることを示している。アートワークのウィンドウも画像のドロップが無駄であることを通告している。どうやら成功したようだ。ひとまずこちらが一本取った形である。

さて今回はローカルフォルダと共有フォルダのアクセス方法を使い、同一フォルダであっても二つの異なるアクセス権を実現したが、メディアライブラリとなるフォルダがローカルマシンではなくネットワーク上のマシンに存在する場合(例えば音楽ファイルを LAN のサーバに置いて管理しているなど)、ここで紹介したテクニックは使えない。お分かりだろうか、ネットワーク上のフォルダにローカルフォルダのパスでアクセスできるわけがないのである。ではどうするか。そのあたりの小技は記事を改めて紹介したい。


外部リンク


最新の画像もっと見る