SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

ドラベ症候群の長期経過について(静岡てんかん・神経医療センターからの報告)

2014年09月06日 | 一般情報・疫学・レビューなど

静岡てんかん・神経医療センターから10年以上経過観察したドラベ症候群患者64名に関する報告。

Epilepsia. 2014 Apr;55(4):528-38. 
Long-term course of Dravet syndrome: a study from an epilepsy center in Japan.

方法:
ドラベ症候群と診断された64名(内訳は典型例が44例、非典型例が20例)を調査し、長期の痙攣発作、脳波所見、神経精神的所見、社会的状況について長期経過に関する解析を行った。
経過観察期間は11年から34年5か月の範囲だった(中央値24年)。

結果:
最終診察において、患者の年齢は19歳から45歳(中央値30歳)。
64名中59例において、全身間代性強直性痙攣が持続していた。 
てんかん重積状態や半身けいれんは認められず、ミオクロニー発作、非定型欠神発作、光過敏発作はほとんどの患者で軽快していた。
複雑部分発作ほ忍土はは変わらずに低く、診察中に5人、前回受診時に6人認めた。
5名の寒邪で1年以上の発作を認めない寛解状態にあったが、その内訳は典型例44人中1人、非典型例20人中4人であり統計学的な有意差を認めた(p = 0.03)。
知的障害は全てに患者に認められ、その多くは特に重度の知的障害だった。
非典型ドラベ症候群患者は知的障害もより軽い傾向を認め、典型例との頻度には有意差を認めた(p = 0.0283)。
基本活動時における後頭部のアルファ律動の脳波所見は軽度な知的障害との関連を認めた(p = 0.0085)。
後頭部のアルファ律動の出現に関連したけいれんがないこと、てんかん波を認めないことを軽度な知的障害との関連を認めた(それぞれ p = 0.0008, p = 0.0004)。
2人が全身間代性強直けいれんで死亡した。
SCN1A遺伝子の変異が検出されたのは検査を受けた36名中33名だった。
症状の寛解はミスセンス変異が検出された患者のみに認めた。

ポイント:
長期経過におけるけいれん発作と知的障害の転機は典型的なドラベ症候群の患者で非典型例の患者と比較して著しく不良であった。 
てんかんの表現型がドラベ症候群の長期経過に影響を及ぼす可能性がある。 
 

Epilepsia. 2014 Jun;55(6):942-3.
Terminology and prognosis of Dravet syndrome.

論文に対するドラベ医師からのコメント
・用語は非典型例ではなくて境界型ではないか
・これまでの論文でも示唆されていた典型例で認めるミオクロニーてんかんが、てんかん発作や認知機能に好ましくない影響を与えるという仮説を確認した。
・深刻ではないと考えられてきたミオクロニーけいれんも長期的にはは実際に深刻ではない結果とはならない。
・認知機能障害におけるてんかんと遺伝子変化についてはまだ議論の余地がある。
・Catarino等での報告では、解剖結果で形態学的異常を中枢神経に認めず、ドラベ症候群の特徴として認知機能を低下させるとする特異的病理組織学的変化も認めなかった。さらには治療がうまくいって発作が減った患者においても認知機能の低下を認める症例もある。そのため、少なくとも部分的にはドラベ症候群はてんかん性の脳症であることがデータから指示される結論付けている。
・遺伝子的背景もまた転機を理解することに重要な役割を持つと考えられる。
・大規模な前向き研究だけが環境因子を見落とすことなく、認知機能と遺伝子学的てんかん間の相関関係を確立することができる。 

 

論文の著者からの回答
Epilepsia. 2014 Jun;55(6):943. 
In response to terminology and prognosis of Dravet syndrome.
(指摘に対する明確な反論はなし)

 

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