日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

良い政治は、良い選挙民によってしか作られない

2020年05月22日 07時38分45秒 | 政治
 安倍内閣が企む検察官定年延長法案に対する世論の反発で、「日本の民主主義は風前の灯火だ」「三権分立が破壊される」「戦時独裁国家に逆戻りだ」など物騒な悲鳴が飛び交ったここ数日間。こんな風雲急を告げるTwitterへの投稿数が、重複も含めてとはいえ、1000万件を超えたという。
 空前絶後の政治的空間の誕生であった。特に、この国では政治的発言はそれが権力側を讃美するものならば許されるが、これを批判することは禁忌とされている芸能界に身をおく人々が「反対」の意思表示をしたことが殊の外に注目され、世論形成にも大きく影響したもののようである。
 かてて加えて、この間に、立法の対象組織となった検察庁の特捜検事を含むそうそうたる検察官OBたちが主務官庁法務省に異議申し立ての意見を具申するという、これもまた前代未聞の事態であった。この激しい世論にけおされたか、安倍晋三首相はあっさり尻尾を巻いて、強行採決の決定を急遽中止し、法案を撤回した。これぞまさに「泰山鳴動してネズミ一匹」であった。
 しかし、この間、衆参議院における議席のほぼ3分の2を占有する与党の議員たちは何を考えていたのであろう? この法案賛成の党の決定に異議を申し立てたと報道されたのは泉田裕彦、石破茂、船田元、それに中谷元の4氏のみであった。それ以外の雲霞の如き多数の議員たちは、執行部が「強行採決」から「撤回」、「次期国会まで延期」と目まぐるしく変転するのをただただ傍観していたということだったのであろうか? この議案に賛成であれ、反対であれ、彼らはただただ執行部の混乱に右顧左眄するだけの存在として国会に議席を持ち専ら徒食していたということなのか?
 この朝令暮改の二足三文劇場があわただしく過ぎ去っていったにも拘らずその後政権与党とこれに賛同していた政党の議員からなんの見識もまして不満やうっ憤の声も聞こえてこない。
 言論が徹底的に不活発にも拘らず、政治的決定だけが良悪を問われないままなされていくここ数年の事態、これこそ「全体主義(ファシズム)」である。
 安倍首相は、その後も「検察庁法改正案」を秋の臨時国会に再び提出すると言っている。それもまた執行部独裁である。このようにして議院内閣制の欠陥だけが露呈する。与党と言えども議員は自らの政治的信念(これを持ち合わせているのであればだが)を内閣に向けて発露する。賛成すべきは賛成するものの、批判すべきは批判する。それが欠陥だらけのこの国の議院内閣制が健全化する唯一の途である。これが叶わない原因は、あげてかくの如き「立法府」の弱体による。それというのも、政党とそれを構成している議員の質的レベルがのっぴきならない状況までに劣化しているからであろう。それを象徴しているのが「魔の3回生」という塊である。
 この因は、選挙時における選挙民の知性と理性が必須であることの証左である。良い政治は畢竟良い選挙民によってしか作られない、ということを明らかにしている。

これぞ国家的Inconsistencyといわず何と言えばよい?

2020年05月21日 07時50分37秒 | 政治
 「あちらが立てばこちらが立たず」、「こちらが立てばあちらが立たず」などというのでなく、「あちらが立ったがゆえに、こちらも立ち、その逆もまた立つ」状態のことを英語ではコンシステント(consistent)という。名詞形ではコンシステンシー(consitency)。つまりすっきりと矛盾の無い状態を言う。連立方程式の正しい「根」などというのは文字通りコンシステントなのである。自然界では現象を記述する何連かの連立微分方程式のソリューションが見つかれば、これは自己無撞着な解という。でなくて、答えを元のあっちとこっちの方程式に代入してみたら、これらが満足していないことが分かればこれを Inconsistencyな撞着性という。以下の話は典型的な撞着の例である。
 検察庁幹部の定年を内閣の思い通りにやるという「三権分立」の最後の砦を破壊しようという目論見を画策した政権が、そのモデル的人材として屹立した名前をもって挙証してきた人物。その役職も首都の東京高等検察庁トップの検事長。国家検察行政のナンバー2である人物があろう事かあるまい事か、かけマージャンにうつつを抜かしていたという。挙句に物陰に隠れて追尾するパパラッチに証拠写真を撮られるというテイタラク。
 この週刊文春誌に掲載された夜陰にひそむ検事長の写真は5月2日のウシミツ時だったという。時あたかも首都は事実上のロックダウン状態の深夜。市民は言うに及ばず、街で働くすべての人々に政府は彼らが生業を自粛するよう要請していたさなかのことである。「三蜜」を避けよの「指示」は、マージャン荘を営業する主人たちにもとりわけ強く伝えられていたまさにその時期、範をもって示すべき指導者の取った行動がこれであった。
 この身辺スキだらけの人物を、内閣総理大臣とその官房長官・法務大臣は「余人をもって代え難い」と主張して、「脱法的に」定年延長を決済し、法の看視者たるべき当人も「唯々諾々」としてその「不当な決定」に従ってきた。それだけではない。国会もこれを不当と言わず3分の2の政権与党議員は目をつぶり、反対党の遠吠え以外には何も異を唱えてはこなかったのである。この決定の「正邪」はかくのごとく夜陰にひそんで裏側から映し出してみればその邪悪さが、リトマス試験紙に掛けたように見事に変色して映し出される類のものであった。この撞着ぶり、見事なほどの辻褄の不具合、これぞ国家的Inconsistencyといわず何と言えばよい?
 今更のように、報道によれば黒川氏はかけマージャンの常習者であったという。刑法はこれを「犯罪」と定義している。法治国家を自認するこの国の警察・検察の法務行政はこの事実をどう扱う? そして政府与党はどのような政治判断をする? 安倍総理大臣はこれでも政権の座に居座り続けるつもりか??
 かてて加えて、黒川氏のかけマージャンの相手はサンケイ新聞と朝日新聞関係者だったという。サンケイはさもありなんとして、我が国を代表するクウォリティ紙とされてきた朝日新聞には「お前もか?」と尋ねたい。二昔以上の長きにわたって付き合ってきた愛読紙との決別を決心するにあたって弁明をぜひ聞きたい。 

コロナ戦争「秋の陣」 一難去ってまた・・・

2020年05月20日 07時37分52秒 | コロナウィルス
 「米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり『(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ』と伝えた。(2020/05/15共同通信)
 褒められたのか?くさされたのか?よく分からないが、こう書かれてみれば「それはそうかな?」と思わせる記事ではある。
 5月17日現在のデータを見ると、クルーズ船を除く国内感染者総数16,112人、全人口1億2616万1000人に対する感染率は0.013%、そのうち死亡者数744人で感染者の中での死亡率は4.62%。片や世界を同じ日で調べてみると感染者数は約471万人、死亡者数31.5万人、同死亡率は6.7%と日本よりはるかに高い。また、アメリカのそれと比べても感染者数152万人、感染率2.74%、死亡者総数は89,908人でその死亡率は5.91%と日本よりもはるかに高い。
 同上の記事は上に続けて「日本は中国からの観光客が多く、ソーシャル・ディスタンスの確保も中途半端と指摘。感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会と比べ低いが『死者数が奇跡的に少ない』と評した。さらに『結果は敬服すべきもの』とする一方、『単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない』と述べた」(同上)ともある。
 どうもこれは褒めてくれようというのでもなさそうで、大してうれしがる必要のない記事だ。
 日本における新型コロナウィルス感染者総数は、感染検査まで「4日待機」という「国民が勘違いした」(加藤厚労大臣発言)とする初期対応のまずさから政府への信用度が低くて不明の感もぬぐえないものの、さりながら感染者数を隠しきれずにもいて最終的に出てきたその数値は正しいとみてよいのではないだろうか?。だとすれば、この国のコロナ対策状況で特筆すべきは死者の少なさではなくて、国際比較で感染率の圧倒的な低さにあるのではないか?。多少の誤魔化しがあっても圧倒的な低さだ。
 この低さの因はなんだったのか?? 特に証拠もないが、筆者はこれは「マスクが消えた」という頻々と伝えられた報道にあったのではないかと推量している。マスクの大好きな日本人にとって、とりわけ需要期にこつぜんと消えたマスク、その無防備への恐怖が逆にマスクなどしたこともない人々にまで着用が徹底して、これが結果的に感染抑制に寄与したのではないか?
 と言っても、マスクなどコロナ予防にそれ程役立つわけは無いが、マスク報道の効果としてマスクを付けることとともに、感染への恐怖を扇動したこと、このインセンティブこそが結果として3蜜忌避の感染率低下に寄与したのではなかったか??
 しかし、感染率の低さは「コロナ戦争春の陣」で国内に抗体を持つ人口を極小化してしまったこと。次なる「秋の陣」にまたやり直しの対策を講じなければならないということを意味する。良かったのか悪かったのか? 一難去ってまた一難、やっぱり、この米紙記事は我ら日本人を褒めてくれたのではなかったのだろう!?

不安が現実になる青森県六ヶ所村

2020年05月19日 07時17分35秒 | 政治
 今は昔、未だ青函連絡船が運行されていた頃だったが、青森港に近い繁華街の飲み屋で友人と二人で飲んでいた時のこと。二人の話題が少々政治的色彩を帯びていたからであったろうが、この店の美人マダムが「核燃料再処理って大丈夫なんですか?」と言い出した。ふさわしくない場所で相応しくない問題を言い出すもんだと思いながら彼女の心配をるる聞かされたことを今思い出している。
 ちょうどその頃、「日本一の巨大石油コンビナート&世界一の粗鋼生産基地」を作るというふれこみの「むつ小川原開発」があっけなくとん挫し、その失われた利権を守るように六ヶ所村に原子力船と核燃料再処理工場建設計画がやってきた。美人マダムの不安は、核のごみを押し付けられる屈辱と、その放射能が下北地方から青森まで飛散してくるのではないかという切実な心配がもとであったように記憶している。
 同じ青森県内とはいえ、六ケ所村は鶴の首のように長い下北半島のしかも東側、太平洋に面した地域。吹く風は一年中西風で青森市側に吹いてくる風はまあ無いといってよい。だから、「余程の事が無い限り心配は無用なようにおもうけれど」などと無責任に回答していたことを今もすまなさと共にうろ覚えにおぼえている。
 あれから何十年が経ったのか? 誘致運動は鉄鋼と石油から原子力へとおおいなる筋違いを起しながらも叶えられ、すったもんだの挙げ句に松林は切り倒され六ヶ所村は近代設備の立ち並ぶわが国最大の原子力基地へと変身した。
 日本原燃の核燃料再処理工場が、ついに原子力規制委員会による安全対策の審査に合格した、という。日本中の原発に保管されている過去何十年の使用済み核燃料をここに集めて、プルトニウムやウランを取り出すという再処理工場である。1993年着工以来、これに要した無駄づかいはじつに13兆9400億円という天文学的数値。それというのも施設の完成時期が24回も延長されるという歴史上例のない難産の「産科」費用が嵩じたためであった。こういう経過から見ても、2021年度上期創業は保証の限りとは断じて言えまい。
 この上、操業を開始して全設備が放射能に汚染されてからまたしくじったというようなことになる可能性も大いにあることを考えれば、この工場の前途はまだまだ山あり谷ありだ。なにしろ、使用済み核燃料から再処理されて取り出されたプルトニウムやウランからなる核燃料MOXを燃やす原子炉は現在たったの4基しかない。順調に、再処理工場が稼働でもしようものなら、日本は既に保有する46トンと合わせて世界一のプルトニウム保有国になってしまう。いまですらIAEAから北朝鮮と並んで最も強い監視を受けている日本の核物質保有状況、その態度の不純さを世界は猜疑と不愉快な気持ちで見ているのである。
 高速増殖炉もんじゅもとうに失敗した。当面、再稼働できる原発もはかばかしくはでてこない。原発は経済原理からも離反した。それでいて自然エネルギー政策は一向に進まない。審査合格は八方ふさがりの原発問題に新たな悩みがまた一つ増えたということ。
 あの飲み屋のマダムの恐れていた不安がとうとう現実となってきたのである。
 


この国の民主主義はもはや途上国なみ⁉

2020年05月18日 07時27分51秒 | 政治
 「首相官邸の介入が取り沙汰される黒川弘務・東京高検検事長の定年延長に関し、安倍晋三首相は、法務省側が提案した話であって、官邸側はこれを了承したにすぎないとの説明に乗り出す構えだ。検察官の定年に関する従来の法解釈を変更し行ったと説明している異例の人事は、あくまでも同省の意向に基づくと主張し、理解を求める」(2020/05/17共同通信)。
 なになに? これって、誤報じゃないのですか?? もしホントウだとしてだが・・・。安倍さん、この期に及んで責任を法務省に付けまわそうっていうのですかい?。粛々と行政をやってきただけのあの地味を専らの法務省がなにゆえこんな70余年の慣例を破って新奇な制度を作るわけがあったのでしょうか?
 しかも、曲がりなりにも今国会に提出中の国家公務員法と抱き合わせに出している検察官法が可決成立してからやるならやればよいものを、何の予兆も無しに黒川氏定年延長を閣議決定とは辻褄が全然合わない。
 それはともかく万に一つ、同省が勝手に決めたからと言って、安倍氏が唯々諾々とそれを受け入れたというのもあり得る話とは思えない。それでも百歩譲って、この話が本当だったというのなら、黒川氏の定年延長を決めた今年2月の13日に、首相は国会でそう説明すべきだったであろうに・・・・?。
 それでは、なんで昨日になってこんな「有りそうにもない」ことを安倍氏は言い出したのだろうか? どうやら口さがない巷の声が、河井前法務大臣夫婦にまつわる空前絶後の選挙金銭買収違反事件が捜査官の手にわたり、かつその違反原資の1億5千万円という巨額の買収資金が自由民主党総裁名で発出されていたということから、その責任を問われることに対する防御装置として黒川氏の定年延長があったのだ、といううがった?「見方」がここ数日来燎原の火のように広がり始めている。これにビビった安倍氏が子供っぽい言い訳を思いついたのではないだろうか?・・・、と筆者は邪推しているのだが。
 もし、この「邪推」がまんざらでもないのなら、一国の総理大臣ともあろうものがこんな児戯に類する言い訳を発するか!、これはもはや日本国と日本国民とにとって断末魔の悲劇というしかない。
 一部に見送り説が流れてはいるものの、与党3党は今日にも強行採決と聞いている。もし、こういう新しい事実が出てきてもなお強行突破というのならもはやこの国の民主主義は崩壊したと言うしかない。安倍内閣は即刻総辞職をすべきだ!