「全国で感染、特に市中感染が拡大している現状では、誰もが感染している可能性があります。いま一度、初心に立ち返って、“うつらない”だけではなく“うつさない”ことが大切であることも忘れないでください。特に若い世代、現役世代の皆さま。新型コロナの最強の感染防止策は、1人ひとりの、日常の慎重で愚直な所作と行動です。日本国民一丸となって頑張りましょう」(2020/12/09 FNN)。これは、日本医師会・中川会長の9日記者会見の発言報道である。ここのキモは、「“うつらない”だけではなく“うつさない”こと」というところであろう。
この間日本政府が経済対策と称して狂奔してやってきた「GoTo○○」政策は、「移らない」と無根拠に思っている人々が、本当は自分が「移している」ということを知らないばかりに「移し歩いた」結果を招いていたのである。それを一貫して強烈に勧めてきたのが他ならぬ菅義偉前官房長官・現首相である。この人の、独善的判断が最大の悪果を招来し、昨12月10日はついに全国で一日あたり最多の2969人(午後9時現在)の発症者を出すに至った。
ウィルスたちにとって生きる道は宿主を見つけ、それに取りつき、その体内(肺臓)で増殖することである。宿主がこれによって健康を毀損し、衰弱してしまったり、究極的に死亡してしまったりすると彼ら自らも寄る辺を失うので、共存共栄でやれれば彼にとってこれに勝る幸せは無い。多くの場合そうはうまくいかないで宿主を死亡させてしまうが、そういう場合にはウィルス自身も宿主と運命を共にせざるを得なくなる。ほどほどに宿主を生かさず殺さず、かつ宿主の集団がウィルスにとって飛び移れる程度に具合いのよい距離に蝟集してくれれば彼らの繁栄は保証される。
そういう好い程度の距離を補助金をつけて全国民延べ4000万人を躍らせたのが「GoToキャンペーン」なるものの「真骨頂」であった。上記日本医師会の会長が言いたかったのはその愚かさへの怒りだろうと読み取った。コロナウィルスが蔓延しているこの時代に、国民に「蛮勇を発揮して出歩け」とばかりに補助金をつけて奨励するとはなんたる不見識であることか!、医師会長が言いたかったのはそういうことだと筆者は聴いた。
なにも旅をしたい人がいたらコロナウィルス感染の恐怖に耐えつつ、「自分の金」で旅を楽しんだらよい。そういう旅人を勇気のある人と言うか、命知らずと言うかは別にして、こういう人々に公金を出してまで旅を推奨する必要が何処にある? 政府によってすすんで死地に送り出されたことにならないか? そうまでして観光業者におもねる必要が奈辺にあるのか??
このところ巷では政治家の不祥事がメディアを賑わしている。何れも業者の請託を受けて金員を贈られる収賄容疑である。「GoTo何々」がこういう裏黒い隠微な世界と没交渉であればよいのだが。菅首相のIRへの執心の深さを見ていると「GoTo何々」への執着も同根のように見えてくるのは筆者の偏見なのであろうか? 菅氏には、ここは日本医師会長の「知的な言」に「素直に」従ってもらいたい。