日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

平和の聖地ヒロシマと不正選挙の段差

2020年06月30日 07時23分06秒 | 政治
 「昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、前法相の衆院議員河井克行容疑者(57)と妻の参院議員案里容疑者(46)から現金を受け取った疑いのある広島県議らが26日、釈明に追われた。(中略)県議や市議、首長など、地元政治家40人以上に計約1800万円を提供した疑いがある。26日午前、県議会常任委員会が開かれるのに合わせ、議会棟には報道関係者数十人が集まった。克行前法相から昨年4月中旬に30万円を受け取ったとされる県議は『気持ちの整理がまだなので、ノーコメント』と繰り返した」(2020/06/26共同通信)。
 広島県は一県上げて選挙買収汚染でパニック状態のようだ。コロナウィルスよりこちらの方がパンデミック状態、「気持ちの整理がまだなので、ノーコメント」などと言うところを見ると、公選法違反は「良心を侵すパンデミック」という意味でCOVID-19ウィルスよりはるかに悪質ではあるまいか??
 それにしても広島はこれを「ヒロシマ」と表記して、日本人にとっては心を寄せる「聖地」という思い入れがある。奈良・京都と並んで「ヒロシマ」は生涯に一度は訪れて原爆ドームを見て、原爆記念館を訪れ、平和公園を歩くこと。今でも中学・高校の平和教育を兼ねての修学旅行は圧倒的に広島である。この「聖地」としての神聖性を一気に崩壊させたのがこの「河合夫妻集団公選法違反事件」である。まして、あの一発のピカドンで殺され、または負傷し、生涯その障害に苦しめられながらも平和を希求し反核運動に生涯を捧げた人々への冒涜は言うもはばかられる程のものである。
 主犯たる河井衆参院議員夫婦は言うに及ばないが、上記一群の広島県地方議員の行状は文字通りに万死に値する犯罪であり、広島=ヒロシマが帯びてきた「聖性」を一気に消滅させた冒とく行為である。かくなる上は、この政治汚染に関わった者たちはその金額の多寡やコミットメントの深浅に拘わらず洗いざらい懺悔して罪に復すべきである。
 また、主犯たる河井夫妻両容疑者に法定選挙資金の3倍にもあたる1億5千万円もの巨額犯罪資金を提供し、ヒロシマを汚染させた政党本部の責任もこの際厳しく問われるべきである。
 少なく見積もってもこの10年間国民の信頼を失い続けた法務・検察の信頼回復のためにも、この「選挙資金疑獄」についてはその全容を詳らかにし、一点の疑念も無いように捜査を完遂してもらいたい。ヒロシマは日本人の聖地だと述べたが、「ゲルニカ」と並んで平和を希求する世界中の人々にとっても同様に聖性を帯びた都市である。この「事件」はこれらの人々からも注視されているのである。
 


進化論(Hop)、優生思想(Step)、改憲論(Jump)という三段跳び

2020年06月29日 06時09分21秒 | 政治
 「自民党がウェブサイトやツイッターで、ダーウィンの『進化論』と結びつけて憲法改正の必要性を訴える漫画を発信している。ツイッター上では『進化論を理解していない誤用だ』『政治に利用するのはこじつけだ』など、科学者を含む各方面から批判が相次いでいる」(2020/06/22毎日新聞)。
 早々と国会に戸締りをして封鎖してしまったのに、安倍自民党は場外で「改憲気運」を策動しているらしく、この記事のように「国民投票」を想定した情宣活動を始めたようである。突っ込みどころ満載という状況である。
 その4コマ漫画の中で;――「ダーウィンの進化論ではこういわれておる」「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない」「唯一生き残ることが出来るのは変化できる者である」として、「これからの日本をより発展させるために いま憲法改正が必要と考える」と、現行憲法を変えようと説く。
 つまり、現行憲法を変えるという「変化」を選ぶことが「進化=自然選択」なのだと旧態然たる「社会進化論=優生思想」をここに持ち出したのである。典型的な「ダーウィンの進化論」の錯誤の理解として、ダーウィンによる1859年「種の起源」出版以来再三にわたって喚起されてきた誤りをいまだに踏襲する「無知性」をここに遺憾なく発揮してもいるのである。
 ダーウィンは「種の起源」の中で、「何世代も生き続けた生物集団は、その間にさまざまに変化してきた」とだけ言っている。「進化論」とは畢竟これに尽きるのであって、またこれ以上でも以下でもないのである。しかるに、これに特別の意味を張り付けて、歴史的には「適者生存」から「優生思想」へとさまざまな拡張や誤解が巻き起こった。
 特に、ナチスの断種法など「優生思想」の歴史を持ち出すまでもなく、つい先ごろまでこの国にも厳然として存在していた「優生保護法」(昭和23年制定)がある。そしてこれゆえに、想像を絶する辛苦を舐めさせられた人々が現れ、その権利回復の闘争から訴訟までがあったばかり。そこに通底していた「思想」こそ、「不良な子孫の出生を防止する」という「優生思想」であり、そのもとで、精神障害、ハンセン病患者、知的障害などを理由にして子どもをできなくする不妊手術などが人権を無視して「合法的」に行われてきたのである。
 この優生保護法はなんと1996年まで効力を発揮して、ハンセン病による収容者も含めるとこの間約2万5000人の人々が本人同意の無いままに日本政府によって不妊手術を暴力的に施されてきた。こういう歴史については、国は非を全面的に認めて謝罪してきたばかりである。
 一体全体、こういう歴史を解って自民党はこの宣伝文句を展開しているのであろうか?と疑わざるを得ない。この漫画が説く「優生思想」こそ、こういう法律をつくり長年月の間これを保持させてきた原因であった。あれとこれとどういう風に政府自民党は説明するのであろうか?。
 あきれたことに、この誤謬を指摘された二階幹事長は「ダーウィンも喜んでいるだろう」と平然と答えたという。この知性の崩壊ぶりはもはやつける薬が無いほどのものである。
  

外交問題として再燃する「明治日本の産業革命遺産」

2020年06月26日 07時03分08秒 | 旅行
 ソウル発の外電は、韓国政府が、端島炭鉱(軍艦島)、八幡製鐡所、長崎造船所等々、山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡の8県23施設で構成する「明治日本の産業革命遺産」という世界文化遺産の登録取り消しを求める書簡を、UNESCOに発送することを決めたと伝えている。
 これは、またまた日韓に係るあらたな外交問題の出来だ。どうも「外交の安倍」と自ら喧伝し、「地球儀を俯瞰する」とまで言うわりには安倍政権下でこと隣国、特に大韓民国との「外交」は最初から最後?までうまくいかなかったようだ。もはや斜陽の安倍政権だが、後々のためにちゃんと「落とし前」はつけておいてもらいたいものである。
 この「世界文化遺産」というのは、「産業革命遺産」と言いながらもその中身は「石炭」と「製鉄」と「造船」という日本の「明治近代化」を主導した、文字どおり日本の産業近代化とそれにまつわる「技術進歩」の歴史であって、これを人類の共通遺産として保存し伝えていこうという謳い文句の「人類の文化遺産」というには少々ローカルではあった。
 加えて、コトこれが日本にとっては「脱亜入欧」、アジアに先駆けて近代日本を興し、当時世界を支配していた帝国主義と植民地主義の荒波に遅ればせながら乗り出していくという近隣諸国にとっては迷惑千万な歴史でもあった。それゆえに、こういう指摘がこの企画のユネスコへの申請当事、近隣各国から指弾され、不安視されてもいたのであった。
 この「文化遺産」の中には、実に唐突に「松下村塾」が入っていることからも分かるように、そこには「ナショナリズム」という羊頭狗肉が混じっているように思われる。これは、この企画を熱心に推進した安倍首相に強い思い入れがあって、ために「明治近代化」とは直接的な機縁の無い「松陰先生」をこんなところに持ち込んだものと、筆者は邪推している。どうみても「松陰先生」と「産業革命」は牽強付会にして無縁である。
 明治近代化には福沢諭吉による「脱亜入欧」という、アジア蔑視の思想が基盤にあり、その延長上にアジア太平洋戦争という歴史が後からついていく。このユネスコ遺産にはこの「匂い」が払っても払いきれない程に強く付着して離れない。
 こういう政治的「匂い」を払しょくしておかないと日本にとっては「近代遺産」ではあっても、それ故にこそ近隣諸国は言うに及ばず国際的理解は得られず、人類の「共通の文化遺産」という主張に陰りが出てしまう。韓国からのクレームは、そのまま中国や台湾、はては東南アジアにまで共通の不快感を与えているのではないだろうか?
 真に世界遺産として尊重されるように、安倍氏が常日頃多用する「しっかりと」という言葉にたぐわないよう、これを機に、世界から疑義を持たれないようなディスプレイにすべきだ。

ああ宿痾の民、We are Japanese.

2020年06月25日 07時13分39秒 | 政治
 「ボルトン前大統領補佐官のトランプ政権の内幕を描いた本が発売され、トランプ大統領が日本に駐留するアメリカ軍の経費について、現状の4倍にあたる年間約8600億円の負担を求めていたことを明らかにしました。トランプ大統領は政権内の協議で『すべてのアメリカ軍を撤退させるよう脅せば、非常に強い交渉の立場を得られる』と話したということです。トランプ大統領は、ボルトン前大統領補佐官について『法を犯した』とツイッターに投稿し、機密情報を流出させたと批判しています」(2020/06/23ANN)。
 ボルトン前米大統領特別補佐官によるトランプ大統領の身辺を暴露した書物「The Room Where It Happened(「それが起きた部屋」)」が世界中の政治指導層を震撼させている。ホワイトハウスはこれの出版差し止めに奔走したようだが、さしもの大統領と言えども押さえきれなかったようである。
 世界のどの国にもまして言論の自由度の高いアメリカとはいえ、国益を損ずることが明白な本書のような場合出版差し止めが有り得なくもなかったはずだが、裁判所の判断はすでに中身が事前に知れ渡っているという理由でそうはならなかったようだ。この一事をもってしてもトランプ大統領の権力の低下が著しいのであろう。
 それにしてもこの書物、当のアメリカは言うまでもないが、世界中にわたって騒ぎを惹起しているようである。なにしろシッチャカメッチャカなトランプ氏のホワイトハウスの中の騒動だけに、むべなるかなである。それだけに中身のバカバカしさもまたむべなるかなとしても、起こっていた「事実」は事実として見過ごすわけにはいかない。
 そういう中で日本に関しては上記日米安保とそれに伴う駐留経費問題で、このことはすでに半公知の「事実」ではある。トランプ大統領は、在日米軍駐留経費の日本政府負担を4倍に引き上げるとしているというのである。このことは今までも散発的に囁かれてもいたのであったから今さら驚かないが、驚くのはもはや日米双方において政府も国民も、米軍が日本国中いたるところに存在していて陸海空は言うに及ばず上空遥かな宇宙にまで存在して、それがなにより「専ら日本のため」であると、彼我共に承知しているという事実である。それゆえに、用心棒よろしく米軍駐留経費をお支払いするのが当たり前、日本国民としてはできれば安い料金でお願いしたいものであるぐらいにしか認識していないという事実である。
 吉田茂首相がたった一人でひそかに調印し、安倍晋三現首相の祖父岸信介が自ら改訂した日米安保条約を根拠として、沖縄に超偏在しているとは言い状、他の46都道府県すべてにわたって自国以上に大胆にその自由な軍事的行動が許されている関係性のその原則はこの国とこの国の民のために開かれているのでは断じてない。すべての基本はアメリカ合衆国と合衆国国民の利益を第一義として定められ、日本政府によって許諾されているシステム(日米安保体制)のゆえなのである。すなわち、もしそこから何か日本国と日本国民とが利益にあずかることがありえたとすればそれは「余禄」というものであって、保証の限りでない。
 かつての敵国にして「戦勝国の米国」、対して宣戦布告無き開戦の非難を受け続ける「敗戦国日本」、70余年の時代を経てもなおその間にわだかまる信賞必罰の関係。これが持病となって永遠につきまとう。ああ宿痾の民、われら日本人。
 


つまり「下請け」・「孫請け」というのはこういうことである

2020年06月24日 07時18分49秒 | 政治
 「フジテレビと産経新聞社は19日、両社が合同で行う世論調査で、実際には電話をしていない架空の回答が含まれる不正が見つかったと発表した。不正は、2019年5月から20年5月までの世論調査計14回で見つかり、両社はこの世論調査結果に基づく放送と記事をすべて取り消した」(2020/06/20朝日新聞)。
 この記事によるとフジTV・サンケイ新聞両社はその世論調査を「アダムスコミュニケーション」という会社に一括して下請けさせたところ、かれはこのビジネスを京都にある「日本テレネット」という企業に孫請けさせた。そこで全数ではないが一部分のデータのねつ造が行われたということであるらしい。
 こういう「下請け」「孫請け」「曾孫請け」etc.と呼ばれるカスケード型の封建的ビジネス慣行は明治近代化以来大手ゼネコンなどによる公共事業等において専ら行われていて、その基本的環境は利益率の低いビジネス慣行においてはびこっていたものである。
 そしていま分かり易い実例として、政府の持続課給付金の受付業務における株式会社「電通」とその多重下請け問題が一方で今まさに起きている。これらのことが情報化時代の今日只今においても起こっていること、それも新聞メディアという現代社会で人心や知性に係る中核的ビジネス分野において起こっているということ、あきれ果てると同時に背筋が寒くなってくる。
 社会調査(ここでは世論調査)という個人の政治信条を尋ねるシーンにおいてその結果がねつ造されて、そ知らぬ顔をしてその虚偽のデータを活字に起こして発表する。読者にとっては、違和感があろうともそれが彼を覆う集団の意思であると暴力的に思わされてしまう。それゆえにこのような不正は極めて許しがたい冒涜行為であると知るべきである。
 世論調査、とくに内閣支持率調査などは、その結果が政治・行政の満足度をも表しているので、その結果が高めに出ることは「良い政治が行われている」という判定であり、政府としてはおのれの政策実行について何ら反省したり改良したりする必要は無いことを意味する。
 筆者の印象では、総じてフジ・サンケイの世論調査は保守政権肯定の度合いが高く出る傾向があったように猜疑的印象を持っている。ということはこの「下請け」「孫請け」連鎖の中にそういう色合いが好意的で混じり易い環境的蓋然性が高かったということであろうとそう疑われても仕方あるまい。
 いやしくも大看板を張って大手ジャーナリズムの一角に棲む以上、「社論」はともかく世論調査などは絶対に誤魔化したものを発表してはならない。近頃のジャーナリズムを「腐っても鯛」とまで言えるか否かは怪しいが、新聞は今も未来も社会の木鐸であると思いたい。しかし、当の新聞自体にその自信が無いのなら、もはや輪転機を回すべきでない。