「公明党は22日、外交安全保障調査会の会合を国会内で開き、次期戦闘機を含め国際共同開発する防衛装備品の第三国輸出を巡り、関係省庁からヒアリングを実施した。出席議員からは、日本の安全保障にとって輸出がなぜ必要なのかを丁寧に説明するよう求める声が相次いだ。政府側は従来の答弁にとどまった。高木陽介政調会長は冒頭で「輸出する理由は何か、国民の理解が深まっていない」と指摘。関係者によると、政府側は輸出を増やせば1機当たりの価格が下がる上、日本にとって望ましい安保環境の創出につながると説明した。出席者の一人は会合後「新しい話はなかった」と述べた」(2024/01/22東京新聞)。
改めて確認しておこう。日本国憲法第9条はこう宣言する:「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は 武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない」
この憲法が廃止されたとは未だ聞いていない。だから、今この瞬間にも本条項は生きているはずだ。しからば、日本国は何を根拠にイギリス・イタリアと共同で「次期戦闘機を含め国際共同開発する防衛装備品」なるものを作れるのであるか? それは法治国家の基本法である憲法の条項に違背しないのか? 「戦闘機」なるものを作ったとして、ましてやそれを売り歩くなどという行為が「平和憲法」に違背しないとでもいうのであろうか? かてて加えて、「輸出を増やせば1機当たりの価格が下がる上、日本にとって望ましい安保環境の創出につながる」とは何たる国家基本法を無視・冒涜する犯罪であることか!
こういうことは国民の総意として、あの「15年戦争」と国内300余万人、外国人数千万人の死霊たちの墓前に誓った決意への反逆に他ならない。それゆえ、「日本国憲法」をそっくり変えてから言うべき発言でなければならぬ。
上記東京新聞記事は「平和の党」を標榜する「公明党」が主宰する会合での党見解を報ずるものである。断じて妥協があってはならないと、同党の見識に心から期待する。「防衛装備品」なる言葉の持つ悪意とそれへの羞恥、言葉の正確な使い方では「武器」・「兵器」と呼ぶべきものを「隠語」として用いる不誠実さがすでにしてコトの本質を騙っている。そもそも「上人」の精神に反する。