閑蔵駅を出て10分ぐらい後、また車内アナウンスがありました。それにしたがって窓から下を見下ろすと、大井川を横切るダムの堰堤が見えました。中部電力の奥泉ダムです。大井川にある30のダムのうち、奥泉ダムを含めた半数の15が中部電力の管轄であるそうです。
このダムへの道は関係者以外立入禁止なので、ダムを外から見られるポイントは大井川鉄道井川線の車輌のみであり、上を通り過ぎる数秒間だけが奥泉ダムを見られる唯一のタイムなのだとか。秘境感マシマシで楽しくなりました。
大井川の深い渓谷を抱く山並みが続きました。これから向かう井川ってどんな山奥なんだろう、奈良県でいうと秘境、天川みたいな所かな・・・。突然に能面にまつわる殺人事件が発生して、たまたまソアラ・リミテッドに乗って取材に来ていたルポライターが謎を解いて犯人に迫る・・・・。・・・迫るのか? (アホかお前は)
10時58分、また車内アナウンスがあり、右手に大きなダムが見えてきました。大井川をせき止めて井川湖となした井川五郎ダムです。昭和32年に建設された、日本初の中空重力式発電用のダムだそうです。このダムが見えたら、終点はすぐでした。
終点の井川駅に、時刻表通りの11時に着きました。90パーミルの急勾配区間を走り、機関車の連結および切り離し作業があり、カーブも多いし徐行も何度かしているのに、全ての駅を時間通りに通って終点に時刻ピッタリで着く大井川鉄道井川線のアプト式列車は、地味に凄いな、と感心してしまいました。
井川駅の駅名標です。とうとうやってまいりました、井川へ。これで井川線も全線乗車を達成しました。ゆるキャンの聖地はここから更に奥へ行かないと見られないのですから、安堵しているわけにはいきませんでした。これからが聖地巡礼の本番なんだ、と気を引き締めました。
乗ってきた列車はこのまま折り返して29分後に発車し千頭へ向かいます。後尾について列車を押していたDD20形ディーゼル機関車が、帰りは先頭になって列車を引っ張るわけです。
おや、線路はまだ先へ続いてトンネルがあるな・・・。これが堂平駅までの休止区間の線路ですか。その延長上の線路が、観光ハイキングコースにもなっている「廃線小径」にあたるわけですか・・・。
しかも駅のホームへの線路とは枝分かれしているので、井川駅は一種のスイッチバック方式の駅なのだと分かりました。
改札口を通って駅舎待合室を出る際、出入口の脇に上図の鉄道むすめのパネルがありました。ああこれが「井川ちしろ」か、と思い出しました。苗字が井川だから井川駅に置いてあるわけか、と納得しました。
大井川鉄道は、二人の鉄道むすめをデビューさせています。もう一人は「家山かなか」ですが、そのパネルはおそらく本線の家山駅に置いてあるのでしょう。つまり、本線と井川線とに一人ずつの鉄道むすめが「配属」されているわけです。
井川駅の外に出てみると、高い石垣の上に築かれた平坦面の上に駅舎が建っていることが分かりました。その脇下を県道60号南アルプス公園線が通りますが、そこまで上図の階段を降りて行きました。
駅の前を通る県道60号南アルプス公園線の位置標識です。井川駅の位置を示しています。その上には畑薙第一ダムの方向と距離が示されています。
ここからまだ27キロもあるのか・・・・、志摩リンと土岐綾乃がバイクで行った畑薙第一ダムまで。
なんでゆるキャンの聖地は遠い所ばかりなんだ・・・、聖地巡礼も楽じゃないなあ・・・、と何度目かの溜息をついたことでした。 (続く)