日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

奢るな! 人工知能(AI)

2024年08月29日 07時19分55秒 | 政治
 「『自己PRの内容をご説明いただけますか』。パソコンの画面に表示されたイラストの面接官が人工音声で問いかけると、学生は『塾講師のアルバイトで生徒と積極的にコミュニケーションを取り志望校に合格させました』とアピール。AI面接官は『その経験は素晴らしいですね』とほめ、『問題に取り組む視点をどう変化させましたか』と追加で質問を投げかけた。・・・人工知能(AI)が就活生らを面接するサービス=<AI面接官>がにわかに広がっている。企業側は就職希望者を客観的に評価でき、採用活動を効率化できるという。一方で、AIの判断は、偏見や差別につながるリスクをはらんでおり、海外では採用時の利用には規制の動きも。AI面接官はどこまで信用できるのか」(2024/08/24東京新聞)。
ついにここまで来ましたか?と筆者は大いに呆れている。一次判定の「足切り」として使おうというのだろうけれど、応募してくれた入社希望者に対して如何にも礼儀を欠いた扱いではないか? AI側の判断アルゴリズがユニークであればあるほどに似たような人材ばかりを集めてしまって、企業人材の幅が狭量化する危険は無いのだろうか? あるいは、似たような才覚と行動様式の人間ばかりが採用されて結果として非常につまらない組織が出来上がってしまうというようなことにもならないか?
なんならその使っているアルゴリズムのままに、今社内で働いている社員たちをこの人工知能で面接してみたらよい。みんな不合格になってしまったとか、社長や役員など幹部社員が特に不合格判定をもらってしまうとか、愉快な結果が現れるかもしれない。
「人工知能に判定させました、その結果あなたは不合格でした!」と言われる応募学生の屈辱は如何ばかりであろうか?と筆者はおもしろく、やがて悲しくこの記事を読んだのである、が・・・。
(所用のため明日8月30日の本欄は休載します。大型台風接近中、命を守る行動を!)
 


富士山噴火を政権構想の主要テーマにせよ!

2024年08月28日 07時34分41秒 | 政治
 「8月26日は<火山防災の日>です。令和5年に活動火山対策特別措置法の一部が改正され、本年4月に施行されました。本改正により、多くの方が活動火山対策についての関心を持ち、理解を深めていただけるよう、8月26日が<火山防災の日>として制定されました。この日は、浅間山に日本で最初の火山観測所が設置され、観測が始まった日(明治44年8月26日)が由来となっています。また、この法律では、『火山防災の日』には、防災訓練その他のその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めることとされています」(2024/08/14政府広報より)。
というわけで一昨日が「火山防災の日」だったということを、筆者は昨日の朝刊を見るまでそんな日があることすら知らなかった。これは筆者の「うかつ」であったが、火山への意識を喚起するこの種の機会を持っていなかったというのは、国家行政としてはのん気といえばうかつな話ではある。というのも、グリーンランドには負けるが、日本は世界で第10位、活火山の数では第4位という世界屈指の火山大国であって、この小さな列島に111の火山をもつ。その中から北海道の十勝山や有珠山をはじめ上州浅間山・伊豆大島、九州の阿蘇・雲仙・桜島など11の活火山については常時観測されているものの残りの100山については大学等研究者の興味関心に依拠しているだけでそれ以上でも以下でもない。
そんな中で今最大の関心の火山の一つが富士山である。富士山は火山としてはBランクに分類され常時監視が制度化されてはいない。この山の振る舞いについては山梨県の富士山研究所がいわば勝手に関心を寄せて観察しているというのが実態である。こういう扱いの結果として、山梨・静岡両県はともかく、おそらくその他の周辺都県の人々の関心は皆無であろう。
富士山の最後の噴火は江戸中期1704年12月の宝永噴火を最後に今日まで沈黙が続く。しかし、富士山の噴火の間隔は300年をおよその周期とするところからすれば、今年は爾来320年にあたる。噴火の可能性は十分に熟していると言わなくてはならない。しかし、その不安を現代人が感じているようには見えない。無知ゆえか?考えても仕方ないからか?
先例であった宝永噴火の折は冬であったから風は西風、それゆえ噴煙は東に流れ、わけても微粉火山灰は江戸を覆い、すでに高度に文明化されていた故に江戸幕府の政治行政機能は破滅的であったと言われている。交通といっても徒歩か駕篭か牛馬による運送。公共交通や通信システムがあるわけでもない都市においてその機能が破綻したというのであれば、いまや運輸・交通・通信・水道/下水の機能停止は、政治から民政のすべてにおいて停止は間違いない。徳川綱吉政権ですら機能不全になったこの「今江戸」で政治・行政機能が可能であるか否か? 軍事大国を主張する前に政権構想の主要テーマに富士山噴火について論争してもらいたいのだが・・・。
 


果てしない物語 フクイチのデブリ

2024年08月27日 07時21分17秒 | 政治
 東京電力福島原子力発電所の崩壊した三つの原子炉には、合わせて880トンというとんでもない量のグチャグチャに溶けた核燃料が、底の抜けた原子炉の下にとぐろを巻いているというイメージでよいだろう。これの除去をどう進めるのか?、何時から始められるのか、どういう手順で、どう扱えばよいのか、実のところ誰にも分かってはいない。
分かってはいないからといって手をこまねいていては世界が承知しない。あまつさえこのデブリを冷やすために投入している冷却水と、それとは無縁に湧き出して人に制御できない天然地下水も混じって、これを集めてその中に含まれる放射性の数十の核種を除去装置(アルプス)によってフィルタリングしたうえで巨大なドラム缶に入れて寿命の短いが強い放射能をもつ核種の減衰を待って海洋投棄をしている。現在は、ここまでで12年を営々として過ごしてきた。実にただそれだけである。
さりながら、ただ手をこまねいていては外聞が悪い。そこでちょっとした小道具を使って溶融デブリを「つまんでみる」という「努力」をしてみたのが過日22日の取り出し実験であった。そのつまむ量は3グラムというから、対象の880トンデブリとは天文学的違いではあるが、まずは努力しているという姿を世界に見せることが、冷却タンク水の「海洋投棄」によって失われた国際的信用の回復のために必要だったのであろう。
しかし、残念ながら過去のいくつかの試みと同様、ここでも作業の手順を間違えたとかで、失敗に終わったという。すでに十数兆円を投入し、これからも天文学的支出を伴うであろうこの原発廃棄事業。日本国民に取りついた吸血鬼は子々孫々にまで取りついて離れない「貧乏神」となって生き続けていくことであろう。ああ、なんという運命!
岸田文雄現首相はこれからも原発政策を堅持し、増強すらしていくと言い、彼の次期後継に手を挙げている者たちにもこれに異議を申し立てている者もいないようであるから、フクイチの悲劇は何の教訓も残さないまま継続していくのであろう! 国富の莫大な出血をそのままに、貧困な政治の犠牲が続く。
 


この心無さは、窮極において政治の問題に行き着く

2024年08月26日 07時44分16秒 | 政治
 「京都府の西脇隆俊知事は23日の定例会見で、夏の甲子園で優勝した京都国際高校に関連した差別的な投稿がインターネット上で相次いでいることについて、SNSの運営事業者などに削除を要請したことを明らかにした。西脇知事は『許されない行動でつつしんでほしい』と話した。」(2024/08/23朝日新聞)
第106回全国高等学校野球選手権大会は、京都府代表京都国際高校の優勝で幕を閉じた。決勝戦は両チームの堅守によって最初から最後まで緊張の糸がピーンと張った状態で全く破綻の無いままに終えるという、この大会の歴史に特筆されるべき名勝負の一つとなった。引き分けの無いルールによって勝者と敗者を決定しはしたが、両チームに優勝旗を分けてやって欲しいという「感傷」を筆者は番組の最後まで抑えられなかったほどであった。
連日の猛暑の中を戦って、頂点での優勝旗の争奪戦の画竜の点睛を欠かせたのが上記のごときこころ無き野次馬の跋扈である。優勝校の校歌がハングルであったことが「愛国者」を刺激したらしいというのだが、もしこれが英語であったら彼らはどう反応したであろうか? 全国高等学校野球連盟が公式に認証したチームの、満場の観客と全国何百万人の実況放送視聴者が手に汗を握って見、かつ勝者と敗者とに拍手を送るその場に心無き、かつ謂われない罵詈雑言を寄せるとは何たるそのこころの狭量であることか! 猛省を促したい。
「京都府人権啓発推進室によると、準々決勝のあった19日から府が本格的に監視を始めた。22日までに匿名掲示板<5ちゃんねる>の管理者と<X(旧ツイッター)>の運営事業者に計4件の削除を要請した。京都地方法務局にも連絡し、同局から管理者や運営事業者に削除を要請してほしいと伝えた。京都国際が4強入りした2021年にも13件の削除を要請したという」(同上)
こういう「事犯」はその遠因を辿れば、我が国の学校における近代史教育の手抜きがあると筆者はかねてから確信している。日清・日ロ戦争を起点に遅れて参入した遅れた帝国主義の旗を掲げての対米戦争とその残酷な敗北という一連の戦争の歴史についての知識の涵養を忘れた中等教育段階の欠陥がなせる業ではないか?と思ってもいる。窮極を尋ねれば、この心無さは窮極的に「政治の問題」に行き着く話である。
 


今すぐにも速断できる岸田政権の原子力政策

2024年08月23日 08時02分55秒 | 政治
 歴史の中である時間幅を取ってその評価をくだすというにはどうしても、その時代の後に一定の時間を置かないと即断ずるのは難しいor出来ないということがある。それは、その対象とする時代に生起した事象が後世においてどう変質していったかを見ないとならないからだ。
岸田政権が終わることになった。この3年の時代をどう評価するか? それは、この間になされた政治的営みが今後どう発展・定着・変質・消失していくかを見なければ軽々には語れない。しかし、その政権が在任中からして誤った判断をしている場合には歴史という時間のフィルターを通さずとも評価は自明であるということはあるはずだ。政治的権力の誤った発露がある場合には、同時代的に評価ができるという主題は必ずある。岸田政権の3年においてはそういう例が、対米外交とそれによる「軍事予算2%」政策や「原発復活」という政策として際立って存在する。ここでは後者について・・・
「原子力発電のコストが上昇している。米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く、海外では採算を理由にした廃炉も出ている。日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれれば、国民負担が増えると指摘する専門家もいる」(2024/08/20東京新聞)
ある日本晴れの日、岸田首相は傘をさして東京永田町を歩いていた。通りがかりの人がその理由を尋ねると「いまワシントンで雨が急に降り出したと外電が伝えていたから」と答えた、さほどに対米追随の岸田さん。そういう中で超独自路線を選んでいるのが原子力行政だ。これがとっくに破綻しているのは、3.11を例に挙げるまでもない、使用済み燃料の再利用という核燃料サイクル政策ですらでもなく、・・・つまり、何と言いつくろうとも、原発政策は未来の展望が全くない政策であった。
フィリピンプレートが沈み込む東・南海トラフで起こるとされる大地震や、東日本大震災の原因になった太平洋プレートの沈み込み境界で発生する東日本巨大地震、さらに北米プレートに攻められる北海道東部地震等々、その規模の大きさから、この国の何処にも十億年不動の大地と地盤などいうものは断じて存在しない。にも拘らず政府は北海道や佐賀県で穴を掘って地盤を調べるというご念の入れよう。馬鹿げているとしか言いようが無い。つまりこの国には使用済み核燃料の10億年の安全保管場所などいう地盤は断じてない。にも拘らず、国も、受け入れ自治体も「虚々実々」に調査を挙行している。こういう行き止まりの絶対条件にも拘らず、岸田氏は原発政策に舵を切ったのである。
今月8日、日向灘を震源とする最大震度6弱を観測した地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表し10日間にわたって警報を出し続けた。ことほど左様、世界屈指の地震大国・温泉大国であるニッポンには何処を掘っても10万年動かない地盤は存在しない(はずだ)。つまり、諸外国はいざ知らずプレートテクトニクスの教えるところこの国には原理として10万円動かない地殻は存在しない。ゆえに、原発は他国に廃棄物を捨てに行くこと以外のやり方では原子力発電は窮極において破綻する。