新型コロナウィルスという極上の異変が存分に世界を覆っているのだからこれだけで沢山であるのだが、パンデミックと関係が有るのかどうか?、この夏、我が家の小さな庭にも小さな異変がある。
その第一は、夕陽木(せきようぼく)として庭の西隅に植えてある百日紅(サルスベリ)の花が今年は実に元気がない。そもそも例年なら6月の20日前後には開花しているのに、今年は遅れにおくれて7月8日の雨の夕暮れ、一枝にたった一輪だけひっそりと開花した。隣家の庭先にも同じような樹形の百日紅があって申し合わせたように同じ日に咲いたから、すくなくともこの町内の季節の移ろいが全体遅れたということであろう。
関東甲信に梅雨明け宣言が出されたのは8月朔日。いきなり、前日までとはうって変わった猛暑が始まった。さあ季節到来、この暑苦しい花が勢いよく咲くであろうと毎朝百日紅の花数を数えるのが日課になったが、あれから2週間今日に至るもまったく精彩がない。それどころか、梅雨時よりも花数は減り、加えて小さな枝には蕾そのものが見当たらない。そして、隣家の木もまったく同様精彩を欠いたままだ。連日の猛暑にうれしがるどころかようやく耐えている風情なのである。
元来が暑さの季節に咲く百日紅は、同じく夏の花夾竹桃と並んでそれゆえに暑苦しくてそれがいまいち不人気の樹種でもあるのだが、今年の花は熱中症を病んだように勢いがない。どうしたことか?
異変は百日紅ばかりではない。例年ならツツジやサツキなどそれぞれ5月や6月に咲き終わった頃にはカイガラムシ、グンバイ、ハダニ、アブラムシ等々新芽を食べる虫たちが大量に湧き出る。しかたなく被害を発見すると噴霧器を出してきて一斉消毒をするのがこの時期の年中行事である。
ところが今年は今日に至るも、新芽の先があえなく枯れてしぼんでしまったという姿をほとんど見ない。虫どもによる顕著な被害がないのである。第一、シンクイムシのように彼の母親の蝶が訪う姿が全く見えない。まさか、蝶たちにもCOVID-19が取り付いたのでなければよいのだが。
かくて、虫たちに食われない木々は元気なのかと言えば、百日紅と同様に心なしか元気が無い。コロナウィルスは地球環境の深奥のところ、つまり地球にとってその「膏肓」に達する処が病に侵されているために拡散したのではないか?、とそんな気がして、一人恐怖しているこの頃である。