日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

オバマ前大統領の発言、久しぶりに聞く「天声人語」

2020年05月13日 07時26分00秒 | 政治
 外電によれば、米国のオバマ前大統領は自身の政権下で要職に就いていた人々との電話会議で、トランプ政権を念頭に次のように話したという。
 「政府が『これが自分にどういう利益があるか』『他人のことはどうでもいい』という考え方に動かされていれば、その対応は間違いなく混沌とした大惨事になる」と語った。オバマ氏は約30分間にわたる会議で、世界的危機に対応できる強固な政治的リーダーシップが必要だと力説した」(2020/05/10時事通信)
 これぞ、「むべなるかな!」である。アメリカファーストという鎖国政策をとるだけでなく、コロナウィルスの発生源を中国武漢と一方的に決めつけた上で盛んに悪罵を発するトランプ現米大統領。その発言の心底には大統領選挙を前にして自身の失政を指摘されたくないという個人的都合が有ったればこそであることが見え見えだ。
 この雑言が、レベルの低いアメリカ保守層の支持率確保に寄与しているかは知らないが、スペイン風邪で学んだ教訓を生かして世界で冠たる公衆衛生組織を堅固に構築してきたアメリカがいまや最大多数の感染者と死者を出しているのは、明々白々、トランプ政権の失政以外の何物でもあるまい。それを打ち消さんとてか「他人の失敗」をあげつらう。地球も小さくなったが、政治家も小さくなったと慨嘆せざるを得ない今日この頃である。
 斯くの如く極限まで小さくなった「一衣帯水」の地球の上で起こる森羅万象はことごとく向こう三軒両隣の「3蜜状態」なのである。無数の飛行機が飛び交い、何千万トンの貨物船が大洋を渡り、列車が大陸を網目になって縦横断する。
 そこを舞台にしておこる伝染病をののしり合っていては細菌・ウィルスにとって格好のつけ入る隙となって彼の勝ちとなる。そこでは一致団結して彼らの邪悪さに挑戦する以外にヒト科ヒト族の生き残りはかなわない。その指揮を執る指導官がこのざまでは前途は暗澹たるものと言わなければならない。この手の感染源の捜索は国際的な専門家に任せるのが当然であって、そこは公衆衛生学に素人の政治家が容喙すべき場所ではない。
 上記、オバマ前大統領の発言は久しぶりに聞く「天声人語」に聞こえて暗中に一点の光明を見つけたように勇気づけられたのである。