防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

応用地質学会誌49巻6号(その2)

2009年02月13日 | Design with Nature

環境地質学に基づく日本のジオパーク論-島根県の「神西湖」を題材として-

このブロクのサブタイトルは、Let,s Design with Natureになっています。そのイメージに近い論文が掲載されました。著者は、私がブログを始めるきっかけともなった、島根県の今岡さんです。

首都圏にいると、もちろん人が大勢います。人がいると情報が集まります。いろんな学会・委員会にも”近距離切符”で参加できます。

そのせいでしょうか。地方の実力ある技術者の方は、学会活動に参加しにくい(結果、論文が生産にしくい) 環境にあるような気がしてなりません(私の偏見でしょうか)

もとより、この業界に身を志すようになった人は、なにかしら自分の理念がある方が多いと思います。その理念に実直さ、熱意が加わったとき、自分の主張を文献にしてみたいという意気込みも高まってくるでしょう。ブロクやホームページは電源消せばおわりですが、
論文は後世までのこります。

この論文を読むまで、神西湖という存在を知りませんでした。宍道湖と中の海というメジャーな水域の影に隠れていたという印象があります。しかし、この湖面に日本の繊細で等身大の自然環境を映し出し、バイオスフイアとしての価値を見出された卓見に感銘を受けたのでした。


応用地質学会誌49巻6号(その1)

2009年02月12日 | 技術動向
トンネル坑口上方のまさ土斜面の崩壊による土砂流動災害の事例

地味といえば地味ですが、現地調査結果を実直に反映した論文だと思いました。空中写真の時系列的判読にボーリング、土石流衝突痕の分布、地表・地質踏査、簡易間入試験、このような現地情報がふんだんに盛り込まれた論文は、最近減ってきたように思います。

この災害の教訓は以下のとおり

・1963年ごろに建設されたトンネルは、延長を短くすることを目的として造成されていることから、谷型斜面に多い。このため、土石流災害を受けやすい。

・地域特性や過去の災害を推定するには、過去に撮影された多時期の空中写真を時系列で判読し、崩壊発生状況や植生変化を追跡することが有効である。

手放しで喜べない人口増

2009年02月11日 | 各地でのTOPICS
神奈川新聞の社説のタイトルです。
大阪府が黒字を確保したというニュースも流れましたが、川崎市もなんとか財政を安定化させたようです。しかし、いかんせん川崎は超高密度都市です。社説では交通渋滞の緩和が主題として語られていますが、その密度だけに防災対策も充実させねばなりません。谷埋め盛土超大国川崎、崖も連続する川崎、既存不適格の擁壁もいっぱい存在します。戦後60年で急激に起こったことです。道路網も整備も良いですが、市民個々の単位でとりくまないとどうしようもないこともたくさんあります。

不動産環境評価研究所の紹介

2009年02月10日 | 盛土が安定すれば安心
近年私が興味を持っている谷埋め盛土や擁壁の崩壊に関しては、あんしん宅地に関わる会社の方々氏か知らなかったのですが、なんとなく”ググッた”結果、以下のサイトを見つけました。

あなたの宅地は切土上ですか、盛土上ですか?
http://f-kankyo.blogdehp.ne.jp/article/13232144.html

擁壁全面からの水の染み出し
http://f-kankyo.blogdehp.ne.jp/article/13235573.html

このようなことは、土地の資産鑑定にあたりネガティブな要因になりやすいので、あまり積極的に公表しえいないところのほうが多いのですが、このサイトでは実例を用いてとてもわかりやすく解説されて言ます。私の住む川崎市や横浜市には谷埋め盛土、いわゆる既存不適格に該当する増積み擁壁が無尽蔵に存在しています。

かなり大きな会社のようです。http://f-kankyo.jp/index.html

さらに踏み込んんで、独自に谷埋め盛土の安定計算が行われています。私の知る限りでは、ここまでやっている不動産会社は(あんしん宅地を除いて)知りません。

計算条件は、阪神震災と同じような直下型、震度も同程度を想定しています。計算方法は側方抵抗を考慮した簡便法によっています。また、安全率向上要因の圧密沈下や、調整池にあるRC擁壁の基礎杭、鉄道施設の影響は考慮していません。

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 この開発地は、図のように谷筋が入り組んでいて谷の盛土幅は最大150m、盛土厚さ最大17m、盛土幅/盛土厚さの比率は 5~21 となっています。また、危険な盛土の上に存在する戸建て住宅は、2500戸のうち570戸、最も危険な切土と盛土の境にまたがって跨っているのが210戸位で、両方合わせると実に31%、おおまかに3戸に1戸が危険地に存在することになります。

谷埋め盛土は見晴らしが良いため、人気のある土地も多いようですが、このサイトでも述べられているように、一生の財産になるわけですから安全対策を十分に行っておく必要があります。危険な土地を科学的な視点で”危険”と表示していることはとても親切なことだと思います。いま、不動産業界は全体的に絶不調の状態にありますが、だからこそ地形発達史的背景と土地利用の履歴を十分に踏まえた慎重な選択を行い、後悔しないチョイスをすることは重要であり、正当なビジネスチャンスもあるようの気がしてきますね。


ほっと一息

2009年02月09日 | 雑感
なが~い現場が終わって、やっと一息つきます。Gooに暖かいテンプレートがあったので変更してみました。防災らしくない?おしゃれな感じですが、このような雰囲気でシリアスに防災を語ってみたいと思います。

ある宅建の参考書にて

2009年02月08日 | 資格に関すること
この間書店で、以下の本を見つけました。

ヤマモトの宅建一発合格塾
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/31737986

確かに得点のための方法論がわかりやすく解説されていました。
しかし、私がよく関わる「宅地造成等規制法」については、なんと”泡末問題”という表現で重要度が低いとされていました。私としては、重要事項説明書に地盤のことを入れたいと思っているくらいですからね。泡末とは。。

ブックマークの追加 -地盤防災ネットワーク-

2009年02月07日 | 防災・環境のコンセプト

新たらしくブックマークを追加しました。NPO法人地盤防災ネットワークのサイトです。

NPO地盤防災ネットワーク
http://www7a.biglobe.ne.jp/~wagayanobousai/index.html

住民が揺れやすさの情報を信頼し、自主的な防災行動に至までの動機付けを図るためには、メッシュ情報が個々の宅地(土地)を実感できる必要があります。そのためには、個々の宅地(土地)の具体的な地形・地質や地盤情報を得ることと、その情報に基づいて専門家による揺れの評価と液状化や盛土の変形による地盤災害の予測が行われ、さらに必要に応じて対策の方法が示されなければならないと考えます。
 このために、地方自治体が保有する調査ボーリングや都市計画図などの地図情報を活用することで地域ならびに深い部分の地盤特性の精度を高め、建物の被害に影響の大きい極表層(10m程度)の地盤特性を簡易な調査(高精度表面波探査と貫入試験)で直接求めます。さらに、大学や研究者の保有する地盤解析などの基盤技術を活用することで、実体感のある揺れの評価や被害予測ならびに安価で効果的な対策工法の効果検討を行います。

表面波探査機を使った調査は私も経験がありますが、探査機が高いんですよね。。。。
でも、この地盤防災ネットワークの提案する方法が、もっとも実直な防災調査です。


8360

2009年02月06日 | 各地でのTOPICS
この数字は横浜市の人口密度です。1km2あたり8360人もの方が住んでいるのです。だからこそ地盤は安定していてほしい。コピーペーストしたように所狭しと並ぶ家をみているとそう思います。

日本綜合地所が会社更生法手続き

2009年02月05日 | 雑感
ようやく体が元どおりになりつつあります。しかし、もとどおりにならないニュースが飛び込んできました。

日本綜合地所が会社更生法手続き
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090205-00000576-san-bus_all

日本綜合地所の株価は、年初に1500円台をつけるなど高値圏で推移していた。しかし、米サブプライムローン問題の余波で、値を下げ、9月以降は世界的な金融不安で下落スピードが速まった。11月には、春に入社予定者の内定を取り消していたことが伝えられるなど、業績が悪化していた。

のだそうですが、それと、大企業で大量生産、消費というのが下火になったのでしょうか。

いろんな言われ方

2009年02月04日 | 雑感
都会で作業服着て仕事していると、いろんな人に声をかけられます。

不動産屋さん?
この家やっぱり売りに出しちゃうんだァ?
ここ地震で崩れる危険があるの?
この間空き巣が入ったんだけど?

なかには災害や土地利用の変遷を教えてくださる親切な年配の方もいます。
こんなところからも、地域や人生の諸相が見えてきます。

変な日本語-自然変動が温暖化抑制?-

2009年02月03日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題

日本経済新聞の記事です

自然変動が温暖化抑制?-
http://gao.env.kitakyu-u.ac.jp/chinablog/?p=694

昨年の気温、21世紀で最低、地球の気候、当面「寒冷化」、 自然変動が温暖化抑制?-地球の平均気温の上昇が頭打ちとなり、専門家の間で気候は当分寒冷化に向かうとの見方が強まってきた。地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出は増え続け長期的には温暖化が続きそうだが、自然の変動が気温を抑制するように働き始めたとみられている。気温の推移は、温暖化対策の論議の行方にも影響を与えそうだ。

”当面”だとか”自然変動が温暖化抑制?”といった揶揄する表現だとか、温暖化しなきゃおかしいときめつけた言い方です。

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 赤祖父俊一・米アラスカ大学名誉教授の話 IPCCが温暖化の主因とみているCO2の増加は今も続いているのに、気温の上昇は止まり、海水面も降下し始めている。IPCCは予測の誤りを認め、直ちに公表すべきではないか。
 地球の気温は小氷期と呼ばれる寒冷期からの回復が一八〇〇年代から続いており、その上昇ペースは百年で〇・五度。過去百年の気温上昇は約〇・六度なので、近年の気温上昇の大部分は小氷期からの回復分と見なすことができる。これに数十年規模の自然変動が作用して今は気温上昇が抑えられている。
 小氷期からの回復が今後も続けば、今世紀末までの気温の上昇は約〇・五度。そのときに数十年規模の自然変動が温度を上げる方向に働いた場合でも、上昇幅は最大一度程度にとどまるだろう。
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こちらの方が至極真っ当な話です。


レベルの高い診断は困るか?

2009年02月01日 | 雑感

熱が下がったので病院にいってきました。あまりにも突然の発熱で、もしかしてインフルエンザかと思ったので、検査をしてもらいました。幸いにしてインフルエンザではなかったのですが、問診・打診と鼻の穴に綿棒みたいなものを突っ込まれて待つこと15分。ウイルスは検出されませんでした。

医療の診断だと重症になるほど高度な医療が必要になり、場合によっては海外に行く人もいますが、先日UPしたレベルの高いスケッチは困るといった人は、レベルの高い診断結果は困るとでもいうのでしょうか。

あるいは、判読や現地調査結果を”人によって解釈が違うのは困る”という人は、問診・打診を無視してCTスキャンに行って、必要以上のお金を払うのでしょうか。