防災ブログ Let's Design with Nature

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ポケットブックが手に入らない-出版不況のなかで-

2008年06月01日 | 技術動向

ITや医療をはじめとした科学技術は日進月歩で進んでいきます。

しかし、防災や環境保全に必要な経験値(知ともいうべきか)は、団塊世代の技術伝承論ではありませんが、現場の見方は昭和40年代、50年代の大規模な開発に伴って見えた地質の露頭・岩盤の性状が明らかにされ、その時の知見はとても価値のあるものになっています。

そのころは、現場の見方、それに伴う防災工事のノウハウに関する書籍も多く出版されました。
そのうち私が座右においているのが、次の2冊です。

①『現場技術者のための砂防・地すべり・がけ崩れ・雪崩防止工事ポケットブック』
 初版は昭和58(1983)年に出版されました。
②『建設工事の地質診断と処方』土木工学社
 これも同様です。

特に①の初版本は、本当にポケットサイズでした。今でこそ緑化工など、環境や生態系に配慮した技術が取りざたされていますが、基本は変わりません。ところが出版もとの山海堂が昨年倒産してしまったため、最新版でも書店やwebで買えなくなってしまいました。

最近はネットの普及により、出版業界は軒並み不況のようですが、現場に携帯できる教科書ともいうべき本が手に入らなくなったのは、残念であるとともに、技術の後退をもたらすのではないかと心配でなりません。