日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

オイコラ警官と小さな政治家

2019年08月30日 07時43分19秒 | 政治
 先週日曜日に行われた埼玉県知事選挙、その政権側が支援する候補への応援に駆け付けた文部科学大臣の選挙カーの後ろ側から「若者の声を聞け」などと記したプラカードを掲げ、「柴山辞めろ」「入試改革を白紙撤回しろ」などとひとりの若者が野次ったところ、スーツ姿の警察官数人が彼を取り囲み、その場から排除してしまったという。近頃、この種の警察官の過剰な「政治参加」が際立ってきたように思われる。戦前の集会条例下にあるような圧迫感、実に不愉快で重大問題だ。
 それはともかく、ここで話題にしたいのはその際の文部科学大臣の採った態度だ。この「事件」の後刻、彼は記者会見で「選挙会場などで大声を出す権利は保証されていない」と述べたという。たしかに、折角、人が発言をしようとしている時に妨害をするというのは好い事とは言い難い。
 しかし、件の大学生は柴山氏が指揮する文部科学省がいま世論の反対を押し切って推進しようとしている大学入試における英語の民間試験について反対を訴えたかったのだという。つまり、言ってしまえば、いささか無礼な態度をもって直訴を試みたということらしいのである。
 こういう時、人格の練れている人物であれば、「おい、そこの若いの、言いたいことがあったら、後でわしがここから降りて行って聴いてやるから少し静かにしろ!」ぐらいのことを言って黙らせるほどの扱いができたであろう。さすれば「オイコラッ警官」の出動も無かったかもしれない。
 この大学生が言いたかった外国語入試については、その方法について国公私立の大学現場からもまた全国津々浦々の高等学校や生徒たちからもおおきな反対ないし問題点の指摘が巻き起こっている。いわば、この大学生はその反対の声を代弁せんとした「英雄心」からの行動だったというのである。
 今どき、物言わぬ若者ばかりが目につく時代、こういう元気が良く、「不正」を看過できない青年をこそ頼もしいとしなくてはならない。件の大臣は、その後もネット上での批判に対して自己主張を重ねているようだが、大人になりきれない大人が過度な政治権力を持たされたばかりの「悲劇」というべきだ。
 柴山氏に限らず、近頃の政治家の人格的小ささが、内政外交いたるところに悪臭を放っている。この現状、何とかならないものか?
 そういえば折角文部科学大臣が激務を措いて選挙応援に駆けつけた程に政治的に重大な?はずだった選挙の確定投票率がたったの32.31%だった。何をかいわんや!
 何もかも良いところなしのニッポン!!


トウモロコシを買わされただけのG7?

2019年08月29日 07時09分05秒 | 政治
 「G7で批判集中 際立つ米国の孤立」というタイトルで次のような外報記事が目についた。
 「先進7カ国首脳会議(G7サミット)の経済討議では、トランプ政権の保護主義や過熱する米中貿易摩擦に批判が集まり、米国の孤立が際立った。中国との報復関税の応酬が米経済に打撃を与え、来年の大統領選を見据えるトランプ氏にも焦りが募る。逆風の中、日米貿易協定の基本合意と日本によるトウモロコシ輸入拡大は『救いの一手』となった」(2019/08/26 時事通信)
 言うまでもなく第一義的にはロナルド・トランプという個人の個性に由来するのはもちろんだが、世界史的に見ればヘゲモニー国家アメリカの凋落、つまり第一次大戦後に始まり第二次世界大戦によって完成した「パックスアメリカーナ」の、ようやく始まった「終焉」こそがアメリカ合衆国の「孤立」の根本的で深刻な要因であろう。そんな歴史的循環の中で日本の首相がトウモロコシを買ってやると言ったから「救い」だったとは、なんだか哀れをもよおす話ではある。
 しかし、思い起こせば戦後の数年間、米国による「ガリオア・エロア基金」による莫大な援助によって飢えをしのいだ我ら当時に生きた日本人の一人としては、いまトウモロコシを買ってやるのは良い事のように思いもするのであるが・・・、上の記事によれば、トランプ氏は「『本当に大きなトウモロコシ購入だ! 農家にとって素晴らしい』とツイッターに投稿し、支持基盤である農家にアピールした」とある。よほどありがたかったのだろう。
 何しろ、米中西部の穀倉地帯で生産されるトウモロコシの最大の買い手中国が報復関税を掛けて事実上輸入禁止状態。トランプ氏最大の票田が枯れては来年の大統領選挙に勝ち目がない。それを、日本が買ってやるというのだからうれしかったに違いない。かくて我らは、トランプ氏という歴史上最悪というべき合衆国大統領の再選に手を貸す羽目に陥ったのである。
 G7におけるトランプ氏の存在感は見るに堪えないものだった。この国際会議は、そもそもが世界の経済大国群7か国が世界経済を円滑に進めるために話し合うというものであったのに、世界中で貿易戦争を挑発している者が受け入れられる訳が無い。それが他ならぬトランプ氏なのだから彼に浮かぶ瀬が有ろうはずはなかった。それを懲らしめずに救ってあげたのが我が安倍首相であったが、これは褒められるべき行為かくさされるべき判断であったか?
 その評価は、間もなく発表される日米FTA協議の結果を見ないと何とも言えないが、例によって「地頭」に勝てない日本政府のこと、遺伝子組み換えトウモロコシだけではすまない「自動車」や「牛肉」・「コメ」など数々の「負け」を喫しているのではないだろうか?。東北・北海道の農業の未来が大いに心配だ。
 28日朝日川柳に、「唐土(もろこし=中国)が買わぬ蜀黍(モロコシ)買わされる」(東京・三神玲子)とあった。これに座布団三枚!


「議論の活性化のために秘密会に」ってどういう意味? JOC委員会

2019年08月28日 07時31分53秒 | 政治
 「日本オリンピック委員会(JOC)が、1989年の発足以来、報道陣に原則公開してきた理事会を来月から全面非公開にすることを決めた。6月に会長に就任した、柔道の84年ロサンゼルス五輪金メダリストで全日本柔道連盟会長の山下泰裕氏(62)が、東京五輪まで1年を切る中、諸課題に対応していくには『議論の活性化が不可欠』として自ら提案した」(2019/08/26 毎日新聞)。
 新聞記者の文章力が拙いのか?、報道事実が変なのか?、上記記事の内容を理解するのにしばらく時間を要した。どうやら、JOC理事会での議論というのは身内以外の者に聞かせるには耐えられない内容のものであって、納税者たる国民各位に聞かれては困る代物である、と言っているらしいのである。折角、若い人が会長に選任されて、この組織も少しはましになるであろうと期待されていたのだが、これはあまりに姑息な策を考えたものである。
 前会長が東京オリンピック開催招致について賄賂を使って票集めをしたという疑惑が掛けられ、フランスの司法当局が捜査中であるという。その疑惑の東京オリンピックがなし崩しに一年を切って、直前に迫っている。今こそ、国民世論の支援なくして大会の成功は覚束なかろうという時に「万機私論」に徹して「寄らしむべし、知らしむべからず*」とは、この男は何を考えているのであろうか?
 この数年、この国のスポーツ界はスキャンダルの問屋のように次から次と不祥事に見舞われてきた。竹田会長のあらぬ?触法疑惑はその頂点に位置する醜聞である。その本丸が、これから国民には非公開でやりますというのだから、これこそ輪をかけたスキャンダルではないか?
 来年に迫るオリンピックもパラリンピックも大量のボランティアを動員しての開催と聞く。人々のフィランソロピーを刺激してそのボランティア精神に期待して大会を成功させようと企むのであれば、その責任組織が隠し心なく一点の曇りもなく運営することは言うまでもない。それには万機公論に決するが当然である。
 もし監督官庁の文部科学省がこの会長発言を認めているのであれば言語道断、もはや教育担当官庁として倫理道徳だのスポーツマンシップだの、体操・徳育だの語るに落ちるというものと知らねばならない。
 (*諺「寄らしむべし、知らしむべからず」の本来の意味は「人を従わせるのは訳ないが、その論理を理解させるのは難しい」。どっちにせよIOCは国民をなめている)


裏から見ればよく分かること

2019年08月27日 07時18分28秒 | 政治
 「韓国海軍は25日、日韓が領有権を争う島根県の竹島(韓国名・独島)を含む日本海の島々の防衛を目的とする軍事訓練を同日朝から始めたと明らかにした。同様の訓練は昨年は6月と12月に実施され、今年も6月ごろに予定していたが、日韓関係への影響を考慮して先送りされていた。日本政府は抗議し、中止を求めた」(2019/08/25朝日新聞)。
 日本から見れば石見の国(島根県)の沖合日本海に浮かぶ沢山の岩礁のみからなる石の島。人間のみならず獣も含めてここで生活を送ることは不可能な島嶼である。日本名は「竹島」だが、韓国名は「独島」、「竹島」は「竹」の一本も生える環境ではないから不適切な島名だが、「独島」は文字通りの「孤独」の意で適切な命名である。
 かくの如く魅力に乏しい島ではあるが、この周囲の漁場としての価値はきわめて高く、日韓双方の漁民にとっては魅力的な漁場であり、争いが合理的であるとすれば、ここに根拠が有ると言えばいえるのである。だが、「領土問題」が持つ形而上学的な領域へと昇華する「法則」に従って、1956年以後一貫して膏肓に達した病魔となって日韓両国の紛糾の源となっている迷惑な島でもある。
 上の報道を、大げさに言えば「一国の荒廃はここにあり」とでも言わんばかりの韓国政府とその民の「悲壮感」が行間を埋めているように筆者は読んだ。そして、「そんなに力こぶを入れない方が良くないかい?!」とまずは大韓民国の友人に、ついでにこっちもかっかとしがちな日本の我が親類に向かっても言いたいのである。それには、格好な先人の発言がある。
 「我が国の総ての禍根は、しばしば述ぶるが如く、小欲に囚われていることだ、志の小さいことだ。吾輩は今の世界において独り日本に、欲なかれとは註文せぬ。人汝の右の頬打たば、また他の頬をも廻して、これに向けよとはいわぬ。否、古来の皮相なる観察者によって無欲を説けりと誤解せられた幾多の大思想家も実は決して無欲を説いたのではない。彼らはただ大欲を説いたのだ、大欲を満たすがために、小欲を棄てよと教えたのだ。さればこそ仏者の「空」は「無」にあらず、無量の性功徳を円満具足するの相を指すなりといわれるのだ。しかるに我が国民には、その大欲がない。朝鮮や、台湾、支那、満州、またはシベリヤ、樺太等の少しばかりの土地や、財産に目をくれて、その保護やら取り込みに汲々としておる。従って積極的に世界大に、策動するの余裕がない。卑近の例を以ていえば王より飛車を可愛がるへぼ将棋だ。結果は、せっかく逃げ廻った飛車も取らるれば、王も雪隠詰めに会う。いわゆる太平洋および極東会議は、まさにこの状況に我が国の落ちんとする形勢を現したものである」(「一切を棄つるの覚悟~石橋湛山評論集より」(岩波文庫))。
 この論文を大韓民国の皆さんにぜひ読んでもらいたい。もちろん、戦前の日本人に宛てた日本人が書いた評論であるのだから、韓国人には気楽に読めるだろう。その上で、文中の「朝鮮や、台湾、支那、満州、またはシベリヤ、樺太等」という個所を「独島」と置き換えてみれば益々賛同するであろう。
 と同時に、日本人には同じ個所を「竹島」と置いてみれば、日本政府は未だにまだ「帝国主義」ですか?とちょっと引いて読めるのではないだろうか? こうみてくると、人間は「小欲」に執着して「大欲」を求めず、ちっとも進歩していないということがよく分かる。
 なお、グリーンランドを買いたいと言い出した不動産屋上がりの大統領にも湛山論文をぜひ読ませたいと、忘れずに追記しておこう!!


浜っ子の知性が問われるIR誘致

2019年08月26日 07時06分08秒 | 政治
 「よござんすか ハマのお文が 壺を振る」(栃木県 大塚裕)
 朝日川柳(8月24日)の一句。「鉄火場の女」をなかなか真に迫った描写で詠んだ川柳だが、予備知識が無いとこの名句はよく分からない。一句は、一昨年、3戦目の横浜市長選でIRについては「白紙」と語って当選していた林文子市長が、22日午後、突如その誘致を口にしたことを揶揄したものである。
 そのIR(Integrated Resort)とは、「統合型リゾート施設」なるものの総称だそうで、「国際会議場・展示施設などのMICE(Meeting、Incentive、Conference or Convention、Exhibition)施設、ホテル、商業施設(ショッピングモール)、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設のこと」(Wikipedia)だという。こう説明されれば、この「煉獄世界」に「極楽」を作ってくれるという有難い構想らしく聞こえるのだが、なぜかこれらの施設群の何処かに「賭場」を開帳する施設が含まれているというからよく分からない。わけても、安倍政権は、この構想を「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」という法律を強行採決までして推進するのだそうである。
 「賭場」と聞けば「博奕(バクチ)」、体中入れ墨をしたお兄さんたちがふんどし一つで「チョウ」とか「ハン」とかやっていた時代劇を想い出す。そして「博奕」は江戸徳川の御代からにして違法行為の最たるものであった。庶民が働かずに一獲千金を夢見て「博奕」に手を出して、貧困、依存症に一家離散となる。あるいは巻き上げられて失った金銭を盗賊・山賊・野盗となって犯罪を犯す。その連鎖を封建領主ですら恐れたのである。
 関ヶ原以後、少なくとも450年間この国で「バクチは違法」が当たり前だったのだが、安倍政権はこの歴史に風穴を開けた。全国3か所にこれを許すというのである。正 気の沙汰とは思えないが、そこにはそれなりの謂れもあって、その第一等のいわれが、全国三か所に完成する「統合型リゾート施設」を経営する企業はユダヤ資本、それもトランプ米大統領閣下の令嬢の夫君につながる世界のギャンブル経営ノウハウを知り尽くした大富豪らにつながるというのである。つまり、我がIR構想は伝統的対米追随外交の根源的帰結であるらしいのである。
 かくて、浜の文子がそろそろサイコロを振らなきゃと決意したことを揶揄したのが冒頭の川柳子の作品である。同じようにサイコロを早くから握って離さない大阪・長崎・和歌山・北海道、それに不気味な行動を取ることしばしばの川向こうにゆり子姉御、上総のケンサク兄いも分かったものじゃない? かくて「浜のお文」が片肌を脱いで見せた、というのは彼らへの権柄尽だったのだろうが、横浜市民にしてみれば、参選選挙では「白紙」といっていかにも否定的な態度をしておきながら、いよいよとなったら裏で糸引く政権中枢要人にあおられて市民を裏切る。これは許せないというのであろう、記者会見報道がTVやネットで伝えられるや大勢の市民が市長室前に殺到して抗議していた。
 しかし、浜の文子もさすが海千山千の実業界を潜ってきたオンナだ。「白紙とはどっちでもないということよ!」と記者団に平然と語っていた。
 浜っ子の知性が問われる時が来た。