日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

大手メディアの対権力共犯関係と下流メディアの活躍

2020年05月26日 07時18分23秒 | 政治
 「新聞を開いて僕は世界を知った」「真実と人に寄り添う記事がある」「新聞で見分けるフェイク知るファクト」・・・。
 これらは、日本新聞協会が一般から募集して発表した最近3年の新聞週間標語である。こうありたいものだという意味でよくできた「キャッチコピー」である。ただ、いま日本の新聞が「本当にそうなのか?」と真正面から質されると「さあ、どうでしょう?」となりそうな気がするのだが・・・。
 東京地検の黒川弘務「前」検事長が犯した賭けマージャンという刑法185条違反行為、こういう違法行為を挙証して実行者を訴追すべき役職の最高責任者の一人がこれを犯していたというまさに泥棒を捕えてみればなんとやらと、笑うに笑えず、泣くに泣けない「大事件」である。そして、その相棒をつとめていたのが、こういう権力者の犯罪を見つけて広く世間に知らせるべき新聞人だったという事実。上記標語との乖離の大きさに愕然とするのは筆者だけではあるまい。
 この犯罪者の中に、我が国を代表するクウォリティ紙というレッテルを自他ともに認めてきた朝日新聞の編集者が入っていたという事実。ますます、上記標語の欺瞞性が恥ずかしさの限界を越えて迫ってくるではないか!
 この「事件」の主人公黒川某、彼はまさに彼の犯罪性を摘発すべき眼前の「敵(記者)」、これを同じ犯罪者として共犯関係を形成することによって身の安全が確保できると誤解していなかっただろうか? 聞くところによれば、同人はこの三人組以外に検察まわりの司法担当記者たちの多くと誼を通じることをもってある種の信頼を獲得していたという。
 検事長という高位の職に居ながら賭けマージャンという「犯罪」を犯すことと、それを記者らに知られていることの危険、この危険を避ける方法として身辺を探る記者たちと共犯関係を作ることによって安全を確保していたのである。記事とする情報(ネタ)を欲しい記者たちはこの男と賭けマージャンという犯罪行為に身を汚すことで堀を埋め、検事長は止めるにやめられないギャンブル中毒の暴露される危険をこの共犯関係によって守っていたのである。
 しかし、そこに現れたのが、ジャーナリズムの世界で格下をもって自?他ともに認め、とりわけ大手新聞5紙からすれば目下にランクされる「週刊誌」は、司法記者クラブ仲間には入れてもらえず、それゆえに賭博趣味の共犯関係を形成できなかったがゆえに悪事を暴露でき、巨大な爆弾となってさく裂したのであろう。
 タブロイド紙(日刊ゲンダイ)や週刊誌(週刊文春)という、およそイスタブリッシュメンとは格付けされない格下のメディアが辛うじて正義を発揮し報道している。新聞・テレビ・ラジオ、もう一度巨大化した日本のメディアが戦後再生の精神に立ち返って権力と毅然と立ち向かえられる日の来ることを、昨今の忖度ジャーナリズムの悪弊の中にいてしみじみ思う今日この頃である。